33 / 33
第三十三話:狼座の迷い子と激辛チーズフォンデュの夜
しおりを挟む
深夜、虹河魔王城・地下通路。
ゼフェロスは鍵束をカチャカチャ鳴らしながら、ゆっくりと歩いていた。
「ふむ……レグナが作ったニワトリ小屋、なかなか立派であった。
我が封印されている間に、ニワトリはほとんど逃げ出して野生化してしまったようだが……
まあ、あの獰猛な目つきは魔王城に相応しい。明日は卵を回収せねば」
そんなことを独り言で呟きながら、食糧庫の前まで来たとき。
ガサガサ モグモグ ゴロゴロ……
「……ん?何か物音がするな」
扉をそっと開けると、そこには。
フランスパンを三本抱え、チーズを頭に乗せ、
さらに生ハムを尻尾に巻きつけて満足げに頬張る、狼の耳と尻尾を持つ小さな少女が立っていた。
ゼフェロス「…………そこで何をしている?」 少女「(ビクッ!)」
振り向く少女。ゼフェロスと目が合う。
少女「…………にゃ、にゃー!」
(耳をぺたんと倒し、前足で顔を隠しながらパンを必死に背後に隠す)
ゼフェロス「……なんだ、猫か」
狼少女「にゃーん♪ にゃーにゃー♪」
(必死に猫ポーズ。尻尾はプルプル震えている)
ゼフェロス「⋯って、なるかーーい!!!」
狼少女「にゃ、にゃーん……(涙目)ごめんにゃさい……」
その直後。
ガシャーーーン!!
アクア製・侵入者捕獲装置フルコンボ発動。
檻落下+激辛ソース+バター滑り台+最終兵器「チーズフォンデュ噴射」
ルゥ「ぎゃあああああ!! 目がぁぁぁ!! 口の中が地獄ぁぁぁ!!」
檻の中、激辛バター+チーズまみれで悶絶する狼少女。
騒ぎを聞きつけて全員集合。
アリエ「侵入者か!?⋯なんだ、年端もいかぬ子供じゃないか……」
アクア「うわっ、めっちゃグチャグチャ……可哀想に。すぐシャワー行きね!」
ポルカ「いやそれ100%アクアちゃんの罠だからね!?」
──30分後。
シャワー室から出てきた少女は、
少し大きめのメイド服に着替え、髪をふわふわさせて恥ずかしそうに立っていた。
メイドたち即座に大包囲。
ポルカ「カワイイーーーー!!!」
アクア「天使……尊い……保存したい……」
アセラ「この子、私の妹にするわ」
アリエ(鼻血を拭いながら)「完璧だ……」
アルディが優雅にスープの鍋を持って登場。
アルディ「まあまあ、みんな落ち着いて。
まだお腹空いてるでしょう? お姉さんが温かいポトフを作ったわよ♡」
少女の目がキラッキラ。
「……本当に、いいんですか……?」
食堂の長テーブル。
湯気の立つ大きな鍋を中心に、みんなが少女を囲んで座っていた。
アルディが優しくスプーンを差し出す。
「はい、どうぞ。熱いからふーふーしてね」
少女はおずおずとスプーンを受け取り、一口。
……ぷはぁ。
「……おいしい……! あったかい……!」
耳がぴょこんと立ち、尻尾がぶんぶん振れる。
ポルカ「ねぇねぇ、お名前は?」
少女「名前は……ルゥ、です」
アクア「ルゥちゃん! かわいい名前~!」
アリエ「どこから来たんだ?」
イゴル「狼の獣人はこの辺にはいないけどねぇ~」
ルゥはスプーンを握りしめたまま、うつむいた。
「……気づいたら、地下にいて……
真っ暗で、寒くて、お腹がぐーぐー鳴ってて……
それより前は……何も覚えてないんです」
みんなが一瞬、静かになる。
アクアがそっとルゥの頭を撫でる。
「……思い出すまで、いいよ。
ここに住んだらいい。ごはんも、布団も、お風呂もあるから」
ポルカ「うんうん! ずっと一緒にいよう!」
アセラ(小声)「私の妹……決定」
ルゥはスープをもう一口すすり、
今度ははっきり顔を上げた。
「……本当に、いいんですか?
私、役に立てるか分からないのに……」
ゼフェロス「構わん。ただし明日のニワトリの卵は全部お前が取ってこい。
野生化したやつらは噛みつくぞ」
ルゥ「は、はいっ! ゼフェロスおじいちゃん!」
ゼフェロス「だからおじいちゃんじゃない! まだ600歳だ!!」
レグナ(獅子座)、腕組みしてニヤリ
「狼の獣人なら戦闘力が高そうだな! 明日から獅子の格闘術をみっちり仕込んでやる!」
ルゥ「ひぇっ!?」
リブラ(天秤座)、優雅に扇子をパタパタ
「ふふ、せっかくですから優雅な淑女に仕立て上げますわ♪ まずはお辞儀の角度からね」
ルゥ「え、えっと……よろしくお願いいたしますわ……?(ぎこちない)」
スピカ(乙女座)眉をひそめて
「ニジカワ様がご不在の間にまた新しいメンバーが……計画が狂ってしまうわ……」
そこへ、ふらふらと眠そうなリーシャ(魚座)が登場。
目が半開き、髪はボサボサ、ぬいぐるみを抱えたまま。
リーシャ「……13人目……?
ときどき夢に見る……顔の見えない泣き虫の女の子……
あの子が……そうなの?」
ルゥの顔を見て、リーシャの目がぱちりと開く。
リーシャ「……うん、きっとそう。
夢の中でずっと泣いてた子だ……」
ルゥ「え……?」
リーシャ、急にルゥにぎゅーっと抱きつく。
リーシャ「もう泣かなくていいよ……ここにいていいんだよ……」
ルゥ「う、うぅ……(涙がぽろぽろ)」
ゼフェロス(ため息)
「……まったく、主様がいない間にどんどん増えるな。
明日のニワトリ回収は全員でやるぞ。特に新入りは三倍だ」
レグナ「よーし朝練からだ!」
リブラ「午後はマナー教室よ♡」
スピカ「シフト表再作成……死ぬ……」
ポルカ「ルゥちゃん歓迎パーティーしよー!」
アクア「ケーキ焼くね!」
アリエ「我は……芋ようかんを」
ルゥはみんなに囲まれて、初めて笑顔を見せた。
「……ありがとう、お姉ちゃんたち……
私、もう……ひとりじゃないんだね」
──魔王ニジカワ城は、ニジカワがいない夜も、いつも以上に温かくて賑やかだった。
ゼフェロスは鍵束をカチャカチャ鳴らしながら、ゆっくりと歩いていた。
「ふむ……レグナが作ったニワトリ小屋、なかなか立派であった。
我が封印されている間に、ニワトリはほとんど逃げ出して野生化してしまったようだが……
まあ、あの獰猛な目つきは魔王城に相応しい。明日は卵を回収せねば」
そんなことを独り言で呟きながら、食糧庫の前まで来たとき。
ガサガサ モグモグ ゴロゴロ……
「……ん?何か物音がするな」
扉をそっと開けると、そこには。
フランスパンを三本抱え、チーズを頭に乗せ、
さらに生ハムを尻尾に巻きつけて満足げに頬張る、狼の耳と尻尾を持つ小さな少女が立っていた。
ゼフェロス「…………そこで何をしている?」 少女「(ビクッ!)」
振り向く少女。ゼフェロスと目が合う。
少女「…………にゃ、にゃー!」
(耳をぺたんと倒し、前足で顔を隠しながらパンを必死に背後に隠す)
ゼフェロス「……なんだ、猫か」
狼少女「にゃーん♪ にゃーにゃー♪」
(必死に猫ポーズ。尻尾はプルプル震えている)
ゼフェロス「⋯って、なるかーーい!!!」
狼少女「にゃ、にゃーん……(涙目)ごめんにゃさい……」
その直後。
ガシャーーーン!!
アクア製・侵入者捕獲装置フルコンボ発動。
檻落下+激辛ソース+バター滑り台+最終兵器「チーズフォンデュ噴射」
ルゥ「ぎゃあああああ!! 目がぁぁぁ!! 口の中が地獄ぁぁぁ!!」
檻の中、激辛バター+チーズまみれで悶絶する狼少女。
騒ぎを聞きつけて全員集合。
アリエ「侵入者か!?⋯なんだ、年端もいかぬ子供じゃないか……」
アクア「うわっ、めっちゃグチャグチャ……可哀想に。すぐシャワー行きね!」
ポルカ「いやそれ100%アクアちゃんの罠だからね!?」
──30分後。
シャワー室から出てきた少女は、
少し大きめのメイド服に着替え、髪をふわふわさせて恥ずかしそうに立っていた。
メイドたち即座に大包囲。
ポルカ「カワイイーーーー!!!」
アクア「天使……尊い……保存したい……」
アセラ「この子、私の妹にするわ」
アリエ(鼻血を拭いながら)「完璧だ……」
アルディが優雅にスープの鍋を持って登場。
アルディ「まあまあ、みんな落ち着いて。
まだお腹空いてるでしょう? お姉さんが温かいポトフを作ったわよ♡」
少女の目がキラッキラ。
「……本当に、いいんですか……?」
食堂の長テーブル。
湯気の立つ大きな鍋を中心に、みんなが少女を囲んで座っていた。
アルディが優しくスプーンを差し出す。
「はい、どうぞ。熱いからふーふーしてね」
少女はおずおずとスプーンを受け取り、一口。
……ぷはぁ。
「……おいしい……! あったかい……!」
耳がぴょこんと立ち、尻尾がぶんぶん振れる。
ポルカ「ねぇねぇ、お名前は?」
少女「名前は……ルゥ、です」
アクア「ルゥちゃん! かわいい名前~!」
アリエ「どこから来たんだ?」
イゴル「狼の獣人はこの辺にはいないけどねぇ~」
ルゥはスプーンを握りしめたまま、うつむいた。
「……気づいたら、地下にいて……
真っ暗で、寒くて、お腹がぐーぐー鳴ってて……
それより前は……何も覚えてないんです」
みんなが一瞬、静かになる。
アクアがそっとルゥの頭を撫でる。
「……思い出すまで、いいよ。
ここに住んだらいい。ごはんも、布団も、お風呂もあるから」
ポルカ「うんうん! ずっと一緒にいよう!」
アセラ(小声)「私の妹……決定」
ルゥはスープをもう一口すすり、
今度ははっきり顔を上げた。
「……本当に、いいんですか?
私、役に立てるか分からないのに……」
ゼフェロス「構わん。ただし明日のニワトリの卵は全部お前が取ってこい。
野生化したやつらは噛みつくぞ」
ルゥ「は、はいっ! ゼフェロスおじいちゃん!」
ゼフェロス「だからおじいちゃんじゃない! まだ600歳だ!!」
レグナ(獅子座)、腕組みしてニヤリ
「狼の獣人なら戦闘力が高そうだな! 明日から獅子の格闘術をみっちり仕込んでやる!」
ルゥ「ひぇっ!?」
リブラ(天秤座)、優雅に扇子をパタパタ
「ふふ、せっかくですから優雅な淑女に仕立て上げますわ♪ まずはお辞儀の角度からね」
ルゥ「え、えっと……よろしくお願いいたしますわ……?(ぎこちない)」
スピカ(乙女座)眉をひそめて
「ニジカワ様がご不在の間にまた新しいメンバーが……計画が狂ってしまうわ……」
そこへ、ふらふらと眠そうなリーシャ(魚座)が登場。
目が半開き、髪はボサボサ、ぬいぐるみを抱えたまま。
リーシャ「……13人目……?
ときどき夢に見る……顔の見えない泣き虫の女の子……
あの子が……そうなの?」
ルゥの顔を見て、リーシャの目がぱちりと開く。
リーシャ「……うん、きっとそう。
夢の中でずっと泣いてた子だ……」
ルゥ「え……?」
リーシャ、急にルゥにぎゅーっと抱きつく。
リーシャ「もう泣かなくていいよ……ここにいていいんだよ……」
ルゥ「う、うぅ……(涙がぽろぽろ)」
ゼフェロス(ため息)
「……まったく、主様がいない間にどんどん増えるな。
明日のニワトリ回収は全員でやるぞ。特に新入りは三倍だ」
レグナ「よーし朝練からだ!」
リブラ「午後はマナー教室よ♡」
スピカ「シフト表再作成……死ぬ……」
ポルカ「ルゥちゃん歓迎パーティーしよー!」
アクア「ケーキ焼くね!」
アリエ「我は……芋ようかんを」
ルゥはみんなに囲まれて、初めて笑顔を見せた。
「……ありがとう、お姉ちゃんたち……
私、もう……ひとりじゃないんだね」
──魔王ニジカワ城は、ニジカワがいない夜も、いつも以上に温かくて賑やかだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
台風のよる、君ひそやかに、魔女高らかに
にしのくみすた
ファンタジー
【空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!】
台風の夜、魔女はホウキで空を翔け――嵐と戦う!
この街で台風と戦うのは、ホウキで飛ぶ魔女の仕事だ。
空を飛ぶ魔女に憧れながらも、魔法が使えない体質のため夢を諦めたモチコ。
台風の夜、嵐に襲われて絶体絶命のピンチに陥ったモチコを救ったのは、
誰よりも速く夜空を飛ぶ“疾風迅雷の魔女”ミライアだった。
ひょんな事からミライアの相方として飛ぶことになったモチコは、
先輩のミライアとともに何度も台風へ挑み、だんだんと成長していく。
ふたりの距離が少しずつ近づいていくなか、
ミライアがあやしい『実験』をしようと言い出して……?
史上最速で空を飛ぶことにこだわる変な先輩と、全く飛べない地味メガネの後輩。
ふたりは夜空に浮かんだホウキの上で、今夜も秘密の『実験』を続けていく――。
空を飛ぶ魔女たちの、もちもち百合ファンタジー・コメディ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる