王道を書いてみたい

ひこ

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一章 入学

大きな門

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バスから降りると、山の上に意味がわからないほどの強大な門が立っていた。東山は口を開けている俺に苦笑で呼び掛ける。

「無駄に大きいと思っただろう。本当、金持ちが考えていることは分からないよな」

  東山の最後の言葉に少し毒を感じたが、歩き出す青葉と東山に付いていく。門は生徒が近づくと共に徐々に開いていく。まるでお城の中にこれから入るようだ。ファンタジー的なあれに心を動かされ、少しずつ足を早める。感覚的には遊園地気分だ。門の中に入ると、そこには学園に相応しくない景色があった。

「すげぇ、ファンタジーの世界にある学園そのものじゃん!?」

「本当、無駄な土地と無駄な豪華さがあるな」

「だろう?」

  喜んでいる俺と裏腹に、青葉と東山は呆れているようだ。お前ら、ロマンとかないのかよ。ハリーなんとかの世界に迷い混んだようで凄く楽しんでいる。二人よりも先に進んでいると人に打つかってしまった。ヤバイ、自分の世界に入っていて周りの人見てなかった。ぶつかった衝撃に俺はそのまま転けそうになったが、ある人が掴んでくれた。

「ご、ごめんなさい!?」

「君、……怪我とかしてない?」

「えっ、はい。掴んでくれたので――」

  目の前には白馬の王子様みたいな方がいらっしゃいました。金髪、優しいそうな笑顔の美少年。俺の黒いブレザーとは反対の白いブレザーで赤色のネクタイの金色のバッチ。金色のバッチは三年生の証だったような。青葉も東山もイケメンに見えるが、絵本に出そうな王子様みたいな人は始めてみた。てか、この学園、顔が良い奴多いぞ。俺が頭真っ白になっていると、横から横槍が横腹を思いきり突かれた。「ぐふっ」と情けない声が俺から出る。

「てめぇ、ぶつかった俺様を無視するな!! 海未も俺を引っ張らないで、何故こいつを先に助けたんだ!!」

  衝撃で忘れていたけど、被害者のことを忘れていた。すぐに謝ろうと頭を下げようとしたところ、王子様というより先輩が俺を捕まえようとしている人に割って入った。

「菓が最初に走っていて前を向いていないのが悪かったんだよ。それで、たまたまこの子も前を向いてなくてぶつかったんだよ」

「はっ、こいつも前を見てなかったじゃないか。学園で一番偉いのは俺様なんだ。俺様に打つかるほうが悪い。なんせ、俺様がこの学園でルールだからな!!」

  自慢するようにドヤ顔してくる人物は黒髪で先輩とはやや違う偉そうな男前の顔立ちをしている。赤いネクタイに金色バッチということは先輩と同じ学年か。ガキ大将みたいな言動に、先輩と同じ背丈に見えなかった。青葉の俺様は冗談の時使っているが、この人はいつもこんな感じに偉そうに使っているような気がする。段々と、偉そうしていることに苛つきが溜まってきた。

「俺も浮かれて歩いていたので謝ります。ちゃんと、前を向いていたらぶつかりませんでしたから。だけど、先輩も前を見ないで走っていたということなら謝ってほしいです」

「はっ、何で俺が謝らないといけないんだ。俺には正式な理由で走って――」

「へぇー、菓は珍しい鳥を見たと言って走っていたよね」

「そっ、それはなぁ、俺様が保護しないと思って――」

「生徒会長の役目じゃないね。サボりたいから散歩していたところ見ていたよ」

  優しいそうな先輩が後ろからドス黒い炎を浴びている。黒髪の先輩はそれに怯えるように押されていく。そういえば、先程変な発言があったような。

「えっ、……この人が生徒会長?」

「おい、チビ。どう見ても光輝ある生徒会長だろうが!!」

「チビって、……そこまで身長変わらないよね」

「自分、170cmなんですけど」 

「勝った!! 俺は171cmだ!!」

  勝ち誇るようにガチで喜んでいる生徒会長に、駄目な子を見る目になってしまう。先輩も頭を抱え込んでいるようだ。生徒会長はそのまま偉そうに、俺を指差して台詞をはく。

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