11 / 23
星の歌、涙の始まり
第十一話:混沌の大地と新たな出会い
しおりを挟む
エテルニアの大地は、混沌の中で喘いでいた。かつて星の光に満たされていたこの世界は、今や灰色の雲に覆われ、遠くで戦争の煙が立ち上っていた。星の力が弱まり、人類は禁断の魔術に手を染め、互いを滅ぼす争いを続けていた。その中心に、邪神教というカルト集団が暗躍していた。彼らは邪神を崇拝し、星の力を悪用してエテルニア全土に破壊と混乱をもたらしていた。
魔王インディゴは、漆黒のマントを纏い、冷酷な支配者としてエテルニアを統べていた。彼女の青白い瞳は氷のように冷たく、星屑のような黒髪が風に揺れていた。かつてはへびつかい座の使徒ステラとして、12星座の同胞たちと共に天界で星の意志に仕えていた彼女だったが、今は孤独な魔王として、混沌を抑えるために手段を選ばない存在となっていた。
彼女の心には、同胞たちとの別れが刻んだ深い傷が残り、癒しの心は冷酷さで覆い隠されていた。
インディゴは居城の最上階にある星見の塔に立ち、水晶球を手にエテルニアを見下ろしていた。球には、封印された12星座の使徒たちの結晶が映し出されていた。牡羊座のアリエ、水瓶座のアクア、乙女座のスピカ…彼女たちの魂は微かに脈動していたが、完全な覚醒にはまだ程遠かった。
インディゴは低く呟いた。「私の同胞よ…君たちの輝きを未来に取り戻す。そのためなら、私は全てを捧げる。」
その時、水晶球に邪神教の拠点「影の神殿」の様子が映し出された。黒い霧に覆われた神殿では、邪神教の司祭たちが不気味な儀式を行っていた。中央には巨大な祭壇があり、黒い水晶が不気味に脈動している。司祭たちの声が響き、邪神の復活を祈る呪文が神殿全体にこだました。インディゴの瞳が鋭く光った。「邪神教…星の力を汚す愚か者たち。私の秩序に逆らうなら、滅ぼすのみだ。」
彼女は居城を出て、影の神殿へと向かった。道中、エテルニア南部の荒れ果てた村に立ち寄った。村は邪神教の襲撃を受け、瓦礫と灰に埋もれていた。焼け焦げた家屋の間を歩くインディゴの耳に、微かな泣き声が聞こえてきた。声のする方向へ進むと、瓦礫の陰で一人の少女が蹲っていた。少女はボロボロの服を纏い、顔は煤で汚れ、涙が頬を伝っていた。彼女の手には、小さな木彫りの人形が握られていた。
少女はインディゴを見上げ、震える声で呟いた。「お母さん…お父さん…みんな…死んじゃった…。邪神教が…村を…。」 インディゴは少女を冷たく見つめた。「愚かな人間…生き残ったところで、この世界に希望はない。」 彼女の声には感情がなく、氷のような冷たさだけが響いた。少女は首を振って叫んだ。「希望なんて…もうないよ! でも…私は…私はあいつらを許せない! 邪神教を…!」 少女の瞳には、絶望の中に微かな怒りが宿っていた。
インディゴは一瞬、少女の瞳に同胞たちの姿を重ねた。アリエの勇気、アクアの革新…。彼女の心に、天界での記憶が蘇った。水晶宮殿の庭園で、アリエが槍を手に訓練する姿、アクアが新しい魔術を試して笑う姿が鮮明に浮かんだ。インディゴは目を閉じ、その記憶を振り払うように呟いた。「感情は無意味だ。だが…君の怒りは、私の目的に使えるかもしれない。」
インディゴは少女に手を差し伸べ、冷たく言った。「私の名はインディゴ。魔王だ。邪神教を滅ぼすために旅をしている。ついてくるなら、生き延びる術を教えてやろう。」 少女はインディゴの手を見つめ、震える手で握った。「私はリナ…。よろしくね、インディゴ。」 リナの声には微かな希望が宿っていたが、インディゴは無表情のまま歩き始めた。リナは木彫りの人形を胸に抱き、インディゴの後を追いかけた。
二人は影の神殿へ向かう道を進んだ。途中、ミスリル鉱山の廃墟に立ち寄った。そこには、古代の技術で作られた機械の身体が眠る工房があった。工房の中心には、巨大な機械のドラゴン・シルヴァスが佇んでいた。シルヴァスの目は赤く輝き、金属の鱗がカチカチと音を立てて動いた。リナは恐れてインディゴの後ろに隠れたが、インディゴは動じなかった。
「古代の守護者か…私の力に従え。」 インディゴはへびつかい座の魔術を放ち、青白い光がシルヴァスを包み込んだ。シルヴァスは一瞬抵抗したが、インディゴの圧倒的な魔力に屈し、忠誠を誓った。シルヴァスは低く唸りながら頭を下げ、金属的な声で響いた。「我が主…インディゴ…。我、シルヴァス、貴殿に仕える…。」 その声は深く、重厚で、まるで古代の機械が命を得たかのようだった。
リナは目を丸くして呟いた。「機械がしゃべるのか…! すごい…! シルヴァスって名前、かっこいいね!」 彼女は恐る恐るシルヴァスに近づき、金属の鱗にそっと手を触れた。シルヴァスの赤い目が一瞬柔らかく光り、リナに応えるように低く唸った。「人間の娘…リナ…。我は守護者…。貴殿を守る…。」 リナは驚きながらも笑顔を見せた。「ありがとう、シルヴァス! よろしくね!」
インディゴは二人のやり取りを冷たく見つめ、呟いた。「愚かな人間…機械に感情を求めるなど、無意味だ。」 だが、シルヴァスがリナに反応した瞬間、インディゴの心に微かなざわめきが生じた。彼女はシルヴァスに命じた。「シルヴァス、我々の旅に同行せよ。影の神殿で邪神教を滅ぼす。」 シルヴァスは再び低く唸り、「承知…我が主…。我が力、貴殿のために…。」と答えた。
一行はミスリル鉱山を後にし、影の神殿へと向かった。道中、リナはシルヴァスの背に乗り、楽しそうに話しかけた。「シルヴァスって、昔は誰かを守ってたの? こんなすごい機械、見たことないよ!」 シルヴァスは金属的な声で答えた。「我は…古代の技術者…により作られた…。ミスリルの守護者…。長い眠り…我を目覚めさせたのは…インディゴ…。」 リナは目を輝かせ、「インディゴって本当にすごいんだね! シルヴァス、インディゴのこと、どう思う?」と尋ねた。
シルヴァスは一瞬沈黙し、ゆっくりと答えた。「我が主…インディゴ…。冷たく…強い…。だが…心の奥に…光を…感じる…。」 リナは頷き、「うん、私もそう思う! インディゴ、怖いけど…優しい気がするんだ。」 インディゴは二人の会話を聞きながら、冷たく言った。「無駄な会話はやめなさい。機械に心などない。シルヴァスも、私の命令に従う道具に過ぎない。」 シルヴァスは静かに唸り、「承知…我が主…。」と応じたが、リナは小さく首を振って呟いた。「インディゴ…本当は優しいよね…。」
影の神殿に到着した。神殿は黒い霧に覆われ、不気味な気配が漂っていた。門前には邪神教の戦士たちが待ち構えていた。彼らは邪神の魔術で強化され、黒い炎を纏った武器を手にしていた。インディゴはリナを背後に庇い、冷たく言った。「ここから先は戦場だ。死にたくなければ、離れていなさい。」 リナは首を振って答えた。「私は戦うよ! インディゴと一緒に! 村のみんなの仇を…私が討つんだ!」
インディゴはリナの決意を無視し、戦士たちに向かって魔術を放った。青白い光が戦士たちを瞬時に包み込み、彼らの邪神の力を吸い取って灰に変えた。シルヴァスもまた、インディゴの命令に従い、戦士たちに襲いかかった。金属の鱗が光り、巨大な爪が戦士たちを一掃した。シルヴァスの力は圧倒的で、リナは驚嘆の声を上げた。「シルヴァス、すごい! インディゴとシルヴァス、最高のチームだね!」
だが、戦士たちの数は多く、次々と襲いかかってきた。インディゴの戦い方は冷酷で効率的だったが、戦士たちの猛攻に徐々に追い詰められていく。シルヴァスもまた、黒い炎に焼かれ、金属の鱗が焦げる音が響いた。リナは瓦礫の陰に隠れながら、木彫りの人形を握り、祈るように呟いた。「インディゴ…シルヴァス…頑張って…!」
その時、神殿の奥から司祭王ザルゴスが姿を現した。ザルゴスの姿は半分が人間、半分が黒い触手に変形しており、邪神の力が彼の身体を侵食していた。彼の目は狂気に満ち、インディゴを見据えて嘲笑った。
「魔王インディゴ…星の意志の裏切り者よ。よくぞここまで来た。だが、邪神の力の前ではお前も無力だ。」
インディゴは冷たく答えた。「愚かな人間…星の力を汚した罪を償うがいい。」
ザルゴスは邪神の魔術を放ち、黒い触手を召喚した。触手は地面を這い、インディゴを絡め取ろうとした。インディゴは星の光を円形に広げて触手を切り裂いたが、ザルゴスの力は予想以上に強大だった。触手の一つがインディゴの腕を貫き、彼女は初めて膝をついた。リナが叫んだ。「インディゴ! やめて…! インディゴが死んじゃう!」
シルヴァスが咆哮を上げ、インディゴを庇うように触手に立ち向かった。「我が主…を守る…!」 シルヴァスの金属の爪が触手を切り裂き、インディゴに一瞬の隙を作った。だが、シルヴァスもまた触手に絡め取られ、金属の鱗が軋む音が響いた。リナは涙を流しながら叫んだ。「シルヴァス…! インディゴ…! やめて…!」
その瞬間、インディゴの水晶球が輝き、封印された12星座の使徒たちの声が微かに響いた。アクアの声が特に強く聞こえた。「ステラ…君の癒しは、エテルニアを変える…。私を信じて。」 インディゴの心に、天界の水晶宮殿での記憶が蘇った。アクアと手を取り合い、水晶庭園で笑い合う姿。スピカが花を摘み、アリエが槍を手に微笑む光景。インディゴの瞳に一瞬、涙が浮かんだ。「アクア…私は裏切った。だが、君たちの輝きを…。」
インディゴは立ち上がり、癒しの魔術を微かに放った。彼女の傷が癒え、触手を一掃する。シルヴァスもまた、インディゴの魔術に力を得て、触手を振り払った。ザルゴスは驚愕し、「なぜだ…! お前の力は星の意志と共に弱まったはずなのに…!」と叫んだ。インディゴは冷たく答えた。「私の同胞の輝きは、愚かなお前ごときには理解できまい。」 彼女はザルゴスに一撃を加え、彼を後退させた。
しかし、ザルゴスは不敵に笑い、神殿の奥へ消えた。「これは始まりに過ぎん。邪神の復活を、お前は止められぬ!」 インディゴはリナとシルヴァスを連れて神殿の外へ出た。リナはインディゴの手を握り、涙を流しながら言った。「インディゴ…シルヴァス…ありがとう。あなたたちがいなかったら、私…。」 インディゴは無表情のまま呟いた。「愚かな人間…感情は無意味だ。だが…お前は、私の同胞を思い出させる。」
シルヴァスが低く唸りながら二人に近づいた。「我が主…リナ…。我、任務を果たした…。次なる戦い…備える…。」 リナはシルヴァスの鱗に頬を寄せ、「シルヴァス、ありがとう…。あなたがいてくれてよかった」と呟いた。インディゴはそれを見て、微かに目を細めたが、何も言わなかった。
夜空を見上げると、エテルニアの空は暗く、星の輝きはほとんど見えなかった。インディゴは水晶球を手に握り、呟いた。「アクア…アリエ…スピカ…君たちの輝きを取り戻す。私の全てをかけて。」 リナはインディゴの横で木彫りの人形を抱きしめ、静かに頷いた。シルヴァスが低く唸りながら二人を守るように佇んだ。
戦いはまだ始まったばかりだった。インディゴの冷酷な旅路は、邪神教との最終決戦へと続く。彼女の心には、同胞たちとの約束と、リナやシルヴァスとの新たな絆が微かに芽生えていた。
魔王インディゴは、漆黒のマントを纏い、冷酷な支配者としてエテルニアを統べていた。彼女の青白い瞳は氷のように冷たく、星屑のような黒髪が風に揺れていた。かつてはへびつかい座の使徒ステラとして、12星座の同胞たちと共に天界で星の意志に仕えていた彼女だったが、今は孤独な魔王として、混沌を抑えるために手段を選ばない存在となっていた。
彼女の心には、同胞たちとの別れが刻んだ深い傷が残り、癒しの心は冷酷さで覆い隠されていた。
インディゴは居城の最上階にある星見の塔に立ち、水晶球を手にエテルニアを見下ろしていた。球には、封印された12星座の使徒たちの結晶が映し出されていた。牡羊座のアリエ、水瓶座のアクア、乙女座のスピカ…彼女たちの魂は微かに脈動していたが、完全な覚醒にはまだ程遠かった。
インディゴは低く呟いた。「私の同胞よ…君たちの輝きを未来に取り戻す。そのためなら、私は全てを捧げる。」
その時、水晶球に邪神教の拠点「影の神殿」の様子が映し出された。黒い霧に覆われた神殿では、邪神教の司祭たちが不気味な儀式を行っていた。中央には巨大な祭壇があり、黒い水晶が不気味に脈動している。司祭たちの声が響き、邪神の復活を祈る呪文が神殿全体にこだました。インディゴの瞳が鋭く光った。「邪神教…星の力を汚す愚か者たち。私の秩序に逆らうなら、滅ぼすのみだ。」
彼女は居城を出て、影の神殿へと向かった。道中、エテルニア南部の荒れ果てた村に立ち寄った。村は邪神教の襲撃を受け、瓦礫と灰に埋もれていた。焼け焦げた家屋の間を歩くインディゴの耳に、微かな泣き声が聞こえてきた。声のする方向へ進むと、瓦礫の陰で一人の少女が蹲っていた。少女はボロボロの服を纏い、顔は煤で汚れ、涙が頬を伝っていた。彼女の手には、小さな木彫りの人形が握られていた。
少女はインディゴを見上げ、震える声で呟いた。「お母さん…お父さん…みんな…死んじゃった…。邪神教が…村を…。」 インディゴは少女を冷たく見つめた。「愚かな人間…生き残ったところで、この世界に希望はない。」 彼女の声には感情がなく、氷のような冷たさだけが響いた。少女は首を振って叫んだ。「希望なんて…もうないよ! でも…私は…私はあいつらを許せない! 邪神教を…!」 少女の瞳には、絶望の中に微かな怒りが宿っていた。
インディゴは一瞬、少女の瞳に同胞たちの姿を重ねた。アリエの勇気、アクアの革新…。彼女の心に、天界での記憶が蘇った。水晶宮殿の庭園で、アリエが槍を手に訓練する姿、アクアが新しい魔術を試して笑う姿が鮮明に浮かんだ。インディゴは目を閉じ、その記憶を振り払うように呟いた。「感情は無意味だ。だが…君の怒りは、私の目的に使えるかもしれない。」
インディゴは少女に手を差し伸べ、冷たく言った。「私の名はインディゴ。魔王だ。邪神教を滅ぼすために旅をしている。ついてくるなら、生き延びる術を教えてやろう。」 少女はインディゴの手を見つめ、震える手で握った。「私はリナ…。よろしくね、インディゴ。」 リナの声には微かな希望が宿っていたが、インディゴは無表情のまま歩き始めた。リナは木彫りの人形を胸に抱き、インディゴの後を追いかけた。
二人は影の神殿へ向かう道を進んだ。途中、ミスリル鉱山の廃墟に立ち寄った。そこには、古代の技術で作られた機械の身体が眠る工房があった。工房の中心には、巨大な機械のドラゴン・シルヴァスが佇んでいた。シルヴァスの目は赤く輝き、金属の鱗がカチカチと音を立てて動いた。リナは恐れてインディゴの後ろに隠れたが、インディゴは動じなかった。
「古代の守護者か…私の力に従え。」 インディゴはへびつかい座の魔術を放ち、青白い光がシルヴァスを包み込んだ。シルヴァスは一瞬抵抗したが、インディゴの圧倒的な魔力に屈し、忠誠を誓った。シルヴァスは低く唸りながら頭を下げ、金属的な声で響いた。「我が主…インディゴ…。我、シルヴァス、貴殿に仕える…。」 その声は深く、重厚で、まるで古代の機械が命を得たかのようだった。
リナは目を丸くして呟いた。「機械がしゃべるのか…! すごい…! シルヴァスって名前、かっこいいね!」 彼女は恐る恐るシルヴァスに近づき、金属の鱗にそっと手を触れた。シルヴァスの赤い目が一瞬柔らかく光り、リナに応えるように低く唸った。「人間の娘…リナ…。我は守護者…。貴殿を守る…。」 リナは驚きながらも笑顔を見せた。「ありがとう、シルヴァス! よろしくね!」
インディゴは二人のやり取りを冷たく見つめ、呟いた。「愚かな人間…機械に感情を求めるなど、無意味だ。」 だが、シルヴァスがリナに反応した瞬間、インディゴの心に微かなざわめきが生じた。彼女はシルヴァスに命じた。「シルヴァス、我々の旅に同行せよ。影の神殿で邪神教を滅ぼす。」 シルヴァスは再び低く唸り、「承知…我が主…。我が力、貴殿のために…。」と答えた。
一行はミスリル鉱山を後にし、影の神殿へと向かった。道中、リナはシルヴァスの背に乗り、楽しそうに話しかけた。「シルヴァスって、昔は誰かを守ってたの? こんなすごい機械、見たことないよ!」 シルヴァスは金属的な声で答えた。「我は…古代の技術者…により作られた…。ミスリルの守護者…。長い眠り…我を目覚めさせたのは…インディゴ…。」 リナは目を輝かせ、「インディゴって本当にすごいんだね! シルヴァス、インディゴのこと、どう思う?」と尋ねた。
シルヴァスは一瞬沈黙し、ゆっくりと答えた。「我が主…インディゴ…。冷たく…強い…。だが…心の奥に…光を…感じる…。」 リナは頷き、「うん、私もそう思う! インディゴ、怖いけど…優しい気がするんだ。」 インディゴは二人の会話を聞きながら、冷たく言った。「無駄な会話はやめなさい。機械に心などない。シルヴァスも、私の命令に従う道具に過ぎない。」 シルヴァスは静かに唸り、「承知…我が主…。」と応じたが、リナは小さく首を振って呟いた。「インディゴ…本当は優しいよね…。」
影の神殿に到着した。神殿は黒い霧に覆われ、不気味な気配が漂っていた。門前には邪神教の戦士たちが待ち構えていた。彼らは邪神の魔術で強化され、黒い炎を纏った武器を手にしていた。インディゴはリナを背後に庇い、冷たく言った。「ここから先は戦場だ。死にたくなければ、離れていなさい。」 リナは首を振って答えた。「私は戦うよ! インディゴと一緒に! 村のみんなの仇を…私が討つんだ!」
インディゴはリナの決意を無視し、戦士たちに向かって魔術を放った。青白い光が戦士たちを瞬時に包み込み、彼らの邪神の力を吸い取って灰に変えた。シルヴァスもまた、インディゴの命令に従い、戦士たちに襲いかかった。金属の鱗が光り、巨大な爪が戦士たちを一掃した。シルヴァスの力は圧倒的で、リナは驚嘆の声を上げた。「シルヴァス、すごい! インディゴとシルヴァス、最高のチームだね!」
だが、戦士たちの数は多く、次々と襲いかかってきた。インディゴの戦い方は冷酷で効率的だったが、戦士たちの猛攻に徐々に追い詰められていく。シルヴァスもまた、黒い炎に焼かれ、金属の鱗が焦げる音が響いた。リナは瓦礫の陰に隠れながら、木彫りの人形を握り、祈るように呟いた。「インディゴ…シルヴァス…頑張って…!」
その時、神殿の奥から司祭王ザルゴスが姿を現した。ザルゴスの姿は半分が人間、半分が黒い触手に変形しており、邪神の力が彼の身体を侵食していた。彼の目は狂気に満ち、インディゴを見据えて嘲笑った。
「魔王インディゴ…星の意志の裏切り者よ。よくぞここまで来た。だが、邪神の力の前ではお前も無力だ。」
インディゴは冷たく答えた。「愚かな人間…星の力を汚した罪を償うがいい。」
ザルゴスは邪神の魔術を放ち、黒い触手を召喚した。触手は地面を這い、インディゴを絡め取ろうとした。インディゴは星の光を円形に広げて触手を切り裂いたが、ザルゴスの力は予想以上に強大だった。触手の一つがインディゴの腕を貫き、彼女は初めて膝をついた。リナが叫んだ。「インディゴ! やめて…! インディゴが死んじゃう!」
シルヴァスが咆哮を上げ、インディゴを庇うように触手に立ち向かった。「我が主…を守る…!」 シルヴァスの金属の爪が触手を切り裂き、インディゴに一瞬の隙を作った。だが、シルヴァスもまた触手に絡め取られ、金属の鱗が軋む音が響いた。リナは涙を流しながら叫んだ。「シルヴァス…! インディゴ…! やめて…!」
その瞬間、インディゴの水晶球が輝き、封印された12星座の使徒たちの声が微かに響いた。アクアの声が特に強く聞こえた。「ステラ…君の癒しは、エテルニアを変える…。私を信じて。」 インディゴの心に、天界の水晶宮殿での記憶が蘇った。アクアと手を取り合い、水晶庭園で笑い合う姿。スピカが花を摘み、アリエが槍を手に微笑む光景。インディゴの瞳に一瞬、涙が浮かんだ。「アクア…私は裏切った。だが、君たちの輝きを…。」
インディゴは立ち上がり、癒しの魔術を微かに放った。彼女の傷が癒え、触手を一掃する。シルヴァスもまた、インディゴの魔術に力を得て、触手を振り払った。ザルゴスは驚愕し、「なぜだ…! お前の力は星の意志と共に弱まったはずなのに…!」と叫んだ。インディゴは冷たく答えた。「私の同胞の輝きは、愚かなお前ごときには理解できまい。」 彼女はザルゴスに一撃を加え、彼を後退させた。
しかし、ザルゴスは不敵に笑い、神殿の奥へ消えた。「これは始まりに過ぎん。邪神の復活を、お前は止められぬ!」 インディゴはリナとシルヴァスを連れて神殿の外へ出た。リナはインディゴの手を握り、涙を流しながら言った。「インディゴ…シルヴァス…ありがとう。あなたたちがいなかったら、私…。」 インディゴは無表情のまま呟いた。「愚かな人間…感情は無意味だ。だが…お前は、私の同胞を思い出させる。」
シルヴァスが低く唸りながら二人に近づいた。「我が主…リナ…。我、任務を果たした…。次なる戦い…備える…。」 リナはシルヴァスの鱗に頬を寄せ、「シルヴァス、ありがとう…。あなたがいてくれてよかった」と呟いた。インディゴはそれを見て、微かに目を細めたが、何も言わなかった。
夜空を見上げると、エテルニアの空は暗く、星の輝きはほとんど見えなかった。インディゴは水晶球を手に握り、呟いた。「アクア…アリエ…スピカ…君たちの輝きを取り戻す。私の全てをかけて。」 リナはインディゴの横で木彫りの人形を抱きしめ、静かに頷いた。シルヴァスが低く唸りながら二人を守るように佇んだ。
戦いはまだ始まったばかりだった。インディゴの冷酷な旅路は、邪神教との最終決戦へと続く。彼女の心には、同胞たちとの約束と、リナやシルヴァスとの新たな絆が微かに芽生えていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる