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第三話「東京に核爆弾が落ちても休むな」
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「おら!政府は『直ちに影響は無い』って言ってるだろ!!さっさと出社し
ろ!!」
綿津見幹生(わだつみ・みきお)は甘えたことを抜かす社員を叱責した。
自分がしっかりと経営理念を伝えなければ、すぐに社員の士気が緩んでしま
う。
こんな時だからこそ、21世紀において、我が社がしっかりと『嬉しさ』を
集めて行かなければならないのだ。
もちろん自分はアメリカから指示を出している。
人の上に立つ者として、当然の行動である。
東京のほとんどの会社はアルバイトを働かせ、社員は避難では無く自宅待機
にさせた。
当然彼らは被爆した。
新宿駅周辺、40代のフリーターと20代のフリーターが新宿駅周辺でぶら
ぶらしていた。
40代の男はヨシヒコ、20代の男はショウという名前だ。
二人は新宿駅から出る夜行バスチケットをかって、それぞれの地元に帰る予
定だった。
でもバスが来なかったうえ偶然出会ったので時間を潰していた。
バイト先からは仕事に出ろと電話が掛かっていたが、二人とも着信拒否して
いた。
日本政府はミサイルの被害を正確に報道しておらず、日本に着弾してもま
だ、『謎の飛翔物体』という扱いだった。
テレビを付けてもアナウンサーは大変です!程度の事しか言わず、ろくな報
道が無かったので見るだけ無駄だった。
ネットはいろんな意見が飛び交っていて、どうも核爆発らしいという話にな
っていた。
頭上ではヘリコプターが戒厳令が発令したので家から出るなと叫んでいた。
客が居ないのに何故働かせようとするのか?頭がおかしいのか?
「でさー、おれGoogleマップでみてヤバいと思ったんだよね、だって
さ、国会と皇居近いじゃん、見てビビったわ」
「そうっすよね!」
20代の男はコミュニケーション能力が高そうだった。
「まあでもシェルター有るだろうから大丈夫だと思うんだよ、だって核があ
る世の中で、皇居にシェルター無かったら、政府は何の仕事してんの? いざ
と言うときどうやって天皇陛下守るの? 政府の責任どうすんの? って事に
なるだろ? そんなのあり得ないだろ常識的に考えて」
「ですよねー!」
二人の話題は東京に落ちたミサイルについてのたわいも無い話だったが、話
題もいずれ尽きた。
「バス来ないなー」
「そうっすねー」
「・・・・・・まあ、バスの運転手さんも、来たら被爆するかも知れないしな」
「そう・・・・・・すね」
フリーターして働く気の良い彼らは、あまり他人に厳しい労働環境を押しつ
けたくなかった。
程なくして別れた彼らは数日後、『第三自衛隊就職説明会』に参加するため
に東京ドームに居た。
赤い葉書が家に来て、国民の義務なのでとにかく集合するようにとの事だっ
た。
「国家総動員法が発令されたので、早速ですが、皆さんは第三自衛隊に配属
されます。」
「「は?」」
急ごしらえの壇上で、白い放射能防護服を着た男が集まった人間に対して宣
言した。集まった人間のうち、普通の感性を持っている人間はドン引きした。
ヨシヒコ達の周りには武装した自衛隊が立っていた。
「日本を立て直すための緊急措置です。東京に住んでいる非正規の皆さんを
非正規軍属として雇用し、海外派遣など日本の役に立つ仕事をして貰います。
皆さんの愛国心を期待します。雇用条件についてはお手元のパンフレットをご
覧下さい。」
「「は?」」
そこには月収18万7千円と大きく書かれてあったがボーナスは無く、労働
条件として強制的な軽作業他、強制的な軍事訓練を受けて戦闘に参加する様に
書かれてあった。
参加を拒否する権利が無いのに様々な手当が引かれて、手取りは10万円だ
った。雇用期間は3年弱。
ここでも彼らの待遇は非正規だった。
しかもいざと言うとき何をさせられるか、半分ぐらいの人間が解っていた。
「これは日本の将来が掛かった仕事でぇす!! 皆さんのぉ!! 愛する国
を!! 皆さんのぉ!! 力で立て直すぅ!! そうすればぁ、この国難を乗
り切り、将来にわたってぇ!! 子孫が繁栄しぃ!! 輝く日本が存続してい
くのでぇすぅ!!」
壇上の男は最初は演説になれていない様子だったが、段々と熱が入ってきて
居るようだった。なんだこいつ、とその場のみんなが思った。
男の熱狂と対照的に、集められた人間は壇上の男に冷たい視線を投げかけて
いた。
演説が長いのでイラッときてヨシヒコは叫んだ。
「いや、日本が存続しても、俺、別に結婚出来ないし、家族も居ないから関係
ねえし! 家に帰してくれよ! 核なんだろ核! 落ちたミサイルはよ
ぅ!!」
次回 第四話「家畜の豚でも腹一杯食べてSEXさせて『やっと増える』と
言うのに、僕たち御飯も満足に食べてないんですけど」
ろ!!」
綿津見幹生(わだつみ・みきお)は甘えたことを抜かす社員を叱責した。
自分がしっかりと経営理念を伝えなければ、すぐに社員の士気が緩んでしま
う。
こんな時だからこそ、21世紀において、我が社がしっかりと『嬉しさ』を
集めて行かなければならないのだ。
もちろん自分はアメリカから指示を出している。
人の上に立つ者として、当然の行動である。
東京のほとんどの会社はアルバイトを働かせ、社員は避難では無く自宅待機
にさせた。
当然彼らは被爆した。
新宿駅周辺、40代のフリーターと20代のフリーターが新宿駅周辺でぶら
ぶらしていた。
40代の男はヨシヒコ、20代の男はショウという名前だ。
二人は新宿駅から出る夜行バスチケットをかって、それぞれの地元に帰る予
定だった。
でもバスが来なかったうえ偶然出会ったので時間を潰していた。
バイト先からは仕事に出ろと電話が掛かっていたが、二人とも着信拒否して
いた。
日本政府はミサイルの被害を正確に報道しておらず、日本に着弾してもま
だ、『謎の飛翔物体』という扱いだった。
テレビを付けてもアナウンサーは大変です!程度の事しか言わず、ろくな報
道が無かったので見るだけ無駄だった。
ネットはいろんな意見が飛び交っていて、どうも核爆発らしいという話にな
っていた。
頭上ではヘリコプターが戒厳令が発令したので家から出るなと叫んでいた。
客が居ないのに何故働かせようとするのか?頭がおかしいのか?
「でさー、おれGoogleマップでみてヤバいと思ったんだよね、だって
さ、国会と皇居近いじゃん、見てビビったわ」
「そうっすよね!」
20代の男はコミュニケーション能力が高そうだった。
「まあでもシェルター有るだろうから大丈夫だと思うんだよ、だって核があ
る世の中で、皇居にシェルター無かったら、政府は何の仕事してんの? いざ
と言うときどうやって天皇陛下守るの? 政府の責任どうすんの? って事に
なるだろ? そんなのあり得ないだろ常識的に考えて」
「ですよねー!」
二人の話題は東京に落ちたミサイルについてのたわいも無い話だったが、話
題もいずれ尽きた。
「バス来ないなー」
「そうっすねー」
「・・・・・・まあ、バスの運転手さんも、来たら被爆するかも知れないしな」
「そう・・・・・・すね」
フリーターして働く気の良い彼らは、あまり他人に厳しい労働環境を押しつ
けたくなかった。
程なくして別れた彼らは数日後、『第三自衛隊就職説明会』に参加するため
に東京ドームに居た。
赤い葉書が家に来て、国民の義務なのでとにかく集合するようにとの事だっ
た。
「国家総動員法が発令されたので、早速ですが、皆さんは第三自衛隊に配属
されます。」
「「は?」」
急ごしらえの壇上で、白い放射能防護服を着た男が集まった人間に対して宣
言した。集まった人間のうち、普通の感性を持っている人間はドン引きした。
ヨシヒコ達の周りには武装した自衛隊が立っていた。
「日本を立て直すための緊急措置です。東京に住んでいる非正規の皆さんを
非正規軍属として雇用し、海外派遣など日本の役に立つ仕事をして貰います。
皆さんの愛国心を期待します。雇用条件についてはお手元のパンフレットをご
覧下さい。」
「「は?」」
そこには月収18万7千円と大きく書かれてあったがボーナスは無く、労働
条件として強制的な軽作業他、強制的な軍事訓練を受けて戦闘に参加する様に
書かれてあった。
参加を拒否する権利が無いのに様々な手当が引かれて、手取りは10万円だ
った。雇用期間は3年弱。
ここでも彼らの待遇は非正規だった。
しかもいざと言うとき何をさせられるか、半分ぐらいの人間が解っていた。
「これは日本の将来が掛かった仕事でぇす!! 皆さんのぉ!! 愛する国
を!! 皆さんのぉ!! 力で立て直すぅ!! そうすればぁ、この国難を乗
り切り、将来にわたってぇ!! 子孫が繁栄しぃ!! 輝く日本が存続してい
くのでぇすぅ!!」
壇上の男は最初は演説になれていない様子だったが、段々と熱が入ってきて
居るようだった。なんだこいつ、とその場のみんなが思った。
男の熱狂と対照的に、集められた人間は壇上の男に冷たい視線を投げかけて
いた。
演説が長いのでイラッときてヨシヒコは叫んだ。
「いや、日本が存続しても、俺、別に結婚出来ないし、家族も居ないから関係
ねえし! 家に帰してくれよ! 核なんだろ核! 落ちたミサイルはよ
ぅ!!」
次回 第四話「家畜の豚でも腹一杯食べてSEXさせて『やっと増える』と
言うのに、僕たち御飯も満足に食べてないんですけど」
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