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生きていく街
さんじゅうご
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「ここが王都……」
「すごーい!」
入口に兵士がいる。
身分を確認されるようで、どきどきしたがギルド証で通れた。果穂に至っては妹です、で特に何もなし。
安心する反面心配にもなった。こんなチェックしときながらがばがばじゃねーか。
「こんな緩くて大丈夫なの?」
「まあ形だけよね」
「えっ」
あまりに緩すぎて心配になり、ララにこっそり耳打ちすると、当然のようにあっさりと返事が返ってきた。
「学園もあって魔力の高い人達も多いとこよ、問題を起こそうとする人もいるけど、すぐに捕まるわね」
「はー、そうなんだ」
それにしてもやっぱり緩い気がするけど。
これは周りも気にした方がいいな。
……気を取り直して。確かに花も多く、華やかな街だ。
屋台やお店も多く、どこからか音楽も聴こえる。
街ゆく人たちも笑顔で平和な暮らしぶりに見えた。
「百花」
「はっ、はい!」
「大丈夫だよ」
「……!」
隣を見れば酷く緊張した面持ちの百花が居たもので、安心させてあげたくて背中を叩く。
この街には恐らく百花を置き去りにしていった奴等がいる。
不安になるのも仕方がない、それでも僕達がいるんだからねと気付かせたかった。
「にいに!あれたべたい~」
「ん?なんだあれ、果物?」
「飴ですよ、日本にあるりんご飴とかいちご飴みたいな」
「へえ 」
どうせ果穂は途中で残すだろうと4本購入し、皆に渡す。
どの世界でも女の子が甘い物に弱いのは共通なんだろう、笑顔で受け取ってくれる。
ルルが一瞬にして噛み砕いたのを見て、薄い飴とはいえ獣人の歯の強さを垣間見てしまった。
「あまーい!」
「おいしいか?」
「うん!まいにちたべれる!」
「毎日はちょっと飽きるぞー」
すでに口周りはべたべただ。
子供は棒状のものを食べるのが下手である。
1番近くにあったのはギルドだったので、先にギルドに寄った。
すぐに手を出しそうなララは入口で果穂と留守番させておく。
百花の件で受付のお姉さんもだいぶ憤慨してくれて、重く処罰をしてくれるとのこと。
基本的に、冒険者同士の諍いに入ることは出来ないが、登録も出来る冒険者とはいえ、子供の百花を騙し荷物を奪い置いていったことは見逃せるものではないとのこと。
その通りである。
「終わった?」
「処罰してくれるって」
「当然よ!冒険者登録抹消するべきだわ!」
まだララも憤慨している。
ルルがおさめても怒りっぱなしなので、百花が自ら落ち着いて下さい~、と宥めにいっていた。
その次は昼食。大丈夫か百花に確認したところ、確かに食べ飽きたが今はもう大丈夫とのこと。
相変わらず果穂はお肉お肉と騒ぐので、今晩は野菜を使った料理を百花に頼もうと誓った。
「この街って毎日こんな感じなの?」
「こんな感じとは」
「んー、なんかお祭りみたいな」
「わたしがいる範囲ではこれが普通みたいでした。お祭りはお祭りで別にあるみたいですよ」
「賑やかな街なんだなあ」
短時間で見て回れる広さではない、また近々街の中を確認して回りたい。
危ない所とかあるかどうかも確認しておきたい。
これだけ広ければきっと何かあると思うのは思い込みだろうか。
悪い思い込みだといいんだけれど。
「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件で?」
ララとルルに連れられて入ったのは……ここは商業ギルド、というところなのだろうか。
前の町や先程行ったギルドと比べると、店員さんといったような明るい受付のお姉さんが声を掛けてきた。
室内も明るく、あちこちで説明を受けている人もいる。
ちょっと携帯ショップみたいだな、と思ってしまった。
「あの、土地を購入したいと思いまして」
「土地ですね!用途をお伺いしても?」
「住居用ですね」
「かしこまりました、ご希望のエリアはございますか?」
「ここに来たばかりで詳しくなくて……ただ、街の真ん中より、外れの方でいいんですけど」
希望を伝えると、幾つか候補がございます、とのこと。
なんかわくわくしてきた。
当然この歳で自分主体で引越しを決めたことなんてないから、自分達で理想の土地から決めて行くのが楽しい。
今からそれぞれの場所に案内して貰えるのかなと思っていたら、こちらをどうぞ、と白いてのひらを見せられた。
どういうことだ?と思っていると、ふわっと映像が浮かんできた。
魔法か!こういった使い方もあるのか……
「こちらは本当に街の外れになってしまいますね、住居用としてはお勧め致しかねます、こちらは街が一望出来る丘の上になるのですが、近々建設予定のある方もいらっしゃいますので、気になられるようであればこちらは……」
お姉さんが案内してくれる説明をふんふん聞きながら、内心よくわからんと思っていた。
土地選び難しいな……
僕と果穂だけならともかく、3人が毎日学園に通うのに時間がかかり過ぎるのも……でもやっぱり果穂のことがバレないように……でも周りに全く家がないのも……
さっきの場所は絶対貴族とか金持ちが建てるスペースだろ、でもこれは狭すぎる……どうせなら庭も欲しい……お値段はお幾らだ……
普通なら何日もかけて決める大事なことだ。
でも僕は今日決めたい。そんでさっさと家を建ててこの地でゆっくり暮らすのだ。
「にーに、かほここがいい」
「えっ?」
静かに膝の上に座っていた果穂が、幾つめかのところで指をさした。
確かに、なんか……いい気がするようなしないような。
「こちらは居住区より少し離れますが、近くに畑や農場もあって良いところですよ、お値段はこれ程」
「ララここどうかな」
「いいと思うわよ、カホが選んだならそこでもいいんじゃないかしら」
「学園もそこまで遠くないですよ」
「あ、じゃあそこで」
「……今日決められるのですか?」
「今日だとだめでしょうか」
「いえ、失礼ですがお若いのに随分早く決められるのだなと思いまして……」
もう一度、失礼致しました、と頭を下げ、実際にその土地に向かいましょうと笑顔を向けたきた。
そうだよね、流石に実際に確認すべきた、ここで決めることではないか。
「すごーい!」
入口に兵士がいる。
身分を確認されるようで、どきどきしたがギルド証で通れた。果穂に至っては妹です、で特に何もなし。
安心する反面心配にもなった。こんなチェックしときながらがばがばじゃねーか。
「こんな緩くて大丈夫なの?」
「まあ形だけよね」
「えっ」
あまりに緩すぎて心配になり、ララにこっそり耳打ちすると、当然のようにあっさりと返事が返ってきた。
「学園もあって魔力の高い人達も多いとこよ、問題を起こそうとする人もいるけど、すぐに捕まるわね」
「はー、そうなんだ」
それにしてもやっぱり緩い気がするけど。
これは周りも気にした方がいいな。
……気を取り直して。確かに花も多く、華やかな街だ。
屋台やお店も多く、どこからか音楽も聴こえる。
街ゆく人たちも笑顔で平和な暮らしぶりに見えた。
「百花」
「はっ、はい!」
「大丈夫だよ」
「……!」
隣を見れば酷く緊張した面持ちの百花が居たもので、安心させてあげたくて背中を叩く。
この街には恐らく百花を置き去りにしていった奴等がいる。
不安になるのも仕方がない、それでも僕達がいるんだからねと気付かせたかった。
「にいに!あれたべたい~」
「ん?なんだあれ、果物?」
「飴ですよ、日本にあるりんご飴とかいちご飴みたいな」
「へえ 」
どうせ果穂は途中で残すだろうと4本購入し、皆に渡す。
どの世界でも女の子が甘い物に弱いのは共通なんだろう、笑顔で受け取ってくれる。
ルルが一瞬にして噛み砕いたのを見て、薄い飴とはいえ獣人の歯の強さを垣間見てしまった。
「あまーい!」
「おいしいか?」
「うん!まいにちたべれる!」
「毎日はちょっと飽きるぞー」
すでに口周りはべたべただ。
子供は棒状のものを食べるのが下手である。
1番近くにあったのはギルドだったので、先にギルドに寄った。
すぐに手を出しそうなララは入口で果穂と留守番させておく。
百花の件で受付のお姉さんもだいぶ憤慨してくれて、重く処罰をしてくれるとのこと。
基本的に、冒険者同士の諍いに入ることは出来ないが、登録も出来る冒険者とはいえ、子供の百花を騙し荷物を奪い置いていったことは見逃せるものではないとのこと。
その通りである。
「終わった?」
「処罰してくれるって」
「当然よ!冒険者登録抹消するべきだわ!」
まだララも憤慨している。
ルルがおさめても怒りっぱなしなので、百花が自ら落ち着いて下さい~、と宥めにいっていた。
その次は昼食。大丈夫か百花に確認したところ、確かに食べ飽きたが今はもう大丈夫とのこと。
相変わらず果穂はお肉お肉と騒ぐので、今晩は野菜を使った料理を百花に頼もうと誓った。
「この街って毎日こんな感じなの?」
「こんな感じとは」
「んー、なんかお祭りみたいな」
「わたしがいる範囲ではこれが普通みたいでした。お祭りはお祭りで別にあるみたいですよ」
「賑やかな街なんだなあ」
短時間で見て回れる広さではない、また近々街の中を確認して回りたい。
危ない所とかあるかどうかも確認しておきたい。
これだけ広ければきっと何かあると思うのは思い込みだろうか。
悪い思い込みだといいんだけれど。
「いらっしゃいませ!本日はどのようなご用件で?」
ララとルルに連れられて入ったのは……ここは商業ギルド、というところなのだろうか。
前の町や先程行ったギルドと比べると、店員さんといったような明るい受付のお姉さんが声を掛けてきた。
室内も明るく、あちこちで説明を受けている人もいる。
ちょっと携帯ショップみたいだな、と思ってしまった。
「あの、土地を購入したいと思いまして」
「土地ですね!用途をお伺いしても?」
「住居用ですね」
「かしこまりました、ご希望のエリアはございますか?」
「ここに来たばかりで詳しくなくて……ただ、街の真ん中より、外れの方でいいんですけど」
希望を伝えると、幾つか候補がございます、とのこと。
なんかわくわくしてきた。
当然この歳で自分主体で引越しを決めたことなんてないから、自分達で理想の土地から決めて行くのが楽しい。
今からそれぞれの場所に案内して貰えるのかなと思っていたら、こちらをどうぞ、と白いてのひらを見せられた。
どういうことだ?と思っていると、ふわっと映像が浮かんできた。
魔法か!こういった使い方もあるのか……
「こちらは本当に街の外れになってしまいますね、住居用としてはお勧め致しかねます、こちらは街が一望出来る丘の上になるのですが、近々建設予定のある方もいらっしゃいますので、気になられるようであればこちらは……」
お姉さんが案内してくれる説明をふんふん聞きながら、内心よくわからんと思っていた。
土地選び難しいな……
僕と果穂だけならともかく、3人が毎日学園に通うのに時間がかかり過ぎるのも……でもやっぱり果穂のことがバレないように……でも周りに全く家がないのも……
さっきの場所は絶対貴族とか金持ちが建てるスペースだろ、でもこれは狭すぎる……どうせなら庭も欲しい……お値段はお幾らだ……
普通なら何日もかけて決める大事なことだ。
でも僕は今日決めたい。そんでさっさと家を建ててこの地でゆっくり暮らすのだ。
「にーに、かほここがいい」
「えっ?」
静かに膝の上に座っていた果穂が、幾つめかのところで指をさした。
確かに、なんか……いい気がするようなしないような。
「こちらは居住区より少し離れますが、近くに畑や農場もあって良いところですよ、お値段はこれ程」
「ララここどうかな」
「いいと思うわよ、カホが選んだならそこでもいいんじゃないかしら」
「学園もそこまで遠くないですよ」
「あ、じゃあそこで」
「……今日決められるのですか?」
「今日だとだめでしょうか」
「いえ、失礼ですがお若いのに随分早く決められるのだなと思いまして……」
もう一度、失礼致しました、と頭を下げ、実際にその土地に向かいましょうと笑顔を向けたきた。
そうだよね、流石に実際に確認すべきた、ここで決めることではないか。
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