5 / 7
はい、もしもし?
しおりを挟む
僕は最近、懐かしい喫茶店を見つけた。
名前は平仮名で「めろでぃ」という。
地元の高校に通っていた頃、
仲間たちと入り浸っていた喫茶店に作りがそっくりだった。
特に、階段の横に置かれている古くて黒い電話が懐かしい。
高校の頃はあのタイプの黒電話から、よく電話がかかってきたものだ。
「はい、もしもし?」
「あ、あたし。ねぇ?今なにしてるの?」
「別になにもしてないよ」
「ふーん。じゃあ、あたしもそっち行こうかな」
そんなたわいもない話をあの人としたものだ。
あの黒電話を見ると、
またあの人から電話がかかってくるような気がして、想像を膨らませてしまうのだ。
でも、この「めろでぃ」の黒電話は
一度も鳴ったのを僕は見たことがない。
そりゃあ、そうだ。
あの人がこの喫茶店を知るわけもないし、
かかってくるわけもないのだ。
「チリリリーン」
僕は振り返って黒電話を見る。
マスターが僕に
「お客さんに電話だよ」
「え?」
と僕が驚きながら、黒電話に向かう。
あの人ではないだろうと分かっていても、
少しだけ期待しながら。
「はい、もしもし?」
名前は平仮名で「めろでぃ」という。
地元の高校に通っていた頃、
仲間たちと入り浸っていた喫茶店に作りがそっくりだった。
特に、階段の横に置かれている古くて黒い電話が懐かしい。
高校の頃はあのタイプの黒電話から、よく電話がかかってきたものだ。
「はい、もしもし?」
「あ、あたし。ねぇ?今なにしてるの?」
「別になにもしてないよ」
「ふーん。じゃあ、あたしもそっち行こうかな」
そんなたわいもない話をあの人としたものだ。
あの黒電話を見ると、
またあの人から電話がかかってくるような気がして、想像を膨らませてしまうのだ。
でも、この「めろでぃ」の黒電話は
一度も鳴ったのを僕は見たことがない。
そりゃあ、そうだ。
あの人がこの喫茶店を知るわけもないし、
かかってくるわけもないのだ。
「チリリリーン」
僕は振り返って黒電話を見る。
マスターが僕に
「お客さんに電話だよ」
「え?」
と僕が驚きながら、黒電話に向かう。
あの人ではないだろうと分かっていても、
少しだけ期待しながら。
「はい、もしもし?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる