悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

文字の大きさ
10 / 314
第一章 悪役令嬢は動き出す

10.悪役令嬢は術式分解を解説する

しおりを挟む
「エステリア。術式の分解について説明して」

 お母様は何かを考えるようにそう言った。これは侍女長に聞いた話だけど、お母様は魔法のエキスパートで魔術に関しても相当な知識を持っているらしい。

「はい。魔法を使う場合。どういった魔法でそれを発動する為には何が必要か? と、いえばイメージと魔力です。それを術式に置き換えた場合、魔法陣を使用しますよね?」
「ええ、氷を生み出す場合はこういう術式になります」

 と、お母様は素早く魔法を発動させ30センチくらいの魔法陣を手のひらに浮かび上がらせる。魔術のよいところは術式構築をしても、効果発動をせずに一定の間維持出来ることだ。魔法陣の解析をする時にも実際に稼働させないと判断つかない場合があるし。

「はい、メジャーな術式ですが、お母様の場合は高速詠唱術式がベースになっていらっしゃますので、こちらを見ていただけますか」

 そう言って私も同じ効果の魔法陣を浮かび上がらせる。

「あら? 随分と違うわね。美しさでは私の魔法陣の方が上ですね……」
「はい、残念ながら美しさでは負けますが精密さではこちらの方が精密といえます。また、お母様の魔法陣でも魔法に比べて魔力使用量が掛からないですが、こちらの精密な魔法陣では魔力使用量はさらに少なくてすみます」
「確かにそうね……と、いうことは魔法陣の精密さと分解に関係があるのね」
「はい、お母様。魔法陣に記載されている術式というのは、様々な効果ある式を重ねることで魔法を再現しているのです。なので、詳細に記載されている術式を分解して、その術式だけ動かすことで、その術式の効果を確かめる事が出来ます」

 結構面倒な作業だけど、最も基本となる術式が複雑な理由がここにあって、高速詠唱術式はそれを簡略化する分、魔力量が必要となる。故に精密な術式をさらに分解して動かすことで必要となる魔力量を減らすことも出来る。

「ということは基礎魔法陣や発展魔法陣の共通項目は術式内で動かせない部分ということね……一般術式理論の証明にも利用出来そうね」

 この世界の魔術理論には一般式理論と変則式理論があって、一般式理論は基礎魔法陣、発展魔法陣に分けられている。基礎魔法陣はまさに私が一番初めに分解出来そうだと思った、細かい組み上げが必要になるけれど、一番初めに習う魔法陣だ。発展魔法陣は基礎魔法陣の術式を組み替えたモノで魔力量と制御技術が必要になるけれど、詠唱を飛ばしたり、威力を上げたりと様々存在する。

「今では術式理論というのはこういうモノだ……みたいなところがありますが、元々は魔法を理解する為に術式を編み出して幾つもの術式を組み合わせる事で魔法を再現する技術だと思ったのです」
「……なるほど。確かに今の魔術理論というのは漠然とした理論で魔法陣の組み合わせや発展みたいな研究はあれども、魔法陣を分解して魔法陣そのものを読み解き……と、いうことは逆もしかりなのね」

 お母様は答えに辿りついたみたい。昔の賢人はこの技を生み出すことで世界を変えて来たのだと私は思う。

「エステリア、ステファニー。どういうことだ?」

 お父様は興味津々の瞳を私とお母様に向ける。当然、他の面々も似たような表情をしている。

「エステリアが言ったことが正しいとするならば、私達は今ある魔術を向上させる以外に誰も思いつかなかったような魔術……魔法を超える術式を生み出せるかもしれません」
「新たな術式を作り出す? それは今までもやってきたことでは?」
「遥か昔、賢人サルバトーレによって魔法を魔術という形で再現し、後世に多くの魔法陣を残しましたが、今の魔術師達は完成された魔法陣と魔法陣を組み合わせる事は出来ても、その魔法陣の働きに必要な術式に関しては少しも分かっていなかった……と、いうことです。強い炎は生み出せても、強い炎を操作する……みたいなことは魔法には出来ても魔術には出来ない。でも、炎を操作するという術式が分かれば、それも可能となる。炎という部分が水に変わったとしても、理解出来ていれば、術式の組み換えだけでそれを行えるということになります」
「術式の作りが分かれば、新たな術式を生み出すことも出来る……と?」
「その通りよ、旦那様」

 と、お母様は楽しそうに微笑んだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】長男は悪役で次男はヒーローで、私はへっぽこ姫だけど死亡フラグは折って頑張ります!

くま
ファンタジー
2022年4月書籍化いたしました! イラストレータはれんたさん。とても可愛いらしく仕上げて貰えて感謝感激です(*≧∀≦*) ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 池に溺れてしまったこの国のお姫様、エメラルド。 あれ?ここって前世で読んだ小説の世界!? 長男の王子は悪役!?次男の王子はヒーロー!? 二人共あの小説のキャラクターじゃん! そして私は……誰だ!!?え?すぐ死ぬキャラ!?何それ!兄様達はチート過ぎるくらい魔力が強いのに、私はなんてこった!! へっぽこじゃん!?! しかも家族仲、兄弟仲が……悪いよ!? 悪役だろうが、ヒーローだろうがみんな仲良くが一番!そして私はへっぽこでも生き抜いてみせる!! とあるへっぽこ姫が家族と仲良くなる作戦を頑張りつつ、みんなに溺愛されまくるお話です。 ※基本家族愛中心です。主人公も幼い年齢からスタートなので、恋愛編はまだ先かなと。 それでもよろしければエメラルド達の成長を温かく見守ってください! ※途中なんか残酷シーンあるあるかもなので、、、苦手でしたらごめんなさい ※不定期更新なります! 現在キャラクター達のイメージ図を描いてます。随時更新するようにします。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

処理中です...