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第三章
いつでも背中を押してくれる
しおりを挟む「あら、お久しぶり」
家へ帰る道すがら、バッタリと買い物帰りらしいアカネママに会った。
「あ!アカネママ!お久しぶりです」
最近は、アカネママのバーからも少し足が遠のいていた。
なんとなく、アカネママには現状を言い難かった。
「あらまあバカ唯人、はモッサリしたわねえ、ほんと」
呆れたように言われて俺の影に隠れる野上。
「ま、二人が元サヤに収まって仲良さそうで安心したわ。もう、訳分かんないことにアタシを巻き込むんじゃないわよ?」
「いや、ほんとすいませんでした…って、え、俺たち元サヤ?には…」
アカネママが俺たちの繋いでる手を顎で指す。
「どっからどう見てもカップルでしょ、あんたたち。むしろ、おかしなバカップル」
二人で顔を見合わせて真っ赤になって、急いでパッと手を放して離れる。
「なーにぃ?高校生じゃあるまいし。いい年した大人なんだから、いつまでも好き同士で意地張ってても意味ないわよ?さっさと正直にならないと、すぐ年取って死ぬわよ」
アハハっと快活に笑うと、大股で颯爽と去っていくアカネママを見送る。
数歩進んで、ぱっと振り返った。
「あ、そーだ、また顔だしなさいよね?困った時のナポリタン作ってあげるから」
「「はい!!」」
元気よく返事をしたら、二人で思い切りハモって、思わず笑った。
「よし、帰ろ」
「うん、帰ろ」
野上はモジモジハァハァしてるけど、帰り道は、なんとなく足取りも軽かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ただいま」
「おかえり」
一緒に帰ってきたのに、二人で言い合う。
そして、顔を見合わせて笑う。
「あのさ、野上…いや、唯人」
「なあに?健吾」
少しだけ健吾が真面目な顔になる。
僕の鼓動が速くなる。
「好きだ」
何も言えない。
だって、僕は…
「俺、唯人のこと好きだ」
震える手を握り締めて、僕は前を向く。
「でも、僕、こんなだよ?また、健吾に嫌われたら…」
不安と期待で、頭がごちゃまぜで狂いそうだ。
「今の唯人が好きだ。俺、多分、高校の頃のお前が好きだったんだ。きらきらしてない素の唯人がいい…俺と…俺と、付き合って下さい」
「え?こんな、ダサい僕で、ほんとにいいの?無職だし、頭ボサボサで、変なジャージ着て…それに…」
自分を蔑む言葉ばかり出てくる。
僕は自分に自信が無くて、そんな自分が嫌いだ。
だから、あんなに武装してまで健吾に好かれようと、必死に頑張ってたんだ。
「そのまんまの唯人が好き」
ぎゅうっと健吾に抱きつかれた。
思わずお尻のエネマグラが反応しちゃって喘ぎそうになるのを、ぐっと我慢。
「ーっんんっ、僕、僕だって、ずっと、ずっと、健吾のこと、大好きだっ」
思わずガバっと健吾を抱き締めて匂いを吸い込む。
無意識に腰を押し付け、ぶるっとする。
「「あ…」」
つい、射精してしまった…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「くっははっ、告白と同時に射精するとか、マジ変態過ぎ!」
健吾は大笑いしてるし、僕はスプリングコートを手洗いしてる。
「だって、だって、健吾が僕のお尻に、ずっとこんなの挿れてるから…ぐすっ」
「あー、悪かったよ。つい忘れてた。ごめん、ごめん」
涙目の僕の頭をヨシヨシしてくれるから、嬉しくて健吾の掌に思わずスリスリと頭を擦り寄せてしまう。
「んじゃ、お詫びと新しく始める恋人記念に、続きしよーぜ?」
「え…いいの?」
僕は、目がギンギラギンになる。
だって、二度と触れることなんて出来ないと思ってた健吾と、まさかのラブ&ヘブンからのゴートゥー大気圏。
「ははっ!ちょっ、目がマジすぎんだけど!つーか、それ抜かなくていいの?随分お気に入りじゃん」
エネマグラを指されて、ハッと我に返って慌てて抜こうとする。
と、健吾に遮られる。
「いーよいーよ、面白ぇじゃん。そのままシよ?」
健吾に笑顔で言われると、反射的に何でも頷いてしまうのが、僕のサガ。
だって、好きなんだもん。健吾の笑顔。
「俺も待ちきれなかったし。ほら、ココがパクパクしてるの分かる?」
健吾の蕾が、いやらしくヒクヒクと開閉してるのを見せびらかされたら、もうダメだった。
僕は、まさに飢えた野獣の如く襲いかかった。
「あっ、ちょ、待てって、こら、久しぶりなのにっ!」
もう健吾の声は耳に入らなかった。
目の前のご馳走を余すことなく、全て貪り食うことしか出来ない。
だって、二度と会えないはずだった健吾と、こんな僕が、また付き合えるなんて。
ロケットをベニヤ板で手作りして、遥か彼方の火星に行くよりも奇跡だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はっあんっ、あんっんっ」
激しく揺さぶられて、意識が浮上する。
どんだけ絶倫なんだよ、マジで。
何度出しても空にならないタンクって、なんなの?
どっかの○○えもんのポケット付いてます?
あんなぶっといモンを、久しぶりの繊細な穴にいきなり突っ込みやがって!童貞か?
お前は、サクランボか?唄うぞ?
散々舐められてたから良かったものを、そうでなけりゃ裂けてるぞ。
「こら、やり、すぎっ、ちょっ!」
何とか盛るバカ犬を止めようとする手をガシッと掴まれて、汗ばんだ掌にちゅ、と口付けられる。
ボサボサの髪の隙間から覗く視線が、ドキッとするほどに熱くて色っぽい。
三白眼の流し目に、腹の奥がキュンと疼く。
あ、だめだ、これ…
「健吾…好き、好き、好き…」
黒髪を汗に滴らせる唯人に、俺は何度でも恋する。
「俺も、好きっ!好きだ、ゆいとぉっ」
何度でも喧嘩して、何度でも仲直りして、傷付いて傷付けて、俺たちは二人だけの幸せを築いていく。
「あんっ、深いぃっ、や、それ、こわいっ」
たくさんの人達を巻き込んで、巻き込まれて、笑って泣いて、怒って、許して、許されて。
「大丈夫、僕が、いるから」
涙を流して、鼻水をすすって、涎も垂れ流して、ブサイクな顔も晒して、ダメなところも全部晒け出して。
「ゆいとっ、手ぇ、離さないでっ、んんっ」
二人の関係には保証も無くて、おかしな奴らと後ろ指をさされて、この社会に、世界に、二人が認められなくても。
「離さない、絶対に離さない」
俺たちは、この手を離さずに生きていく。
必死に繋いだ手は汗ばんで、いつだって、ほんの少しの掛け違いで離れてしまう。
「一生、離さないから。健吾も離さないで」
だから、何度でも繋ぎ直す。
きっと、その手はいつかシワシワになって力も弱くなる。
「うんっ、離さないっ、ゆいとぉっ」
お互いの名前を忘れても、何度でも伝えよう。
決して君の名前を忘れないように。
君への愛を決して忘れないように。
「健吾っ、愛してるっ、生涯、君だけを」
「ばかっ、俺も、愛してるっ、ゆいと、ゆいとぉっ、俺だけ、見ててっ」
いつの日か、病床の君の手を握れるだろうか。
君と同じお墓に入れるだろうか。
二人で生きた証を残せるだろうか。
そのどれもが叶わなくても、僕たち、俺たちは、この手を離さずに生きていく。
いつまでも二人、同じ景色を見ていられるように。
何度でも、この手を繋ぎ直すんだ。
「僕っ、絶対、二度と健吾と離れないっ!絶対にっ!」
「ーーーっ、また離れたらっ、次はっ、お前が、俺を見つけろっ、ばーかっ!ひゃんっ」
熱い身体と溶け合う体温。
「うんっ、見つけるっ、次はっ諦めないっ」
「今度はぁっ、俺が、変身してやるからっ、はぁっ、ふふっ」
絡まる指先。
擦り合う粘膜。
「それでも、必ず見つける」
「とーぜんっ、ああっん、5秒で、見つけろよっ」
声に出して笑う振動が、互いの深部を揺すり共鳴する。
「ーっはぁ、お前がぁっ、野上唯斗だって、あの日、俺はっ、気付いたんだから、なっ?」
「う、うんっ?」
「どんなに、モサくなってもっ、歳、取ってもっ」
ぺろりと唇を舐める。
「俺を見つけろよ」
唇が溶け合って、どっちの皮膚か分からない。
ただ、熱い。
熱くて熱くて、とっくに神経なんて焼き切れた。
この熱を、あの日の自分が知ったら、間違いなく卒倒するだろう。
そう、あの日の自分。
あの日の淡い初恋は、ようやく実った。
『さっさと正直にならないと、すぐ年取って死ぬわよ』
後ろ姿が格好良い、人生の先輩からの心に染みるアドバイス。
ご参考までに。
「きらきら王子とハウスキーパー生活」完
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