無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第1章 転生編

第4話 職の力

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俺は今、マリーに抱っこされながら家までの道を歩いている。

「ルイスちゃんそろそろ暗くなってきたから急ぎましょっか。
早く帰るために今日はこっちの茂みの方を通りましょ」

マリーの言う通り、あたりは既に暗くなり始めていた。

これ本当に大丈夫なのか?
それに木が生い茂ってる方に行くだって?
絶対にやめた方がいい!

今日の朝通ったはずの道だが、全く別の道に思えた。

「あうあうあー!」

「大丈夫よー。お母さんが付いているからね」

さっきおじいちゃんの話で聞いたよ!?
暗くなったら魔素というものが濃くなり、魔物が出現しやすいって!

俺のか弱い声はマリーに届くことはなく、マリーはどんどん茂みの方へ進んでく。

「あと少し歩いたら家が見えてくるからね」

このペースで進めば無事に着けそうだな。
よかっ__

ガサッ

俺がそう思っていると茂みの方が揺れ動いた。

「ひぃぃ!」

マリーが音に反応し悲鳴をあげる。

ま、まてよ?今のなんだ?
ただの動物にしては禍々しすぎる気配を感じる。

「キシャ?」

真っ暗な茂みから、全身緑色で子供くらいの背丈の何かが飛び出してきた。

「ま、魔物だわ!早く、に、逃げないと!」

こいつの正体を俺は知っている。
こいつはファンタジーでお馴染み、全身緑色の小柄で人型の魔物、ゴブリンだ。

「キシャァァ!」

ゴブリンがこちらに向かってくる。

ゴブリンの右手には尖った石。
十分な殺傷能力がある。

「うっ!」

マリーはゴブリンの殺気にあてられ、腰が抜け座り込んでしまった。

母さん!
まずいまずいまずい!!
ゴブリンがどんどん近寄ってくる!

こんな時に頼れるものは…何も無い。
こんな赤子じゃ抵抗することも出来ない。

「ケケッ!」

ゴブリンが俺たちの前に立つ。
そして、右手の尖った石が振り下ろされる。

ああ、俺の2度目の人生はここで終わりなのか…

諦めかけたその時__

「マリー!!ルイス!!」

ザクッ

ゴブリンが右手をあげたまま硬直し倒れ込む。
その後ろから現れたのは父であるハリーだった。

「マリー、ルイス、大丈夫か?」

「え、ええ。大丈夫だわ」

「あうー!」

なんだ、今の父さん!?
美しく精錬された剣筋、ピンチに駆けつけるヒーロー。
かっこよすぎる!!

「マリー、足を怪我してるじゃないか」

「大丈夫よ。職で治せるもの。
【ヒール】」

マリーの足が緑色の光で包まれる。

これが魔法!?
初めて見たけどすごく癒される光だ。
父さんの剣といい、母さんの魔法といい、この世界の人たちはすごいな

これが職の力か。
自分の職がどんなものかますます気になってきたな。

「無事で何よりだが、どうしてこんな道を通ったんだ?俺が間に合わなかったらどうするつもりだったんだ?」

あ、これ父さんお怒りモードだ…。

「早く帰ろうと思って…。ごめんなさい」

母さんって意外とドジなところがあるんだよな。



そんなこんなで俺とマリーは、ハリーのおかげで無事に帰ることが出来た。

帰り道に父さんと母さんの職について教えてもらった。
父さんの職は『上級剣士 屈強級』
母さんの職は『癒しの母 有能級』

父さんのあの剣にも、母さんのあの魔法にも納得だな。
俺もいつか父さんみたいに強くなれるかな。

家に着いてからは、話を聞いたアリスが号泣しずっと母さんに抱きついていた。

アリス姉ちゃんもまだまだ子供だねっ。
と思ったが、これでもアリスはまだ2歳だ。泣いてしまうのも仕方がないのだろう。

俺だってかなり怖かったんだからね!?これでも本当に死んだと思ったんだよ?
俺にとっては2度目の人生だ。あんな勿体ない終わり方は神様も許さないだろうしね。

微笑ましい光景を眺めていると段々と眠くなってきてしまった。

今日は色々あって疲れたし寝るか。

俺は自分の思っている以上に疲れていたらしく、すぐに眠りについた。



◆◆◆



あれから3年が経ち、俺は3歳になり少し喋れるようになってきた。

さらに歩けるようにもなった。
最近は毎晩こっそり部屋を抜け出し、書庫に行っては色々な書物を漁っている。

そして職についてわかったことがある。それは職の適正じゃなくても魔法や剣は使えるらしいのだ。

しかし、適正がないため覚えるのも難しいし、職を極めた方が効率がいいらしく、誰も馬鹿なことをやる人はいない。

みんな忘れていないだろうか?
俺はまだ子供であるということを!

そう、子供の成長スピードは凄まじく、適性など関係ない!

俺は毎日剣の振り方や魔力の使い方などの本を見ては真似ている。
剣は少し出来そうな気はするけど、未だに魔力の感覚は掴めずにいる。
覚えといて損は無いし、いつか役に立つ時が来るだろう。

そして重要なことはもうひとつある。
アリス姉ちゃんが5歳になることだ。

この世界では5歳の誕生日だけ盛大に祝う習わしがあるらしく、明後日にアリス姉ちゃんの5歳の誕生日があるため、それに向けみんな準備をしている。

親戚とか他の貴族も集めてやるらしいから友達とかできるかな?
ちなみにまだ同年代の人と話したことないんだよね。
同じ歳くらいの子がいればいいんだけど。

「アリスちゃん今日はパーティーで着るお洋服を買いに行きましょ」

「街に行くの!」

「ええ、今日は王都に行きますよ」

「やったー!」

王都!ついに王都だ!
美味しい食べ物とか、面白い物がたくさん待ってる!

「ルイスちゃんも一緒に行きましょうね」

「うん!」

王都はここリアムールから馬車で1時間程のところにあるらしい。

素敵なものが俺を呼んでる気がする!
王都へいざ出発だ!


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