無職だけど最強でした〜無職と馬鹿にされたが修行して覚醒したから無双してくる〜

えんじょい

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第1章 転生編

第10話 職授礼の儀式

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俺は剣を構え呼吸を整える。
今の姉さんの真似をするんだ。

右足を前に出す。
強く踏み込む。
剣を上げ、縦に真っ直ぐ素早く振り下ろす。

「やぁ!」

シュッ

「なっ!?」

俺の剣は鋭く美しい剣筋で風を切った。

「父さんどうでした?」

「ルイス、剣を握るのは初めてなんだよな?」

「はい」

「これは天才だ…」

「ルイスすごいわね!」

なんかわからんが上手くいったのか?
自分では全然上手くいった気がしないのだが。
もっとこう、父さんみたいな重みのある剣筋で振りたいな。

「ルイス…もしかしたらお前の職は俺を超える『剣帝 幻想級』になるかもしれん。
今の剣筋を見れば納得できる」

剣帝!?幻想級!?
もしかして、神様がくれたチートはこれの事だったのか!
ちゃんとチートをくれたのですね神様!
ありがとうございます!

それから俺は自分のチートを活かすべく、雨の日も毎日剣を振った。

もちろん夜に1人で書物を見ながら素振りをしている。
魔力に関しては最近はあまりやっていない。
剣を極めるのに必死でやる時間が無いのだ。



剣の訓練を始めてから月日が流れた。
アリス姉ちゃんは10歳になり、職授礼の儀式で無事にいい職を手に入れた。
アリス姉ちゃんの職は『中級剣士 有能級』。

父さんに教えられてたから剣士の職が手に入れられて満足そうだった。

『中級剣士 有能級』になれれば小規模の軍隊の隊長を務められるくらいだ。

さすがアリス姉ちゃんだね!

アリス姉ちゃんが職を授かってからは、2人で模擬戦をすることが増えた。

「はぁ!」

「やぁ!」

アリス姉ちゃんは『中級剣士 有能級』に対して俺はまだ職を貰ってない。

「負けました…」

結果は見ての通り俺が負ける。

「ルイスあんた職を持ってないのにやるわね!」

しかし、職を持っていないのに中級剣士であるアリス姉ちゃんと、まともに戦えていることはすごいことらしい。



そしてアリス姉さんと模擬戦を続けること数年…

「やぁ!」

「なっ!負けだわ!私の負け!」

俺は9歳にして11歳の『中級剣士 有能級』である姉さんに勝ってしまったのである。

「ついに私が負けたわね!さすがルイスだわ!」

全くアリス姉さんってば、自分が負けたってのに随分嬉しそうなんだから。

「明日はついにルイスの10歳の誕生日ね!ルイスなんだから『剣帝 幻想級』に決まってるわ!」

「任せてくださいアリス姉さん!」

そう、明日はついに俺の10歳の誕生日だ。
つまり職授礼の儀式の日だ。

俺は神様から剣の才能を貰ったと思っている。
きっと剣士の職に違いないだろう。

だってまだ職がないのに『中級剣士 有能級』に勝てちゃうんだよ?
こんなのチート以外に何があるってんだ!

「ルイスちゃん今日は早めに寝るのよ」

「はーい」

俺は明日に備えいつもより早く寝ることにした。



チュン、チュン、チュン

小鳥の鳴き声で目が覚めた。

外はすっかり明るくなり雲ひとつ無い快晴だ。
まるで俺のことを祝福してるように感じられた。

今日はなんだかいいことが起きる気がするな!

「母さん、父さん、姉さん、テリア!おはようございます!」

「あら、ルイスちゃん朝から元気ね」

「今日は職授礼の儀式ですからね!」

「あんまり緊張しないようにね。きっといい職を神様がくださるわよ」

職授礼の儀式は村の中にある教会で行うことになっている。

『神父 屈強級』によって、神からのお告げが下される。

その際祈りを捧げることが大事らしい。

剣士になりたければ剣士の道を、魔術師になりたければ魔術師の道を。
自分のなりたい職を祈ればある程度その職になれるというのだ。

俺は『剣帝 幻想級』になりたいから剣士の道を祈ろう。

「さあ、ルイスちゃん。職授礼の儀式をしに行きましょう」

「はい、母さん」

俺はマリーと家を出て教会に向かった。

「ねえ母さん」

「どうしたの?」

「もし僕がさ、無能級とか不便級の職を授かったら見捨てる?」

「そんなことないから大丈夫よ。
もしそうだとしても、私やハリーは絶対に見捨てたりしないわ」

「そっか」

なぜだか分からないが、もし無能級や不便級を授かってしまったらと、そのように考えてしまった。

神様から剣士のチート能力を与えられているからそんなことないんだけどね!

「ついたわ。行ってらっしゃい!」

「行ってきます!」

職授礼の儀式は子供ひとりと職『神父 屈強級』を持っている者の2人のみで行う決まりになっている。

俺は教会の大きな扉を力いっぱい押した。

「良くおいでなさいました」

「よろしくお願いします!」

教会の中にはとても優しそうな顔をした老人が1人立っていた。

「こちらにどうぞ」

神父は俺を協会の真ん中まで案内すると前に立ち祈りを捧げ始めた。

「では、これよりルイストリア・フールの職授礼の儀式を始める!」

ついに職授礼の儀式が始まった。

神父は顔の前で両手を握り合わせ祈りを捧げている。

「神よ神託を下したまえ!
ルイストリア・フールの職は___」

ついに職が授けられる。

俺は剣の道に進みたい。
父さんよりも強く、家族や村のみんなを守れるほど勇敢な剣士になりたい。
俺は『剣帝 幻想級』になりたい!

神父は握り合わせた手を緩め、一息ついてから口を開いた。

「___『無職 無能級』である」


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