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銀狼は欲している(リオネル視点)※
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「リオネル、さま」
軋む寝台の上で、私の可愛いうさぎが甘い声を上げる。
優しい力で熱を擦ってやると小さな体がぎゅうと私にしがみつき、ふわりと甘い香りが鼻先に触れた。
――触れる理由が、できた。
清楚な花のような発情の香りを嗅いだ時、最初に思ったのはそれだった。
私はこのうさぎを……狂おしいくらいに欲している。
理性で必死に欲情を抑え込み『安全な』狼のフリをしながらも、本能ではその細い首筋に牙を立てて番にしてしまいたい、そしてその小さな腹に私の子を孕んで欲しいと願っているのだ。
私の身分を利用すれば、レイラを手に入れることはたやすいが……
レイラを無理に手篭めにして――憎まれるのが私は怖い。
ニルスはこんな私を『情けない』とまた笑うのだろう。しかしこれは私にとってはじめての恋だ。それを暴力的な形で壊すのは、望ましくない。
そんなことを考えながら、レイラの愛らしい熱を手で擦る。
「リオネルさま、あっ……」
うさぎ族用の寝台は私には狭い。しかしその分、レイラと体を密に触れ合わせることができる。彼の体は発情で熱く、表情は甘く蕩けていた。
「レイラ……」
名前を呼ぶと縋るような色が篭もった紅い瞳がこちらを向く。その目尻からは一筋の涙が溢れ、白い頬を伝っていった。その雫をできるだけ優しく舌で拭う。涙の味でさえ、まるで甘露のようだな。
「本当に、愛らしいな」
「あ、ぅ」
レイラが小さな声を上げながら吐精し、熟した果実から滴る蜜のような感触が手のひらを濡らす。それを舌で舐め取っていると、彼が恥ずかしそうに頭を何度も振った。
「だめ、そんなの……舐めるの……」
「私が、舐めたいのだ」
「だめ……」
懇願するレイラの額に口づけし、唇にも口づける。
そうしながら中途半端に脱がせていたレイラのシャツを脱がせると、白い裸体がすべて露わになった。体全体の色素が薄いのは、彼が白兎だからだろうか。このうさぎの体は……どこもかしこも美しい。
「……綺麗だな」
囁きながら小さな手を取り、指先に、手の甲にと口づける。するとその淡い刺激にも官能を呼び起こされてしまう彼は、体をびくりと震わせながら熱から蜜を零した。
愛おしい、愛している。けれど、どう告げていいのかわからない。
私が気持ちを告げることは――彼の逃げ場を無くすことと同じだ。
平民が貴族に愛を告げられて、逃げることなどできないだろう。身分というものはそれだけで、人を逃げられなくする枷となる。
「リオネルさま……」
蕩けた声で名を呼ばれると牙がぞくりと甘く震えた。
レイラの首輪を取り去り、その首に噛みついて、彼を番にしてしまおうか――そんな衝動に心が染め上げられそうになる。私はそれを必死に心の奥底へと沈めた。
『ハルミニア侯爵家のアルファ、リオネル・ハルミニア』ではなく……
任務に失敗し路地裏でボロ雑巾のようになっていた小汚い狼を、躊躇なく助けてくれた優しいレイラ。
あの日のレイラは『発情』が近かったのだろう。鼻先に微かな甘い香りを感じてしまい、衝動を抑えるのに必死だった私はろくな礼も言えなかった。
「んっ」
その香りを部屋中に満たしながら、レイラは今は私の腕の中で……甘い声を上げている。
助けられたあの日から――私この小さなうさぎに恋をしたままだ。
軋む寝台の上で、私の可愛いうさぎが甘い声を上げる。
優しい力で熱を擦ってやると小さな体がぎゅうと私にしがみつき、ふわりと甘い香りが鼻先に触れた。
――触れる理由が、できた。
清楚な花のような発情の香りを嗅いだ時、最初に思ったのはそれだった。
私はこのうさぎを……狂おしいくらいに欲している。
理性で必死に欲情を抑え込み『安全な』狼のフリをしながらも、本能ではその細い首筋に牙を立てて番にしてしまいたい、そしてその小さな腹に私の子を孕んで欲しいと願っているのだ。
私の身分を利用すれば、レイラを手に入れることはたやすいが……
レイラを無理に手篭めにして――憎まれるのが私は怖い。
ニルスはこんな私を『情けない』とまた笑うのだろう。しかしこれは私にとってはじめての恋だ。それを暴力的な形で壊すのは、望ましくない。
そんなことを考えながら、レイラの愛らしい熱を手で擦る。
「リオネルさま、あっ……」
うさぎ族用の寝台は私には狭い。しかしその分、レイラと体を密に触れ合わせることができる。彼の体は発情で熱く、表情は甘く蕩けていた。
「レイラ……」
名前を呼ぶと縋るような色が篭もった紅い瞳がこちらを向く。その目尻からは一筋の涙が溢れ、白い頬を伝っていった。その雫をできるだけ優しく舌で拭う。涙の味でさえ、まるで甘露のようだな。
「本当に、愛らしいな」
「あ、ぅ」
レイラが小さな声を上げながら吐精し、熟した果実から滴る蜜のような感触が手のひらを濡らす。それを舌で舐め取っていると、彼が恥ずかしそうに頭を何度も振った。
「だめ、そんなの……舐めるの……」
「私が、舐めたいのだ」
「だめ……」
懇願するレイラの額に口づけし、唇にも口づける。
そうしながら中途半端に脱がせていたレイラのシャツを脱がせると、白い裸体がすべて露わになった。体全体の色素が薄いのは、彼が白兎だからだろうか。このうさぎの体は……どこもかしこも美しい。
「……綺麗だな」
囁きながら小さな手を取り、指先に、手の甲にと口づける。するとその淡い刺激にも官能を呼び起こされてしまう彼は、体をびくりと震わせながら熱から蜜を零した。
愛おしい、愛している。けれど、どう告げていいのかわからない。
私が気持ちを告げることは――彼の逃げ場を無くすことと同じだ。
平民が貴族に愛を告げられて、逃げることなどできないだろう。身分というものはそれだけで、人を逃げられなくする枷となる。
「リオネルさま……」
蕩けた声で名を呼ばれると牙がぞくりと甘く震えた。
レイラの首輪を取り去り、その首に噛みついて、彼を番にしてしまおうか――そんな衝動に心が染め上げられそうになる。私はそれを必死に心の奥底へと沈めた。
『ハルミニア侯爵家のアルファ、リオネル・ハルミニア』ではなく……
任務に失敗し路地裏でボロ雑巾のようになっていた小汚い狼を、躊躇なく助けてくれた優しいレイラ。
あの日のレイラは『発情』が近かったのだろう。鼻先に微かな甘い香りを感じてしまい、衝動を抑えるのに必死だった私はろくな礼も言えなかった。
「んっ」
その香りを部屋中に満たしながら、レイラは今は私の腕の中で……甘い声を上げている。
助けられたあの日から――私この小さなうさぎに恋をしたままだ。
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