62 / 71
番外編
月と獣の蜜月22※
目が覚めると湯船の中で温かいものに包まれていた。
……寝ている間に、お風呂に連れてこられたのね。
これはよくあることなので、もはや焦りもしない。少し肌寒かったので、わたくしは背後の温かなものに身を擦り寄せた。
「……おはようございます、ビアンカ」
聞き慣れた低い声で囁かれ、何度も首筋に口づけをされ。わたくしは思わず笑い声を上げた。
「おはよう、マクシミリアン。くすぐったいわ!」
「こうして二人きりでいられるのも……あと少しなので」
そう言って彼はしなやかな両腕でわたくしを強く抱きしめる。
家族全員一緒にいるのも、当然楽しくて、愛おしくて、満たされる。
けれどマクシミリアンとこうして……二人きりでのんびり過ごすような日々は、当分訪れないのだろう。そう思うと少し寂しいような、そんな気持ちになる。
「……楽しかったわ」
「私もです、ビアンカ。貴女を怒らせてばかりでしたけれど」
ぽつりと零すとマクシミリアンがしゅんとした声を出す。
……そうね、たしかに怒ってばかりだったけど。
「だけど楽しかったわ。ありがとう、マクシミリアン。ピクニックに連れて行ってくれて、オペラにも誘ってくれて。その……たくさん愛してくれて。嬉しかった」
「ビアンカ!」
感極まった声音の彼に浴槽の中で器用にくるりと回され、向かい合うような体勢にされてから強く抱きしめられた。彼の逞しい胸板と肌が触れ合い、その馴染んだ感触に安堵感を覚えわたくしは吐息を漏らした。
すりすりと頬を擦り寄せると、マクシミリアンの体がびくりと震え……当たっていますね、なにとは言いませんけど。マクシミリアンはいつでも、元気ね。
ここは過ぎた休日を惜しみながら、家族の帰りを待つ流れなんじゃないかしら?
「……マクシミリアン」
「その。申し訳ありません」
バツが悪そうに目をそらされて、思わず吹き出してしまう。
そっと胸に舌を這わせるとマクシミリアンが驚いたようにこちらに目を向けた。
期待と、恐れと。色々なものがないまぜになった彼の視線を受けながら、わたくしは彼の熱に手を伸ばす。そしてゆるゆると上下に扱いた。
「ビアン、カ」
「みんなが帰ってくるまで、少しだけ。ね?」
囁いて亀頭にそっと指を這わせ。彼が胸の頂にしてくれるように、指の腹で優しく円を描くように刺激する。するとマクシミリアンの薄く綺麗な唇から熱い吐息が漏れた。
「悪い子です、ビアンカ」
「ふふ。気持ちいい? マクシミリアン」
彼の端正な美貌が快楽に蕩けるのがたまらなくて。わたくしは両手で熱を包み込むと少し強めに刺激した。そうしながらお湯で濡れて光る褐色の肌に何度もキスを繰り返していると……
「……誘ったのは、貴女ですから」
妖しい光を目に宿した彼に両手を脇の下に差し入れられ、軽々と持ち上げられた。そしてそのままゆっくりと、下ろされる。彼の……熱の上へと。
「んっ! あああっ……」
自重にも手伝われ、じりじりと刺さるマクシミリアンの熱杭。大きなものに押し広げられる感覚は、甘い苦しさと疼きを同時に与えてくる。声を漏らしながら彼にすがりつくと、大きな手で背中を何度も優しく撫でられた。
先端の張り出しを収めると、ずるりと長い幹が隘路を埋めていく。それをすべて飲み込んだあとに、わたくしは大きく息を漏らした。
「深い……」
お腹の奥まで、マクシミリアンでいっぱいだ。子宮を押し上げられるように内側から密着され、膣壁が喜ぶように彼のものを締め付ける。
はふはふと息を漏らすわたくしに、マクシミリアンはその美しい唇の端をきゅっと笑みの形につり上げて微笑みかけた。
「みんなが帰るまで、愛し合いましょうね。ビアンカ……」
……結局わたくしは、夕方の家族の帰宅ギリギリまで彼に啼かされ続けた。
朝から夕まで愛し合うのってどうかと思うのだけれど、マクシミリアン。
誘ったのはこちらからだから、わたくしも悪いのだけど! マクシミリアンはさんざんこれで怒らせたのに、反省を知らないと思うの!
足腰が立たなくなってマクシミリアンに抱えられながら出迎えると、なにがあったか察した父様にそっと目をそらされた。
「まぁ、仲がいいのはいいことだな……」
雑なフォローは止めて、父様。
……実の親に自分の状態を察せられるのは、なんとも気恥ずかしくてしょうがない。
恥ずかしさをごまかすように、じっとマクシミリアンを睨むと……彼も父様と同じく、気まずそうに目をそらした。
「ローラも、ローラも抱っこ!」
「ぼ、僕もして欲しいです! お父様……」
子供たちにせがまれたマクシミリアンは『申し訳ありません』と耳に囁いてから、わたくしを長椅子に下ろす。そして子どもたちに向かって両手を広げた。
――蜜月はしばらく、結構ね。
ローラとユールを交互に高い高いするマクシミリアンを眺めながら、わたくしはそんなことを思ったのだった。
……寝ている間に、お風呂に連れてこられたのね。
これはよくあることなので、もはや焦りもしない。少し肌寒かったので、わたくしは背後の温かなものに身を擦り寄せた。
「……おはようございます、ビアンカ」
聞き慣れた低い声で囁かれ、何度も首筋に口づけをされ。わたくしは思わず笑い声を上げた。
「おはよう、マクシミリアン。くすぐったいわ!」
「こうして二人きりでいられるのも……あと少しなので」
そう言って彼はしなやかな両腕でわたくしを強く抱きしめる。
家族全員一緒にいるのも、当然楽しくて、愛おしくて、満たされる。
けれどマクシミリアンとこうして……二人きりでのんびり過ごすような日々は、当分訪れないのだろう。そう思うと少し寂しいような、そんな気持ちになる。
「……楽しかったわ」
「私もです、ビアンカ。貴女を怒らせてばかりでしたけれど」
ぽつりと零すとマクシミリアンがしゅんとした声を出す。
……そうね、たしかに怒ってばかりだったけど。
「だけど楽しかったわ。ありがとう、マクシミリアン。ピクニックに連れて行ってくれて、オペラにも誘ってくれて。その……たくさん愛してくれて。嬉しかった」
「ビアンカ!」
感極まった声音の彼に浴槽の中で器用にくるりと回され、向かい合うような体勢にされてから強く抱きしめられた。彼の逞しい胸板と肌が触れ合い、その馴染んだ感触に安堵感を覚えわたくしは吐息を漏らした。
すりすりと頬を擦り寄せると、マクシミリアンの体がびくりと震え……当たっていますね、なにとは言いませんけど。マクシミリアンはいつでも、元気ね。
ここは過ぎた休日を惜しみながら、家族の帰りを待つ流れなんじゃないかしら?
「……マクシミリアン」
「その。申し訳ありません」
バツが悪そうに目をそらされて、思わず吹き出してしまう。
そっと胸に舌を這わせるとマクシミリアンが驚いたようにこちらに目を向けた。
期待と、恐れと。色々なものがないまぜになった彼の視線を受けながら、わたくしは彼の熱に手を伸ばす。そしてゆるゆると上下に扱いた。
「ビアン、カ」
「みんなが帰ってくるまで、少しだけ。ね?」
囁いて亀頭にそっと指を這わせ。彼が胸の頂にしてくれるように、指の腹で優しく円を描くように刺激する。するとマクシミリアンの薄く綺麗な唇から熱い吐息が漏れた。
「悪い子です、ビアンカ」
「ふふ。気持ちいい? マクシミリアン」
彼の端正な美貌が快楽に蕩けるのがたまらなくて。わたくしは両手で熱を包み込むと少し強めに刺激した。そうしながらお湯で濡れて光る褐色の肌に何度もキスを繰り返していると……
「……誘ったのは、貴女ですから」
妖しい光を目に宿した彼に両手を脇の下に差し入れられ、軽々と持ち上げられた。そしてそのままゆっくりと、下ろされる。彼の……熱の上へと。
「んっ! あああっ……」
自重にも手伝われ、じりじりと刺さるマクシミリアンの熱杭。大きなものに押し広げられる感覚は、甘い苦しさと疼きを同時に与えてくる。声を漏らしながら彼にすがりつくと、大きな手で背中を何度も優しく撫でられた。
先端の張り出しを収めると、ずるりと長い幹が隘路を埋めていく。それをすべて飲み込んだあとに、わたくしは大きく息を漏らした。
「深い……」
お腹の奥まで、マクシミリアンでいっぱいだ。子宮を押し上げられるように内側から密着され、膣壁が喜ぶように彼のものを締め付ける。
はふはふと息を漏らすわたくしに、マクシミリアンはその美しい唇の端をきゅっと笑みの形につり上げて微笑みかけた。
「みんなが帰るまで、愛し合いましょうね。ビアンカ……」
……結局わたくしは、夕方の家族の帰宅ギリギリまで彼に啼かされ続けた。
朝から夕まで愛し合うのってどうかと思うのだけれど、マクシミリアン。
誘ったのはこちらからだから、わたくしも悪いのだけど! マクシミリアンはさんざんこれで怒らせたのに、反省を知らないと思うの!
足腰が立たなくなってマクシミリアンに抱えられながら出迎えると、なにがあったか察した父様にそっと目をそらされた。
「まぁ、仲がいいのはいいことだな……」
雑なフォローは止めて、父様。
……実の親に自分の状態を察せられるのは、なんとも気恥ずかしくてしょうがない。
恥ずかしさをごまかすように、じっとマクシミリアンを睨むと……彼も父様と同じく、気まずそうに目をそらした。
「ローラも、ローラも抱っこ!」
「ぼ、僕もして欲しいです! お父様……」
子供たちにせがまれたマクシミリアンは『申し訳ありません』と耳に囁いてから、わたくしを長椅子に下ろす。そして子どもたちに向かって両手を広げた。
――蜜月はしばらく、結構ね。
ローラとユールを交互に高い高いするマクシミリアンを眺めながら、わたくしはそんなことを思ったのだった。
あなたにおすすめの小説
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って?
いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…