のんびりまったりダンジョン村で人間の子供を育てるの巻

にじいろ♪

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初めての狩り

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あれからまた1ヶ月。
ようやく水路と風呂が完成した。
周りからは遅いだのなんだのと文句を言われたが、俺だって大変だったんだぞ!

それでも、みんなも手伝ってくれたから予想以上に良いものが出来た。

17階まで続く水路は、螺旋状に穴を降りてきて各階に水を流せるし、特にギアの住む15階は水路から大きく枝分かれさせて、いつでも新鮮な水が届くようにした。

更に風呂。
水路から流れてくる水を、オーガ2人が入れる大きさの良い香りのする木材で作った浴槽に貯めれるようになっている。
これを、ドラゴンのサーヤが、いい感じに火を吹いて、温めてくれれば、完璧な風呂になる。
セイラが街から買ってきた最高級?らしい石鹸でギアを優しく洗ってやる。
風邪ひくといけねぇから、サーヤが、体を洗う間ずっと小出しに火を吹いてくれるから、めちゃくちゃあったかい。
俺には暑いが、ギアのために我慢だ、我慢。
ギアも気持ち良さそうに、俺に洗われてる。

なんか、こういうの、いいな。

俺も鼻歌を歌いながら優しくギアを洗い、ちょうどいい湯加減のお湯をかけてやる。

すると…ギアの色がすっかり変わった。

全体が真っ黒だったギアが、白っぽい銀髪と、白い肌、薄い水色の瞳をした人形みたいになった。
ん?このお湯、変身の作用あった?
いや、そんな訳ない。
ただの川の水を、あっためただけだ。
ギアは浴槽の中を泳ぐように動いて嬉しそうに体を伸ばしている。
あ、ギアは男ね。 

サーヤもあまりの変身ぶりに驚いていた。

「え…天使?」

とかつぶやいてる。
ダンジョンに天使はいねーだろ、さすがに。
でも、俺も思った。

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みんな、ギアにかまいすぎて、大切なことを忘れている。

俺?俺はいいんだ。

とにかく、大切なこととは…食料!

ジョルアが、毎日毎日、ご馳走をギアに作って食わせてるのは、仕方ない。
だって、ギアは育ち盛りだ。
人間は、子供の頃は美味いもんを腹いっぱい食わせるもんだって、セイラも言ってた。
あいつも、なんだかんだ言って、街で稼いだ金をギアのための服やら靴やら香辛料やら石鹸やら新鮮な食料やらに全部つぎ込んでる。
おかげで、ギアは、いつもピッカピカだし、ここに来た時とは比べ物にならないくらい、すべすべふっくらとして、天使のように可愛い子供になっていた。
これは人さらいに気をつけなきゃな。

あ、ここダンジョンか。
人さらいどころか、魔物の村だわ。

そんなことはいいんだ!
問題は、食料の在庫が大きく減ってることなんだ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺は、いつもの会議で食料について議題にした。
みんな、ギアに食わせる為に最近では自分達が食う分を減らしてることを俺は知ってる。
おかげで、スケルトンのジョーイも、痩せてきてる。
あ、あいつは元から骨か。

とにかく、食料を増やす方法を考えることになった。
しかし、なかなか良い案も思いつかず。
みんな、ウンウン唸っていた。

そんな中、ヒグが喋り出した。
いつも寡黙なヒグが自分から話し出すのは珍しいから、みんなじっと聞いてる。

「3日で、当面必要な量を用意してくる。俺に任せろ」

ヒグは、自信ありげに言ってるけど、そんなん出来るの?
みんな思ったことは同じだったようで、口々に、無理だ、とか、どうやってなど言い始めた。
みんなを静めて、俺がヒグに尋ねる。

「なんか方法あんのか?」

「ああ、山の向こうに狩りが出来る場所がある。そこで獲物を狩ってくる」

なるほど、とみんなが納得した。
ヒグは狩りの名人だ。
オークだから、外にも出れるし。
まあ、万が一、人間に見つかると厄介だが。
すると、俺が連れて来て静かに聞いていたギアがとんでもないことを言い始めた。

「僕も行きたい!」

会議中が、どよめいた。

「何言ってるんだ、ギア。狩りは危険なんだぞ。お前はここで待っていろ」

ヒグが、ギアをなだめている。
あんな優しい顔出来たんだ、オークって。
てっきり顔面凶器だと思ってた。

「前に、ヒグが畑の近くで野うさぎ狩ってるとこ見たよ。狩りってカッコイイよね!僕も大きくなったら、ヒグみたいに狩りが出来るようになりたいんだ!お願い!」

ヒグが、見たことも無いようなデレデレした顔になってる。
その顔、逆にこぇー。
やっぱり顔面凶器だわ。

「仕方ないな…だが、やはりギアには危険だ」

そう言うヒグに、分かりやすくギアがしゅんとする。
みんなも、思わずがっかりする。
いやいや、なんだこの集団。

「だから…ギアに護衛を付けよう!」

パッとギアが顔を上げてヒグを見上げる。
みんなも、パアッ!と顔を輝かせる。

「本当に?僕も、僕も行っていいの?」

あーあ、あんなに嬉しそうな顔しちゃって。

「ああ、ただし護衛から離れないことが守れるならな?」

ギアは、満面の笑みで頷く。

「うん!僕、絶対約束は守るよ!男だもん!」

このやり取りが微笑ましい。
あー眼福。
ヒグが、ギラッと俺の方を見る。
急に俺に対してだけ目が恐い。

「そんな訳だから、お前が護衛な」

あ、俺ね。
だろうと思った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


というわけで、早速3人で狩りに出かけることになった。
ジョエルの作った弁当が、肩に食い込む。
こんな大量に作ったら、ただてさえ減ってる食料が、更に無くなるだろが!
という山ほどの弁当。
食料取りに行く為に大量の食料を失う。
なんだ、このシステム。
だが、そんなこととは関係無く、ヒグと並んで前を歩くギアは、とても楽しそうだ。
周りの景色を見ては、いちいち報告してくる。

「見て!黄色の花が咲いてるー!」

「わー空が青いね。ほら!面白い雲の形!」

こんなかわいい生き物いたか?
ヒグは、鼻をピクピクさせて笑ってる。
やべー!オークの笑顔、マジ凶器。

そんなこんなで目的の山に着く。
ヒグは、しっかりとギア専用の小さな弓と矢を作って来ていた。
かわいい彫刻までしてある。
あれ、ギアの似顔絵か?
すげー似てるし。
器用なオーク、ちょい愛情重め。

そんなヒグとギアを、少し離れたところに、岩のように重い弁当のしっと置いて眺める。
2人で獲物を探しに行くらしい。
キャッキャと楽しそうに相談している。
変な組み合わせだけど、楽しそうだから、なんでもいいや。

そう思って寝転がる。
ギアたちの和やかな声が聞こえて空は青い。
なんだよ、幸せだなー。

こうして、俺達ののんびり狩りタイムは過ぎて行った。


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うん。
ギアは、たぶん天才だと思う。
親バカと笑われてもいい。
これだけは事実。

ヒグに狩りを教わり始めた時は、もちろん弓矢の持ち方すら分からないし、矢を飛ばすことすら出来なかった。
足元に矢を落としてるだけのギアは可愛らしくて、俺はにやにや笑いをこらえるのに必死だった。
真面目に、ヒグから優しく手取り足取り教わってるんだから、俺が邪魔しちゃ悪いだろ。
初めは、当然、野うさぎだって当たらなかった。

だが、ヒグと俺に囲まれながら狩りに通うこと1ヶ月。
え、三日じゃないの?というのは無視する。
ギアの練習の為と言えば、みんな納得して協力してくれた。

そうこうする間に、ギアはみるみる上手くなり、たった1ヶ月で野生の猪を仕留めたのだ。

まだ7才の人間の子供がだぞ?!

ヒグの喜びようは尋常じゃなく、その喜ぶ顔も怖すぎてみんなドン引きしてたけど。

ヒグも、ギアが喜ぶ顔が見たくて、毎日かなり多くの獲物を狩るところをギアに見せていた。
一匹取るごとにギアに拍手喝采されるから、ヒグは調子に乗りまくりだ。
ヒグが山のように狩った食料のおかげで、当面の我がダンジョン村の食糧難は乗り越えられそうだ。


ギアが来てから、ダンジョン村では笑いが耐えなくなった。
魔素は相変わらず減っていて、俺たちは先細りだけど、ギアがいれば、もう気にならなかった。


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そして、あいつらが来た。

誰って?いつも通りの勇者御一行。
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