ダンゴムシになったら

第三話：ユズキの日常と冒険

一週間が過ぎ、ナオトは再び森の同じ場所にやってきて、虹色に光る魔法のキノコを食べた。「これで二週目…」と心の中で呟きながら、人間への回帰の試練を続けることを再確認した。

この間、ナオトはユズキと共に毎日を過ごしていた。ユズキの日常は、虫への愛情と探求心に満ちていた。彼女は、朝早く起きるとすぐに森へ向かい、虫たちの活動を観察し始める。ユズキの部屋には、虫の標本や図鑑が所狭しと並んでおり、彼女の知識と情熱がそこにある。

「ダンゴムシ王、一緒に今日も冒険に出よう！」ユズキは、元気よくナオトを誘う。彼女の提案はいつも、未知の虫や植物を見つけること、または新たな場所を探検することだった。ユズキの夢は、この世界の秘密を全て解き明かすことであり、そのためにナオトは彼女の右腕となることを決意していた。

ユズキは、森の木々を登り、隠された虫の巣を見つけ出す。彼女は、ナオトにその生態を教え、「この世界にはまだ知られていない生物がたくさんいるんだ」と興奮気味に話す。ユズキの探検は、単なる遊びではなく、学問的な探求でもあった。

二人は、洞窟や湖を探検し、自然の美しさと驚異を学んだ。ユズキはナオトと共に、隠れている虫を探し出し、その生態を詳細に記録する。彼女の知識は、ナオトがダンゴムシとしても役立つ存在であることを証明していた。

しかし、冒険の終わりが近づく頃、ナオトはユズキの表情に変化を感じ取った。彼女は、時折苦しそうな顔をし、胸を押さえることがあった。それを見て、ナオトは心配そうに彼女に近寄った。

「ダンゴムシ王、気づいてくれたんだね…」ユズキは、ナオトの心配に答えるように静かに言った。「実はね、私、体があまり強くないの。病気を持っていて、時々痛むの。でも、君と一緒なら、どんな困難も乗り越えられるって思ってるよ」と、ユズキは笑顔を作ったが、その笑顔には少しだけ影が差していた。

この告白は、ナオトに新たな決意を与えた。彼は、ユズキを助ける方法を探し、彼女の病を治すための試練に挑むことを決心した。