のんびりまったりダンジョン村で人間の子供を育てるの巻

にじいろ♪

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平和なダンジョン村

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ここはダンジョン村の地下15階。
良い瘴気が漂う良い天気。

「今日は、いい気候だねー!カイ、これから外の畑かい?」

スケルトンのジョーイが、気さくに話しかけてくる。
ボロボロの麦わら帽子をかぶって、鍬を担いで、これからダンジョン内の畑に向かうようだ。

「ほんとだなぁ、今日は格別にいい。俺は、これからマジョリー取りだ。あとでそっちにも届けるさ」

「いつも助かるよ、うちの良妻も喜ぶぞ。あはははっ」

白く輝く骨の口をカクカクさせて笑っている。
今日も、明るく気のいいジョーイと晩飯を食うか。
ああ、本当に、のんびりした良い日だ。


俺はオーガのカイ、歳なんてねぇ。
このダンジョン村で生まれて暮らしている。

ここは1階から17階までの階層があって、それぞれの階には、適した奴らが住んでいる。
家を建てて、畑を作って、暮らしやすいように工夫したダンジョンは、まさに住めば都。
ほとんどの仲間が、ここから出ることなく、のんびりと暮らしている。

まあ、オーガは日光に当たっても平気だから外にも出て、外の畑も作っているけれど。

兎に角、なんでも自給自足でお互い様だから、助け合うのが当たり前のダンジョン村。
俺が得意なのは、家を建てたり、水を引き込む水路を作ること。
もちろん、農作業もやれば、料理も作るし、なんでもやるけれど。

俺の見た目は、赤黒い肌と、額の立派な角、2mを超える引き締まった巨体、というなかなかの良い男だから、大抵は誰かにご馳走になってる。
見た目の良さも、才能の一つとして、甘えさせてもらっている。

こんな感じに俺たちダンジョン村の村人は、自給自足で、細々と、だが仲良くのんびりと暮らしている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おおーーい!勇者来たぞーー!!」

ダンジョン内に響くのは、ハーピーのピイの声。
すげーキンキン声だけど、そんなことには、もう慣れた。
みんな、うんざり顔で返事をする。

「なんだよー、早くねー?」

「前に来てから、まだ3ヶ月しか経ってないよ」

「あいつら、マナー無いから、ほんとやなんだ」

口々に勇者への愚痴を言いながら、それぞれの持ち場へと移動する。

俺たち、ほら、職業が魔物じゃん?

大切な畑とか家に被害が出ないように柵などで囲って、目くらましの術をかけて、その手前に陣取って用意をする。



「いたぞ!魔物だ!みな、油断するな!」

はいはい、来たよ、勇者様たちのお決まりパターン。
ちなみにオーガの俺は、15階の中ボス。
俺の立ち位置も決まってる。
15階層の中程の壁際だ。
そこから皆の奮闘を応援している。
あー…最近、オークのクゥじいさんも腰痛めてるからなぁ、と少し心配して見遣る。
頑張っているが、やっぱり腰が痛いから、戦士に斬られて倒れる時、めっちゃ腰かばってゆっくり横になってる。
あとで、薬草を磨り潰して湿布を貼ってやろう。

インプのラリーは、こっそり壁際に立って、やり過ごしてやがる。
ラリーも、最近肩や腰が痛いって言っていたから、辛いんだろう。
まあ、見つけられなければ、これ幸いということか。

そんなことを考えてると、あっという間に俺の目の前に勇者御一行が辿り着いた。

「この階のボスはオーガか!みんな、聖女を守って戦うぞ!」

オー!!やら、なんやら言いながら向かって来る。
ボスじゃねぇし、中ボスだし。
とりあえず、すぐにやられとこ。
俺も最近、足首痛めてんだよね。
これからマジョリーの実を収穫する予定もあるし、あまり長引かせたくない。

「ぐうあああぁぁぁぁぁ!!!!!」

勇者が斬りかかって来たあたりで、早目に迫真の演技でバッタリと倒れる。

勇者は、ん?え?今、倒した?
ってなるけど、目の前の魔物が倒れてれば、案外みんな気にしない。
むしろ、勇者凄い!と盛り上がる。

「…うん、ふぅ、手強いオーガだった。まだ奥があるようだ。慎重に進むぞ」

汗を拭って進む勇者たち。
この先には、15階のボス、中型ドラゴンのサーヤがいる。
恥ずかしがり屋の女の子だ。
この前は、恥ずかしくて、思いきり勇者に向かって火を吐いちまった。
おかげで、勇者御一行、全滅。
その結果、こうやってまたすぐに新しい勇者が派遣されて来たわけで。

俺たちは、適当にやられて、最下層の宝箱をさっさとあけてもらうのが、一番平和に過ごせる期間が長くなることを知ってる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結果、ドラゴンのサーヤは前回の教訓を生かして、上手くやられてくれたらしい。

意気揚々と勇者御一行は、下の階層へと向かって行った。

足跡が遠ざかる。

「はぁー、あらよっと」

さてさて、と。
俺は、むっくり起き上がると、みんなの様子を見て回る。

「けが人はいないかー」

全部の階層を周って行く。
みんな怪我も無く大丈夫そうだ。
おっと、一人いた。
ワイルドベアのマリンだ。
ロマンチックな出会いを夢見ている女のコだ。
戦士の剣を避けきれず、肉球が切れて出血してる。
最近、食べすぎて太り過ぎたのと、マリンには言えないが、年で動きが鈍ってるから。
だから、運動するようにいつも言ってんのに、あーだこーだ言い訳ばかりで動かないから。

「いたーい!死んじゃう~っ!たすけてぇ~っ!!」

マリンは痛みに弱く、地面を転げ回って痛がっている。
地面が綺麗に均されて丁度いい。

「ほら転がってないで、行くぞー」

俺は、よいしょっと乙女ワイルドベアを肩に担いで、俺たちの癒しの場所、魔素の吹き溜まりへと行く。

この世界の人間の憎しみや怒りから生み出される魔素。
この魔素が溜まりに溜まって、ダンジョンが出来る。
そしてダンジョン内には、魔素が溜まって吹き出してるところが、各階に2~3ヶ所ある。
この魔素が、俺たちを作り、動かしているし、傷も癒してもくれる。
これがある限り、余程の怪我を負わなければ俺達は死なない。

マリンの傷に、勢い良く吹き出してる魔素を当てると、みるみるうちに出血が止まった。
それでも、まだ痛みや引き攣れる感じは残るから、しばらく無理は禁物だ。
しょぼくれてるマリンの頭をなでてやる。

「次は気をつけろよな」

こくんと頬を染めて頷くマリン。
太ったワイルドベアって、なんかかわいいよな。

「かわいい顔に傷が付かなくって良かったな」

よし、一応の治療は終わった。
あとは、同じ階層の奴らに頼んで、俺は自分の15階へ戻らないと。
マジョリーの実をまだ収穫してない。

ぽーっとしてるマリンに手を振って、俺は走って帰っていく。
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