ダンゴムシになったら

第十一話：守護の誓い

生命の樹の葉を手に入れたナオトは、その葉をユズキに飲ませ、彼女の病を治すために急いだ。葉の効果は確実で、ユズキは深い眠りに落ち、病が癒える過程に入った。しかし、その静けさは長くは続かなかった。

ユズキの村では、彼女の病を「悪魔の仕業」と見なす一団の呪術師たちが現れていた。彼らは、長年この村で恐れられ、敬うやまわれる存在だった。その中でも特に、リーダーである老呪術師ガラトンは、ユズキの病が村に災いをもたらす兆きざしだと信じていた。ガラトンは、ユズキの治療を「悪魔の力を封じるための儀式」と称し、村人たちを引き連れて彼女の家にやってきた。

「この病は悪魔の仕業だ。村を守るためにも、彼女の体から悪魔を追い出さなければならない」と、ガラトンは村人たちに宣言した。その言葉に、村人たちも動揺し、ユズキの家を取り囲んだ。ガラトンは、「我々の力で、この世界から邪悪を浄化しよう」と言い、儀式を始めた。

儀式は、強力な魔力を伴い、ガラトンが導く呪文と共に、村の奥深くから引き出された古の力が解放された。しかし、その魔力は制御を超え、暴走を始めた。空からエネルギーの矢が降り注ぎ、ユズキの家を狙った。

ナオトは、ユズキを守るため、ダンゴムシとしての体を最大限に活用した。彼は、ユズキの前に立ちはだかり、丸まって防御し、降り注ぐエネルギーの矢を自分の体で防いだ。甲羅は火花を散らし、衝撃で地震のように揺れた。

「ユズキ、俺が守る」とナオトは心の中で誓い、ユズキの眠る部屋へと進んだ。魔力の矢は、ナオトの甲羅に当たり、彼の体を傷つけながらも、彼の決意を揺るがすことはできなかった。ユズキの回復が最優先だった。

しかし、矢の数と力は増す一方で、ナオトは次第に瀕死の状態に追い込まれた。体は傷つき、甲羅に亀裂が入り、動くことも困難になった。ガラトンは、儀式が暴走していることに気づき、「これは我々の力が悪魔に反逆された結果だ！止めなければ村全体が危険に晒される」と叫んだが、魔力は既に制御不能になっていた。

村人たちはパニックに陥り、「ユズキを守れ！」「悪魔を追い出せ！」と混乱の中で叫び続けた。ナオトは、ユズキの命を守るために自身の命を賭しても戦う覚悟を決め、限界まで彼女を守り続けた。彼の体は、矢を受け続ける中で、ついに限界に達し、意識が朦朧もうろうとしてきた。

この時、ガラトンは、「我々の過ちだ…」と悔やみながら、儀式を中止しようとしたが、その力はナオトの体を限界まで追い詰めていた。ナオトは、ユズキを守るためなら、どんな犠牲も厭いとわないと決意し、瀕死の状態で彼女の眠りを見守り続けた。