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第四章 悪役令嬢は王女と共に戦場を駆ける
286.悪役令嬢はゆったり動き出す
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そんなこんなでアンサルド砦の改築作業なども行いながら、私達は一週間以上アンサルド砦でのんびり過ごすこととなったわけだけど、アリエルが「そろそろ動き出さねばな」と、偉ぶって呟いた――と、いうか今回の作戦に協力している我が家の影からの報告があったからなのだけど。
大量の捕虜を解放した時に影の者達も混ざっており、各地で上手い具合に噂を流してくれた成果も含め、報告があったのだ。
「王家の影も動かせれば良かったのだが、まぁ、前回の件もあって、未だに私に関わる案件で動かせる面子が揃っていないからなぁ」
と、感慨深くアリエルは言う。まぁ、それは致し方ないところよね。優秀さの話で言えば、当然エリート集団である王家の影は優秀ではある。けれども、国内貴族の影で最も優秀なのは我が家なのは声を大に言いたい――ところだけど、言わないわよ。面倒だし、思っていても言わなくていいことだからね。
「それにしても、パーレンダムは大混乱のようだな」
「3万の軍勢が全滅、アンサルド砦も半壊で生存者は極わずか、その状況を作ったミストリアの軍が攻めて来る。と、いうだけでそれは混乱するでしょうね」
リンリィは小さく息を吐いてそう言った。まぁ、逃がした多くの捕虜は出来るだけ遠くに逃げるでしょう。敢えて混乱させる為に盛に盛った話をする工作員は当然パーレンダムの街で噂を流しまくってさらに尾鰭はひれが付いて、物凄いことになっていそうね。
「まぁ、特に一般人が混乱して街から逃げ出してくれれば、防衛に出て来るであろう者達も随分と恐怖していることだろうな」
「――まぁ、何よりもここからは時間との闘いかしらね」
「だな、疾きこと風の如くだ。出来るだけ無血開城したいところではあるがな」
と、アリエルは苦笑しつつ、たぶん無理なんだろうな。と、思っているだろう。そういう私も同じ気持ちではある。今回は出来れば街への被害は出したくないのは皆の思うところだろうけど、城塞都市の作りというのはそれが中々に難しいのも事実――と、いうよりも私達の記憶にあるような前世の世界と比べると、街自体の作りが違う。
多くは城塞都市であり、基本的に城を中心として街が形成されている。軍事施設や政を行う場は同じ場所であり、その周囲に街がある。日本の城みたいに城塞が築かれない構造であったとしても、道であったり、軍事面で活用できるような街づくりがなされている為にどうあっても、そこに住む者が被害を受ける可能性というのは非常に高い。
「そもそも、どれだけの兵力が残っているのかしらね」
一応、影達の調べによれば、多くても千いるかどうか――と、いう話だけど、実際のところは向こうに行ってみてからトオミで確認というのは必要でしょうけどね。そもそもクールナー平原にいた兵力が3万だったことを考えれば、城塞都市パーレンダムどころか、その奥のキルリス砦にしてもそれほど多くの軍は存在しないと思うのよね。
「確かにそうですよね。自国を基準として考えても、クールナー平原に動員されていた人数の多さを考えると、スーリアルにはそこまで多くの兵士はいないのではないでしょうか?」
「実際、その辺りはどうなんだろうな。スーリアルって結構な人数の奴隷がいるって話だろう?」
リンリィとアリエルはそう言って何とも言えない表情をする。そうなのよね。クールナー平原に動員されていた兵士の中も奴隷だらけだったという話だし、実際のところ、私達には予想出来ないのよね。でも、アンサルド砦にいた人数は2千程度だったことを考えれば、やっぱりスーリアル国内にこれ以上多くの兵士がいるとは思えない――わけだけど、多くの情報が無いことを考えれば最悪を想定しておかないといけない。
「まぁ、兵力というよりも、こちらの魔法や武器の威力が圧倒しているわけだから、油断せずに進めば問題はなかろう」
と、アリエルは小さく息を吐いてからそう言った。正直、銃器に関してを言えば来ると分かっていれば防御魔法でどうにかなるのだけど、不意打ちを喰らえば下手をすれば即死する可能性もある武器と考えれば、正直なところ油断は出来ないわ。
ま、アリエルもその辺りは分かっていると思うから、私からは何も言う事はないけれどね。
「とりあえず、ゆっくりと行軍して陣地確保だな」
「そうね。全行程で二日ってところかしらね」
「なら、三日だな。本来は時間を掛けている場合では無いのだが、じっくりいこうじゃないか」
アリエルはそう言いながら少しだけ悪戯っぽく微笑んだ。
大量の捕虜を解放した時に影の者達も混ざっており、各地で上手い具合に噂を流してくれた成果も含め、報告があったのだ。
「王家の影も動かせれば良かったのだが、まぁ、前回の件もあって、未だに私に関わる案件で動かせる面子が揃っていないからなぁ」
と、感慨深くアリエルは言う。まぁ、それは致し方ないところよね。優秀さの話で言えば、当然エリート集団である王家の影は優秀ではある。けれども、国内貴族の影で最も優秀なのは我が家なのは声を大に言いたい――ところだけど、言わないわよ。面倒だし、思っていても言わなくていいことだからね。
「それにしても、パーレンダムは大混乱のようだな」
「3万の軍勢が全滅、アンサルド砦も半壊で生存者は極わずか、その状況を作ったミストリアの軍が攻めて来る。と、いうだけでそれは混乱するでしょうね」
リンリィは小さく息を吐いてそう言った。まぁ、逃がした多くの捕虜は出来るだけ遠くに逃げるでしょう。敢えて混乱させる為に盛に盛った話をする工作員は当然パーレンダムの街で噂を流しまくってさらに尾鰭はひれが付いて、物凄いことになっていそうね。
「まぁ、特に一般人が混乱して街から逃げ出してくれれば、防衛に出て来るであろう者達も随分と恐怖していることだろうな」
「――まぁ、何よりもここからは時間との闘いかしらね」
「だな、疾きこと風の如くだ。出来るだけ無血開城したいところではあるがな」
と、アリエルは苦笑しつつ、たぶん無理なんだろうな。と、思っているだろう。そういう私も同じ気持ちではある。今回は出来れば街への被害は出したくないのは皆の思うところだろうけど、城塞都市の作りというのはそれが中々に難しいのも事実――と、いうよりも私達の記憶にあるような前世の世界と比べると、街自体の作りが違う。
多くは城塞都市であり、基本的に城を中心として街が形成されている。軍事施設や政を行う場は同じ場所であり、その周囲に街がある。日本の城みたいに城塞が築かれない構造であったとしても、道であったり、軍事面で活用できるような街づくりがなされている為にどうあっても、そこに住む者が被害を受ける可能性というのは非常に高い。
「そもそも、どれだけの兵力が残っているのかしらね」
一応、影達の調べによれば、多くても千いるかどうか――と、いう話だけど、実際のところは向こうに行ってみてからトオミで確認というのは必要でしょうけどね。そもそもクールナー平原にいた兵力が3万だったことを考えれば、城塞都市パーレンダムどころか、その奥のキルリス砦にしてもそれほど多くの軍は存在しないと思うのよね。
「確かにそうですよね。自国を基準として考えても、クールナー平原に動員されていた人数の多さを考えると、スーリアルにはそこまで多くの兵士はいないのではないでしょうか?」
「実際、その辺りはどうなんだろうな。スーリアルって結構な人数の奴隷がいるって話だろう?」
リンリィとアリエルはそう言って何とも言えない表情をする。そうなのよね。クールナー平原に動員されていた兵士の中も奴隷だらけだったという話だし、実際のところ、私達には予想出来ないのよね。でも、アンサルド砦にいた人数は2千程度だったことを考えれば、やっぱりスーリアル国内にこれ以上多くの兵士がいるとは思えない――わけだけど、多くの情報が無いことを考えれば最悪を想定しておかないといけない。
「まぁ、兵力というよりも、こちらの魔法や武器の威力が圧倒しているわけだから、油断せずに進めば問題はなかろう」
と、アリエルは小さく息を吐いてからそう言った。正直、銃器に関してを言えば来ると分かっていれば防御魔法でどうにかなるのだけど、不意打ちを喰らえば下手をすれば即死する可能性もある武器と考えれば、正直なところ油断は出来ないわ。
ま、アリエルもその辺りは分かっていると思うから、私からは何も言う事はないけれどね。
「とりあえず、ゆっくりと行軍して陣地確保だな」
「そうね。全行程で二日ってところかしらね」
「なら、三日だな。本来は時間を掛けている場合では無いのだが、じっくりいこうじゃないか」
アリエルはそう言いながら少しだけ悪戯っぽく微笑んだ。
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