【R18】悪役令嬢は元執事から逃げられない

夕日(夕日凪)

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番外編

獣と苛烈な月2(ゲームverビアンカIF)

マクシミリアンに監禁をされて、どれくらいの時間が経ったのだろう。
地下の日の差さない部屋で壁に繋がった鎖に繋がれて……マクシミリアンに抱かれて眠るだけの毎日で時間の感覚を失ったのはいつの頃か。
衣服は意味を成さないと与えられず裸のままにされている。
確かに…起きている時間は抱かれ続け、その他の時間は疲弊し気絶するかのようにほぼ眠っているのだ。
獣のような生活に衣服なんて馬鹿げているかもしれない……わたくしは乾いた笑いを漏らした。
起きると体液塗れの体は綺麗に清められていて、マクシミリアンの手によって食事を摂らされ、また抱かれて汚されて、その繰り返し。
わたくしの体を清めているのも、恐らくあの男なのだろう。この屋敷には、少人数の通いの使用人しかいないみたいだから。
彼はわたくしが眠っている間にどこかへ仕事に行っているようだった。
マクシミリアン自身はいつ休んでいるのかと不思議な気持ちになるけれど彼が存分な休息を取れる程度にわたくしは長い時間気絶してしまっているのかもしれない。
……彼がいない間に、逃げようと試みた事もある。
だけど鎖は丈夫で切れず、足枷の鍵も当然見つからず……疲労感が得られただけだった。
それに……逃げても仕方がないのだ。
わたくしの寄る辺は、この世界のもうどこにもない。

体を丸めて上掛けの中でじっとする……わたくしが目を覚ましたという事はもうすぐあの男が来る頃合いなのだろう。
わたくしの体は、マクシミリアンによって……快楽を覚えさせられてしまった。
彼に触れられるだけで体は悦び、震え、蜜壺から蜜を垂らし……思考は絡めとられ頭の中は快楽を得る事だけに夢中になってしまう。
だけど反面、これが何のための行為なのか分からずに心は冷えて固まっていく。
愛を育むため、家同士の繋ぎを得るため、憎しみをぶつけるため……ただ単に快楽のため。
世間では色々な理由でこの行為をするのだろう。
だけど……わたくしにとっての……マクシミリアンとの行為は、なんなのだろう。
最初は無理矢理に開かれた、次に蕩けるような快楽を覚え込まされた。
だけど行為の理由は教えてもらえず……心と体の温度差は広がっていく。
――――マクシミリアンの事が、分からない。

(わたくしは……彼に何と言って欲しいのだろう。どんな理由を聞ければ……納得が出来るの?でもその先に……何があるっていうのよ)

「ビアンカ、起きているのでしょう?」

思考の沼に沈んでいると、マクシミリアンが部屋を訪れた。
彼の声を聞くだけでこれから始まる行為に期待する体は熱を持つ。
……ああ、元飼い犬に、わたくしの体は飼い慣らされてしまったのね。

「マクシミリアン……」

わたくしは、快楽しかないこの終わりのない日々に疲れているのかもしれない。涙が頬を伝い、清潔な上掛けに染みを作っていく。
叫ぶ事にも、罵る事にも、憎む事にも……全てに疲れてしまった。

「わたくしをどうしたいの?理由を言いなさい、マクシミリアン。どうして……わたくしを抱くの?」
「ああ、ビアンカ。泣かないで下さい」

彼はそう言いながらわたくしに優しい口付けをする……まるで、恋人にするかのように。
マクシミリアンの唇が触れると体が、快楽に期待をしてふるりと震えた。
彼は今日も理由を告げずにわたくしをベッドに押し倒し、その舌を首筋に這わせる。
わたくしがそれにされるがままになっていると、マクシミリアンは怪訝そうな顔をした。

「……今日は嫌だと叫ばないのですか?」

彼の問いに、わたくしは顔を歪めた。
叫んでも、泣いても、何も変わらない……問いへの答えも行為の理由も与えられないじゃない。

「もう……こんなのは辛いの……わたくし、壊れてしまうわ」

嗚咽を漏らすと、彼に額に唇を落とされ、次に眦の涙を吸われた。

「壊れていく貴女は、綺麗です。私のために……もっと壊れて下さいませ」
「マクシミリアンは……わたくしを壊したいから抱くの……?そんなに、わたくしが憎いの……?」

わたくしの問いに、マクシミリアンは一瞬何かを言おうとして。
苦しそうな顔でわたくしから目を逸らしてしまい……その口は何も言葉を紡がなかった。

心が、軋むような音を立てる。
今日も答えは得られぬまま、繋がる体だけが、ただそこにあった。
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