この大きな空の下で [無知奮闘編]

K.A

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勝ち取った権利と覚書

久しぶりのパチンコという余暇 1

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朝六時に目が覚めた。

最近慣れてしまったのか、休みの日でも仕事がある日と同じ時間に目が覚めてしまう。

ゆっくりタバコに火を点ける。
ゆらゆらと煙が昇る。

程なくして妻が起きてきた。
やはり妻も一緒らしい。

妻「おはよ、早いね」
私「おはよ、自然と目が覚めちゃったよ。慣れって恐ろしいな」

お湯を沸かし、コーヒーを入れる。

髪をポリポリ掻きながら妻が隣に座る。
コーヒーを飲もうとした瞬間

「昨日の夜の[なるほど]って何?」

妻がいきなり訊いてきた。

「あぁそれか」

あくまで予想だけど、自分の考えを妻に説明する。

妻「そんな事あるのかなぁ?」

私「身構えておいて損はないと思うよ」

妻「でも、Mさんまた来るよ」

私「やりたいならやらせておけばいいさ、俺には関係ない」

妻「わかった」

時計の針は八時を過ぎていた。

私「そろそろ支度しよっか」

妻「うん、ちょっと待っててね」

妻が部屋に入るなり私の携帯が鳴った、事務所からだ。

担当「Kさんおはようございます。お休みの日に申し訳ないんですが事務所まで来れますか?」

私「すいませんが、先約があってこれから出かけるんですよ。えぇ妻も一緒です」

担当「何とか時間作れませんかね?」

私「今日に限って言えば、すいませんとしか言い様がないです。明日の仕事終わりじゃダメですか?」

担当「うん....できれば今日がよかったんだけど先約なら仕方ないか。わかりました、明日の仕事終わりに事務所に顔出してください」

私「わかりました、では失礼します」

電話を切る。

妻「電話?誰から?」

私「事務所」

妻「え?今日休みなのに」

私「だよねぇ」

妻「....変なの」

昨晩のMさん、今の電話。

.....なんか嫌な予感がする。



妻「お待たせ!さぁ!今日はイッパイ出すぞぉ!」

気合い充分である。


意気揚々と電車に乗り込み、あっという間に駅に着く。
仕事以外でこの駅で降りるのは初めてだ。

少し早かったせいか、まだ誰も来ていない。

喫煙所のベンチに腰掛け、タバコに火を点ける。
その瞬間、我が目を疑う光景が。

コンビニの角に見慣れた姿が見える。
よく見ると事務所の担当とMさんだった。
なにやら深刻な表情で言葉を交わしている。
遠目なので内容までは聞き取れない。

休みの日の朝こんな早い時間に?

気付いたらいつの間にかYが来ていた。
昨日の飲み会で意気投合したのか、改札の隅で妻と仲良く談笑している。

その時、また電話が鳴った。
Fからだ。
「ごめん五分くらい遅れる!缶コーヒーで勘弁して!」
そう言い終わるとブツッと電話は切れた。

妻とYに歩み寄り、Fが遅れる事を伝える。

Y「だからピンポン何度も押して起こしてやったのにぃ!」

ちょっとイライラした様子のY
それを見て吸いかけのタバコを消そうとした時に私を呼ぶ声がした。

声の方に目を向けると、そこにはMさんがいた。

M「おはようございます」

私「おはようございます」
形式的な挨拶を返す。

M「昨日の話の続きですが」

私「続きなんてありませんよ、あれは昨晩で終わりです」

M「昨日の続きですが.....」

私「しつこいですよ」

M「えぇ、何と言われようと理解してもらえるまでお話しますよ」

「ごめんごめん」
そのタイミングでFとJが息を切らしながらやってきた。

J、F「誰?」

私「前の現場の元リーダー、らしい」

J、F「らしい?」

私「うん、だって関わりない人だから」

Yと妻が駆け寄ってくる。

Y「もう!ちゃんと起こしてやったじゃん!」

F、J「ごめん、起きたんだけどまた寝ちゃった。缶コーヒーで勘弁してよぉ」

Y「だーめ!ランチなら許してあげる」
ね?と妻の顔を見るY

妻「そうね、ランチなら」

F、J「うへぇ」

私「簡単な話だ、勝てばいいんだよ」

M「皆さんでパチンコでも行くんですか?」

私「えぇ、うちらだけでね」

M「私も行っていいですか?」

私「あなたの行き先はパチンコ屋じゃなくて事務所じゃないの?こんな休みの朝早くにコソコソしてるくらいなんだからさ」

M「いや、あれはもう終わったので」

私「あっそ」

F「そろそろ行こうか」

同期三人と私と妻。
妻はYと談笑中、よほど意気投合したみたいだ。

「そこのコンビニを曲がって二つ目の信号を左に曲がって百メーターくらい行ったところにあるよ」
Fの案内でコンビニの角を曲がって、二つ目の信号に差し掛かった時に気付いた。

Mさんの姿が見えない。
気付いてるのは多分私だけ。

「あ、あれだね!」

わざと指を指して声を出し、みんなに悟られないようにした。
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