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生きていく街
よんじゅうご
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「おにくだ~!」
「すごおい、おいしそう!」
「これぼくたちが食べていーの!?」
「今日お昼に作りすぎちゃって~、うちに料理好きの子がいて消費が追いつかないんですー、もし宜しければ皆で食べて下さーい」
結局、何にも、なーんにも、思いつかなかった。
すぐに出来ることといえば食事の差し入れをすること。たったそれだけ。
昨日の滞在時間は数分だった。もうちょっとどういう感じか見てみたかった。
何かのヒントになるかもしれないし。
「気になさらいで良かったのに」
「いやっ、その、ほんとに!ほんとに作り過ぎただけなんで!」
「ふふ、そういうことにしておきましょうか。ありがとうございます」
「ねえ!これおにーちゃんがつくったの!?」
先生と話をしてると、裾を引っ張られて振り返る。
昨日の女の子だった。
「うん、おにーちゃんとその家族で作ったよ」
「すごいね!きょうパーティみたい!」
「良かった」
「あのね、きのうのけーきもね、みんなでたべたの!おいしかった!ありがとう!」
「ケーキ作ってくれたお姉さんに伝えておくね」
「うん!」
笑顔で頷き、僕に隠れてる果穂にも、ありがとうね!と伝えた。
大人相手にはぐいぐい行くのに、同年代だとどうして照れちゃうんだろうな。昨日は意地でもカップケーキ食わしてやる、くらいの気持ちだったのに。
「皆ご飯の用意ですよお、はいお片付けして、食器を出して下さいねえ」
「やったー!」
「ごはんごはん~」
果穂くらいの子から、百花くらいの子までいる。先生は2人。
先生以外は皆子供か。当たり前だけど。
「お2人りも一緒に食べていかれますよねえ?」
「あ、食器とかあれば……」
「大丈夫です大丈夫です、座って待ってて下さいね」
「いえいえ手伝います!」
隣に立って、何をするか訊くと、ではお鍋を温めて下さいとのこと。
あまり手伝いになってない気がするが、鍋をかき混ぜながら、先生に話し掛けてみる。
「あの、昨日のことなんですが」
「昨日の……あぁ」
「考えてみたんですけど、その、何も思いつかなくて」
「……そんなものですよ、私達だってどうしようもないのです、でも昨日も言ったでしょう、こういうことは、どうにかなるものなんですよ」
さあ、もう温まったでしょう、食事にしましょうね、とやんわり言われ、大人と子供の考えの差を痛感した。
「おいしかったあ」
「おにーちゃんありがとう!」
「ありがとーございます!」
「ねえ、もうかえる?あそんでく?」
「あそぼあそぼー」
「わたしもー!」
食事後、子供達にせがまれてどうすればいいか迷っていると、先生に宜しければ外で遊んで頂ければ、と言って貰えたので、予定も何もない暇な兄ちゃんは元気に外で遊ぶことにする。
建物は大きくないが庭……庭なのか?外で遊べるスペースは広い。
果穂相手のようにおもちゃを出してやる訳にはいかないので、追いかけっことかボール遊びをする。
地味な遊びだが、子供達は喜んでくれた。
先生達はこういう体力勝負はしてくれないのかもしれない。
果穂も、最初はおずおずしていたものの、暫くすると、保育園で見たような元気な姿で走り回っている。
友達が出来たようだよかったなあ、そう思ってると、おにーちゃん危ない!という声がした。
え、と前を向い向くと、ボールが今まさに頭に向かって飛んでくるところだった。
「おっ……と」
「!」
危ない。
子供の投げたボールだからそんなに大事にはならないと思うが、思わず風魔法で上に上げてしまった。
やはり人間、自然に魔法が使えるとこうやってなんでもないことで使ってしまうようになるんだな……
「すっげー!」
「おにーちゃんまほーかっこいい」
「ぶわーって!もういっかいみたい!」
「えっ、え?そんなにすごいものではないでしょ?」
「わたしたちそんなに魔力ないもん」
「……え?」
木陰で本を読んでいた女の子が刺々しい声で言う。
昨日の2人の女の子の内、少しお姉さんの方だ。
子供相手に間抜けな声が出てしまった。
「わたしたち、魔力、低いの。だから捨てられたんだよ」
鋭い声に、明るかった子供達の顔が暗くなった。
馬鹿、そんなこと言うもんじゃない、そう怒りたいけど、彼女もまだ7歳位の子供だ、自分で言って、自分で傷付いている。
ちょっとした地獄だ。
僕の言葉次第で皆の涙腺が決壊する可能性がある。
傷付けないように、でもあからさまな嘘だと取られないように……なんて言えばいいんだ?
そう考えてると、きょとんとした顔の果穂が、にーにも一緒だよ、と言う。
「え?」
「にーにもまりょくひくいってゆってた!」
「うそだあ、いますごかったよ!」
「ぼくあんなの出来ないよ」
「どうやったらそんなになれるの!?」
「あたしもやりたい!」
子供達がどっと寄ってくる。
こういうのはララが得意であって、僕には魔力とかなんも見えない。教えられる立場であって、教える立場じゃない。
そのララの教えさえ、毎日魔力を使い切って器を大きくしろ、以上!な状態だ。
更に僕には果穂という強制充電がついてるけど、この子達の場合は寝て魔力を回復するしかない。
そうなると、夜に魔力を使い切って、それから寝て回復……
でもそれを外でしたら誰が寝室に運ぶんだっていう話になる訳で……
「すごおい、おいしそう!」
「これぼくたちが食べていーの!?」
「今日お昼に作りすぎちゃって~、うちに料理好きの子がいて消費が追いつかないんですー、もし宜しければ皆で食べて下さーい」
結局、何にも、なーんにも、思いつかなかった。
すぐに出来ることといえば食事の差し入れをすること。たったそれだけ。
昨日の滞在時間は数分だった。もうちょっとどういう感じか見てみたかった。
何かのヒントになるかもしれないし。
「気になさらいで良かったのに」
「いやっ、その、ほんとに!ほんとに作り過ぎただけなんで!」
「ふふ、そういうことにしておきましょうか。ありがとうございます」
「ねえ!これおにーちゃんがつくったの!?」
先生と話をしてると、裾を引っ張られて振り返る。
昨日の女の子だった。
「うん、おにーちゃんとその家族で作ったよ」
「すごいね!きょうパーティみたい!」
「良かった」
「あのね、きのうのけーきもね、みんなでたべたの!おいしかった!ありがとう!」
「ケーキ作ってくれたお姉さんに伝えておくね」
「うん!」
笑顔で頷き、僕に隠れてる果穂にも、ありがとうね!と伝えた。
大人相手にはぐいぐい行くのに、同年代だとどうして照れちゃうんだろうな。昨日は意地でもカップケーキ食わしてやる、くらいの気持ちだったのに。
「皆ご飯の用意ですよお、はいお片付けして、食器を出して下さいねえ」
「やったー!」
「ごはんごはん~」
果穂くらいの子から、百花くらいの子までいる。先生は2人。
先生以外は皆子供か。当たり前だけど。
「お2人りも一緒に食べていかれますよねえ?」
「あ、食器とかあれば……」
「大丈夫です大丈夫です、座って待ってて下さいね」
「いえいえ手伝います!」
隣に立って、何をするか訊くと、ではお鍋を温めて下さいとのこと。
あまり手伝いになってない気がするが、鍋をかき混ぜながら、先生に話し掛けてみる。
「あの、昨日のことなんですが」
「昨日の……あぁ」
「考えてみたんですけど、その、何も思いつかなくて」
「……そんなものですよ、私達だってどうしようもないのです、でも昨日も言ったでしょう、こういうことは、どうにかなるものなんですよ」
さあ、もう温まったでしょう、食事にしましょうね、とやんわり言われ、大人と子供の考えの差を痛感した。
「おいしかったあ」
「おにーちゃんありがとう!」
「ありがとーございます!」
「ねえ、もうかえる?あそんでく?」
「あそぼあそぼー」
「わたしもー!」
食事後、子供達にせがまれてどうすればいいか迷っていると、先生に宜しければ外で遊んで頂ければ、と言って貰えたので、予定も何もない暇な兄ちゃんは元気に外で遊ぶことにする。
建物は大きくないが庭……庭なのか?外で遊べるスペースは広い。
果穂相手のようにおもちゃを出してやる訳にはいかないので、追いかけっことかボール遊びをする。
地味な遊びだが、子供達は喜んでくれた。
先生達はこういう体力勝負はしてくれないのかもしれない。
果穂も、最初はおずおずしていたものの、暫くすると、保育園で見たような元気な姿で走り回っている。
友達が出来たようだよかったなあ、そう思ってると、おにーちゃん危ない!という声がした。
え、と前を向い向くと、ボールが今まさに頭に向かって飛んでくるところだった。
「おっ……と」
「!」
危ない。
子供の投げたボールだからそんなに大事にはならないと思うが、思わず風魔法で上に上げてしまった。
やはり人間、自然に魔法が使えるとこうやってなんでもないことで使ってしまうようになるんだな……
「すっげー!」
「おにーちゃんまほーかっこいい」
「ぶわーって!もういっかいみたい!」
「えっ、え?そんなにすごいものではないでしょ?」
「わたしたちそんなに魔力ないもん」
「……え?」
木陰で本を読んでいた女の子が刺々しい声で言う。
昨日の2人の女の子の内、少しお姉さんの方だ。
子供相手に間抜けな声が出てしまった。
「わたしたち、魔力、低いの。だから捨てられたんだよ」
鋭い声に、明るかった子供達の顔が暗くなった。
馬鹿、そんなこと言うもんじゃない、そう怒りたいけど、彼女もまだ7歳位の子供だ、自分で言って、自分で傷付いている。
ちょっとした地獄だ。
僕の言葉次第で皆の涙腺が決壊する可能性がある。
傷付けないように、でもあからさまな嘘だと取られないように……なんて言えばいいんだ?
そう考えてると、きょとんとした顔の果穂が、にーにも一緒だよ、と言う。
「え?」
「にーにもまりょくひくいってゆってた!」
「うそだあ、いますごかったよ!」
「ぼくあんなの出来ないよ」
「どうやったらそんなになれるの!?」
「あたしもやりたい!」
子供達がどっと寄ってくる。
こういうのはララが得意であって、僕には魔力とかなんも見えない。教えられる立場であって、教える立場じゃない。
そのララの教えさえ、毎日魔力を使い切って器を大きくしろ、以上!な状態だ。
更に僕には果穂という強制充電がついてるけど、この子達の場合は寝て魔力を回復するしかない。
そうなると、夜に魔力を使い切って、それから寝て回復……
でもそれを外でしたら誰が寝室に運ぶんだっていう話になる訳で……
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