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第三部 〜新たな力〜
第八十三話
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「まず、アルージェが知っている魔法について、俺に話してみろ」
「母から聞いたのは、」
そういってアルージェは村で母に教わった魔法についての知識をコルクスに話し始める。
この世界には炎・水・風・地・光・闇・無の属性を持つ魔法があって、
体内にある魔力を詠唱で形を作り、放出するもので、魔力の総数は生まれた時から決まっているというのが通説だということくらいです。
実際は幼少期から魔力切れを起こすほど使えば日に日に増えていくのだが、そんなことを試したものはいない為知られていない。
後天的に増やす方法もある、まれに魔力が増える食べ物があるらしくそういったものを食べて育った子供は非常に多くの魔力を持つことがある。
また魔法は農村だと、魔法に関する知識が浸透しておらず、体を使えば代用できるため、利用されることは少ない。
逆に町や都に行けば一定以上の魔法が使えるものはそれだけで、食いっぱぐれることはないと言われている。
属性について、中でも光属性、闇属性の魔法は珍しく、
聖職者になる為には最低条件として光魔法が使用できることが定められているので、狭き門である。
「なるほど、分かった、今言っていたことは全部忘れろ、新世代の魔法に必要のない知識だ」
「えぇ」
「これから教えることを記憶しろ、そもそも魔法に属性はなく、人がイメージしやすいように属性を割り振られているだけだ」
アルージェは言っていることがわからず、首を傾げる。
「お前、人が指導してやってるのにアホ面晒してるんじゃねぇ」
「すいません・・・」
「ならわかりやすいものを見せてやる」
そういって掌に小さい魔方陣を作り、火を出す。
「アルージェは火を見て何を連想する?」
「定番なところだと熱いとかですかね」
アルージェは顎に手をやり、答える。
「あぁ、そうだ、ならこの火に手を入れろ」
コルクスが手のひらにある火をアルージェの方へ近づける。
「いやですよ!何考えてんですか!」
「手を入れねぇなら、顔に押し付けるぞ、早くしろ」
「うぅ、分かりました・・・ちゃんと火傷は治してくださいよ・・・・」
戸惑っていたが、顔を背けて火に手を突っ込む。
「あぎゃぁぁぁ!って熱くない・・・?むしろ冷たい!?」
アルージェは背けた顔を火に向けて、手を出し入れして確認する。
「あぁそうだ、今使われている魔法体系だとこんなことは不可能だが、俺が考えた新世代の魔法体系だとこんな芸当も出来る」
なんてことないというようにコルクスは淡々と話を進める。
「これってどういう原理なんですか!?」
アルージェは不思議な現象を見て興奮気味にコルクスに問い始める。
「どうやらかなり興味を持ったようだな、
まだ学会にも発表してない技術だから、誰に聞かれても教えないと誓え、話はそれからだ」
そういうと羊皮紙をどこからともなく取り出し、ペンをアルージェに渡す。
「えっと、実は僕文字書けなくて・・・・」
「文字が書けないだと?読むのは?」
「読むのは出来ます、ただ専門用語が出てきたりするとどうなるか・・・」
「学園長、めんどくさいやつ押し付けやがって、俺を教会の神父かなんかと勘違いしてるんじゃねぇか」
頭をボリボリと掻いて、「しゃあねぇか」とどこからともなく少し汚れた本を一冊取り出す。
「お前が読み書きできるまで魔法と並行して教えてやる。
俺の貴重な時間を割くんだ感謝しろ、弱音吐いたら氷球だけじゃすまさんから覚悟しておけ」
「だけじゃすまないと申しますと・・・?」
アルージェは興味本位で念のために確認をする。
「そうだな、入り口で飛ばしたでかい方の氷塊を磔にした状態で当ててやる」
アルージェは考えただけでも痛そうなので考えるのをやめた。
「弱音言いません!頑張ります!」
「頑張るのは当たり前だ、俺の時間を割いてるんだ死ぬ気でやれ」
「そ、そんなぁ」
アルージェは鼓舞してもらえると思ったがコルクスはそんなに甘くなかった。
「なんだ、いきなり弱音か?」
コルクス杖が光ると、空中でアルージェが磔にされて、アルージェの体の三倍以上ある大きさの氷塊が現れる。
「違います!違います!今のは違います!死ぬ気でやります!本当です!本当です!」
慌てて弁明すると、氷塊が消失し、身動きが取れるようになる。
「初めからそう言え、なら始めるぞ、文字の勉強からだ、魔法契約書にサインをもらわないことには始められんからな」
文字の勉強を始めたが思ったより簡単だった、この世界の文字は俗にいう表音文字で英語に近く、
文字もそこまで多くなかったので、割とあっさりと覚えることはできた。
なので、名前を書くのは1時間もあればできるようになった。
「これでいいですか?」
羊皮紙にサインをしてコルクスに渡す。
「汚い字だな、まぁいいサインには変わりないからな」
コルクスも受け取った羊皮紙にサインすると、羊皮紙が光りその場から消えた。
「これで終わりですか?」
あっさりと終わったので、確認する。
「あぁ、これは少し特殊な奴だから、紙としては残らんがお互いの魂に刻まれる。
これで晴れてお前は俺の弟子になった、新世代の魔法を嫌というほど叩き込んでやる」
「あははは・・・・、お手柔らかにお願いします」
アルージェからは乾いた笑いが出るが、少し楽しみでもあった。
「母から聞いたのは、」
そういってアルージェは村で母に教わった魔法についての知識をコルクスに話し始める。
この世界には炎・水・風・地・光・闇・無の属性を持つ魔法があって、
体内にある魔力を詠唱で形を作り、放出するもので、魔力の総数は生まれた時から決まっているというのが通説だということくらいです。
実際は幼少期から魔力切れを起こすほど使えば日に日に増えていくのだが、そんなことを試したものはいない為知られていない。
後天的に増やす方法もある、まれに魔力が増える食べ物があるらしくそういったものを食べて育った子供は非常に多くの魔力を持つことがある。
また魔法は農村だと、魔法に関する知識が浸透しておらず、体を使えば代用できるため、利用されることは少ない。
逆に町や都に行けば一定以上の魔法が使えるものはそれだけで、食いっぱぐれることはないと言われている。
属性について、中でも光属性、闇属性の魔法は珍しく、
聖職者になる為には最低条件として光魔法が使用できることが定められているので、狭き門である。
「なるほど、分かった、今言っていたことは全部忘れろ、新世代の魔法に必要のない知識だ」
「えぇ」
「これから教えることを記憶しろ、そもそも魔法に属性はなく、人がイメージしやすいように属性を割り振られているだけだ」
アルージェは言っていることがわからず、首を傾げる。
「お前、人が指導してやってるのにアホ面晒してるんじゃねぇ」
「すいません・・・」
「ならわかりやすいものを見せてやる」
そういって掌に小さい魔方陣を作り、火を出す。
「アルージェは火を見て何を連想する?」
「定番なところだと熱いとかですかね」
アルージェは顎に手をやり、答える。
「あぁ、そうだ、ならこの火に手を入れろ」
コルクスが手のひらにある火をアルージェの方へ近づける。
「いやですよ!何考えてんですか!」
「手を入れねぇなら、顔に押し付けるぞ、早くしろ」
「うぅ、分かりました・・・ちゃんと火傷は治してくださいよ・・・・」
戸惑っていたが、顔を背けて火に手を突っ込む。
「あぎゃぁぁぁ!って熱くない・・・?むしろ冷たい!?」
アルージェは背けた顔を火に向けて、手を出し入れして確認する。
「あぁそうだ、今使われている魔法体系だとこんなことは不可能だが、俺が考えた新世代の魔法体系だとこんな芸当も出来る」
なんてことないというようにコルクスは淡々と話を進める。
「これってどういう原理なんですか!?」
アルージェは不思議な現象を見て興奮気味にコルクスに問い始める。
「どうやらかなり興味を持ったようだな、
まだ学会にも発表してない技術だから、誰に聞かれても教えないと誓え、話はそれからだ」
そういうと羊皮紙をどこからともなく取り出し、ペンをアルージェに渡す。
「えっと、実は僕文字書けなくて・・・・」
「文字が書けないだと?読むのは?」
「読むのは出来ます、ただ専門用語が出てきたりするとどうなるか・・・」
「学園長、めんどくさいやつ押し付けやがって、俺を教会の神父かなんかと勘違いしてるんじゃねぇか」
頭をボリボリと掻いて、「しゃあねぇか」とどこからともなく少し汚れた本を一冊取り出す。
「お前が読み書きできるまで魔法と並行して教えてやる。
俺の貴重な時間を割くんだ感謝しろ、弱音吐いたら氷球だけじゃすまさんから覚悟しておけ」
「だけじゃすまないと申しますと・・・?」
アルージェは興味本位で念のために確認をする。
「そうだな、入り口で飛ばしたでかい方の氷塊を磔にした状態で当ててやる」
アルージェは考えただけでも痛そうなので考えるのをやめた。
「弱音言いません!頑張ります!」
「頑張るのは当たり前だ、俺の時間を割いてるんだ死ぬ気でやれ」
「そ、そんなぁ」
アルージェは鼓舞してもらえると思ったがコルクスはそんなに甘くなかった。
「なんだ、いきなり弱音か?」
コルクス杖が光ると、空中でアルージェが磔にされて、アルージェの体の三倍以上ある大きさの氷塊が現れる。
「違います!違います!今のは違います!死ぬ気でやります!本当です!本当です!」
慌てて弁明すると、氷塊が消失し、身動きが取れるようになる。
「初めからそう言え、なら始めるぞ、文字の勉強からだ、魔法契約書にサインをもらわないことには始められんからな」
文字の勉強を始めたが思ったより簡単だった、この世界の文字は俗にいう表音文字で英語に近く、
文字もそこまで多くなかったので、割とあっさりと覚えることはできた。
なので、名前を書くのは1時間もあればできるようになった。
「これでいいですか?」
羊皮紙にサインをしてコルクスに渡す。
「汚い字だな、まぁいいサインには変わりないからな」
コルクスも受け取った羊皮紙にサインすると、羊皮紙が光りその場から消えた。
「これで終わりですか?」
あっさりと終わったので、確認する。
「あぁ、これは少し特殊な奴だから、紙としては残らんがお互いの魂に刻まれる。
これで晴れてお前は俺の弟子になった、新世代の魔法を嫌というほど叩き込んでやる」
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アルージェからは乾いた笑いが出るが、少し楽しみでもあった。
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