【完結】幼い義妹が聖女なのは内緒でお願いします

ほんだし

文字の大きさ
40 / 66
生きていく街

よんじゅう

しおりを挟む
 3人の入学式まであと少し。
 制服等の準備にも行ったし、教科書代わりなのだろうか、魔法書みたいなやたら分厚い本等も買い揃え、もう秒読みって感じだ。
 この世界に来てまだそんなに経ってない。だけど毎日の様に一緒にいたから、3人が学園に行ってる間は果穂と2人かと思うと寂しくも感じる。
 まあすぐ慣れるだろうけど。帰ってくる家は同じ訳だし。

「そういえば学園ってどうなってるの、ララとルルが17で百花が13でしょ、クラスとか」
「なんかですね、向こうの世界の時とは違うからか、この学園が特殊なのかはわからないんですけど、13~15歳と16~18歳でわかれてるみたいで、お2人とは違うクラスみたいです」
「へー、専門学校みたいな感じかな」
「わたしは入学だけど、ララさんルルさんは転入に近い感じなのかな……転入や途中で辞められる方も多いみたいです」
「ふーん、でもララとルルはもう大分強いけど、百花はゆっくり学べるからいいね」
「でも、わたしあと6年あります……」
「?うん」
「ララさんとルルさんは2年ですよね」
「ええ」
「……」
「……?」
「うう」
「……もしかして僕達が6年も待たないでどっか行くかもって思ってる?」

 思ってるっていうか、そうなったら怖いなと思って、ともじもじする百花。
 正直、ララとルルはわからない。元々強いし色々行ってたようだから、王都でゆっくりせずに村に帰るかまた旅に出るかもしれない。

「大丈夫だよ、果穂もいるし、ちゃんと百花が卒業するまでここに居るよ、どっか行かなくちゃならなくなったら、ちゃんと百花に相談して、百花も連れてくから」
「ほんとですか!?置いてかないですか!?」
「百花が独り立ちしたいって言うまでは一緒にいるよ、妹みたいなもんなんだから、兄ちゃんがちゃんと面倒みるよ」
「絶対ですよ!」
「うんうん」

 何故か果穂が小指を出し、百花がそれに指切りをした。
 かわいい妹が2人でかわいいことをしてればそれはもうかわいいに決まってる。

「いじめられたらちゃんと兄ちゃんがシメに行くからな」
「そういうのは大丈夫です……」
「まあ学園でララとルルとも仲良くしてれば問題ないよ、強そうだし」
「クラスは違うけど会いに行っていいですか?お昼とか一緒に食べていいですか!?」
「いいけど、友達も作るのよ」
「うう、知らない人ばっかりのとこ苦手です……」

 今のところ不安しか抱えてない百花だけど、以前ララが百花は強くなれると言っていたし、今からめきめき力を付けていくんだろう。頼もしいことである。



「やっぱり学園行きたくないいい」

 入学式当日。
 朝食を食べながら百花が泣き言を零す。
 それだけ元気があれば大丈夫だろう。

「おうちいたい……学校とか久し振りすぎてやだ……」

 長期休み明けの学生になってる。

「悠斗さんと果穂ちゃんも一緒に学校いこ?」
「いや無理だからね」
「……さみしい」
「……」

 そんなことを本気のトーンで言われてしまうと、兄ちゃんとしてはどうにかしてやりたくなってしまう。

「……学園の近くまで送ってくよ」
「!」
「流石に入学式は参加出来ないよね」
「そうね、学生だけみたい」
「入学式の後ってなんかある?」
「今日は入学式だけね、挨拶とかは明日から」
「じゃあ入学式終わるまで近くで待ってるよ」
「ほんとですかー!?やったあ」

 まあ初日くらいは甘やかしても罰は当たらないだろう。
 妹に泣かれたり喜ばれたりしたら弱いのが兄ちゃんなのだ。

「準備してきます!」
「うん、着替えといで」

 朝食の片付けをしながら、3人が準備を終わらせるのを待つ。
 制服は見たけど、着たところはまだ見てない。
 ルルは制服似合わなそうだな……と考えて1人で笑ってしまった。

「どうですか?おかしくないですか?」

 紅い髪飾りをつけ、先日果穂とお揃いで買ったアクセサリーで耳元で髪を括った果穂がくるっと一回りする。
 うんかわいい。制服に着せられてる1年生そのものの初々しさが頬を緩ませる。
 ……なんか最近親を超えて孫を見る気持ちにも近いような気がしてきた。

「かわいいかわいい、似合ってるよ」
「えへへ、制服久し振りです」
「同じ制服なのにカホが着るとかわいいわね」

 どうやらララとルルも準備が終わったようだ。
 ……スカートが短い。ぎょっとしてしまった。

「……ララも似合ってるけど……スカート短くない?」
「動きやすくて」
「動きやすいだろうけど……その、捲れるよ」
「あたしには鉄壁の魔法があるから大丈夫よ!」

 謎の自信。尻尾が揺れてる。
 でも年頃の男子生徒には刺激が強いのでは……いや、結構露出高い人もいるからこれくらいは全然許容範囲なのだろうか。
 ……でも百花には短パンとか履いててほしい。

「そろそろ出るぞー」

 予想通りあまり似合ってないルルが皆に声を掛ける。
 1番に反応した果穂が走ってルルの背中に飛び乗った。

「おい果穂」
「いいぞ、どうせそこまでだし。カホなんて乗っけてるのもわからないくらいだしな」
「ねーっ」

 全く、果穂は4人に甘やかされることに慣れてしまったようだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界に行った、そのあとで。

神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。 ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。 当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。 おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。 いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。 『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』 そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。 そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!

【完結】平民聖女の愛と夢

ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する

白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。 聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。

処理中です...