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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
171.悪役令嬢は王宮での緊急会議に呼ばれる
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アンダンテール大洞窟の一件のせいで予定より一週間以上掛かってしまい、問題も山積状態で王都の屋敷まで戻っては来たものの、両親には色々説教された後にお茶をしていたら、学園都市から戻って来ていた兄にまでお小言を貰った。
まぁ、それは家族に心配されるのは仕方ないとしても、その後に城からの呼び出しがあって両親と共に向かう事になり、現在王宮の一室にある円卓を囲んでいる――のだが、何故子供は私だけなの?
アリエルも呼ばれているものと思っていたのに。
「どうしたエステリアよ。不服そうな表情だな」
と、女王モードのキャロライン陛下は少し意地悪そうな表情でそう言った。まったく、分かってて言っているところがイヤらしいわね。考えるとそういうところもアリエルはよく似ている気がしなく無い。
「いいえ、このような場に私は少し場違いなのでは……と、思っていただけです」
私がそう言うと、女王キャロラインの王配であり、クーベルト閣下の兄のランパート公が楽し気な雰囲気で笑う。
「エステリア嬢。もう少し気を楽にして貰っても構わないよ。これはちょっとした家族会議のようなものだと思って貰えればよい」
「はぁ……」
そう言われても、家族会議というレベルの話をする感じでは無いのはあきらかで、今回のアンダンテール大洞窟での一件の話なのは間違い無いし、そもそも陛下からの手紙にも訊きたい事があると書かれていたのよ。
「では、そろそろ始めようか」
そう女王キャロラインが言うと、母が最新の防音――もとい結界の魔道具を起動させる。範囲は今回使用している部屋より少し広いくらいの限定範囲になっているようだ。この魔道具は最新版ではあるけれど、扱い的には魔法と魔術の複合版で使用には結構な魔力を必要とするので、そもそも扱える人が随分と限られるのだが、非常に強力な効果が込められている。
「まずは報告だが、件の件についてだ。王家の目となり耳となるハズの影だが、随分と広範囲に渡って浸食されていたようであまりに面倒そうだったので全員解雇した。これによって今後は王家の影を名乗り出る者は全て裏切者として処刑する旨を通達した」
「まさか、そこまですることになるとは思わなかったわ」
と、お母様も小さく溜息を吐く。女王キャロラインも幾度も首を縦にしてお母様に同意を示していた。しかし、これは王家の諜報力が大きく削がれた状態になるのではないだろうか。
「おかげで私の方はこれからを考えると大きな溜息を吐きたい気分だよ」
「それは私だってそうだ。特に騎士団にもアレらの息が掛かった者達が多くいるのだ。それにメイドや執事達も同様だ。様々な派閥から人が送られてきているのだから――」
お父様とランパート公がそう言った。確かに王宮やミストリア直属の騎士団なんかは国中の貴族から集まってきているわけだし、当然、派閥も色々なわけで今回の謀に関わっていた者と近しい家の者もいたはずよね。
「あと、アリエルはしばらく謹慎とした。これに関してはアリエル付のメイド、ナスターシアへの罰になる」
「ナスターシアへの罰になるのですか?」
私がそう言うと彼女は苦笑する。
「今回、ミスを犯したナスターシアに対する罪をアリエルがしばらくの謹慎という形で被ったというわけだ。まぁ、今後このような事態を引き起こすようなミスをした場合は――」
女王キャロラインはそう言うが、魔導洞窟へ行く以外で言えば離宮から出る事なんてほとんどない引き籠りに慣れているアリエルからすれば、それは罰になるのかと私は思うのだが、そこらで許しているあたりを考えると陛下も随分とお優しい。まぁ、特に大きな罰が無くて私も安心したのだけど、あの子、流石に勝手に抜け出したりしないことを祈るわ。
「なんとも、お優しいのですね」
「まぁね。王族としては失格と言われかねないけど、自身の娘が可愛くないわけが無い――と、いうのは当たり前でしょ? それに、冷徹になるべきところと、そうでないところをしっかりと見極めることで、あの子達の成長にもなるでしょうから」
と、女王キャロラインは女王モードでは無い、素の言葉でそう言った後に気が付いたようで小さく咳払いをして誤魔化した。お母様が可愛く微笑んでいるところを見ると、なんとも仲良し姉妹だと思ってしまう。そして、私がアリエルに対してもそんな感じなんだろうと気付かされてしまう。まぁ、可愛い妹みたいな存在だからなぁ。間違ってない。
まぁ、それは家族に心配されるのは仕方ないとしても、その後に城からの呼び出しがあって両親と共に向かう事になり、現在王宮の一室にある円卓を囲んでいる――のだが、何故子供は私だけなの?
アリエルも呼ばれているものと思っていたのに。
「どうしたエステリアよ。不服そうな表情だな」
と、女王モードのキャロライン陛下は少し意地悪そうな表情でそう言った。まったく、分かってて言っているところがイヤらしいわね。考えるとそういうところもアリエルはよく似ている気がしなく無い。
「いいえ、このような場に私は少し場違いなのでは……と、思っていただけです」
私がそう言うと、女王キャロラインの王配であり、クーベルト閣下の兄のランパート公が楽し気な雰囲気で笑う。
「エステリア嬢。もう少し気を楽にして貰っても構わないよ。これはちょっとした家族会議のようなものだと思って貰えればよい」
「はぁ……」
そう言われても、家族会議というレベルの話をする感じでは無いのはあきらかで、今回のアンダンテール大洞窟での一件の話なのは間違い無いし、そもそも陛下からの手紙にも訊きたい事があると書かれていたのよ。
「では、そろそろ始めようか」
そう女王キャロラインが言うと、母が最新の防音――もとい結界の魔道具を起動させる。範囲は今回使用している部屋より少し広いくらいの限定範囲になっているようだ。この魔道具は最新版ではあるけれど、扱い的には魔法と魔術の複合版で使用には結構な魔力を必要とするので、そもそも扱える人が随分と限られるのだが、非常に強力な効果が込められている。
「まずは報告だが、件の件についてだ。王家の目となり耳となるハズの影だが、随分と広範囲に渡って浸食されていたようであまりに面倒そうだったので全員解雇した。これによって今後は王家の影を名乗り出る者は全て裏切者として処刑する旨を通達した」
「まさか、そこまですることになるとは思わなかったわ」
と、お母様も小さく溜息を吐く。女王キャロラインも幾度も首を縦にしてお母様に同意を示していた。しかし、これは王家の諜報力が大きく削がれた状態になるのではないだろうか。
「おかげで私の方はこれからを考えると大きな溜息を吐きたい気分だよ」
「それは私だってそうだ。特に騎士団にもアレらの息が掛かった者達が多くいるのだ。それにメイドや執事達も同様だ。様々な派閥から人が送られてきているのだから――」
お父様とランパート公がそう言った。確かに王宮やミストリア直属の騎士団なんかは国中の貴族から集まってきているわけだし、当然、派閥も色々なわけで今回の謀に関わっていた者と近しい家の者もいたはずよね。
「あと、アリエルはしばらく謹慎とした。これに関してはアリエル付のメイド、ナスターシアへの罰になる」
「ナスターシアへの罰になるのですか?」
私がそう言うと彼女は苦笑する。
「今回、ミスを犯したナスターシアに対する罪をアリエルがしばらくの謹慎という形で被ったというわけだ。まぁ、今後このような事態を引き起こすようなミスをした場合は――」
女王キャロラインはそう言うが、魔導洞窟へ行く以外で言えば離宮から出る事なんてほとんどない引き籠りに慣れているアリエルからすれば、それは罰になるのかと私は思うのだが、そこらで許しているあたりを考えると陛下も随分とお優しい。まぁ、特に大きな罰が無くて私も安心したのだけど、あの子、流石に勝手に抜け出したりしないことを祈るわ。
「なんとも、お優しいのですね」
「まぁね。王族としては失格と言われかねないけど、自身の娘が可愛くないわけが無い――と、いうのは当たり前でしょ? それに、冷徹になるべきところと、そうでないところをしっかりと見極めることで、あの子達の成長にもなるでしょうから」
と、女王キャロラインは女王モードでは無い、素の言葉でそう言った後に気が付いたようで小さく咳払いをして誤魔化した。お母様が可愛く微笑んでいるところを見ると、なんとも仲良し姉妹だと思ってしまう。そして、私がアリエルに対してもそんな感じなんだろうと気付かされてしまう。まぁ、可愛い妹みたいな存在だからなぁ。間違ってない。
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