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第3章~エリカンテ王国~
決断
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「フラティス、その話ありがたく乗らせてもらう。」
エバンは座っているフラティスに言った。その回答を待ちわびていたかのようにフラティスは笑顔になる。
「よし、交渉成立だな。」
それから作戦会議が開かれた。フラティスはエリカンテ王国とその城内の見取り図を広げながら話をする。
「ここに23時過ぎににレギナ様が来る。」
「・・・?誰か内通者でもいるのか?」
フラティスがあまりにも断言するので、エバンは思わず疑問をぶつけた。
「あぁ、とびっきり優秀な奴だ。」
「そうか。それは頼もしいな。」
にっと笑うフラティスにエバンもふふっと小さな笑いで返す。
「おっと、こんな事そしている場合じゃないな。作戦の続きを説明するぞ――。」
=====================================
「すみません、入国したいのですが。」
商人に変装し馬車を引くたエバンたちが門番に声をかける。
「こんな時間に商人か?」
すっかり暗くなった辺りを見て門番は不思議そうに問いかける。
「はい、急いできたものでして。良ければ入れていただきたいと。」
ハーパーが頭を下げつつ門番に偽造した入国許可証を差し出す。
「・・・ほう、武器商人か。その積み荷を確かめるぞいいな?」
「勿論です。」
馬車の後ろにいるステッドが積み荷を覆っていた布を取り払う。そこには三百はあろう剣があった。
「中々の量だな。」
門番は感心だというように言った。
「どうでしょうか?」
「うふ、いいだろう。通せ!」
エバンの問いに門番はその城門を開けるように指示する。ゆっくりとだがエバンたちの前にレギナへと続く道が現れる。
「ありがとうございます。では失礼いたします。」
エバンたちは馬車に乗ると馬を走らせる。作戦は成功だ。エバンたちはエリカンテ王国に足を踏み入れた。
「フラティス殿の助言が役に立ちましたな。」
ステッドは口元に笑みを浮かべてエバンに言う。
「あぁ、助かった。」
武器商人という設定はフラティスの案だった。その理由は内戦状態で武器は物入りなはずという推測のものであったが見事に的中したようだ。必要以上に怪しまれることなく、こうして侵入することができた。
中央広場から少し離れた物陰に馬車を止めるとエバンたちは自分たちの装備を整える。時間は22時を回ろうかというところだ。作戦通り、エリカンテ城に続く道の横に馬車を待機させる。
フラティスにもらった見取り図を見て初めて気づいたことだが、エリカンテ王国は特殊な構造をとっていた。まず、エリカンテ城と城下町は陸続きでつながっておらず、王国は2つの島からなっている。そのため、城へは橋が架かっておりこれが唯一の交通経路であった。
また、エリカンテ王国の周辺海峡は激しい渦潮を生み出すことから、自然の要塞になっており海上から侵入することは到底不可能であった。
「あとは時が来るのを待つだけ・・・か。」
気を静めるようにエバンは長い息を吐いた。
=====================================
「失礼いたします。お食事の片づけに参りました。」
モーリアがレギナの部屋の扉を開く。
「モーリアさん・・・。」
レギナは複雑な表情でモーリアを見る。レギナの心中を読んだのかモーリアは近くに寄り、レギナの前にひざまずいた。
「レギナ様、これまでのご無礼申し訳ありませんでした。」
「・・・。」
これが余計にレギナを困惑させる。モーリアが敵なのか味方なのか。
「モーリアさん。」
「――私は、私は、あなたを信じてよいのですか?」
今にも泣きだしそうなレギナの声にハッとモーリアは顔を見上げる。レギナのまっすぐとした目がモーリアを捉えていた。モーリアの中でレギナのその思いを返すだけの言葉は見つからなかった。開きかけた口を閉じて、モーリアは強くうなずいた。
「窮屈だとは思いますがご辛抱を。」
レギナは食事を運んできたワゴンの二段目に身を押し込んだ。それを確認してモーリアはワゴンを多き隠すように白いベールで包みその上に食事を終えた食器を乗せる。
ガラガラとモーリアはレギナを隠し乗せたワゴンを何処かに運んでいく。音を立てないように落ちないようにレギナはしっかりとワゴンの足に捕まっていた。
「レギナ様、大丈夫です。」
モーリアは小さな声でレギナを呼び出す。レギナは恐る恐るワゴンから降りるとあたりを確認する。
「安心してください。ここからはそこまで兵士はおりません。また、私も共に参ります。」
ワゴンに隠していた外用のマントを羽織るとモーリアは言った。
「今度は本当にお願いしますよ。」
微笑みつつもレギナはモーリアにいたずらっぽくチクリとした言葉の棘を刺す。それに困ったようにモーリアは笑った。
「参りましょうか。長居してもよいことはありませんから。」
モーリアはレギナの手を引いて歩きだす。レギナより少し背の低い小柄なモーリアだが、レギナの目にはそれはもう頼もしい姿に映った。
エバンは座っているフラティスに言った。その回答を待ちわびていたかのようにフラティスは笑顔になる。
「よし、交渉成立だな。」
それから作戦会議が開かれた。フラティスはエリカンテ王国とその城内の見取り図を広げながら話をする。
「ここに23時過ぎににレギナ様が来る。」
「・・・?誰か内通者でもいるのか?」
フラティスがあまりにも断言するので、エバンは思わず疑問をぶつけた。
「あぁ、とびっきり優秀な奴だ。」
「そうか。それは頼もしいな。」
にっと笑うフラティスにエバンもふふっと小さな笑いで返す。
「おっと、こんな事そしている場合じゃないな。作戦の続きを説明するぞ――。」
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「すみません、入国したいのですが。」
商人に変装し馬車を引くたエバンたちが門番に声をかける。
「こんな時間に商人か?」
すっかり暗くなった辺りを見て門番は不思議そうに問いかける。
「はい、急いできたものでして。良ければ入れていただきたいと。」
ハーパーが頭を下げつつ門番に偽造した入国許可証を差し出す。
「・・・ほう、武器商人か。その積み荷を確かめるぞいいな?」
「勿論です。」
馬車の後ろにいるステッドが積み荷を覆っていた布を取り払う。そこには三百はあろう剣があった。
「中々の量だな。」
門番は感心だというように言った。
「どうでしょうか?」
「うふ、いいだろう。通せ!」
エバンの問いに門番はその城門を開けるように指示する。ゆっくりとだがエバンたちの前にレギナへと続く道が現れる。
「ありがとうございます。では失礼いたします。」
エバンたちは馬車に乗ると馬を走らせる。作戦は成功だ。エバンたちはエリカンテ王国に足を踏み入れた。
「フラティス殿の助言が役に立ちましたな。」
ステッドは口元に笑みを浮かべてエバンに言う。
「あぁ、助かった。」
武器商人という設定はフラティスの案だった。その理由は内戦状態で武器は物入りなはずという推測のものであったが見事に的中したようだ。必要以上に怪しまれることなく、こうして侵入することができた。
中央広場から少し離れた物陰に馬車を止めるとエバンたちは自分たちの装備を整える。時間は22時を回ろうかというところだ。作戦通り、エリカンテ城に続く道の横に馬車を待機させる。
フラティスにもらった見取り図を見て初めて気づいたことだが、エリカンテ王国は特殊な構造をとっていた。まず、エリカンテ城と城下町は陸続きでつながっておらず、王国は2つの島からなっている。そのため、城へは橋が架かっておりこれが唯一の交通経路であった。
また、エリカンテ王国の周辺海峡は激しい渦潮を生み出すことから、自然の要塞になっており海上から侵入することは到底不可能であった。
「あとは時が来るのを待つだけ・・・か。」
気を静めるようにエバンは長い息を吐いた。
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「失礼いたします。お食事の片づけに参りました。」
モーリアがレギナの部屋の扉を開く。
「モーリアさん・・・。」
レギナは複雑な表情でモーリアを見る。レギナの心中を読んだのかモーリアは近くに寄り、レギナの前にひざまずいた。
「レギナ様、これまでのご無礼申し訳ありませんでした。」
「・・・。」
これが余計にレギナを困惑させる。モーリアが敵なのか味方なのか。
「モーリアさん。」
「――私は、私は、あなたを信じてよいのですか?」
今にも泣きだしそうなレギナの声にハッとモーリアは顔を見上げる。レギナのまっすぐとした目がモーリアを捉えていた。モーリアの中でレギナのその思いを返すだけの言葉は見つからなかった。開きかけた口を閉じて、モーリアは強くうなずいた。
「窮屈だとは思いますがご辛抱を。」
レギナは食事を運んできたワゴンの二段目に身を押し込んだ。それを確認してモーリアはワゴンを多き隠すように白いベールで包みその上に食事を終えた食器を乗せる。
ガラガラとモーリアはレギナを隠し乗せたワゴンを何処かに運んでいく。音を立てないように落ちないようにレギナはしっかりとワゴンの足に捕まっていた。
「レギナ様、大丈夫です。」
モーリアは小さな声でレギナを呼び出す。レギナは恐る恐るワゴンから降りるとあたりを確認する。
「安心してください。ここからはそこまで兵士はおりません。また、私も共に参ります。」
ワゴンに隠していた外用のマントを羽織るとモーリアは言った。
「今度は本当にお願いしますよ。」
微笑みつつもレギナはモーリアにいたずらっぽくチクリとした言葉の棘を刺す。それに困ったようにモーリアは笑った。
「参りましょうか。長居してもよいことはありませんから。」
モーリアはレギナの手を引いて歩きだす。レギナより少し背の低い小柄なモーリアだが、レギナの目にはそれはもう頼もしい姿に映った。
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