異世界で姪が勇者になったけれど、俺はのんびり料理屋を開く

夕日(夕日凪)

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神官戦士のルティーナさんと対面しよう6~巣蜜のパンケーキを添えて~

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「まぁまぁ! これは壮観ですね!」

 テーブルの上にずらりと並んだパンケーキ。それを目にしてルティーナさんが目を輝かせる。
 最初は厨房で食べるつもりだったのだがパンケーキの量がとんでもないことになったのでそうもいかず、俺たちは使用人用の食堂に移動した。長テーブルに巣蜜とバターが載ったパンケーキがずらりと並ぶその光景は、なかなか壮観だ。ちなみに、パンケーキのお供は紅茶である。

「うん、素晴らしいですね。さぁ、さっそく食べましょう」

 パルメダさんもそう言いながら、上品な仕草で席に腰を下ろした。そんな彼に頷きつつ、ルティーナさんも腰を下ろす。
 ルティーナさんの前にはパルメダさんの指示どおりの、三十枚ほどのパンケーキが積み上げられている。恐ろしい量のそれを目にしても、彼女は嬉しそうな表情を崩さなかった。

「お前たち。王族がいるのに先に着席するとは……まぁ今さらか。いや、再教育を考えるべきか」

 アリリオ殿下は呆れた顔をしながら、使用人がそっと引いた椅子に腰掛ける。その隣に椛音も勢いよく腰を下ろした。
 ……椛音、もう少し上品に着席しなさい。
 堅苦しいことを嫌う『勇者椛音』がいる場では、暗黙の了解で無礼講になっている。とはいえ、最低限の礼節だけは守られているのだが。
 上座に身分の高い者たち、下座に使用人たちという感じで皆は腰を下ろした。俺は席次の中間あたりに着座している。『勇者のおまけ』である俺は微妙な立場なので、このくらいの位置が妥当なところだろう。
 皆の着座が済むと、アリリオ殿下には期待含みの視線が集まった。

「皆、食べるといい」

 アリリオ殿下が片手を上げて許可をすると、皆食前の祈りを高速で済ませて勢いよくパンケーキを貪りはじめた。
 ……これは『最低限の礼節』が守られていると言ってもいいのだろうか。
 そんな疑問がふと胸を過ぎるが、まぁいいか。
 ルティーナさんの方へと視線をやれば、彼女は上品な仕草でパンケーキを次々に口に入れていた。そのスピードは目を瞠るもので、パンケーキはみるみるうちに嵩を減らしていく。
 これだったら、三十枚なんて余裕なのではないだろうか。まるでブラックホールみたいだな……。
 椛音は大口を開けてパンケーキを頬張り、「ん~!」と幸せそうな声を漏らしている。
 隣のアリリオ殿下は上品な仕草で椛音と『半分こ』にしたパンケーキを小さく切り分けて、蜂蜜と生地をしっかりと絡めてから口に入れた。そして、小さく目を瞠ってから無心にパンケーキを食べはじめた。
 ほかの人々の反応も上々で、異口同音に「美味い」という言葉を発しながらパンケーキに夢中である。
 うん、なかなかいい反応だな。
 ……皆を眺めてばかりというのもあれだし、俺も食べるか。

「……いただきます!」

 手を合わせて食事の挨拶をしてから、フォークとナイフを手に取る。
 そして、ふわふわのパンケーキにナイフを入れた。
 ちなみに、俺が食べるのは二枚だ。もっと食べたくなったら、追加で焼こう。
 切り分けたパンケーキに黄金の蜜を纏った巣蜜とバターを絡めて口に入れる。
 すると……。口中にあまりにも濃厚な『幸福』が訪れた。
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