【R18】悪役令嬢は元執事から逃げられない

夕日(夕日凪)

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番外編

月と獣の蜜月22※

 目が覚めると湯船の中で温かいものに包まれていた。
 ……寝ている間に、お風呂に連れてこられたのね。
 これはよくあることなので、もはや焦りもしない。少し肌寒かったので、わたくしは背後の温かなものに身を擦り寄せた。

「……おはようございます、ビアンカ」

 聞き慣れた低い声で囁かれ、何度も首筋に口づけをされ。わたくしは思わず笑い声を上げた。

「おはよう、マクシミリアン。くすぐったいわ!」
「こうして二人きりでいられるのも……あと少しなので」

 そう言って彼はしなやかな両腕でわたくしを強く抱きしめる。
 家族全員一緒にいるのも、当然楽しくて、愛おしくて、満たされる。
 けれどマクシミリアンとこうして……二人きりでのんびり過ごすような日々は、当分訪れないのだろう。そう思うと少し寂しいような、そんな気持ちになる。

「……楽しかったわ」
「私もです、ビアンカ。貴女を怒らせてばかりでしたけれど」

 ぽつりと零すとマクシミリアンがしゅんとした声を出す。
 ……そうね、たしかに怒ってばかりだったけど。

「だけど楽しかったわ。ありがとう、マクシミリアン。ピクニックに連れて行ってくれて、オペラにも誘ってくれて。その……たくさん愛してくれて。嬉しかった」
「ビアンカ!」

 感極まった声音の彼に浴槽の中で器用にくるりと回され、向かい合うような体勢にされてから強く抱きしめられた。彼の逞しい胸板と肌が触れ合い、その馴染んだ感触に安堵感を覚えわたくしは吐息を漏らした。
 すりすりと頬を擦り寄せると、マクシミリアンの体がびくりと震え……当たっていますね、なにとは言いませんけど。マクシミリアンはいつでも、元気ね。
 ここは過ぎた休日を惜しみながら、家族の帰りを待つ流れなんじゃないかしら?

「……マクシミリアン」
「その。申し訳ありません」

 バツが悪そうに目をそらされて、思わず吹き出してしまう。
 そっと胸に舌を這わせるとマクシミリアンが驚いたようにこちらに目を向けた。
 期待と、恐れと。色々なものがないまぜになった彼の視線を受けながら、わたくしは彼の熱に手を伸ばす。そしてゆるゆると上下に扱いた。

「ビアン、カ」
「みんなが帰ってくるまで、少しだけ。ね?」

 囁いて亀頭にそっと指を這わせ。彼が胸の頂にしてくれるように、指の腹で優しく円を描くように刺激する。するとマクシミリアンの薄く綺麗な唇から熱い吐息が漏れた。

「悪い子です、ビアンカ」
「ふふ。気持ちいい? マクシミリアン」

 彼の端正な美貌が快楽に蕩けるのがたまらなくて。わたくしは両手で熱を包み込むと少し強めに刺激した。そうしながらお湯で濡れて光る褐色の肌に何度もキスを繰り返していると……

「……誘ったのは、貴女ですから」

 妖しい光を目に宿した彼に両手を脇の下に差し入れられ、軽々と持ち上げられた。そしてそのままゆっくりと、下ろされる。彼の……熱の上へと。

「んっ! あああっ……」

 自重にも手伝われ、じりじりと刺さるマクシミリアンの熱杭。大きなものに押し広げられる感覚は、甘い苦しさと疼きを同時に与えてくる。声を漏らしながら彼にすがりつくと、大きな手で背中を何度も優しく撫でられた。
 先端の張り出しを収めると、ずるりと長い幹が隘路を埋めていく。それをすべて飲み込んだあとに、わたくしは大きく息を漏らした。

「深い……」

 お腹の奥まで、マクシミリアンでいっぱいだ。子宮を押し上げられるように内側から密着され、膣壁が喜ぶように彼のものを締め付ける。
 はふはふと息を漏らすわたくしに、マクシミリアンはその美しい唇の端をきゅっと笑みの形につり上げて微笑みかけた。

「みんなが帰るまで、愛し合いましょうね。ビアンカ……」

 ……結局わたくしは、夕方の家族の帰宅ギリギリまで彼に啼かされ続けた。

 朝から夕まで愛し合うのってどうかと思うのだけれど、マクシミリアン。
 誘ったのはこちらからだから、わたくしも悪いのだけど! マクシミリアンはさんざんこれで怒らせたのに、反省を知らないと思うの!

 足腰が立たなくなってマクシミリアンに抱えられながら出迎えると、なにがあったか察した父様にそっと目をそらされた。

「まぁ、仲がいいのはいいことだな……」

 雑なフォローは止めて、父様。
 ……実の親に自分の状態を察せられるのは、なんとも気恥ずかしくてしょうがない。
 恥ずかしさをごまかすように、じっとマクシミリアンを睨むと……彼も父様と同じく、気まずそうに目をそらした。

「ローラも、ローラも抱っこ!」
「ぼ、僕もして欲しいです! お父様……」

 子供たちにせがまれたマクシミリアンは『申し訳ありません』と耳に囁いてから、わたくしを長椅子に下ろす。そして子どもたちに向かって両手を広げた。

 ――蜜月はしばらく、結構ね。

 ローラとユールを交互に高い高いするマクシミリアンを眺めながら、わたくしはそんなことを思ったのだった。
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