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妖精との遭遇
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「助けてくれー!!!!」
さっさと砦へ帰るべく、通りで買い物をしていた。
仲間への土産だ。
皆、仕事があり、なかなか買い物に出掛ける暇が無い。
そうして選んでいると、どこかから助けを求める声がした。
なぜだか、呼ばれた気がした。
そこへ、持っていた土産を放りだして、俺は走り出した。
声がした方向へ一目散に走り出す。
自慢じゃないが、身体の大きさの割に俊足だ。
歩く人々を掻き分けて、通りに止まって人々に注目されている大きな馬車を見つける。
人々の頭の上から、白い腕が天に向けて伸ばされているのが見えた。
次の瞬間、俺は男達を弾き飛ばし、彼を抱き上げていた。
無意識だった。
「大丈夫ですか?」
こんな俺に抱き上げられてしまって……腕の中にいたのは、あの日の妖精だった。
抱き上げているのに、あまりに軽くて瞑目する。
今更ながら、返って悪いことをしたのではないかと不安になった。
本当なら、もっと素敵な相手が助けに来てくれていたのでは?こんな俺が………
「好きです」
「……え?」
「え?」
「え?」
二人共、え?の言い合いになってしまった。
何と言われたのか、脳の処理が追いつかない。
みるみるうちに、彼の顔が真っ赤に染まった。色が白いから、染まると本当に綺麗な薄紅色になるんだな、とあまりの美しさに見惚れていた。
「クソッ、……誰だ、お前」
先程、弾き飛ばした輩が起き上がり始めた。
「頭領、まずいですよ、コイツは……」
ヒソヒソと話し合ったかと思うと、頭領らしき男がニヤニヤと笑いながら揉み手で近付いて来た。
「その……いくら天下のマルス様でも……その方は借金があるですよ。我らも金を回収するのが仕事なもんですからね?困るんですよ、踏み倒されちゃあ」
「……いくらだ」
「利息は、銀貨20枚ですが。まさか、立て替えて下さるんで?」
「借金は、全部で残りいくらだ」
「へっ?!残りは確か……金貨300枚程だったかと……流石にマルス様といえど」
「分かった、用意しよう。だから、この方に二度と近付くな。もし近付いたら首を刎ねる」
一歩近付き睨みつけると、頭領らしき男も、叫んで後退る。
「ヒイッ!!!じゃ、じゃあ、明後日、取りに伺います!!本当に行きますからね?!」
「明日だ。俺が届けよう。屋敷はどこだ」
「明日?!金貨300枚ですよ?!そんな大金……!!それに、御屋敷は、その……」
「何かまずいことでも?この方をどこへ連れて行こうとしたんだ?全て言わなければ全員の骨を砕くが?」
「ヒイ!!テラインコ·ンゴ様の御屋敷ですぅ!!金貸しと手を組んで、スファン様を手に入れる作戦だったんです!!俺達は、ただ金で雇われただけで!!」
「分かった。その者の屋敷へ、後で届けさせよう。いや、俺が直接届ける」
「わっわかりました!!」
男共は、馬車で飛ぶように逃げ帰って行った。
俺はようやく妖精を地面に降ろした。流石に、こんなむさ苦しい奴の腕の中にいつまでも留めておくのは申し訳無い。本当は離したくないけれど。
「失礼しました。思わず抱き上げてしまって……」
謝罪すると、頬を赤らめた妖精が返事をしてくれた。可憐だ。
「……マルス様と、仰るんですね」
「サルンドール·マルスです。その……スファン様、と仰るんですか?」
「スファン·スキンと申します。その…助けて頂いて、ありがとうございました。本当に、本当に……」
甘い空気が漂っている気がして、モゾモゾしてしまう。
その空気を破ったのは、叫び声だった。
「スファンーーー!!!!!」
ドーン!とスファン様の体が横へ飛ばされそうになり、思わず二人合わせて支えた。
「無事?無事なのね?ああ、よかった!!あんな男達に攫われたら……何度も神様に祈ったのよ?そうしたら……」
パッと俺の方に向き直ったのは、スファン様に生き写しの女性だった。
思わずドキ、としたが、やはりスファン様の方が美しく、更に鍛えられている。
「こんなに強い方が助けに来てくれるなんて!!あぁ、神様!ありがとうございます!!」
そのままお祈りを始めたらしい。
ブツブツと目を閉じて祈る女性を、スファン様は抱き上げた。思わず嫉妬の炎が燃え上がりそうになった。
「母です……すみませんが、中で少しお話でも……」
母と聞いて、嫉妬の炎が消えた。
姉妹と聞いても納得しそうだが、なる程、母上か。スファン様も親に苦労していそうだ。
「良いのですか?では、お言葉に甘えてお邪魔致します」
「その……何も無くて驚かれると思うのですが」
「……御苦労、されてるのですね」
スファン様の目尻が紅く染まるのを見ない振りをした。
さっさと砦へ帰るべく、通りで買い物をしていた。
仲間への土産だ。
皆、仕事があり、なかなか買い物に出掛ける暇が無い。
そうして選んでいると、どこかから助けを求める声がした。
なぜだか、呼ばれた気がした。
そこへ、持っていた土産を放りだして、俺は走り出した。
声がした方向へ一目散に走り出す。
自慢じゃないが、身体の大きさの割に俊足だ。
歩く人々を掻き分けて、通りに止まって人々に注目されている大きな馬車を見つける。
人々の頭の上から、白い腕が天に向けて伸ばされているのが見えた。
次の瞬間、俺は男達を弾き飛ばし、彼を抱き上げていた。
無意識だった。
「大丈夫ですか?」
こんな俺に抱き上げられてしまって……腕の中にいたのは、あの日の妖精だった。
抱き上げているのに、あまりに軽くて瞑目する。
今更ながら、返って悪いことをしたのではないかと不安になった。
本当なら、もっと素敵な相手が助けに来てくれていたのでは?こんな俺が………
「好きです」
「……え?」
「え?」
「え?」
二人共、え?の言い合いになってしまった。
何と言われたのか、脳の処理が追いつかない。
みるみるうちに、彼の顔が真っ赤に染まった。色が白いから、染まると本当に綺麗な薄紅色になるんだな、とあまりの美しさに見惚れていた。
「クソッ、……誰だ、お前」
先程、弾き飛ばした輩が起き上がり始めた。
「頭領、まずいですよ、コイツは……」
ヒソヒソと話し合ったかと思うと、頭領らしき男がニヤニヤと笑いながら揉み手で近付いて来た。
「その……いくら天下のマルス様でも……その方は借金があるですよ。我らも金を回収するのが仕事なもんですからね?困るんですよ、踏み倒されちゃあ」
「……いくらだ」
「利息は、銀貨20枚ですが。まさか、立て替えて下さるんで?」
「借金は、全部で残りいくらだ」
「へっ?!残りは確か……金貨300枚程だったかと……流石にマルス様といえど」
「分かった、用意しよう。だから、この方に二度と近付くな。もし近付いたら首を刎ねる」
一歩近付き睨みつけると、頭領らしき男も、叫んで後退る。
「ヒイッ!!!じゃ、じゃあ、明後日、取りに伺います!!本当に行きますからね?!」
「明日だ。俺が届けよう。屋敷はどこだ」
「明日?!金貨300枚ですよ?!そんな大金……!!それに、御屋敷は、その……」
「何かまずいことでも?この方をどこへ連れて行こうとしたんだ?全て言わなければ全員の骨を砕くが?」
「ヒイ!!テラインコ·ンゴ様の御屋敷ですぅ!!金貸しと手を組んで、スファン様を手に入れる作戦だったんです!!俺達は、ただ金で雇われただけで!!」
「分かった。その者の屋敷へ、後で届けさせよう。いや、俺が直接届ける」
「わっわかりました!!」
男共は、馬車で飛ぶように逃げ帰って行った。
俺はようやく妖精を地面に降ろした。流石に、こんなむさ苦しい奴の腕の中にいつまでも留めておくのは申し訳無い。本当は離したくないけれど。
「失礼しました。思わず抱き上げてしまって……」
謝罪すると、頬を赤らめた妖精が返事をしてくれた。可憐だ。
「……マルス様と、仰るんですね」
「サルンドール·マルスです。その……スファン様、と仰るんですか?」
「スファン·スキンと申します。その…助けて頂いて、ありがとうございました。本当に、本当に……」
甘い空気が漂っている気がして、モゾモゾしてしまう。
その空気を破ったのは、叫び声だった。
「スファンーーー!!!!!」
ドーン!とスファン様の体が横へ飛ばされそうになり、思わず二人合わせて支えた。
「無事?無事なのね?ああ、よかった!!あんな男達に攫われたら……何度も神様に祈ったのよ?そうしたら……」
パッと俺の方に向き直ったのは、スファン様に生き写しの女性だった。
思わずドキ、としたが、やはりスファン様の方が美しく、更に鍛えられている。
「こんなに強い方が助けに来てくれるなんて!!あぁ、神様!ありがとうございます!!」
そのままお祈りを始めたらしい。
ブツブツと目を閉じて祈る女性を、スファン様は抱き上げた。思わず嫉妬の炎が燃え上がりそうになった。
「母です……すみませんが、中で少しお話でも……」
母と聞いて、嫉妬の炎が消えた。
姉妹と聞いても納得しそうだが、なる程、母上か。スファン様も親に苦労していそうだ。
「良いのですか?では、お言葉に甘えてお邪魔致します」
「その……何も無くて驚かれると思うのですが」
「……御苦労、されてるのですね」
スファン様の目尻が紅く染まるのを見ない振りをした。
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