のんびりまったりダンジョン村で人間の子供を育てるの巻

にじいろ♪

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挙式

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あれから、私はスケルトン夫婦の家に住まわせてもらうことになった。
若い男女が、結婚もせずに同じ家に暮らすのは良くないものね。
えっ結婚?!やだ、私ったら何考えてるの?!もう!

それはさておき、ジョーイもジョエルも、とても親切にしてくれる。
私の部屋も作られて、フカフカのベッドもあるし、なんだかとても可愛いインテリアをセイラが用意してくれた。
とても居心地の良い部屋と暮らし。
ご飯はいつも、ギアがジョーイのうちに来て一緒に食べる。
ギアと食べるご飯はおいしくて、でも食べすぎるのも恥ずかしくて、ちょっと困ってしまう。

私も畑仕事を手伝いはじめた。
これまで聖女として勤めて来たから初めての畑仕事は分からないことばかり。
ギアや、みんなに教わりながら、ちょっとずつ覚えていく。

それにしても、魔物が畑を耕すなんて知らなかったし野菜や麦を食べることも知らなかった。
なんというか、みんな人間みたい。
と言うより、人間よりも人間らしい。
 
みんな、お互いを思いやって協力し合って暮らしている。
ここでの暮らしに慣れたら、もう王宮での性悪な役人との攻防、潰し合い、聖女同士の足の引っ張り合いになんて戻れない。

ダンジョンの裏口から出れば、澄み渡る青空。
空気もおいしい。
それに、畑は豊作だ。

「レシア、どうしたの?」

ギアに声を掛けられて、そちらを振り向くと、ギアが照れたように笑う。
私も、なんだか恥ずかしくなって笑う。
2人で何も話さず、ふふふと笑い合う。

最近、こうして意味も無く見つめあって笑うことが増えた気がする。
とても幸せだ。

私は、ギアのことが好きだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから時が過ぎて、僕は18歳になった。
レシアは、19歳だそうだ。
年上だったんだね、そう彼女の髪を撫でると照れたように笑う彼女は、とてもきれいだ。

今日、僕達は結婚する。

あれから、ダンジョンで暮らしながら、僕は彼女への想いを募らせていった。

ご飯を食べ過ぎて喉に詰まらせるところも、何も無いところで転ぶところも、畑にまく種をうっかり食べてしまうところも全てかわいくて抱きしめたくなる。

でも、彼女は聖女だ。
僕なんかが彼女といられる訳がない。
そう思って、いつか彼女が帰る時には笑って送り出そうと心に決めていた。
なのに、彼女は、いつまでも帰らなかった。
1年たっても、2年経っても、変わらずダンジョンにいた。
僕は、自分の気持ちを抑えることが難しくなってきていた。

ある日、2人で外の畑に来ていた時、意を決して聞いてみた。

「レシアは、その…帰らなくて大丈夫?」

僕の問いかけに、レシアは目を見開いて、それからその瞳が揺れた。

「私…帰ったほうがいい?」

悲しそうなレシアを見て僕はいてもたってもいられず、思いつくままにまくし立てた。

「そんなことないよ!!!僕はずっとレシアにいて欲しい。君と一緒にこのままいられたらと毎日思ってる。でも、君の家族はきっと心配してるだろう。だから…」

「私に家族なんていないわ」

レシアは、僕の話を遮って寂しそうに、けれど力強く言った。

「私、捨て子だったの。教会に捨てられて、そこで育てられた。運良く聖女の才能があって、聖女に祭り上げられただけ。親もいないし、兄弟もいないわ」

そして、じっと僕を見つめる。

「私が、どうしてここにずっといるか、分かる?」

レシアの瞳が美しくて、目が離せない。

「え?あっ、えっと…ど、どうして?」

レシアが、そっぽを向いてしまう。

「あなたは、私の事なんて、なんとも思ってないのね」

レシアの声が震えている。
僕も震えているし、どうしたら良いかなんて分からなかった。
でも、急にカイの助言が頭を過ぎった。

『女が泣いたり怒ったりしたらなぁ、とりあえず抱きしめとけ。それで何とかなるから』

気が付いたら、僕はレシアを抱き締めていた。

「僕はレシアが好きだ。君が聖女で、僕と生きる世界が違うことは分かってる。でも、どうしようもなく好きなんだ」

そうして、振り返ったレシアに吸い込まれるようにして口付けをしていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギアとレシアは幸せそうに腕を組んで純白のドレスとタキシードでマイティの前まで歩いてきた。
マイティは、牧師の帽子被ってるが、魔物が牧師の格好していいのか?
そんな疑問をよそに式は進んでいく。

2人のキスシーンでは、みんな号泣していた。

「おめでとう!!!」
「2人に祝福あれ!!!」

みんな、泣きながら口々にお祝いの言葉をかけて花を2人の頭上に向けて投げる。
ふわふわと散る花びらが本当にきれいで、俺の目に汗が浮かぶ。
あーあついな、今日。
セイラとピイが、いつの間にか俺の両脇にくっついている。

「ついでに、うちらも式やっとく?」

「いいね、同時にやっちゃおう」

勝手に話を進める2人に、今日は乗ってやる。

「そうだな、それもいいな」

冗談で言ったのに、2人に驚異的な力でマイティ牧師前に引きずられて、誓わされた。
これで、夫婦だね、と恐い笑顔で頷かされた。 
女って恐い。
よく結婚なんてしようと思ったな、ギア。

15階での挙式の後には最下層でのパーティだ。
今日のために作った豪勢な料理の数々。
そしてウエディングケーキもある。

2人の食べさせ合いは微笑ましくて、みんな冷やかすから2人とも真っ赤だ。
そうして、料理を食べて、飲んで騒いで、2人を盛大に祝福した。

2人のための家は、ダンジョンの外に作った。
もちろん、ダンジョンの裏口からすぐに入れるが、一応二人とも人間だ。

そして、いつか生まれるかもしれない子供も人間だ。
ダンジョン内は、さらに魔素が減ってあちこちガタが来てる。
崩れて来てる壁だってある。
そんなところよりも外の方が安全だし人間には良いだろう。
勇者も、もうあれからは攻めて来ない。

そう会議で決まって俺とヒグが協力して、立派な家を作った。
子供が10人生まれても大丈夫な広さと頑丈さだ。

セイラたちも手伝ってくれて、なかなかに趣味の良い内装も出来た。
川から専用の水路を作って、水にも困らない。
火なんて、ギアならあっという間に着けられる。
もう、俺がギアの為にできることなんて無くなったんだな、と感慨深い。
俺の小さなギアは、もうここにはいない。

ここにいるのは、結婚して、すっかり立派な大人になった、ギアだ。
いつの間にか、ヒグが作った剣だって腰に差してた。
笑っちゃう位に似合っていて、格好いい一人前の男がそこにいた。

そう思うと、また目に汗が出てくる。
なんだ、今日の空はずいぶん歪んでるな。
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