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問3 条件による分岐を辿れ
答3-3
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俺は引いたカードを即座にアクティブ化する。
手足を地に付け、地に伏せたような格好から首だけを前に向けて大きく息を吸い込んだ。
「ぐわおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」
あー、もうやだこのカード。
大声で息が切れるまで叫ばなければいけないのがそもそもダサくてすげー嫌なのに、格好は四つん這いだ。あまり人前で撃ちたくはない。
だが、このカードは発動に必要なアクションが猛烈に恥ずかしいことを除けば強力だ。
俺が叫んだ後に広がった光景は、ずいぶん風通しが良くなっていた。
残りのふすまを全て叩き破り奥の壁まできっちり届いた破壊の痕跡は、このカードを使う理由としては十分だった。
【獣王の咆哮】
主な効果は「無生物の破壊」。叫ぶ時間に応じて威力が上がり、顔を向けた先に数m幅の破壊の波動を撃ち込める。
その代わり敵に与えるダメージ量はほとんどなく、叫んでいる間だけ足止めが出来る程度の効果だ。
余談だが、別に「がおー」と叫ぶ必要はなく、みずちはこのカードを使う時に「にゃー!」とか「やっほー!」とか、四つん這いで楽しそうに叫んでいた記憶がある。
ふすまが破られた事により、残りの部屋からもどんどんエネミーがポップし、俺にターゲットを定め蠢き始めた。
頃合いだ。
右手を上げてみずちに合図しようとし、上げきるかどうかというタイミングで背後から最大に溜まった【老師の秘奥義】が俺の全身を通り抜けた。
「ポーズ決まってから撃ってくれよ」
俺は振り返りながらみずちに声をかけた。
「え? ぐわぉーっ! って決まってたよ?」
「そこじゃねーよ」
たたたた、と駆け寄ってきたみずちと合流し、先に進む。
部屋を全て貫き一つの大部屋になってしまった空間には、小さなきらめきへと霧散していくエネミーの残骸がゴロゴロと転がっていた。
残されたドロップアイテムは後で自動的に分配される。このイベント部屋はまとめて倒すのが容易なので、俺達にとってはただのボーナスステージ、「素材の海」でしかなかった。
奥の壁にはまた観音開きの扉が一つ。その先はまた暗くゆるやかに湾曲した通路だった。
ちらほらと雑魚が出てくるがみずちと協力というほどは連携せずに、個々でばったばったと倒しながら走り抜ける。
いくつか分かれ道はあったが、最も太い道を選択して進むと奥から戦闘音が聞こえてきた。
「そろそろかな?」
「っぽいなー」
小さな扉がまた奥に一つ。みずちがダッシュ系のカードを切って我先に飛び込んだ。
またしても蹴り抜けて進んだ先は、入り口のような天井の高い開けた空間だった。
正面には今開けた扉と全く同じ物が一枚。その扉は俺らの到着とほぼ同時に勢いよく開いた。
「だーっ! 負けた!?」
そこから飛び出して来たのは淡く輝く白い大剣を担いだチョッキだった。
「いや、秒の差だったぞ」
「でも私の方が早かったもんねー!」
部屋の中央で再会を果たす。チョッキの後ろには驚いた顔のミューミューがついてきていた。
「ど、怒涛の展開でした。お二人も早かったですね」
「まあね! でもまだこの人がいるから先に終わらせよ?」
一階層はパーティプレイだと必ず回廊形状になり、入り口から右でも左でもほぼ同じ距離でこの部屋が最終地点になる事はもう分かっていた。
そしてここのイベントもお決まりの展開だ。
左手には天井まで縦に伸びる長いはしごが一本。そのはしごの足元にはいかにもな2mほどの背丈の鎧武者が鎮座していた。
ここの最後の強敵「死霊武者」だ。
4人揃った時点で強制的にイベントは始まる。死霊武者の兜の奥の闇に火が灯り、起動した。
俺達は奴の起動の確認もせず、手札のカードのアクティブ化を終えている。
立て続けに大技が死霊武者に叩き込まれた。
みずちの【レイルドスター】の爆発で跳ね上げられた体を、ミューミューの【豪腕:三日月】で壁に叩き付ける。
チョッキの【報復絶刀】で壁ごと追撃の刃が何重にも飛んだところで、俺は準備を終えたステータスカード1枚を口で吹きかけるように撃ち込んだ。
【薄氷の塗膜】
敵を薄い氷の膜で覆う。効果の適用中にガジェットカードの武器を直撃させるとダメージ量が上がるというデバフだ。
特に「打撃」に対してのダメージ耐性が大きく落ちるので、当然相性の良いカードを仕込んである。
俺は出現させたガジェットカード【ピコピコハンマー】をよっこいせと担ぐ。
おっと、みずちも全く同じものを担いだ。お前もか。
「お二人とも、良い引きですね。じゃ、投げますよ?」
「「えっ?」」
ミューミューがおもむろに俺とみずちの首根っこをそれぞれ片手でつまみ上げ、そのまま無造作に壁の死霊武者に向かって投げつけた。
「だあぁあー!?」
「ひゃーー!!」
高速で地面と水平にすっ飛ぶ俺とみずちは、混乱しながらもしっかりハンマーを構え、壁からようやく抜け出た死霊武者にバッチリ両側から真っ赤な頭のハンマーを振り抜いた。
ピコッという間抜けな音とは裏腹に、ぐしゃ、と死霊武者が破壊される。
俺達2人は当然そのまま壁に激突した。
おい、ライフ削れてるんだが?
「ナイスコンボです!」
「ミューミューちゃんも良いコントロールだったぜ!」
俺とみずちは釈然としない顔で立ち上がった。
二人で顔を見合わせる。
「あー、めちゃくちゃ順応してるな、ミューミューさん」
「だね」
チョッキの横で、嬉しそうにミューミューは手を振っていた。
「この、攻略方法! すっごい! 楽しいでーす!」
何よりです、玻璃猫様。
手足を地に付け、地に伏せたような格好から首だけを前に向けて大きく息を吸い込んだ。
「ぐわおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」
あー、もうやだこのカード。
大声で息が切れるまで叫ばなければいけないのがそもそもダサくてすげー嫌なのに、格好は四つん這いだ。あまり人前で撃ちたくはない。
だが、このカードは発動に必要なアクションが猛烈に恥ずかしいことを除けば強力だ。
俺が叫んだ後に広がった光景は、ずいぶん風通しが良くなっていた。
残りのふすまを全て叩き破り奥の壁まできっちり届いた破壊の痕跡は、このカードを使う理由としては十分だった。
【獣王の咆哮】
主な効果は「無生物の破壊」。叫ぶ時間に応じて威力が上がり、顔を向けた先に数m幅の破壊の波動を撃ち込める。
その代わり敵に与えるダメージ量はほとんどなく、叫んでいる間だけ足止めが出来る程度の効果だ。
余談だが、別に「がおー」と叫ぶ必要はなく、みずちはこのカードを使う時に「にゃー!」とか「やっほー!」とか、四つん這いで楽しそうに叫んでいた記憶がある。
ふすまが破られた事により、残りの部屋からもどんどんエネミーがポップし、俺にターゲットを定め蠢き始めた。
頃合いだ。
右手を上げてみずちに合図しようとし、上げきるかどうかというタイミングで背後から最大に溜まった【老師の秘奥義】が俺の全身を通り抜けた。
「ポーズ決まってから撃ってくれよ」
俺は振り返りながらみずちに声をかけた。
「え? ぐわぉーっ! って決まってたよ?」
「そこじゃねーよ」
たたたた、と駆け寄ってきたみずちと合流し、先に進む。
部屋を全て貫き一つの大部屋になってしまった空間には、小さなきらめきへと霧散していくエネミーの残骸がゴロゴロと転がっていた。
残されたドロップアイテムは後で自動的に分配される。このイベント部屋はまとめて倒すのが容易なので、俺達にとってはただのボーナスステージ、「素材の海」でしかなかった。
奥の壁にはまた観音開きの扉が一つ。その先はまた暗くゆるやかに湾曲した通路だった。
ちらほらと雑魚が出てくるがみずちと協力というほどは連携せずに、個々でばったばったと倒しながら走り抜ける。
いくつか分かれ道はあったが、最も太い道を選択して進むと奥から戦闘音が聞こえてきた。
「そろそろかな?」
「っぽいなー」
小さな扉がまた奥に一つ。みずちがダッシュ系のカードを切って我先に飛び込んだ。
またしても蹴り抜けて進んだ先は、入り口のような天井の高い開けた空間だった。
正面には今開けた扉と全く同じ物が一枚。その扉は俺らの到着とほぼ同時に勢いよく開いた。
「だーっ! 負けた!?」
そこから飛び出して来たのは淡く輝く白い大剣を担いだチョッキだった。
「いや、秒の差だったぞ」
「でも私の方が早かったもんねー!」
部屋の中央で再会を果たす。チョッキの後ろには驚いた顔のミューミューがついてきていた。
「ど、怒涛の展開でした。お二人も早かったですね」
「まあね! でもまだこの人がいるから先に終わらせよ?」
一階層はパーティプレイだと必ず回廊形状になり、入り口から右でも左でもほぼ同じ距離でこの部屋が最終地点になる事はもう分かっていた。
そしてここのイベントもお決まりの展開だ。
左手には天井まで縦に伸びる長いはしごが一本。そのはしごの足元にはいかにもな2mほどの背丈の鎧武者が鎮座していた。
ここの最後の強敵「死霊武者」だ。
4人揃った時点で強制的にイベントは始まる。死霊武者の兜の奥の闇に火が灯り、起動した。
俺達は奴の起動の確認もせず、手札のカードのアクティブ化を終えている。
立て続けに大技が死霊武者に叩き込まれた。
みずちの【レイルドスター】の爆発で跳ね上げられた体を、ミューミューの【豪腕:三日月】で壁に叩き付ける。
チョッキの【報復絶刀】で壁ごと追撃の刃が何重にも飛んだところで、俺は準備を終えたステータスカード1枚を口で吹きかけるように撃ち込んだ。
【薄氷の塗膜】
敵を薄い氷の膜で覆う。効果の適用中にガジェットカードの武器を直撃させるとダメージ量が上がるというデバフだ。
特に「打撃」に対してのダメージ耐性が大きく落ちるので、当然相性の良いカードを仕込んである。
俺は出現させたガジェットカード【ピコピコハンマー】をよっこいせと担ぐ。
おっと、みずちも全く同じものを担いだ。お前もか。
「お二人とも、良い引きですね。じゃ、投げますよ?」
「「えっ?」」
ミューミューがおもむろに俺とみずちの首根っこをそれぞれ片手でつまみ上げ、そのまま無造作に壁の死霊武者に向かって投げつけた。
「だあぁあー!?」
「ひゃーー!!」
高速で地面と水平にすっ飛ぶ俺とみずちは、混乱しながらもしっかりハンマーを構え、壁からようやく抜け出た死霊武者にバッチリ両側から真っ赤な頭のハンマーを振り抜いた。
ピコッという間抜けな音とは裏腹に、ぐしゃ、と死霊武者が破壊される。
俺達2人は当然そのまま壁に激突した。
おい、ライフ削れてるんだが?
「ナイスコンボです!」
「ミューミューちゃんも良いコントロールだったぜ!」
俺とみずちは釈然としない顔で立ち上がった。
二人で顔を見合わせる。
「あー、めちゃくちゃ順応してるな、ミューミューさん」
「だね」
チョッキの横で、嬉しそうにミューミューは手を振っていた。
「この、攻略方法! すっごい! 楽しいでーす!」
何よりです、玻璃猫様。
応援ありがとうございます!
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