【完結】幼い義妹が聖女なのは内緒でお願いします

ほんだし

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2人の聖女様

ろくじゅうよん

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 落ち着いたらまたカレンが挨拶をしたいと言われたとのこと。
 そうだな、疲れてない笑顔のカレンと会いたい。
 暫くはばたばたするだろうが、その内また学園に通ったり穏やかな生活になるだろう。
 聖女としての力も戻ったようだし、カレンも失っていた自信を取り戻せるんじゃないかな。
 ……そうあって欲しいというずるい気持ちと、もしカレンが本当に聖女が嫌なら逃げる手伝いをしてあげたい気持ちもある。
 僕達だけ逃げるのは罪悪感だってある。
 ……でもあの子は逃げたりしないような気もする。

 あの響く声を思い出す。
 いずれは果穂を聖女にしないといけない。
 カレンは15歳だ。15歳の女の子にあの重荷を背負わせるのか。
 15歳の果穂に同じことをさせたいか。
 させたくはない。

 あと10年。
 それまでに果穂がどう育つかはわからない。
 自分の力を理解して、自ら聖女になると言うかもしれないし、聖女になんかなりたくないと言うかもしれない。

 本当に聖女になりたいのか?どうして?
 聖女になりたくないなら何になろうか、どうやって生きていこうか。

 僕が果穂と話し合わないといけない。果穂の保護者なのだから。
 果穂の将来のこと、この世界のこと。
 僕とは違い、果穂はまだまだこの世界に馴染める歳だ。
 本人が嫌がらなければ学園にも行かせたいし、やりたいことがあればそれもやらせてあげたい。
 旅行とかは無理でも、行けるとこには連れていきたいし、美味しいものもたくさん食べさせたい。

「……眠くなってきちゃったな」
「そうね、まだ体力持たないでしょう、ゆっくり休んだら良いわ」
「うん」
「かほもー!だっこー」

 腕を伸ばす果穂を抱えて自室に戻る。
 この重みをいつまで抱えることが出来るだろうか。
 先の見えないこの世界で、どこまで好き勝手に生きれるだろうか。
 ……いつまで果穂と一緒にいれるだろうか。

「にいに」
「んー?」
「あのねえ、かほね、ゆめみたよ」

 ベッドに下ろし、寝かしつけてるとそんなことを言うもんだからどきりとしてしまう。
 まさか、と思うとそのまさかだった。

「まっしろのまぶしーとこいてね、かほね、せかいをたすけるんだって」
「……」
「すごいよねえ、まほうつかいみたいねえ」

 まさにその世界なんだけどな。

「……果穂は世界を助けたいの?」
「うーん、わかんない」
「そっか」
「でもみんながいたいのはやだよ」
「痛いの治してあげたい?」
「うん!」

 ……いい笑顔だ。
 まだ子供だからわかってないだけだって思いたい。
 良い子なんだ。まだ純粋な子なんだ。
 認めたくないけど、めちゃくちゃ嫌だけど。
 この子はカレンのように、聖女になることを選ぶ気がする。

 というか、よっぽど自分本位じゃなければ、あんな力があれば使うのか普通で、悪の道より人を救う道にいくのが普通なんだよなあ……

「でもね、かほはにいにがいちばんすきだから、いちばんたすけるのはにいにだからね」

 内緒話をするように、果穂がこっそりと言い、にっこり笑う。
 打算も何もない、純粋な子供の気持ち。
 色々考えていたのが浄化されるようだ。

「兄ちゃん考え過ぎなのかなあ……」
「?」
「兄ちゃん果穂が悲しい目にあったら、寂しい目にあったら嫌だよ」
「かほもやだよお」
「だよなあ、だからずっと兄ちゃんの傍にいて守られてて欲しいって思うのはだめなのかなあ、果穂の成長の邪魔してるのかな」

 果穂の小さい手のひらが僕の頭に触れる。
 いつも自分がされてるように、よしよしと撫でて、瞳を細めた。

「かほはずうっとにいにといっしょだよ、ずーっといっしょ」
「うん……」
「ずっとずうっとかほをまもってね、にいにはかほがまもってあげる!」

 もう既に果穂には沢山たくさん守って貰ってる。
 果穂がいなかったら僕はもう死んでいたかもしれない。
 前の世界からずっと、果穂が僕に笑顔をくれて、生きる意味をくれて、これからのことを考えさせてくれる。

 だから僕も、果穂に未来を見て欲しい。
 楽しいことをして、たまには悩んで、大人になって、自分で選んで、世界を守って欲しい。

 僕が選ぶんじゃなくて、自分で。
 果穂が自分で自分の未来へ歩いて行く、僕はその手伝いをしながら、自分の道を探さないといけない。

 この世界は果穂が救う世界。
 救うことを使命とされた世界。
 あの声の通りにいくのは少し癪だが、僕がここに無理矢理来た使命。
 果穂を守り、成長させること。

 僕のかわいい妹が聖女になるまで。
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