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ep4 騎士は酒に呑まれるいきもの
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演習を重ね、顔を突き合わせて三ヶ月ともなると、些細な変化にも気づくようになる。
――たとえば。第一はやはりと言うべきか、貴族相手の対応が抜群に上手かった、とか。
貴族関連の面倒事は押し付けようと第三全員で誓って、それが露呈して第一に呆れた視線を向けられたのは記憶に新しい。
――たとえば。第一の品のよさにつられて、適当に物を放り投げる者が減り、地味に助かっている、とか。
いい傾向だった。第三は普段、備品の管理でチクチクと嫌味を言われる事が多かったので、これを機に改善してくれる事を祈っている。
――あとは、たとえば。
銀色の獅子が異常に人懐っこかったこと、とか。
「お前ら飲んでるか!」
機嫌良く快活に笑うルシオンに、両団員達が酒の入った杯を掲げる。
「そろそろ突入も近い。順調だからこその“王からの激励”だ。明日は全員休暇でいいとのお言葉だ!今日は気にせず生気を養え!」
呼応して咆哮のような声を出す団員達の声を横耳に、肩に回された腕を見やる。
「……お前、最近ちょっと距離感おかしくないか。」
何かにつけ触れたがるのは獣人の血が濃いせいだろうかと考えたが、他の団員にはそういった様子がない。
「んー?まあ、いいだろ。」
そういう"いいだろ"はこっちが決めるやつだ、と態々言わなかったのは、特に不快ではなかったからだ。
毎日のように顔を突き合わせていれば、相手の行動や思考もある程度読めてくる。
獣人の血がそうさせるのかは分からないが、ルシオンは義理堅く、面倒見が良く世話焼きだ。団員からの信頼も厚いし、カイルが嫌がるような事もしない。冷静に対処する様はまさに理想の長だ。
思考も似ている部分があるのか、はたまた合わせているのか、会議も訓練も滞りなく円滑に進んだ。
正直、尊敬に値する男だった。
片手が塞がっている状態では食事がしづらいと思うのに、ルシオンは器用に飲み食いしている。
カイルの隣は譲らないとばかりのガードぶりに諦めに近い感情が芽生えた。
その距離の詰め方に、周囲はもはや慣れてしまったらしく、誰ひとり眉も動かさない。その輪の中で、自分だけが半歩ほど取り残されている心地がした。
「だんちょー。俺も~。」
酔っ払っているだろうリオが反対側から抱きついてくる。正直むさ苦しい。
たが今日は自由にやらせるつもりだった。
「ああ、よく頑張ったな。正直お前がいなければまだ日が延びた。」
甘える口に魔力を込めた飴を放り込んで頭を軽く撫でれば、満足したように、にへらと緊張感のかけらもなく笑った。まるで猫のようで、今にも喉を鳴らしそうだ。
「お前、まだ騎士団に入る気はないのか。」
「だって所属したら、だんちょー以外の命令も聞かなきゃいけないじゃん。」
子供のような言葉は、彼が前から言っている事だった。
今までの働きを思えば、彼の功績はいくらでも作れた。表だった罪状はカイルの暗殺未遂だけだ。
騎士団監視の元という名目を作れば、いずれ隷属の首輪からも解放させてやれるかもしれない。
だが、リオはいつもそれを望まない。
それに対して、そうか、とだけ毎回返事をしていたが――
「リオ、第一に来いよ!お前みたいな奴が居れば、いけ好かない狸どもも出し抜けそうだ。」
「なにを今更。入るなら第三に決まってる。そうだよな?リオ!」
やり取りを聞きつけた団員達が囃し立てる。
リオは一瞬きょとんとした顔をして、カイルを見上げた。
笑って顎でさし示せば、一拍置いて、にしし、と悪戯っ子のような顔をして団員の輪に入っていった。
若くして暗殺に身をやつした過去を思えば、わずかな重さが胸に落ちた。
観察力の高さは前から知っていたが、それが少しずつでも人の輪へ向くようになったのは、彼自身の歩みの証だろう。
絶対相容れないと思っていた第一とも上手くやっているようで感心する。
「ずいぶん、気にかけているんだな。」
どこか拗ねたような口調に驚く。立派な体躯で何を言っているのだ、と見上げた。
「……お前は、俺に心を開いてないような気がしてな。」
ばつが悪そうに言い訳めいた声を出す男に吹き出す。
「子供のようなことを。」
「俺は身体がでかいだけで、少年心を大事にしているんだ。」
「阿呆か。」
素直に笑えばルシオンの気も晴れたらしい。
「半獣だからな、俺が本気を出せば傷つける。完全な獣人がいないこの国では、中々に堪えた幼少期だった。」
唐突に差し込まれた過去の痛みに、笑いが止まった。
それは恐らく、今も続いている痛みなのだろうという事は容易く理解できた。
「お前だから全力でやり取りできる。同じ長として恐れずに対応できる。呼吸ができるとはこの事かと思った。」
深い青の、いつもは威圧を含んだ瞳が、今日はやけに優しく揺らいでいた。向き合えていなかった事に、少し申し訳なさを感じる。
「……お前を、避けていた訳じゃない。
色々あって――適切な距離を保とうと思っていただけだ。すまない。
リオは子供のようなものだからな。それとは違うだけだ。
俺も、お前のことは信頼しているし、仕事もやりやすくて助かる。」
そこまで言って、違う、と気づく。きっとこれでは、今までと同じ回答だ。
気恥ずかしさを抑えて、付け加えた。
「――正直、俺もお前と同じ気持ちだ。お前の傍は安心できる。」
顔に血が昇る思いだった。
こういったやりとりには慣れていない――もしかしたら、戦闘よりも、決死の覚悟で口を開いたかもしれなかった。
赤い顔は酒が誤魔化してくれるに違いない。いやそうでないと困る。
青い瞳が僅かに見開いて、破顔した。
余計に恥ずかしさが勝る。
「では、信頼のハグだ。」
「――お前、絶対酔ってるだろ。今のやりとり、後で忘れたとか言ったら全力で殴るからな。」
「こんな愉快なこと、絶対に忘れるものか――ほら。」
見上げた先、両手を広げたルシオンの瞳が、言葉通り愉快げに“ん?”と問いかけているのを見て――なんとなく、結局受け入れた。
厚い胸板に安心を覚えるのは、この男の器の大きさを知っているからだろうか。
「お前って、ほんと身体厚いな。」
「褒め言葉として捉えておこう。」
褒めも貶しもない単なる事実だったが、まあ、それはいいだろう。
少し早鐘の心臓の音が妙に心地よかった。
このまま眠ってしまいたいくらいの気持ちになったところで、「だんちょーがいちゃいちゃしてる!」というリオの声にハッとなって離れる。
「……お前のせいで揶揄われた。」
小さく文句を言っても、ルシオンは満足そうな表情を崩さない。気にした風もなく続けられた。
「お前はあまり飲まないんだな。」
指摘されて言葉に詰まった。今まで誰にも言わなかった言葉が口から出たのは、この空気だからだろうか。
「……実は下戸でな。誰にも、絶対言うなよ。」
見た目や立場と印象が違う事は自覚しているから、思ったよりも小さな声になった。
団員達は、仕事の矜持ゆえと思っているかもしれないが、実のところは酒に弱いだけだった。
それでも、こういった場には顔を出すようにしているのは、酒好きが多い団員達との交流のためだけだ。
隣の男は酔って正体をなくす事などあるのだろうか、とふと思う。
「お前は強そうだな。」
「今度二人で飲んでみるか。」
「――まあ、お前となら。」
言って、自分でも少し驚いたが、それだけこの男の信用度は高い。自分が潰れた後に何かあってもどうにかしてくれそうだった。
どこか気恥ずかしさを感じて、団員たちを振り返る。
「お前ら!飲みすぎるのはいいが、今日はちゃんと寝床で寝ろよ。路上で寝ると寒さで死ぬぞ!」
酔っ払ってへえーい、というおざなりな返答をする彼らにどこまで届いたか分からない。たまの無礼講はいつもこうだ。
リオはもはや夢見心地のようで、上着をかけに行ってやる。これは連れて帰ってやらないと、と思っていると、団員達に捕まった。
「団長!聞いて下さい。俺、今日こいつから一本取ったんですよ!」
「阿呆、あれは無効だ!お前が“ズル”したからだろう。」
「戦場にズルなんてねーよ。第一は甘いな。ね、団長!」
普段うるさい連中は、酒を飲むともっとうるさい。第一も段々と第三の粗暴さに馴染んできているようで若干心配だ。
分かった分かった、と相手をすれば、ルシオンも加わって、気づけば随分な時間が経っていた。――そろそろ、お開きにした方がよさそうだ。
これ以上引き伸ばすと全員を送ってやらないといけなくなる。それは勘弁願いたい。
「お前も飲み過ぎんなよ。」
ルシオンにも釘を刺すと、なぜか頬を撫ぜられる。
からかうような、妙に優しい仕草だった。
「今度また二人でゆっくり話す機会をくれ。」
それが獣人としての素の懐っこさなのか、純粋に団長同士のやりとりなのか、判断がつかなかった。
――アルセインという例外もあったが、あんな事はそうそうあるものでもない。
「遂行まで暫くある。いくらでも機会はあるさ。」
「完了した後も、だ。……いいな?」
「まあ……それは、もちろん問題ないが。」
思いがけず強い瞳に、驚きつつも頷く。
ルシオンという存在を頼りにしているのは事実で、任務が終わったとて関係を断ち切ろうと思っている訳ではない。
それだけに、何故わざわざそのような事を言ってくるのかが分からなかった。
「お前、案外強引だな。」
「半分獣人だからな。」
冗談なのか、本気なのか分からず反応に困って、口にした。
「……お前は、お前だろ。」
思ったままにそう返答すれば、返された笑みは今日のどれよりも柔らかかった。
――たとえば。第一はやはりと言うべきか、貴族相手の対応が抜群に上手かった、とか。
貴族関連の面倒事は押し付けようと第三全員で誓って、それが露呈して第一に呆れた視線を向けられたのは記憶に新しい。
――たとえば。第一の品のよさにつられて、適当に物を放り投げる者が減り、地味に助かっている、とか。
いい傾向だった。第三は普段、備品の管理でチクチクと嫌味を言われる事が多かったので、これを機に改善してくれる事を祈っている。
――あとは、たとえば。
銀色の獅子が異常に人懐っこかったこと、とか。
「お前ら飲んでるか!」
機嫌良く快活に笑うルシオンに、両団員達が酒の入った杯を掲げる。
「そろそろ突入も近い。順調だからこその“王からの激励”だ。明日は全員休暇でいいとのお言葉だ!今日は気にせず生気を養え!」
呼応して咆哮のような声を出す団員達の声を横耳に、肩に回された腕を見やる。
「……お前、最近ちょっと距離感おかしくないか。」
何かにつけ触れたがるのは獣人の血が濃いせいだろうかと考えたが、他の団員にはそういった様子がない。
「んー?まあ、いいだろ。」
そういう"いいだろ"はこっちが決めるやつだ、と態々言わなかったのは、特に不快ではなかったからだ。
毎日のように顔を突き合わせていれば、相手の行動や思考もある程度読めてくる。
獣人の血がそうさせるのかは分からないが、ルシオンは義理堅く、面倒見が良く世話焼きだ。団員からの信頼も厚いし、カイルが嫌がるような事もしない。冷静に対処する様はまさに理想の長だ。
思考も似ている部分があるのか、はたまた合わせているのか、会議も訓練も滞りなく円滑に進んだ。
正直、尊敬に値する男だった。
片手が塞がっている状態では食事がしづらいと思うのに、ルシオンは器用に飲み食いしている。
カイルの隣は譲らないとばかりのガードぶりに諦めに近い感情が芽生えた。
その距離の詰め方に、周囲はもはや慣れてしまったらしく、誰ひとり眉も動かさない。その輪の中で、自分だけが半歩ほど取り残されている心地がした。
「だんちょー。俺も~。」
酔っ払っているだろうリオが反対側から抱きついてくる。正直むさ苦しい。
たが今日は自由にやらせるつもりだった。
「ああ、よく頑張ったな。正直お前がいなければまだ日が延びた。」
甘える口に魔力を込めた飴を放り込んで頭を軽く撫でれば、満足したように、にへらと緊張感のかけらもなく笑った。まるで猫のようで、今にも喉を鳴らしそうだ。
「お前、まだ騎士団に入る気はないのか。」
「だって所属したら、だんちょー以外の命令も聞かなきゃいけないじゃん。」
子供のような言葉は、彼が前から言っている事だった。
今までの働きを思えば、彼の功績はいくらでも作れた。表だった罪状はカイルの暗殺未遂だけだ。
騎士団監視の元という名目を作れば、いずれ隷属の首輪からも解放させてやれるかもしれない。
だが、リオはいつもそれを望まない。
それに対して、そうか、とだけ毎回返事をしていたが――
「リオ、第一に来いよ!お前みたいな奴が居れば、いけ好かない狸どもも出し抜けそうだ。」
「なにを今更。入るなら第三に決まってる。そうだよな?リオ!」
やり取りを聞きつけた団員達が囃し立てる。
リオは一瞬きょとんとした顔をして、カイルを見上げた。
笑って顎でさし示せば、一拍置いて、にしし、と悪戯っ子のような顔をして団員の輪に入っていった。
若くして暗殺に身をやつした過去を思えば、わずかな重さが胸に落ちた。
観察力の高さは前から知っていたが、それが少しずつでも人の輪へ向くようになったのは、彼自身の歩みの証だろう。
絶対相容れないと思っていた第一とも上手くやっているようで感心する。
「ずいぶん、気にかけているんだな。」
どこか拗ねたような口調に驚く。立派な体躯で何を言っているのだ、と見上げた。
「……お前は、俺に心を開いてないような気がしてな。」
ばつが悪そうに言い訳めいた声を出す男に吹き出す。
「子供のようなことを。」
「俺は身体がでかいだけで、少年心を大事にしているんだ。」
「阿呆か。」
素直に笑えばルシオンの気も晴れたらしい。
「半獣だからな、俺が本気を出せば傷つける。完全な獣人がいないこの国では、中々に堪えた幼少期だった。」
唐突に差し込まれた過去の痛みに、笑いが止まった。
それは恐らく、今も続いている痛みなのだろうという事は容易く理解できた。
「お前だから全力でやり取りできる。同じ長として恐れずに対応できる。呼吸ができるとはこの事かと思った。」
深い青の、いつもは威圧を含んだ瞳が、今日はやけに優しく揺らいでいた。向き合えていなかった事に、少し申し訳なさを感じる。
「……お前を、避けていた訳じゃない。
色々あって――適切な距離を保とうと思っていただけだ。すまない。
リオは子供のようなものだからな。それとは違うだけだ。
俺も、お前のことは信頼しているし、仕事もやりやすくて助かる。」
そこまで言って、違う、と気づく。きっとこれでは、今までと同じ回答だ。
気恥ずかしさを抑えて、付け加えた。
「――正直、俺もお前と同じ気持ちだ。お前の傍は安心できる。」
顔に血が昇る思いだった。
こういったやりとりには慣れていない――もしかしたら、戦闘よりも、決死の覚悟で口を開いたかもしれなかった。
赤い顔は酒が誤魔化してくれるに違いない。いやそうでないと困る。
青い瞳が僅かに見開いて、破顔した。
余計に恥ずかしさが勝る。
「では、信頼のハグだ。」
「――お前、絶対酔ってるだろ。今のやりとり、後で忘れたとか言ったら全力で殴るからな。」
「こんな愉快なこと、絶対に忘れるものか――ほら。」
見上げた先、両手を広げたルシオンの瞳が、言葉通り愉快げに“ん?”と問いかけているのを見て――なんとなく、結局受け入れた。
厚い胸板に安心を覚えるのは、この男の器の大きさを知っているからだろうか。
「お前って、ほんと身体厚いな。」
「褒め言葉として捉えておこう。」
褒めも貶しもない単なる事実だったが、まあ、それはいいだろう。
少し早鐘の心臓の音が妙に心地よかった。
このまま眠ってしまいたいくらいの気持ちになったところで、「だんちょーがいちゃいちゃしてる!」というリオの声にハッとなって離れる。
「……お前のせいで揶揄われた。」
小さく文句を言っても、ルシオンは満足そうな表情を崩さない。気にした風もなく続けられた。
「お前はあまり飲まないんだな。」
指摘されて言葉に詰まった。今まで誰にも言わなかった言葉が口から出たのは、この空気だからだろうか。
「……実は下戸でな。誰にも、絶対言うなよ。」
見た目や立場と印象が違う事は自覚しているから、思ったよりも小さな声になった。
団員達は、仕事の矜持ゆえと思っているかもしれないが、実のところは酒に弱いだけだった。
それでも、こういった場には顔を出すようにしているのは、酒好きが多い団員達との交流のためだけだ。
隣の男は酔って正体をなくす事などあるのだろうか、とふと思う。
「お前は強そうだな。」
「今度二人で飲んでみるか。」
「――まあ、お前となら。」
言って、自分でも少し驚いたが、それだけこの男の信用度は高い。自分が潰れた後に何かあってもどうにかしてくれそうだった。
どこか気恥ずかしさを感じて、団員たちを振り返る。
「お前ら!飲みすぎるのはいいが、今日はちゃんと寝床で寝ろよ。路上で寝ると寒さで死ぬぞ!」
酔っ払ってへえーい、というおざなりな返答をする彼らにどこまで届いたか分からない。たまの無礼講はいつもこうだ。
リオはもはや夢見心地のようで、上着をかけに行ってやる。これは連れて帰ってやらないと、と思っていると、団員達に捕まった。
「団長!聞いて下さい。俺、今日こいつから一本取ったんですよ!」
「阿呆、あれは無効だ!お前が“ズル”したからだろう。」
「戦場にズルなんてねーよ。第一は甘いな。ね、団長!」
普段うるさい連中は、酒を飲むともっとうるさい。第一も段々と第三の粗暴さに馴染んできているようで若干心配だ。
分かった分かった、と相手をすれば、ルシオンも加わって、気づけば随分な時間が経っていた。――そろそろ、お開きにした方がよさそうだ。
これ以上引き伸ばすと全員を送ってやらないといけなくなる。それは勘弁願いたい。
「お前も飲み過ぎんなよ。」
ルシオンにも釘を刺すと、なぜか頬を撫ぜられる。
からかうような、妙に優しい仕草だった。
「今度また二人でゆっくり話す機会をくれ。」
それが獣人としての素の懐っこさなのか、純粋に団長同士のやりとりなのか、判断がつかなかった。
――アルセインという例外もあったが、あんな事はそうそうあるものでもない。
「遂行まで暫くある。いくらでも機会はあるさ。」
「完了した後も、だ。……いいな?」
「まあ……それは、もちろん問題ないが。」
思いがけず強い瞳に、驚きつつも頷く。
ルシオンという存在を頼りにしているのは事実で、任務が終わったとて関係を断ち切ろうと思っている訳ではない。
それだけに、何故わざわざそのような事を言ってくるのかが分からなかった。
「お前、案外強引だな。」
「半分獣人だからな。」
冗談なのか、本気なのか分からず反応に困って、口にした。
「……お前は、お前だろ。」
思ったままにそう返答すれば、返された笑みは今日のどれよりも柔らかかった。
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