【R18】モブ令嬢は変態王子に望まれる

夕日(夕日凪)

文字の大きさ
31 / 31
本編2

モブ令嬢と第二王子の幸せなエピローグ

しおりを挟む
 王都に私たちが戻ってから、ニヶ月が経った。
 季節は春から初夏に近づき、道を歩けば新緑が目にまぶしい。空を見上げると、今日も気持ちいい晴天だった。
 王妃様は先日、水の宮に幽閉された。
 そして陛下は……水の宮に通い詰めなのだそうだ。ご公務を持ち込んできっちりとこなされているので、周囲から苦情は出ないそうなのだけれど。
『あれでは幽閉ではなく、巣ごもりだ』と、フィリップ王子が苦笑をしながら教えてくれた。フィリップ王子は年を重ね、青年への道筋を辿っている。大人びていく姿を近くで時々拝める生活は、感無量の一言だ。
 ……生きていて、本当によかった。

 エレオノール嬢も『第二王子の婚約者殺害未遂』の罪で、判決の通りに北の修道院へと送られた。エレオノール嬢の生家はギリギリまで抵抗を見せたそうだけれど、もう味方をしてくれる王妃様はおらず……その判決が覆ることはなかった。
 エレオノール嬢が、修道院に送られる前日。
 シャルル王子は、エレオノール嬢と面会をした。
 美しかった彼女は見る影もなくやつれ、牢の中で爛々と大きな瞳を光らせていたそうだ。

『北は過酷な環境だ。あれは長くないかもしれないな』

 面会から戻ったシャルル王子の言葉に、私は思わず息を詰まらせた。
 身分もあり、美しく、華々しい人生を送っていたエレオノール嬢。彼女は道を誤り、あっさりと転落した。
 ……権力闘争というものは、残酷だと思う。
 その残酷なものの渦中に、私も一生身を置かねばならないのだ。

「アリエル、なにを考えている?」

 シャルル王子が、後ろからぎゅっと私を抱きしめる。その少年らしく細い腕の中で、私は身じろぎをした。
 侯爵家に戻る気が起きなかった私は、シャルル王子の別邸に身を寄せている。
 別邸から学園への登校も再開しようとしたのだけれど、シャルル王子にそれは止められてしまった。エレオノール嬢のご実家の派閥は大きなものだったため、逆恨みで害されかねないと彼が心配したのだ。
 だから別邸に講師たちを呼んで、各教科マンツーマンの贅沢な授業を受けているわけである。
 朝から夕方までは勉学やマナーを徹底的に詰め込み、夜になると……

「シャルル様、明日もまた早いですし」
「嫌だ。もう一回だけ……したい」
「シャルル様のもう一回は、一回じゃ済まないでしょう」

 体を捻りつつげんこつを落すと、シャルル王子は涙目になる。
 逃亡生活の時のような生活リズムが皆無な状況じゃないのだから、ちゃんと夜は寝かせて欲しい。うつらうつらとしていると、あの講師たちはビシバシ鞭を振るってくるんだから!

「来年になったら私が入学だ。そうなると……アリエルと今のように過ごせない」

 シャルル王子は抱きしめる腕に力を込めると、少し涙ぐみながら言う。
 そんなふうに言われたら……断る私が鬼みたいじゃない。
 ご入学をされたらシャルル王子は寮生活だ。婚約者だとは言っても、当然男子寮に頻繁に出入りなんてできない。
 ……シャルル王子は、日々美しく成長している。
 学園ではフィリップ王子のようにモテるのだろうなぁ……
 それを想像すると――胸が不安な気持ちでひやりと浸された。

「しましょうか、シャルル様!」

 振り向いて、シャルル王子の体を軽く寝台に押す。すると彼はころりと寝転がって、期待に満ちた目でこちらを見上げた。
 シャルル王子の先ほど出したばかりなのに元気な熱に両手を添えて、腕の内側で胸を挟むようにして谷間を見せつけながら優しく扱く。するとシャルル王子から、ふっと小さく息が漏れた。彼の目線は胸の谷間に釘づけだ。よーし、狙い通り!

「アリ、エル」
「気持ちいい? シャルル様」
「ん……気持ちいい」

 彼の返事に満足した私は彼に跨ると、自分の手で熱を蜜壺に導く。そしてゆっくりと腰を沈めていった。

「んっ」

 精液でたっぷり濡れた内側は、シャルル王子の熱を簡単に飲み込んでいく。
 すっかり馴染んだシャルル王子の熱は、甘い刺激を与えながら奥へ奥へと進む。それを深く咥え込みながら、隘路は喜ぶように蜜を垂らした。

「あっ、ん」

 柔らかな肉壁できゅっと熱を締めつけながら、腰を上下に動かす。すると大きな胸がぶるりと大きく跳ねて、扇情的な流線を描いた。

「……絶景だ。アリエルの胸は、どうしてそんなにやらしいんだろうな」
「あっ、あ。私の胸、好きですか?」
「ああ、世界で一番好きだ。自分から腰を振る姿も、本当に可愛い」

 シャルル王子は囁くと、胸を両手でそっと掴む。そして優しい手つきで、柔らかな肉を揉みしだいた。胸の頂をきゅっと引っ張られ、くりくりと指先で捏ねられると、気持ち良くて体に力が入らなくなる。
 だめ、シャルル王子を気持ち良くさせないといけないのに……

「やぁ、それ。気持ち良くなるからっ」
「君にも気持ち良くなって欲しい」
「だめ、だめ。私が、するのっ」
「……アリエル?」

 弱々しく頭を振っていると腕を掴まれ、体をそっと引き寄せられた。私は重力で落ちるようにして、シャルル王子の胸に倒れ込んでしまう。彼は私を抱きしめると優しく背中を撫でてくれる。
 ……頬を擦り寄せた胸は、以前よりも逞しい。

「なにが不安だ?」
「不安なんて……」
「嘘だ。君の顔を見ればわかる」

 額同士を擦り合わせられ、唇を優しく啄まれる。するとシャルル王子の熱を咥え込んだままの蜜壺が、きゅんと疼いた。

「学園でシャルル様がおモテになるんだろうなと思ったら……少し、不安で」

 ぽつりと漏れた言葉を聞いて、シャルル王子は目を丸くする。そして嬉しそうに私の体を抱き込んだ。

「可愛いな。焼きもちか」
「……焼きもちです。可愛くは、ないですけれど」
「いいや、可愛い。こんな可愛い婚約者いるのに、よそ見なんてするはずがないだろう。嬉しいな、妬くのは私ばかりだと思っていたが。そうか……アリエルも」

 ぐるり、と体勢を反転させられた。のしかかるシャルル王子を見上げると、彼は白い歯を見せながら本当に嬉しそうな笑顔を浮かべている。

「焼きもちは嬉しいが……浮気をすると思われたのなら、心外だな。私には一生君だけだ」

 シャルル王子が腰を動かすと、秘所がぐちゅりと濡れた音を立てた。

「あ、ん! んっ!」

 小さく嬌声を上げようとした唇は、彼のものによって塞がれてしまった。
 口内を味わい尽くすように舐め取りながら、シャルル王子は腰を動かす。胸も優しく手のひらや指で愛撫され、全身から湧き上がる官能に私は身を震わせた。

「はっ、んっ、ん……んっ!」

 口づけを交わしながら奥を突かれ、背中を逸しながら私は達する。そんな私を追い込むように、シャルル王子は激しく腰を動かした。

「アリエル、可愛い。好きだ、君だけだ」
「やっ、あああっ!」

 奥を突かれながら愛の言葉を囁かれ、私はまた体を大きく震わせる。
 シャルル王子も私を強く抱きしめ、奥へ奥へと白濁を吐き出した。
 彼は数度息を吐いて呼吸を落ち着けると……私の首筋を強く吸い上げて痕をつけた。

「ちょっ……シャルル様! そこに痕はつけないでください!」

 首に痕をつけられるとドレスで隠れない。涙目で睨むと、シャルル王子は少し意地の悪い笑みをを浮かべた。

「アリエル。……講師の中には、男もいるな?」
「はい?」

 シャルル王子の言葉に、私はきょとんとして首を傾げる。

「君はその男と、毎日密室に居るわけだ」
「なっ! メイドもちゃんと部屋に居ますし!」
「ああ、報告は受けている。しかし学園に通い出すと私の目は今より届かなくなるな……心配だ」

 そう言いながらシャルル王子は、首筋や胸の周囲を吸って、たくさんの花びらを散らしていく。

「シャルル様……その」
「――私だって、不安なんだ」

 彼は少し拗ねたように言うと、唇を重ねる。その口づけを受けながら、私は綺麗な金色の頭を撫でた。ふわふわで心地いい感触が手のひらを優しく流れていって心地いい。

「好きだ、アリエル」

 シャルル王子は甘く囁き、私の不安を溶かすように何度も何度も唇を重ねてくれた。

「私も……愛しています。一生、貴方のことを」

 最初は少し、強引なはじまりだった。
 不安になることや、危険なこともたくさん起きた。
 だけど私は――シャルル王子じゃないとダメなのだ。
 だからたくさん努力をして、彼にふさわしい女性になりたい。

「アリエル、私もだ。愛している」

 額同士を擦り合わせながらシャルル王子と声を上げて笑う。そして私たちは、また寝台でもつれあった。

 この幸せな時間を続けるためなら――私は、なんだってできる。
しおりを挟む
感想 19

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(19件)

亜琳
2021.03.28 亜琳

とても面白くて一気に読みました😆✨
短編なのがもったいないくらい続きが気になります〜!!!
シャルル王子とアリエルのお互いを一途に想いあっててらぶらぶしてるのがとても良かったです(*´꒳`*)💕
結婚後も子供が出来てもいつまでも2人でらぶらぶして子供達からは呆れられてたりとかしてそうですね(笑)

解除
皇ひびき
2020.06.03 皇ひびき

更新ありがとうございます。
フィリップママ、ゆうへいですか。怖。
ビアンカちゃんのときとの態度の違いが同じ世界線と思えなくてちょっとガタブルしました。
後日談なども読めたらなーと思います。
アリエルちゃんに義兄にビアンカの相談とかしてほしい!!
エピローグまでお疲れさまでした!

解除
静葉
2020.05.29 静葉

孕ませようとするかように になってましたが
孕ませようとするかのように では?

解除

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。