異世界で姪が勇者になったけれど、俺はのんびり料理屋を開く

夕日(夕日凪)

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未来のことを考えよう~オボロアナグマの肉うどんを添えて~13

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「護衛の二人も決まったぞ。一人はパルメダだ。よほどお前の料理が気に入ったらしい。熱烈に志願されたぞ。まったく、俺の護衛のくせに」
「はは……」

 殿下の言葉を聞いて、俺は乾いた笑い声を漏らす。
 パルメダさんは本当に、自分の欲望に忠実だな……。
 しかし、ハイオークと戦う彼の姿は、本当に圧巻だった。頼りになる人には違い。

「もう一人は、神官戦士のルティーナという者だ」
「ルティーナさん、ですか」
「ああ。回復魔法とメイスでの打撃が得意な優秀な女性だ」
「打撃が……得意」

 神官と聞くと神に祈りを捧げる清廉な存在……を思い浮かべてしまい、『打撃』という言葉といまいち結びつかない。
 一体、どういう人なんだろうな。安直な俺は、ついついマッチョなアマゾネスのような女性をイメージしてしまう。

「顔合わせは後日行う。いかにも護衛という感じで、店に置いておくと仰々しくなるからな。二人とも、ふだんは従業員として扱うといい」
「そ、そんなこと許されるんですか?」

 パルメダさんは貴族だし、ルティーナさんもきっと身分が高い人なのだろう。
 そんな彼らをこき使うような度量は、俺に備わっていない。

「僕がいいと言ってるのだ。問題ない」

 アリリオ殿下は尊大な態度でそう言い放つ。
 ……本当に、それで問題ないのかなぁ。

「ルティーナが寝泊まりする建物はショウの店の近くに建てた。彼女はうら若き乙女だからな」
「建物を建てた? こんな短期間に……?」
「家なぞ魔法を使えば簡単に建つ。とはいえ、それには王宮に仕えるレベルの優れた魔道士が数人必要だがな」

 アリリオ殿下はこともなげに言ってみせたが、その建築方法はきっと一般的なものではないのだろう。 
 王宮に仕えられるような人材が市政にごろごろいるはずがないもんな。
 たまに忘れそうになるが、この人って権力の頂点に近い人間なんだよな……。

「ちなみに、パルメダさんの泊まる場所は……?」
「店に住み込む気満々だったぞ。まぁ、常に側に居ないと護衛の意味がないからな」

 ふと気になったことを訊ねれば、そんなふうに返される。
 二階に二部屋あったから、たしかに住み込めないことはない。しかし、パルメダさんと同居か。別にいいんだが、食費がかなり嵩みそうだな。

「パルメダとルティーナがいれば、よほどの剛の者でない限りショウに手出しはできないだろう。とはいえ、だ。もう一つ策を講じておこうと思う」
「策、ですか」

 アリリオ殿下の言葉に、俺は首を傾げる。すると殿下は俺の前に、ひとつの腕輪を置いた。
 それは金色の腕輪で、なんの飾り気もない非常にシンプルなデザインのものだ。

「これはスキルの効果を十分の一程度に弱める腕輪だ。本来ならば攻撃魔法の暴走を防ぐためのものなのだが、ショウのスキルにも使えるだろう」
「なるほど。これがあれば、俺の料理の効果を弱めることができるんですね」
「とはいえ過信は禁物だ。スキルの効果が消えるわけではないからな。勘が鋭い者には気づかれるかもしれん」
「……そうだとしても助かります。ありがとうございます」

 礼を言いつつ腕輪を受け取り、腕に嵌める。
 異世界召喚に巻き込まれたことへの被害弁済の意味合いがあるとはいえ、アリリオ殿下には本当に世話になりっぱなしだ。
 殿下にいつか、恩を返せるといいな……。
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