悪役令嬢同盟 ―転生したら悪役令嬢だった少女達の姦しい日々―

もいもいさん

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第一章 悪役令嬢は動き出す

11.悪役令嬢の両親は愛娘の力を思う

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 私達は娘であるエステリアの道楽に付き合っているなかで、多々驚かされている。

 出資金の元は元王族であった私個人の財を元にエステリアが自由に使えるように手配したモノだ。旦那様のお金を使うということは公爵家のお金を使う事と同義であった為、事業が失敗しても公爵家に傷が付かないように配慮した結果なのだけど。

 あの子は私達とは常識や考え方が随分と違う、突飛という言葉がピッタリなほどの発想力があり、また、5歳の頃から他とは群を抜いて理解力、記憶力、言語能力が高かった。

 周辺国の言葉は方言に近いので、それほど難しくはないけれど、海を渡った交易国に関しては言葉も使い方も違うので覚えるには随分と時間が必要だけど、あの子は半年程度である程度理解するようになっていた。

 我が領にある古い文献なども読み漁る事が出来るほど、古語に関してもグングンと知識を吸収していく姿を見ると、自身の腹を痛めて生んだ娘だというのに恐怖を感じることもあった。

 でも、それ以上にエステリアという存在が可愛くて仕方ない。旦那様も同様に彼女を如何にして守るか……が、この2年の二人の共通会話だ。

 旦那様に似た暗い銀色の髪に私によく似た紅い瞳。キメの細かい白い肌、将来は確実に周囲から視線を集めることになるでしょう。妹によく似た少しキツメの雰囲気は人を選ぶかもしれないけど。

 彼女のおかげで、食生活が随分と変わった。彼女の商会は食品を主に扱っているが、自領内の鶏、ボアホーンなど酪農農家の育成と商品の取引、精肉加工業や乳、チーズ、バター、他動物油、植物油など、生産に関わる部分でもかなり手広くなっている。

 最近では屋敷の敷地内に巨大な温室を幾つも作り、南方の遠い国からくる胡椒などの栽培などの研究もしている。

「7歳と言って、誰が信じるだろうね」

 旦那様はお道化た風に言った。氷の貴公子と昔は呼ばれていた旦那様が優しく微笑むのは私と子供たちの前だけですが、お道化たお顔をするのはもっぱらエステリアの話をしている時だけだ。

「見た目は7歳くらいに見えますよ。見た目だけは」
「実際、7歳なのだから。しかし、心配だな……」
「そうですね。10歳には学園に行かねばいけなくなりますから」

 貴族の令嬢令息は王都からほど近い学園都市であるキラルート・キラフィス王立魔法学園に15歳まで通うことになる。特に高位貴族は必ず小学から入ることが義務付けられている。

 全寮制で王都の邸宅や領地に戻れるのは休みの日だけで、基本的には学園都市の外には出る事が出来ない。これは国が有力な貴族や商家の子弟を人質にする意味も含んでいる。

「そろそろ他家との関わりも持たせなければいけないな」
「そうですね。領地の事はアイザックに任せる部分も多くなっていると見受けられますので……」
「ああ、そろそろ王都の屋敷に居を移動せねばならんな」

 近年は旦那様以外はほぼ領内の屋敷で過ごしていましたが、王都の屋敷に行かねばなりません。本来は喜ばしいところではあるのですが、不安ばかりが募ります。

 エステリアが自重してくれればよいのですが……たぶん、無理でしょうねぇ。先日の魔術回路に関しても衝撃すぎて、マヨネーズの味がどこかに飛んで行ってしまったくらいです。

 王都では慎重に事を運ばねば、色々と面倒ですからね。特に商会の件についても注意しておかないといけませんね。

「ステファニー。エステリアは自重してくれると思うか?」
「旦那様、無理なことを言ってはいけませんよ。出来るわけありません……ある程度は言い聞かせれると思いますが、あの子を護るには自重させるより、先読みして私達が盾となり守るしかありません。特に学園に入ってからはそれさえも難しいでしょう。なので、残りの時間で私達が体制作りをするしかありませんわ」
「そうだな……」

 旦那様は優しい瞳をこちらに向け、苦笑します。少しだけ、昔を思い出して私は微笑みました。エステリアは私達の娘だと実感します……本当に。
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