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第5章~戦争~
準備
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同盟を無事に組んだレグヌム王国と青の王国ではあったが、問題は山積みだった。
「遅かれ早かれ戦争になることは俺たちも分かっていたんだがな。」
エバンたちの前でフラティスが額に手をやる。レグヌム王国との同盟は大きな援軍だ。しかしながら、アドラムの持つ軍の大きさに頭を悩ませていた。
「まさか、あんな術が本当に存在するとは私も見るまで信じられませんでしかたら」
モーリアがしかたないという口調でフラティスにいう。お世辞にも青の王国は軍が整っているわけではない。元々、白の王国に比べて小規模な国の上にそこまで力を入れてなかった背景もあるだろう。
なので、フラティスがこちらに来た10年の間で少しづつ準備を進めていたとはいえ、向こうに十分対抗できるとは言えないのが現状だった。
「アドラムの下についているクラードとかいうやつは面倒ですね。」
ハーパーが苦い顔をして言う。そうだ、この戦いの一番の不安要素はそのクラードの存在なのだ。魔導士という何を繰り出してくるか分からない存在が悩みの種だった。
流石に経験豊富なステッドもこれにはお手上げというような感じだ。
「これに関しては情報を少しづつ集めるしかないな。」
エバンはしょうがないというため息をつきながら言う。それに皆がいい案が浮かばないという感じで頷く。
「これからの関係のこともあるし、俺自らレグヌム王に謁見すべきだな。」
「お互いの関係のこともありますから、早い方がいいでしょうな。」
ステッドがフラティスを見ながら応える。
「同盟の礼も兼ねて、詳細を把握し、これからの連携について向こうと話してくる。出発は・・・明日だ。ステッドさんの言う通り早い方がいい。」
「ならば私がともに参りましょうか?」
モーリアがフラティスの護衛係を申し出る。
「いや、レグヌムではお前がまだ裏切り者だと思っている人もたくさんいるだろう。無益な刺激は避けたい。」
「・・・俺が同行しよう。」
エバンがモーリアに代わり申し出る。それにフラティスは少し考えこんで答えた。
「俺としては最大の信頼を得られるだろう。頼めるか?」
「あぁ、問題ない。」
=====================================
フラティスたちとの談合を終えてその流れで皆で食事を取り、各人部屋に戻った。明日の出発は早朝ということでエバンは早めに床に就いた。
――鳥たちのさえずりでさえ遠くなり響く早朝、エバンたちはエリカンテ王国を後にした。レグヌム王国に戻るということなのか、またはレギナの安否という心配がなくなったからか、足取りは軽かった。
そして、エリカンテ王国を出て4日後にレグヌム王国にエバンは帰ってきた。
「――止まれ!、レグヌム王国にはどのような件で・・・・ってエバン分隊長!?」
「久しぶりだな。」
レグヌム王国の門番をしていた自身の部下に挨拶をする。彼にとっては突然の訪問でちょっとしたパニックになっているようだ。
「あ、あの後ろの方々は?」
「――青の王国の友人と言えば通じるか?」
エバンの青の王国というワードにピクッと門番は反応し途端に険しい顔になる。
「存じています、レグヌム王のもとに?」
「そうだ。」
エバンはキッパリと返答をする。それを聞き門番は後ろに合図する。
「分かりました。エバン部隊長のお帰りだ!門を開けろ!!」
レグヌム王国に入ったエバンを国民は歓迎した。どうやらすでにレギナの無事は国民に知れ渡っていたようで、元々人気が高いエバンに姫君を救った英雄という付加価値がついたことで、彼の周りには人だかりができていた。
「人気者だな、エバンさんは。」
フラティスはそれを楽し気に茶化して言った。
=====================================
歓迎の渦から抜け出してレグヌム城にエバンたちは入る。道中でなじみの騎士に挨拶をしながらレグルム王の待つ謁見の間に向かった。
「――よく帰って来たな、エバン。」
「はい。再び王に会えて光栄でございます。」
エバンを里帰りした息子の様にレグルム王は目を細めて言った。
「そちらが、フラティス殿か?」
レグルム王はエバンの隣にいるフラティスを見て声を掛ける。
「はい、私は青の王国の王を努めておりますフラティスと申します。」
フラティスとは深々と頭を下げ、最大の礼儀をレグルム王に示す。
「長旅で疲れたであろう。」
「お気遣い誠にありがとうございます。」
フラティスの何か言いたげな語気を察してレグヌム王は続けた。
「さて、要件を聞こう。」
――フラティスは同盟に関して感謝を述べた後、エバンたちに以前話したエリカンテ王国のことについてレグルム王に説明し、ことの重大さを伝えた。
時折、レグヌム王は渋い顔をしながらもフラティスの話を遮る音なく彼の口から出た言葉全てを聞いた。
「事のいきさつは理解した。」
ふーっと長い溜息をついてレグヌム王は口を開いた。そして続けて言う。
「フラティス殿と申したか。お前、虫が良すぎではおらぬか?」
「遅かれ早かれ戦争になることは俺たちも分かっていたんだがな。」
エバンたちの前でフラティスが額に手をやる。レグヌム王国との同盟は大きな援軍だ。しかしながら、アドラムの持つ軍の大きさに頭を悩ませていた。
「まさか、あんな術が本当に存在するとは私も見るまで信じられませんでしかたら」
モーリアがしかたないという口調でフラティスにいう。お世辞にも青の王国は軍が整っているわけではない。元々、白の王国に比べて小規模な国の上にそこまで力を入れてなかった背景もあるだろう。
なので、フラティスがこちらに来た10年の間で少しづつ準備を進めていたとはいえ、向こうに十分対抗できるとは言えないのが現状だった。
「アドラムの下についているクラードとかいうやつは面倒ですね。」
ハーパーが苦い顔をして言う。そうだ、この戦いの一番の不安要素はそのクラードの存在なのだ。魔導士という何を繰り出してくるか分からない存在が悩みの種だった。
流石に経験豊富なステッドもこれにはお手上げというような感じだ。
「これに関しては情報を少しづつ集めるしかないな。」
エバンはしょうがないというため息をつきながら言う。それに皆がいい案が浮かばないという感じで頷く。
「これからの関係のこともあるし、俺自らレグヌム王に謁見すべきだな。」
「お互いの関係のこともありますから、早い方がいいでしょうな。」
ステッドがフラティスを見ながら応える。
「同盟の礼も兼ねて、詳細を把握し、これからの連携について向こうと話してくる。出発は・・・明日だ。ステッドさんの言う通り早い方がいい。」
「ならば私がともに参りましょうか?」
モーリアがフラティスの護衛係を申し出る。
「いや、レグヌムではお前がまだ裏切り者だと思っている人もたくさんいるだろう。無益な刺激は避けたい。」
「・・・俺が同行しよう。」
エバンがモーリアに代わり申し出る。それにフラティスは少し考えこんで答えた。
「俺としては最大の信頼を得られるだろう。頼めるか?」
「あぁ、問題ない。」
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フラティスたちとの談合を終えてその流れで皆で食事を取り、各人部屋に戻った。明日の出発は早朝ということでエバンは早めに床に就いた。
――鳥たちのさえずりでさえ遠くなり響く早朝、エバンたちはエリカンテ王国を後にした。レグヌム王国に戻るということなのか、またはレギナの安否という心配がなくなったからか、足取りは軽かった。
そして、エリカンテ王国を出て4日後にレグヌム王国にエバンは帰ってきた。
「――止まれ!、レグヌム王国にはどのような件で・・・・ってエバン分隊長!?」
「久しぶりだな。」
レグヌム王国の門番をしていた自身の部下に挨拶をする。彼にとっては突然の訪問でちょっとしたパニックになっているようだ。
「あ、あの後ろの方々は?」
「――青の王国の友人と言えば通じるか?」
エバンの青の王国というワードにピクッと門番は反応し途端に険しい顔になる。
「存じています、レグヌム王のもとに?」
「そうだ。」
エバンはキッパリと返答をする。それを聞き門番は後ろに合図する。
「分かりました。エバン部隊長のお帰りだ!門を開けろ!!」
レグヌム王国に入ったエバンを国民は歓迎した。どうやらすでにレギナの無事は国民に知れ渡っていたようで、元々人気が高いエバンに姫君を救った英雄という付加価値がついたことで、彼の周りには人だかりができていた。
「人気者だな、エバンさんは。」
フラティスはそれを楽し気に茶化して言った。
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歓迎の渦から抜け出してレグヌム城にエバンたちは入る。道中でなじみの騎士に挨拶をしながらレグルム王の待つ謁見の間に向かった。
「――よく帰って来たな、エバン。」
「はい。再び王に会えて光栄でございます。」
エバンを里帰りした息子の様にレグルム王は目を細めて言った。
「そちらが、フラティス殿か?」
レグルム王はエバンの隣にいるフラティスを見て声を掛ける。
「はい、私は青の王国の王を努めておりますフラティスと申します。」
フラティスとは深々と頭を下げ、最大の礼儀をレグルム王に示す。
「長旅で疲れたであろう。」
「お気遣い誠にありがとうございます。」
フラティスの何か言いたげな語気を察してレグヌム王は続けた。
「さて、要件を聞こう。」
――フラティスは同盟に関して感謝を述べた後、エバンたちに以前話したエリカンテ王国のことについてレグルム王に説明し、ことの重大さを伝えた。
時折、レグヌム王は渋い顔をしながらもフラティスの話を遮る音なく彼の口から出た言葉全てを聞いた。
「事のいきさつは理解した。」
ふーっと長い溜息をついてレグヌム王は口を開いた。そして続けて言う。
「フラティス殿と申したか。お前、虫が良すぎではおらぬか?」
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