【完結】幼い義妹が聖女なのは内緒でお願いします

ほんだし

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2人の聖女様

ろくじゅうさん

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「……?」

 頭がぼんやりする。
 一瞬、どこだここ、と思ってから、見慣れた自分の部屋だと気付く。
 あれ、昼寝でもしてたっけ。今何時……
 左を向くと、すぐ近くに果穂の顔。
 すやすやと寝息を立てている。
 寒くないだろうか、と布団を掛けようとして起き上がると、逆隣では百花がベッドに頭を載せて寝てるのに気付いた。
 皆してどうした、風邪引くぞ……と思ったところで、城でのことを思い出す。

 なるほど、魔力を使い切って気を失ったところを家まで運んでくれたんだな。
 ……無事に決着がついたのだろうか。

「……ん、」
「あ、百花起きた?大丈夫?寒くない?」
「……!」

 寝起きの顔がすぐに驚いた顔になり、それから顔を歪めて泣き出した。
 ぎょっとして、また大丈夫か訊くと、こっちの台詞です~!とわあわあ泣く。

「し、死んじゃったかと思いましたあ……ララさんたちは大丈夫って言ってたけど、ふ、ふつかも起きなくてえ……このままっ……起きなかったらどうしようってぇ……」

 わんわん泣く百花の涙を拭ってもう大丈夫だからね、と頭を撫でる。
 本当に妹が2人になったようだ。
 僕自身も死んだと思ったけど……かわいい妹達を置いて死ねないなあ。

 それにしても2日も倒れてたのか。
 果穂もまだ寝てるのだろうか。
 そう考えてると、視線でわかったのか、果穂ちゃんは昨日起きましたよ、と百花。
 じゃあ百花と一緒で、心配してくれてここで寝てるだけか。
 とても強い子だ、大丈夫だろうとはわかっていたけど。

「どうしたの!?ユート起きたの!?」

 ばたばたと走ってきたララも大きな声を上げる。
 おはようと返すと、ララまで泣きそうな顔になる。
 ただでさえ人が泣くと困るというのに、こんなに続いて女の子に泣かれてはおろおろしてしまう。

「あたしが……あんなこと言ったから……!」
「大丈夫!大丈夫だって!ほら見て!元気!僕超元気!ほら!あれが最適解だったんだよ!ね!」
「他に何も思い浮かばなくて……」
「ララ、落ち着いて、大丈夫だよ、泣かない泣かない、ね」
「泣いてないわよ!」
「……そっかー」

 泣いてるじゃんという突っ込みは止めておく。
 絶対に反抗してくるのがもうわかってるから。

「躰は全然大丈夫なんだけどさー、それより僕が倒れた後大丈夫だった?カレンとかさ……エリザ様とか」
「……ちゃんと話するわよ、でもその前に」
「?」
「ご飯食べたら?百花が色々用意してくれてるわよ」
「あっはいそうですね!温めて来ますね!」

 そうだそうだとぱたぱたとキッチンへ走っていく百花。
 その姿を見て、そういえば2日も寝てたということは2日も食べてないということで、そりゃあ腹減るよな、と気付いた。
 温かいものが食べたい。



「どうぞ!」
「わー美味そう、いただきます」
「かほもたべるー」
「はいどうぞー」

 果穂が倒れた時は胃に負担がかからないように消化の良いものを、と思ったけど、自分のことになるとまあ大丈夫だろうと思ってしまい、百花にはがっつり食べたいと伝えたので普通の食事が出てくる。
 温かくて美味い。
 最期に口に入れたのがあんな黒い得体の知れないものにならなくて良かった、食べ物美味い。百花のご飯美味い。
 起きてきた食いしん坊の果穂も並んでいただく。

「はー……美味い」
「おかわりありますよ!」
「一応2日食べてないんだからゆっくり食べなさいよね」
「俺も食いたくなってきた」
「用意しますね!」

 いつものような会話が安心する。
 話はまだ聞いてないものの、緊迫してない空気が、全て上手くいったんだな、と感じる。
 やっぱり平和が一番だ。

「ご馳走様!」
「はーい!お茶です!」
「いつもありがとうねえ」
「おばあちゃんみたいになってますよ」

 いやいや、いつも気が利く子でね、至れり尽くせりでね、お茶まで出てきたら落ち着いてしまうよね……

「いやだめだお腹いっぱいになったらまた寝そうだから早く話をしよう!」
「眠気覚ましの話じゃないのよ」

 呆れたように言うララをまあまあと宥めて、是非話を聞きたいですとお願いする。
 ひとつ溜息を吐いて、お茶で口を潤すと話をしてくれた。

 僕が倒れた後、城内はそりゃ大騒ぎ。
 エリザ様は捕獲され、カレンは話を聞かれ、騒ぎに乗じて僕と果穂を連れ帰ったとのこと。
 ……バレたら面倒臭いから有難い。

 その後はカレンから聞いた話だと付け加えられる。
 リュカ様は無事に全快、城内での体調不良者は特になし。
 エリザ様は第1王子を殺害し、第2王子を王位につかせたかったということを認め、実際に亡くなった医師達がいる以上赦されることはなく幽閉とのこと。
 ルイズ様は何も知らず、リュカ様からのお願いもあり、暫くは周りからの観察対象にはなるがそれ以外は何もなく、ただ本人は酷く落ち込んでいるらしい。それはそうだ。
 どうやら精霊士様も探されているらしいが、そこはカレンが誤魔化してくれたとのこと。

 リュカ様のことは基本的に伏せられていた為、街で騒がれることもなく、あくまでも城内で収まっているようで、僕と果穂が大人しくしてれば落ち着くのではないかという話だった。
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