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第53話 予想外の襲来
しおりを挟む俺はラインさんや他の人たちに呼びかけて、死地で生活している人たちを『家電量販店』内に避難させてから、アリスと共に特定小型原付に乗って魔物たちのもとへと向かった。
カグヤのタブレットに映し出されていた映像は、一番遠くに設置したペット監視カメラの映像だったので、特定小型原付に乗って移動をすることにしたのだった。
しばらく特定小型原付で走っていると、迫ってくる魔物たちとそれを迎撃しているお掃除ロボットの姿が見えてきた。
すると、そこには数十いたはずの魔物の群れの半分以上がすでに倒されてしまっていた。それどころか、魔物たちも統率を失くしたように逃げ回っている。
「あれ? もしかして、圧倒してる?」
「そうみたいですね。私たちが来なくてもよかったかもしれません」
俺たちは近くに特定小型原付を止めて、お掃除ロボットにやられていく魔物たちを見てそんな言葉を呟いていた。
ラキスト兄さんが『調教』できるほどの魔物だから、そんなに強い魔物はいない。それでも、これほど簡単に倒してしまうとは思いもしなかった。
まさか、ここまでお掃除ロボットたちの性能がよかったとは……
ビーッ、ビーッ!!
そんなことを考えていると、突然魔物たちと戦っているお掃除ロボットの上に乗っているペット監視カメラから警戒音が鳴りだした。
初めて聞くブザーのような音に俺は動揺を隠せずにいた。
「な、なんだこの音は」
『大型魔物接近中、大型魔物接近中、大型魔物接近中!!』
「大型魔物?」
俺がその声に首を傾げていると、突然砂漠と化している死地の地面から、棘のような鱗を持つ大きなイグアナのような魔物が飛び出してきた。
いや、二十メートルくらいある鱗付きの魔物ってイグアナというか、恐竜にしか見えないんだけど!
「ギシャアア!!」
そして、その魔物はお掃除ロボットに倒されている魔物を一心不乱に食べていった。
辺りに肉片を飛び散らせたり、まだ息のある魔物の頭を食いちぎったりと、かなり惨い食べ方をしている。
「仲間割れ? いや、ラキスト兄さんがあんな強そうな魔物を『調教』できるはずがない。ということは、あれは野生の魔物なのかな?」
俺は辺りを見渡して辺り、お掃除ロボットが倒した死体がそのままになっていたことに気がついた。そして、その周りには血が飛び散っている。
なるほど、大量の血の匂いに釣られてやってきたってところかな。
「ギアアアッ」
俺が現状を確認していると、魔物の死体を食べていたイグアナのような魔物が顔を上げて俺達の方を見てきた。
それから、血走った目で俺たちを睨んでから、大きな咆哮を上げてこちらに突っ込んできた。
「旦那様! 私の後ろに!」
「いや、俺が前に出るよ。アリスは好きを見て大きなダメージを与えて」
俺はランドセルを下ろすと、そこからガサゴソと目的の物を探す。
「俺もただ『家電量販店』に籠っていたわけじゃないからね」
俺はそう言ってお掃除ロボットを二台と、サブマシンガンタイプのエアガンを取り出した。
そして、俺は一台のお掃除ロボットに乗って、空を飛びながらイグアナのような魔物に向かって飛んでいった。
「だ、旦那様!」
心配そうなアリスの声を聞きながら、俺はイグアナのような魔物にサブマシンのエアガンを構えた。
「バッティングセンターを仕様変更して作った射撃場で鍛えた腕を見せてやる」
俺はニヤッと笑みを浮かべてから、イグアナのような魔物に向かって引き金を引く。
ガガッ、ガガガッ!!
「ギアアアッ!」
すると、弾が着弾した先から血しぶきが飛び散った。俺は攻撃が入ることを確認してから、そのまま空を飛びながら引き金を引き続ける。
「ギシャアア!!」
イグアナのような魔物は痛みで顔を歪めてから、足を止めて俺の方に振り向いた。それから、近くにあった大岩に尻尾を叩きつけて、大岩の一部を俺の方抜けて飛ばしてきた。
『ゴミを感知しました。清掃します』
すると、そんな音声が流れてから、俺が乗っているお掃除ロボットの両脇から鉄筒のような物が飛び出てきた。
お掃除ロボットはテキストを表示する感じだと不便だったから、音声が流れるようにしよう変更しておいたのだ。
ボシュッ、バシュッ!!
そして、飛んできた岩に向けて何かが数度発射されて、飛んで岩を木っ端みじんにした。
俺はその破片を食らわないように空中でひらりとかわす。
「おっとと、危ないところだった」
「……旦那様に手を上げるなんて万死に値します」
俺がサブマシンのエアガンを構え直すと、突然イグアナのような魔物の腹の下の方から鈍い音が聞こえてきた。
「ギシャアア!!」
何度も聞こえてくる鈍器で殴っているような音と、痛がって暴れる魔物の姿から、魔物のの腹の方で何が起きているのか安易に想像ついた。
これ、アリスがデッキブラシで魔物をぶん殴っている音だ。
なんか俺がサブマシンのエアガンで攻撃している以上に、イグアナのような魔物がいたそうな顔をしているような気がするけど、気のせいかな?
とりあえず、アリスに流れ弾が当たらないように頭の方とか尻尾の方を狙うようにしよう。
そう考えて部位を分けてしばらく攻撃をしていると、魔物が悲鳴を上げてその場に倒れ込んだ。
あれ? そういえば、さっきまで近くにいた他のお掃除ロボットはどこにいるんだ?
そう考えて、イグアナのような魔物以外の魔物戦っていたお掃除ロボットの方を見ると、そこにいたはずのお掃除ロボットたちはいなくなっていた。
『ご主人様! アリス! 一旦退いて!』
「え?」
空からカグヤの声が聞こえた気がして空を見上げると、俺たちの上空にさっきまで他の魔物と戦っていたお掃除ロボットがいた。
ずらりと隊列を組まれたように並んでおり、両脇から鉄筒のようなものをイグアナのような魔物に向けて構えている。
俺はこれから起こることを想像して、慌ててその場から逃げるように移動した。
「アリス! 一旦離れるぞ!」
「え? は、はい!」
アリスはひょこっとイグアナのような魔物の腹から顔を出して、空に並んでいるお掃除ロボットを見て顔をひきつらせた。
それから、アリスは慌てたように走ってイグアナのような魔物から距離を取る。
それを見たイグアナのような魔物は、振り返って空を見ようとしたがすでに遅すぎた。
『ご主人様を傷つけようだなんて、許さないから。「一斉射撃」』
カグヤの冷たい声が聞こえたと思った次の瞬間、イグアナのような魔物は空から一世に射撃されて断末魔のような声を上げた。
「ギシャアア!!」
銃声のような音とともに上がった悲鳴が収まった頃、イグアナのような魔物は大きな音を立ててその場に倒れ込んだ。
そして、そのまま動かなくなってしまった。
「お、終わったのかな? ん?」
俺が遠目からイグアナのような魔物の顔を覗いて、その目が普通ではない目をしていたことに気がついた。
その目は黒目の位置も分からないほど真っ赤になっていて、どこを見ているのかも分からない。
俺が眉間にしわを入れてその魔物の見続けていると、ゆっくりとイグアナのような魔物は体を起こした。
「あれだけの攻撃を食らって、生きてるんですか?」
「いや、ありえない。何かがおかしいよ、こいつ」
信じられないものを見る目でイグアナのような魔物を見るアリスの言葉に首を横に振って、俺は力強くその魔物を睨む。
それから、俺はラキスト兄さんが無理やり魔物を従わせようと高価な魔石を使って、魔物を無理やり従わせていたことを思い出していた。
死んでも動こうとするその姿は、当時ラキスト兄さんが無理やり『調教』のギフトで従わせようとしていた魔物と重なるものがあった。
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