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転生王子と婚約披露パーティー2
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王宮へ向かう馬車の中は、気まずい沈黙に満ちていた。
……いや、時々ブリッツの吹き出す音が聞こえるな。あの野郎、覚えておけよ。
隣に座るティアラ嬢の様子を横目で窺うと、彼女は青ざめた顔でうつむいている。
慰めの言葉をかけてやりたいが……
出会ってからずっと彼女に拒絶されてばかりの俺には、そんな勇気が出せなかった。
女心がわからないなりに頑張ったつもりだったのだが。彼女には伝わらない……どころか拒絶ばかりされている。これは世に言う『生理的に無理』というヤツだろうか。
そうだったらと思うと死にたくなる。この顔か? このスカしたイケメン顔がダメなのか?
馬車の窓に映る自分の顔がふと目に入る。するとそこには氷のように冷たい表情の俺がいた。……女たちに囲まれている時はこんな顔をしてるんだろうな。そりゃあ『氷の王子』なんて呼ばれるわけだ。
……贈り物の感想も、聞けていないな。
やりたくてやったことに見返りを求めるのは手前勝手だとわかってはいるが、やっぱり喜ぶ顔が見たかった。
せっかくのティアたんとのパーティーなんだから、会場に着く頃には笑えるようにならないと。
小さく息を吐き、心を落ち着けようと目を瞑る。
すると手に温かなものが重ねられる感触がした。驚いてそちらを見ると――
ティアたんが俺の手に手を重ね、必死な表情でこちらを見つめていた。
あまりのことに驚いて表情を変えることもできず。俺は硬い表情のまま彼女を見つめ返した。
「……婚約者としてふさわしくない行いをしてしまい、本当に申し訳ありません」
もう少し甘い言葉を聞けるかと内心期待していたのだが。ティアラ嬢の口から零れたのはそんな言葉だった。
その言葉を聞いて俺は落胆してしまう。
……好感度が低いのに、甘い言葉なんて聞けるわけないよな。
「気にしていない」
俺はやっと言葉を絞り出した。
気にしている。本当はめいっぱい気にしている。好意を示しても、それは君には伝わらない。それが辛くてしかたない。
……ティアたんに好きになってもらう術が、俺にはわからないんだ。
「だから、ティアラ嬢も気にするな」
そう言って手を引こうとすると……慌てたように小指をきゅっと握られた。
ティアたんは顔を真っ赤にしながらぷるぷると震えてこちらを見つめている。
可愛い。なんでそんな可愛いことをするのかなー。
そんなことをされると、君のことがもっと好きになるでしょう。
――好きになればなるほど、拒絶されると傷つくのはわかってるのに。
「怒って、らっしゃるでしょう?」
ティアラ嬢の唇から弱々しい声が漏れた。怒ってる、というのとは少し違うなぁ……
どうしていいのかわからない、ただそれだけで。
「怒っては、いないかな」
「……本当に?」
「うん」
「……よかった……」
ほっとした笑みとともに紡がれたその安堵の言葉は、
王太子の俺を怒らせなくてよかった、とか。
公爵家の立場が守れてよかった、とか。
そういうよかっただよね。
嫌われなくてよかったという俺に都合のいい解釈は、舞い上がらないためにしないのだ。
……いや、時々ブリッツの吹き出す音が聞こえるな。あの野郎、覚えておけよ。
隣に座るティアラ嬢の様子を横目で窺うと、彼女は青ざめた顔でうつむいている。
慰めの言葉をかけてやりたいが……
出会ってからずっと彼女に拒絶されてばかりの俺には、そんな勇気が出せなかった。
女心がわからないなりに頑張ったつもりだったのだが。彼女には伝わらない……どころか拒絶ばかりされている。これは世に言う『生理的に無理』というヤツだろうか。
そうだったらと思うと死にたくなる。この顔か? このスカしたイケメン顔がダメなのか?
馬車の窓に映る自分の顔がふと目に入る。するとそこには氷のように冷たい表情の俺がいた。……女たちに囲まれている時はこんな顔をしてるんだろうな。そりゃあ『氷の王子』なんて呼ばれるわけだ。
……贈り物の感想も、聞けていないな。
やりたくてやったことに見返りを求めるのは手前勝手だとわかってはいるが、やっぱり喜ぶ顔が見たかった。
せっかくのティアたんとのパーティーなんだから、会場に着く頃には笑えるようにならないと。
小さく息を吐き、心を落ち着けようと目を瞑る。
すると手に温かなものが重ねられる感触がした。驚いてそちらを見ると――
ティアたんが俺の手に手を重ね、必死な表情でこちらを見つめていた。
あまりのことに驚いて表情を変えることもできず。俺は硬い表情のまま彼女を見つめ返した。
「……婚約者としてふさわしくない行いをしてしまい、本当に申し訳ありません」
もう少し甘い言葉を聞けるかと内心期待していたのだが。ティアラ嬢の口から零れたのはそんな言葉だった。
その言葉を聞いて俺は落胆してしまう。
……好感度が低いのに、甘い言葉なんて聞けるわけないよな。
「気にしていない」
俺はやっと言葉を絞り出した。
気にしている。本当はめいっぱい気にしている。好意を示しても、それは君には伝わらない。それが辛くてしかたない。
……ティアたんに好きになってもらう術が、俺にはわからないんだ。
「だから、ティアラ嬢も気にするな」
そう言って手を引こうとすると……慌てたように小指をきゅっと握られた。
ティアたんは顔を真っ赤にしながらぷるぷると震えてこちらを見つめている。
可愛い。なんでそんな可愛いことをするのかなー。
そんなことをされると、君のことがもっと好きになるでしょう。
――好きになればなるほど、拒絶されると傷つくのはわかってるのに。
「怒って、らっしゃるでしょう?」
ティアラ嬢の唇から弱々しい声が漏れた。怒ってる、というのとは少し違うなぁ……
どうしていいのかわからない、ただそれだけで。
「怒っては、いないかな」
「……本当に?」
「うん」
「……よかった……」
ほっとした笑みとともに紡がれたその安堵の言葉は、
王太子の俺を怒らせなくてよかった、とか。
公爵家の立場が守れてよかった、とか。
そういうよかっただよね。
嫌われなくてよかったという俺に都合のいい解釈は、舞い上がらないためにしないのだ。
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