51 / 66
2人の聖女様
ごじゅういち
しおりを挟む
「最近、学園にもあまり来ないですね」
「えっ」
「来られても少しだけで……顔色が良くないです」
「お城の中が大変みたいね、大っぴらにはなってないけど」
「何かあったのでしょうか」
相変わらずクラスの中でも聖女様は関わることが少ないようで、百花も詳しいことは知らなかった。
ルル達は噂として、お城の話題を出してきた。
どうやら王子が倒れたとのこと。
出来るだけ関わらないようにしてたから、王子がいるとも知らなかった。
「あくまでも推測らしいけどね、原因不明だか難病だかの第1王子の看病をしてるらしいわ」
「聖女っつーのはぱっぱと治すイメージがあったんだけどな」
「それは結局個人差もあるでしょ、聖女様が皆全く同じ能力同じ魔力って訳でもないわ」
「あの子は聖女の力は弱い方なんかねえ」
ララとルルの会話に冷や汗が出る。
今のカレンの気持ちを考えると辛い。
自分の持てる力の全てを使って治そうとしてるのに治らない、本当に聖女なのか?今までの聖女様と違うぞ、と思われてるんじゃないか、カレンがそう考えていたら追い詰められてないか。
薔薇園で泣いていたカレンを思い出す。
あの時もプレッシャーで押し潰されそうだったんじゃないか。
少し前まで普通の女の子だった15歳の子が、急に聖女だなんだと祭り上げられて、聖女ならこれをしろあれをしろ、それが出来て当たり前、急にそんなプレッシャーをかけられて耐えられる女の子はそうそういないだろう。
聖女とはいえ大人が守るべきではないか。向こうの世界では15歳はまだまだ子供だ。僕達だって子供だ。
力を持っていても、精神的に守られておかしくないと思うんだけど。
連絡を取れないかな、そう思って、連絡を取ってどうするんだよ、と自分で突っ込む。
こちら本物の聖女です、と果穂を出す訳にはいかない。
果穂なら治せそうな気もする。でもそれをしたら最後、果穂は連れていかれるだろう。
カレンみたいになったら離れ離れにされてしまう。
でもカレンを生贄として差し出してる状態ではないか。
「なんかいい方法ないかな……」
「なんでユートが泣きそうなのよ」
「いや、果穂と重ねてしまって」
「そもそも隠してるつもりみたいだからねえ……原因とかがわかれば治す方法も探せるかもしれないけど、実際どんな理由で倒れてるのかわからないし、怪我かもしれないし、情報がないと何も出来ないわよね」
「原因がわかればどうにかなるかな」
「それはわかんないわよ、病気なら薬草とかでどうにかなるかもしれないし、王室でどうにも出来ないんなら難病かもしれないし、新しい病気かもしれない、そしたら調べても難しいし、やっぱりまずは情報ね」
「会いに行ったら会ってくれるでしょうか」
「どうかしらねえ、その王子の容態次第だと思うけど……付きっきりなのか、休みは与えてるのか、時間毎に訪問してるのか……」
聖女様の部屋はお城にあるらしい。つまり訪問しても会わせて貰えないかもしれない。
「忍び込むしかないか……」
「お前面白いこと言うな」
「面白くないわよ、お城に忍び込むとか馬鹿なの」
「捕まっちゃいますよ~」
「なんかこう……姿が消える魔法とか……アイテムとか」
「ないわよ」
「ないかー」
空を飛ぶとか、ワープするとか……
いやカレンの部屋がわからないから無理だ、そもそも空飛べたりしないけど。
「あっ」
「うわびっくりした、どうした百花」
「すみません……でもあの、今度の花祭り、聖女様のご挨拶あるって」
この街は祭りが多い。
その中でも割合大きな祭りだと孤児院の先生に聞いた。
そこにカレンが挨拶に来る。そこで会える。
「でも来るかね」
「王子が倒れたのを隠したいなら挨拶だけは来るんじゃないかしら」
「そこを取っ捕まえればいい訳だな!」
「獲物みたいに言うんじゃないわよ」
「でもそんな簡単に行くでしょうか」
「別にそこで捕まえなくてもいいから大丈夫よ」
「え?」
「手紙でも渡せれば十分よ、後日会えるようにとか、何かしら次に繋がればいいのよ、まあその連絡がなければ無駄になるからその場で話出来ればいいけど、聖女様を逃がす訳には行かないから見張りも多いでしょうしね」
「なるほど天才か」
「これくらいでそう言われると馬鹿にされてるみたいだからやめて」
「馬鹿にしてないです!流石ララさんです!」
モモカが気付いてくれたからよと頭を撫でながら、忍び込むよりは現実的でしょ、と笑う。
「でも渡せるでしょうか、見に来る人も多いし、その見張りの人も多かったら渡せないかも……」
「何言ってんのよ、百花に大活躍してもらうわよ」
「……え?」
なるほど、百花の魔法なら何人何十人と人手が増える。
しかもかわいい。
いやそういう話じゃなくて。
僕やルルが近付くより、同じクラスで無害そうな女の子が近付く方が見張りの目も緩くなるってもんだ。
「僕達も一応頑張るけど……でも頼んだよ百花!」
「ふ、不安です~!」
「大丈夫大丈夫、学園でも色々頑張ってるんだよね?百花ならいける!」
「だめでも怒らないで下さいね~」
泣きそうな顔で言う百花に笑顔で頷いてみせた。
「えっ」
「来られても少しだけで……顔色が良くないです」
「お城の中が大変みたいね、大っぴらにはなってないけど」
「何かあったのでしょうか」
相変わらずクラスの中でも聖女様は関わることが少ないようで、百花も詳しいことは知らなかった。
ルル達は噂として、お城の話題を出してきた。
どうやら王子が倒れたとのこと。
出来るだけ関わらないようにしてたから、王子がいるとも知らなかった。
「あくまでも推測らしいけどね、原因不明だか難病だかの第1王子の看病をしてるらしいわ」
「聖女っつーのはぱっぱと治すイメージがあったんだけどな」
「それは結局個人差もあるでしょ、聖女様が皆全く同じ能力同じ魔力って訳でもないわ」
「あの子は聖女の力は弱い方なんかねえ」
ララとルルの会話に冷や汗が出る。
今のカレンの気持ちを考えると辛い。
自分の持てる力の全てを使って治そうとしてるのに治らない、本当に聖女なのか?今までの聖女様と違うぞ、と思われてるんじゃないか、カレンがそう考えていたら追い詰められてないか。
薔薇園で泣いていたカレンを思い出す。
あの時もプレッシャーで押し潰されそうだったんじゃないか。
少し前まで普通の女の子だった15歳の子が、急に聖女だなんだと祭り上げられて、聖女ならこれをしろあれをしろ、それが出来て当たり前、急にそんなプレッシャーをかけられて耐えられる女の子はそうそういないだろう。
聖女とはいえ大人が守るべきではないか。向こうの世界では15歳はまだまだ子供だ。僕達だって子供だ。
力を持っていても、精神的に守られておかしくないと思うんだけど。
連絡を取れないかな、そう思って、連絡を取ってどうするんだよ、と自分で突っ込む。
こちら本物の聖女です、と果穂を出す訳にはいかない。
果穂なら治せそうな気もする。でもそれをしたら最後、果穂は連れていかれるだろう。
カレンみたいになったら離れ離れにされてしまう。
でもカレンを生贄として差し出してる状態ではないか。
「なんかいい方法ないかな……」
「なんでユートが泣きそうなのよ」
「いや、果穂と重ねてしまって」
「そもそも隠してるつもりみたいだからねえ……原因とかがわかれば治す方法も探せるかもしれないけど、実際どんな理由で倒れてるのかわからないし、怪我かもしれないし、情報がないと何も出来ないわよね」
「原因がわかればどうにかなるかな」
「それはわかんないわよ、病気なら薬草とかでどうにかなるかもしれないし、王室でどうにも出来ないんなら難病かもしれないし、新しい病気かもしれない、そしたら調べても難しいし、やっぱりまずは情報ね」
「会いに行ったら会ってくれるでしょうか」
「どうかしらねえ、その王子の容態次第だと思うけど……付きっきりなのか、休みは与えてるのか、時間毎に訪問してるのか……」
聖女様の部屋はお城にあるらしい。つまり訪問しても会わせて貰えないかもしれない。
「忍び込むしかないか……」
「お前面白いこと言うな」
「面白くないわよ、お城に忍び込むとか馬鹿なの」
「捕まっちゃいますよ~」
「なんかこう……姿が消える魔法とか……アイテムとか」
「ないわよ」
「ないかー」
空を飛ぶとか、ワープするとか……
いやカレンの部屋がわからないから無理だ、そもそも空飛べたりしないけど。
「あっ」
「うわびっくりした、どうした百花」
「すみません……でもあの、今度の花祭り、聖女様のご挨拶あるって」
この街は祭りが多い。
その中でも割合大きな祭りだと孤児院の先生に聞いた。
そこにカレンが挨拶に来る。そこで会える。
「でも来るかね」
「王子が倒れたのを隠したいなら挨拶だけは来るんじゃないかしら」
「そこを取っ捕まえればいい訳だな!」
「獲物みたいに言うんじゃないわよ」
「でもそんな簡単に行くでしょうか」
「別にそこで捕まえなくてもいいから大丈夫よ」
「え?」
「手紙でも渡せれば十分よ、後日会えるようにとか、何かしら次に繋がればいいのよ、まあその連絡がなければ無駄になるからその場で話出来ればいいけど、聖女様を逃がす訳には行かないから見張りも多いでしょうしね」
「なるほど天才か」
「これくらいでそう言われると馬鹿にされてるみたいだからやめて」
「馬鹿にしてないです!流石ララさんです!」
モモカが気付いてくれたからよと頭を撫でながら、忍び込むよりは現実的でしょ、と笑う。
「でも渡せるでしょうか、見に来る人も多いし、その見張りの人も多かったら渡せないかも……」
「何言ってんのよ、百花に大活躍してもらうわよ」
「……え?」
なるほど、百花の魔法なら何人何十人と人手が増える。
しかもかわいい。
いやそういう話じゃなくて。
僕やルルが近付くより、同じクラスで無害そうな女の子が近付く方が見張りの目も緩くなるってもんだ。
「僕達も一応頑張るけど……でも頼んだよ百花!」
「ふ、不安です~!」
「大丈夫大丈夫、学園でも色々頑張ってるんだよね?百花ならいける!」
「だめでも怒らないで下さいね~」
泣きそうな顔で言う百花に笑顔で頷いてみせた。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
【完結】平民聖女の愛と夢
ここ
ファンタジー
ソフィは小さな村で暮らしていた。特技は治癒魔法。ところが、村人のマークの命を救えなかったことにより、村全体から、無視されるようになった。食料もない、お金もない、ソフィは仕方なく旅立った。冒険の旅に。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
異世界召喚された巫女は異世界と引き換えに日本に帰還する
白雪の雫
ファンタジー
何となく思い付いた話なので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合展開です。
聖女として召喚された巫女にして退魔師なヒロインが、今回の召喚に関わった人間を除いた命を使って元の世界へと戻る話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる