日常短篇集

星乃ユウリ

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僕の弟。

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僕には弟がいる。
弟はどんな時でも一緒だった。
食事をする時も、寝る時も、テレビを見る時も。

だけど、いつしか弟は
この家から居なくなって、
お父さんとお母さんと僕だけになった。

相変わらず、お父さんは帰ってくると僕を優しく撫でてくれるし、お母さんは僕と散歩に行ってくれる。

だけど、やっぱり弟とあまり会えなくて、
僕は寂しい。

小さい頃は、
僕の後を付いてやっと歩いていたのに
今はもう僕の背をとっくに超えて、
「ポチ、おいで」と僕を呼ぶ。

そんな君が今日、
この家に帰ってくるらしい。
僕は嬉しくてたまらないのだ。
だから、僕は玄関でずっと待ち焦がれている。
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