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第3章~エリカンテ王国~
不信感
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レギナが連れてこられたのは、こじんまりとした部屋だった。目隠しを外してあたりを見る限り、家具などはそれなりに揃っていることからレギナはここで幽閉されるのだとすぐに悟った。
「必要なものは一応あるつもりです。もしも何かありましたら何なりとお申し付けください。」
先程とは違うモーリアの態度に少々違和感を抱きつつもレギナは部屋の奥に入る。
「今のことろは何もありません。少し疲れたので横になりたいです。」
遠回しにモーリアに部屋を出ていくようにレギナは言う。
「分かりました。ではまた後程。」
それを察してモーリアも頭を下げ一礼すると部屋を後にした。それを見届けるとレギナは部屋の中を見て回る。窓はなく、脱出はおろか今どこにいるかさえ分からない。ただ、少なくとも階段を何回か上がってきたので高いところに位置しているのは確かだと思うのだが。
(武器になるようなものもなさそうですね・・・。)
包丁をはじめ金属製のものは見当たらなかった。この部屋は幽閉するために作られた部屋なのだろうか。ベットに腰かけるとレギナは手元を見つめる。
――最期にエバンがこの手を強く握ったあの感覚がまだ忘れられない。
急に自分の置かれた現状がレギナを襲った。堪えていた感情が爆発して大粒の涙がボロボロと落ちてくる。自分は王女であり、このような姿を見せてはいけないと気丈に振舞っていた。
だけど、だけど――。
=====================================
レギナはいつの間にか眠りに落ちていた。鏡の前に立つと自分の顔には少し腫れた目と涙の伝った跡が残っていた。蛇口をひねり顔を洗い不安とともに洗い流す。
再びベットに腰かけていると扉をノックする音が鳴った。
「どうぞ。」
「失礼いたします。」
扉を開けて出ていたのはモーリアだった。レギナを見つけると部屋に入ることなく声をかける。
「食事の準備ができました。ここにお持ちしてもよろしいでしょうか?」
「・・・えぇ、お願いいたします。」
扉の向こうからは美味しそうな香りが漂ってきた。モーリアはレギナの許可を得てから部屋に入る。
「では、こちらをお召し上がりください。」
モーリアは広いトレイ一杯にのった食事をテーブルに乗せる。レギナはベットからテーブルの席に移った。
「どうぞ、服を汚さぬようにこちらをお使いください。」
そういうとモーリアは紙ナプキンをレギナに手渡す。
「ありがとうございます。」
「それではまた後ほど片づけに参ります。」
モーリアはそういって部屋から出た。レギナは受け取った紙ナプキンを広げて食事を取る準備をする。
「――?」
パラっと何か紙切れがレギナの足元に舞い落ちた。何かと思い手に取ってそこに記されている文字を読み取る。
『今夜23時、エバン様が参ります。ご準備を。モーリア。』
レギナは目を疑った。紙切れを手に取ったままその場で固まる。時計を見れば針は21時を示していた。
(これを信じてよいのでしょうか――。)
レギナは疑心暗鬼になっていた。これが事実だとすれば、自分にとってはこの上ないことだ。だからこそ、虫が良すぎるのではないかという疑いを生じる。
取り合えずさっと食事をとると、紙切れを落とさないよう無くさないように服の胸元の中に隠す。ポケットがないドレスだったのでしょうがない。
レギナは僅かな希望に賭けて時が経つのを待った。
=====================================
「どうしましょうか?」
ステッドが腕を組んで言う。エバンたち三人は、フラティスから少し離れたところで話し合っていた。
「フラティスという者の話は魅力的だ。」
「ですが、罠ということも・・・。」
ハーパーは未だ信用ならないという感じでエバンに釘を刺すように言った。
―ーエバンたちがフラティスから受けた話は驚きの連続だった。
「エリカンテ王国が内戦状態?」
聞き返すエバンにこくんとフラティスは頷く。
「そうだ。今はアドラム陣営と俺の陣営に分かれて争っている。向こうは白の王国、こちらは青の王国と呼ばれているな。」
「そんな話は聞いたこともないな。」
ステッドが顎に手をやりながらフラティスを見た。
「そりゃそうだ。なにせ今、国交を絶っている状態だからな。」
当然だろうと言わんばかりにフラティスは答える。
「だとしたら今のエリカンテ城はそのアドラム側、つまり青の王国のものというわけか?」
「その通り、だから俺たちとしても取り返したいわけだ。そこで君たちの力を借りたい。まぁ、正確にはレグヌム王国の力というのが正しいか。」
成程、フラティスはここで自分たちに恩を売ることで、レグヌム王国に同盟関係を迫るという算段なのか。見た目にそぐわずしたたかな奴だとエバンは感じた。
「そして君たちはレギナ様を助けたくても、あそこに入れないのだろう?」
フラティスは親指で背後のエリカンテ城をくいっと指す。
「俺はあそこの国でもそれなりの地位にいたからな。入国許可証を偽造するのも簡単だ。だけど俺たちは顔がバレている。」
「つまり、まだ敵に顔の割れてない俺たちならってことか?」
エバンはフラティスの言わんとすることを先回りして答える。
「流石だ。で、どうする?この話悪い条件ではないはずだ。」
この提案にまずは三人で話したい、ゆっくり考えさせてくれとエバンが言って現在に至る。
「そうだな――。」
ステッドとハーパーはエバンの決断を待っていた。どちらに転ぶかは明白だ。あとはエバンの一声だけだった。
「必要なものは一応あるつもりです。もしも何かありましたら何なりとお申し付けください。」
先程とは違うモーリアの態度に少々違和感を抱きつつもレギナは部屋の奥に入る。
「今のことろは何もありません。少し疲れたので横になりたいです。」
遠回しにモーリアに部屋を出ていくようにレギナは言う。
「分かりました。ではまた後程。」
それを察してモーリアも頭を下げ一礼すると部屋を後にした。それを見届けるとレギナは部屋の中を見て回る。窓はなく、脱出はおろか今どこにいるかさえ分からない。ただ、少なくとも階段を何回か上がってきたので高いところに位置しているのは確かだと思うのだが。
(武器になるようなものもなさそうですね・・・。)
包丁をはじめ金属製のものは見当たらなかった。この部屋は幽閉するために作られた部屋なのだろうか。ベットに腰かけるとレギナは手元を見つめる。
――最期にエバンがこの手を強く握ったあの感覚がまだ忘れられない。
急に自分の置かれた現状がレギナを襲った。堪えていた感情が爆発して大粒の涙がボロボロと落ちてくる。自分は王女であり、このような姿を見せてはいけないと気丈に振舞っていた。
だけど、だけど――。
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レギナはいつの間にか眠りに落ちていた。鏡の前に立つと自分の顔には少し腫れた目と涙の伝った跡が残っていた。蛇口をひねり顔を洗い不安とともに洗い流す。
再びベットに腰かけていると扉をノックする音が鳴った。
「どうぞ。」
「失礼いたします。」
扉を開けて出ていたのはモーリアだった。レギナを見つけると部屋に入ることなく声をかける。
「食事の準備ができました。ここにお持ちしてもよろしいでしょうか?」
「・・・えぇ、お願いいたします。」
扉の向こうからは美味しそうな香りが漂ってきた。モーリアはレギナの許可を得てから部屋に入る。
「では、こちらをお召し上がりください。」
モーリアは広いトレイ一杯にのった食事をテーブルに乗せる。レギナはベットからテーブルの席に移った。
「どうぞ、服を汚さぬようにこちらをお使いください。」
そういうとモーリアは紙ナプキンをレギナに手渡す。
「ありがとうございます。」
「それではまた後ほど片づけに参ります。」
モーリアはそういって部屋から出た。レギナは受け取った紙ナプキンを広げて食事を取る準備をする。
「――?」
パラっと何か紙切れがレギナの足元に舞い落ちた。何かと思い手に取ってそこに記されている文字を読み取る。
『今夜23時、エバン様が参ります。ご準備を。モーリア。』
レギナは目を疑った。紙切れを手に取ったままその場で固まる。時計を見れば針は21時を示していた。
(これを信じてよいのでしょうか――。)
レギナは疑心暗鬼になっていた。これが事実だとすれば、自分にとってはこの上ないことだ。だからこそ、虫が良すぎるのではないかという疑いを生じる。
取り合えずさっと食事をとると、紙切れを落とさないよう無くさないように服の胸元の中に隠す。ポケットがないドレスだったのでしょうがない。
レギナは僅かな希望に賭けて時が経つのを待った。
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「どうしましょうか?」
ステッドが腕を組んで言う。エバンたち三人は、フラティスから少し離れたところで話し合っていた。
「フラティスという者の話は魅力的だ。」
「ですが、罠ということも・・・。」
ハーパーは未だ信用ならないという感じでエバンに釘を刺すように言った。
―ーエバンたちがフラティスから受けた話は驚きの連続だった。
「エリカンテ王国が内戦状態?」
聞き返すエバンにこくんとフラティスは頷く。
「そうだ。今はアドラム陣営と俺の陣営に分かれて争っている。向こうは白の王国、こちらは青の王国と呼ばれているな。」
「そんな話は聞いたこともないな。」
ステッドが顎に手をやりながらフラティスを見た。
「そりゃそうだ。なにせ今、国交を絶っている状態だからな。」
当然だろうと言わんばかりにフラティスは答える。
「だとしたら今のエリカンテ城はそのアドラム側、つまり青の王国のものというわけか?」
「その通り、だから俺たちとしても取り返したいわけだ。そこで君たちの力を借りたい。まぁ、正確にはレグヌム王国の力というのが正しいか。」
成程、フラティスはここで自分たちに恩を売ることで、レグヌム王国に同盟関係を迫るという算段なのか。見た目にそぐわずしたたかな奴だとエバンは感じた。
「そして君たちはレギナ様を助けたくても、あそこに入れないのだろう?」
フラティスは親指で背後のエリカンテ城をくいっと指す。
「俺はあそこの国でもそれなりの地位にいたからな。入国許可証を偽造するのも簡単だ。だけど俺たちは顔がバレている。」
「つまり、まだ敵に顔の割れてない俺たちならってことか?」
エバンはフラティスの言わんとすることを先回りして答える。
「流石だ。で、どうする?この話悪い条件ではないはずだ。」
この提案にまずは三人で話したい、ゆっくり考えさせてくれとエバンが言って現在に至る。
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