【完結】幼い義妹が聖女なのは内緒でお願いします

ほんだし

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はじめての旅

にじゅうろく

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 見るからに震えてるモモカに、僕達も外で一緒に待ってればよかったかなあ、と考える。
 いやでも僕が土地代とか言い出したのにその本人がダンジョン潜らないのもどうかと思うんだよね……
 足場が悪いから果穂を抱えて歩いてるものだから、モモカにあまり気遣ってあげられない。
 ララはぐいぐい進んで行くし、ルルは勝手に自粛してるし。ここは小さい子を連れて歩いてる僕が話し掛ける方が相手も安心するだろう。……多分。

「えーっと、モモカ、ちゃんって幾つ?あ、ほら果穂教えて」
「あっ、かほはごさいです!」
「えっ、あっよろしくお願いします、わたし13です……モモカで大丈夫です……」

 小さな手のひらをモモカのすぐ目の前にぱっと出した果穂にびっくりしたのか、果穂相手に敬語になっている。
 ごめん今のは僕が空気読めてなかった。

「そうなんだ、モモカも王都の学校に通ってるの?」
「わたし、は今度……入学です、ユートさん達もですか?」
「ララとルルは入学だって。僕は何も知らなかったし、果穂もいるから行けないかな」
「あ、えと、ララさんたちはお幾つですか」
「果穂が5歳で僕達3人共17歳だよ」
「お兄さんとお姉さんなんですね……」

 ちょっと笑ってくれた。
 安心してくれたのかな。

「……ルルさんも同じ歳なんですか?」
「そうだよ、でっかいからもっと年上かと思った?」

 老けてると思ってるのかと弄られたと思ったのか、首が落ちそうな程モモカは首を横に振る。
 果穂が少し成長したらこんな感じかな、大人しい妹って感じで、これは守ってあげなきゃなって思うのにこんな子に酷いことをするだなんて信じられない。

「結構厳つく見えるけどかわいいよ」
「かわいい……」
「お前それ耳見てるだろ」
「見てほらイケメンだし」
「暗くてよくわからんだろ」
「あっ、あの、あの」
「ほらびびってるじゃん」

 耳がぴょこ、と垂れたのをモモカにこっそり教えると、また笑ってくれた。

「ねえ次こっち行っていい?」
「いいけど」
「こっち魔力濃い、多分良いお宝あるわよー」

 うきうきで先頭に立つララと、打って変わってはらはらしたように大丈夫ですか大丈夫ですか、と心配しているモモカ。
 わかる。
 僕もはらはらしちゃってたもんな。

「魔力濃いってことは、良い宝があるってことは、強いのがいるんじゃないですか……?」
「多分大丈夫だよ、2人とも強いから。僕達も助けて貰ったんだ」
「……でもララさん、あんなひとりでどんどん進んで行っちゃって……急に出てきたら……」
「早く来ないと置いてくよー」
「ダンジョンは得意らしいからまぁ任せてみようよ」

 少なくとも僕がやるより、2人にお願いした方が絶対正解なのだ、情けないけど。
 それよりこれ帰り道覚えてるんだろうか。

「あっ、こっちであってたー!」

 ララがきゃっきゃとはしゃいでる。
 後ろでルルのやったな!という明るい声。
 隣でモモカが固まった。
 絶対いると思ってるな。
 僕も思ってるよ。

「でも大丈夫、絶対守るってララは言ってたし、ね」
「でもわたし、絶対邪魔です……」
「早く出たいなら早く回収するよー!」
「ここで1人で待つ方がこわいでしょ?」
「はい……」

 ララに急かされ、ルルに背中を押され、僕に手を引かれてモモカは重い足を動かした。

 こんな場所どうやって出来てるんだ、という広い空間の中に、きらきら光る宝石や金貨等が転がっていて、確かにイメージ通りのお宝だ。
 ただやはり果穂の精霊の加護があるにしても、こんな簡単に攻略出来る筈がない。

「そりゃそーよ、だから出てくる前に出来るだけ持って逃げるのよ!」
「戦わないの!?」
「こんなとこでもしあんな大きな魔法使ったら埋もれて死ぬわよ」
「それは確かに」
「じゃあ……回収出来るだけ頑張ります~……」

 自信なさげにモモカが走り出した。
 僕も出来るだけ回収しなきゃ。土地代土地代……と思って前を見ると、モモカが増えていた。

「えっ、分身!?」
「あらまあ」

 後でお話します~!とハモらせながら、小柄な躰を動かし、どんどん収納していく。
 忍者……いやリスみたいだ。
 でもこれ宝目当てで入ってきたパーティには有り難いんじゃないか。
 雑用係のようだが、自分が弱いと思ってるモモカには、どうにか役に立ちたいと頑張って捻り出した正解なんだろう。

「……間に合わなかった、来る、ルル!後ろ!」

 ララの高い声が響く。
 言うが早いが、ルルの剣が舞った。
 早い。なにがなんだか全くわからなかった。

「ゴーレムよ、あれならユートでも倒せるでしょ、カホ連れたまんまでも大丈夫よ!」
「危ない危ない危ないって!!」

 余裕そうなララに背中を押され、もう一体残ったゴーレムを反射的に凍らせてしまった。

「あっ」

 意外とあっさり行けた、と思ったが、数多くの冒険者から宝を守る相手にそんな簡単にはいかない。そんな簡単なら皆お金持ちなのだ。
 すぐに割られてしまった。

「弱い、もっと魔力使って!カホが居たら大丈夫でしょ」
「にいにもっとこおらして!いっぱい!」
「待って調節難しい、皆凍らしちゃう!」

 果穂の魔力が溢れすぎて、調子に乗ると辺り一面凍らせてしまいそうだ。
 ドロドロになるまで水でもぶっかけてしまおうか、いや汚れるのも溺れるのもごめんだ、こんな所で火をぶっぱなすのも自殺行為だ。土の化け物に雷が効くかは知らん!
 つまりはさっさと凍らせてさっさとずらかった方が面倒くさくない!
 今回は果穂とモモカ優先だ!
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