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第2章~追いかけて~
謎の男
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エバンたちはエリカンテ王国に侵入するいい策を思いつくことができず、夕暮れを迎えた。
(はやり何とかしてあの城門を突破するしかないか。)
キャンプの準備を始めた二人を残してエバンは少し離れた場所にある岩に座って考え込んでいた。レグヌム王国から続いていた轍はエリカンテ王国に続いている。レギナを攫ったやつらがエリカンテ王国の者だという可能性はかなり高いだろう。
しかしながら、半日見ている限りエリカンテ王国に入るためにはかなりのハードルがある。結構な数の人間が城門を叩いるのを見たが、その8割は入国を断られていた。おそらく入国には何らかの許可証などによる制限を設けているのだろう。
また、いくら正義があるからと言って正面から身分を明かしていくのは、敵に捕まえてくださいと言っているようなものだ。そう考えていくと、結局は何とかごまかして侵入するしかない。
「エバン分隊長!準備を終えました!」
ハーパーが遠くで大きな声でエバンを呼ぶ。
「ありがとう、今行く!」
岩から立ち上がり、ズボンを軽くはたくとエバンはハーパーの方に歩いて行った。
=====================================
三人は食事をとりながら今後の作戦を話していた。
「レグヌムを発ってから四日目だ。食料の確保などを考えると明日中にはエリカンテ王国には入らないといけない。」
「そうですね。」
ステッドは湯気の出ている豆のスープを冷ますようにスプーンでかき回しながら答える。
「正直、道中で追いつければと思っていましたが、甘くはなかったですね。」
ハーパーがエバンの目を見て言う。それに小さく頷いてエバンは続けた。
「そこでだ。思わしい侵入経路も見つからない現状、若干強引な方法で突破するしかない。」
三人とも最後の手段と思っていた一方で、最早それしかないという方法をエバンは告げる。
「エリカンテ王国に入ろうとする者を襲い、そこから策を得るぞ。」
エバンも何の罪もない人間を襲うことはできればしたくない。だが、事情が事情だ。もしも話しても理解が得られない場合は力ずくでも入国の権利を奪い取らないといけない。
勿論、相手を殺めることはしないつもりだが―ー。
それでも気は進まないというもので、三人の口数は減り、いつもの食事も味気ないものになった。
=====================================
剣の手入れや馬の世話を各々がしている中、遠くに明かりのついた集団が現れた。
(こんな時間に・・・?)
普通、旅の行商などは日が落ちてからは動かないのが鉄則だ。安定を保障されてない国をの外では、いつ夜盗などに襲われるか分からないからだ。
それを考えると、あの明かりは腕に覚えのある武装集団、つまり夜盗側の人間か逆に夜盗を取り締まる側の人間か。
「エバン分隊長。」
気づけばハーパーがすでに剣を抜いて構えていた。それを鎮めるように手をかざしてエバンは言う。
「待て。まだ敵かどうかは分からない。剣はしまえ。」
当たり前だが、エバンたちは夜に焚火などで灯りをつけている。無論、敵に見つからないように、つまりできる限り遠くからは見えないように灯りを漏らさないような位置にいる。万が一にだが、その日の灯りがよく手入れされた剣に反射して見つかるなんて言うことになったら笑えない。
ステッドは周りを確認して、敵の気配に神経をとがらす。エバンたちが臨戦態勢の準備に入る中、段々と明かりの集団はこちらに近づいてきた。
(敵か?だとしたら、昨日とは毛色が違うな。)
じっとエバンが見つめる先で、数ある灯りは止まり、一つの灯りだけがこちら側に向かってきた。
「・・・?」
これにはステッドも眉をしかめる。あの感じからして一人かいても数人だ。
一体なぜ――?
エバンたちには馬に乗る謎の男たちが迫っていた。
=====================================
「お前たちがエバンさんかい?」
エバンの目の前に現れたのは、大柄な男とその側近だと思われる二人組だった。男の剣がギリギリ届かない位置までエバンは近づき答えた。
「すまないが、その前にあなたの名を聞きたい。」
「あっ、そうだな!それは失礼した!」
大柄な男はあははとこの時間に釣り合わない大きな声で笑う。そのたびに男のつけている鎧がカチャカチャとなった。
「俺はフラティスという。これでいいかな?」
手を横に広げて敵対の意思を見せないようにするフラティスだったが、エバンは緊張を解かなかった。
「何か身分を証明できるものは?」
「そうだなぁ・・・。そうは言われてもなぁ・・・。」
困ったようにガシガシと頭を掻くフラティスは、急に思いついたかのように手をたたく。
「そうだ。身分を明かすものではないけど、いいものがある。」
「・・・!?」
その一言にピクリとエバンは眉を動かす。ニヤニヤとサプライズプレゼントを見せるようにフラティスはエバンにある書類を見せつける。
「それは・・・!」
ハーパーが目を大きくして声を出す。その様子を見て満足げにフラティスは言った。
「そう、エリカンテ王国の入国許可証だ。必要だったら譲ってもいい。」
(はやり何とかしてあの城門を突破するしかないか。)
キャンプの準備を始めた二人を残してエバンは少し離れた場所にある岩に座って考え込んでいた。レグヌム王国から続いていた轍はエリカンテ王国に続いている。レギナを攫ったやつらがエリカンテ王国の者だという可能性はかなり高いだろう。
しかしながら、半日見ている限りエリカンテ王国に入るためにはかなりのハードルがある。結構な数の人間が城門を叩いるのを見たが、その8割は入国を断られていた。おそらく入国には何らかの許可証などによる制限を設けているのだろう。
また、いくら正義があるからと言って正面から身分を明かしていくのは、敵に捕まえてくださいと言っているようなものだ。そう考えていくと、結局は何とかごまかして侵入するしかない。
「エバン分隊長!準備を終えました!」
ハーパーが遠くで大きな声でエバンを呼ぶ。
「ありがとう、今行く!」
岩から立ち上がり、ズボンを軽くはたくとエバンはハーパーの方に歩いて行った。
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三人は食事をとりながら今後の作戦を話していた。
「レグヌムを発ってから四日目だ。食料の確保などを考えると明日中にはエリカンテ王国には入らないといけない。」
「そうですね。」
ステッドは湯気の出ている豆のスープを冷ますようにスプーンでかき回しながら答える。
「正直、道中で追いつければと思っていましたが、甘くはなかったですね。」
ハーパーがエバンの目を見て言う。それに小さく頷いてエバンは続けた。
「そこでだ。思わしい侵入経路も見つからない現状、若干強引な方法で突破するしかない。」
三人とも最後の手段と思っていた一方で、最早それしかないという方法をエバンは告げる。
「エリカンテ王国に入ろうとする者を襲い、そこから策を得るぞ。」
エバンも何の罪もない人間を襲うことはできればしたくない。だが、事情が事情だ。もしも話しても理解が得られない場合は力ずくでも入国の権利を奪い取らないといけない。
勿論、相手を殺めることはしないつもりだが―ー。
それでも気は進まないというもので、三人の口数は減り、いつもの食事も味気ないものになった。
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剣の手入れや馬の世話を各々がしている中、遠くに明かりのついた集団が現れた。
(こんな時間に・・・?)
普通、旅の行商などは日が落ちてからは動かないのが鉄則だ。安定を保障されてない国をの外では、いつ夜盗などに襲われるか分からないからだ。
それを考えると、あの明かりは腕に覚えのある武装集団、つまり夜盗側の人間か逆に夜盗を取り締まる側の人間か。
「エバン分隊長。」
気づけばハーパーがすでに剣を抜いて構えていた。それを鎮めるように手をかざしてエバンは言う。
「待て。まだ敵かどうかは分からない。剣はしまえ。」
当たり前だが、エバンたちは夜に焚火などで灯りをつけている。無論、敵に見つからないように、つまりできる限り遠くからは見えないように灯りを漏らさないような位置にいる。万が一にだが、その日の灯りがよく手入れされた剣に反射して見つかるなんて言うことになったら笑えない。
ステッドは周りを確認して、敵の気配に神経をとがらす。エバンたちが臨戦態勢の準備に入る中、段々と明かりの集団はこちらに近づいてきた。
(敵か?だとしたら、昨日とは毛色が違うな。)
じっとエバンが見つめる先で、数ある灯りは止まり、一つの灯りだけがこちら側に向かってきた。
「・・・?」
これにはステッドも眉をしかめる。あの感じからして一人かいても数人だ。
一体なぜ――?
エバンたちには馬に乗る謎の男たちが迫っていた。
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「お前たちがエバンさんかい?」
エバンの目の前に現れたのは、大柄な男とその側近だと思われる二人組だった。男の剣がギリギリ届かない位置までエバンは近づき答えた。
「すまないが、その前にあなたの名を聞きたい。」
「あっ、そうだな!それは失礼した!」
大柄な男はあははとこの時間に釣り合わない大きな声で笑う。そのたびに男のつけている鎧がカチャカチャとなった。
「俺はフラティスという。これでいいかな?」
手を横に広げて敵対の意思を見せないようにするフラティスだったが、エバンは緊張を解かなかった。
「何か身分を証明できるものは?」
「そうだなぁ・・・。そうは言われてもなぁ・・・。」
困ったようにガシガシと頭を掻くフラティスは、急に思いついたかのように手をたたく。
「そうだ。身分を明かすものではないけど、いいものがある。」
「・・・!?」
その一言にピクリとエバンは眉を動かす。ニヤニヤとサプライズプレゼントを見せるようにフラティスはエバンにある書類を見せつける。
「それは・・・!」
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