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第3章 世界編
第52話 旅を共にする仲間
しおりを挟む俺は家族に別れを告げ、家の敷地を出た。
「さてと、これからアオの家族を助けてみんなでカインウェル王国に向かうんだったっけ?」
俺は予言書のページをめくる。
予言書には仲間を率いてカインウェル王国へと旅立つと書いてある。
仲間とは誰のことか。
もしかしてメリアやアート達のことだろうか?
でも、俺の旅に無理やり連れていく訳にもいかないし…
それになぜカインウェル王国なんだ?
行くならここから1番近いユメツリオ王国じゃないのか?
俺は色々と考えながら学校へと向かう。
みんなに会って色々相談してみないとだからね。
「遅かったじゃないルイス!」
「荷物重たいよ」
「旅楽しみ…!」
「待ってたよルイス!」
学校の校門前には大きな荷物を持った4人がいた。
「みんな!?なんでここに…?」
「そりゃ旅に行くためよ!」
「僕とシシーはメリアに言われて…」
「僕も!」
つまり、メリアがみんなに旅に行こうと誘った訳か…
「ルイスもメリアに言われたんじゃないの?」
メリア?まさか俺を省いたのか?
俺はメリアの方に目を向ける。
「ルイスなら言わなくても来てくれる気がしてー…」
全くメリアったら。
たまたまだろうが、みんなを旅に誘う手間が省けたのはありがたいな。
「でも、ルイスなんも荷物もってないじゃん」
アオが俺の横腹を突きながら言う。
「確かに…これは私の勘も外れちゃったかな?」
メリアが困ったように首を傾げる。
「安心して。ちゃんと準備は終わらせてきたよ!【取り出し】!」
俺は亜空間に収納していた食料や服、お金を取り出した。
「今どこから出したの!?」
「急に現れた…」
急に現れた荷物にみんな口を開けて驚く。
「実は僕の職の能力で、物とかを【収納】したり、自在に【取り出し】したりできるんだ」
「これはすごい便利な能力だ」
アートが分析しながら顎に手を当てる。
「じゃあじゃあさ!僕たちのこの荷物も【収納】できるの!」
アオが目を光らせて聞く。
「もちろんできるよ!【収納】!」
俺はみんなの荷物全てを【収納】した。
「さすがルイス!
荷物が軽くなったことだし早速出発しましょ!」
メリアが張り切って出発する。
「メリアまっ___」
「みんなにお願いがあるんだ!」
メリアを呼び止めようとした時、アオがみんなに声をかける。
「僕、お母さんがあの王子に囚われてて、どこにいるか分からないんだ…
だから、お母さんを助けて欲しい…!」
「当たり前じゃない!」
「もっと早く言ってくれれば良かったのに」
「仲間だから助ける…」
「みんな…!」
みんながアオに寄り添う。
さすがみんなだな。
「それでなんだけど、実は俺場所分かる気がするんだよね」
そう、実はアオのお母さんの居場所はだいたい把握してあるのだ。
昨日王城へ案内された際、どこか怪しそうなところはないかと思って周りを見ていた時、いかにも怪しそうな地下への入口を見つけた。
恐らくアオのお母さんや他に連れ去られた人はその地下室に閉じ込められているのだろう。
「実は___」
俺はその地下室のことをメリアたちに報告し、アオのお母さんを助けるべく王城に忍び込むことになった。
「ねぇ、これ本当に大丈夫なの?」
「見つかっちゃったら処刑されちゃう!」
メリアとアオが恐る恐る地下室へと入り込む。
「見つからなければ大丈夫だ。
それにここにはヘルウィーしか出入りしてなかったらしいし、見張りもいないだろう」
昨日案内してくれた騎士さんに聞いた時は誰も入ってないって言ってたしね。
もし見つかったとしても人助けと言えば大丈夫だろう。
「松明は僕が持つよ!」
アオが率先して松明を持つ。
アオを先頭に地下室の階段を降りて行く。
しばらく階段を降りると扉が現れた。
「鍵がかかってる…」
「鍵なら任せて!【トラップ解除】!」
アオが職の能力で鍵を解除する。
「そんなことも出来るなんてさすがだ」
「へへっ、すごいでしょ!」
アオがドアを開けながら自慢げに笑う。
「ねぇ見て!」
メリアが何かをみつけ指差す。
メリアの声に俺たちは指差された場所に目を向ける。
「これは…酷いな」
「お母さん…?」
そこには全身痣だらけのアオの母親の姿があった。
やせ細っていて服は黄ばんでボロボロ、まともに食事や衛生面を管理されていなかったようだ。
「【取り出し】」
俺は亜空間からパンを取り出す。
「アオ、これをお母さんに」
「ルイスありがとう」
アオはパンを受け取り母親へ渡す。
「ありがとうございます…ありがとうございます…!」
アオの母親はパンをがむしゃらに頬張る。
「お母さん…!やっと、この生活から開放されるよ…!」
アオは泣きながら母親に抱きつく。
「アオ…!」
母親もやせ細った腕でアオを抱きしめる。
「さっ、家に帰ろうか!」
それから俺たちはアオの母親を家に送った。
その後、アオが再開したばかりの母親に別れを告げた。
アオは母親から離れたくなさそうだったが、アオの母親は気持ちよく俺たちを送り出してくれた。
「アオ、本当に良かったの?」
「うん…!もう覚悟は決めた!
僕は旅をして色々なものを見てまたここに帰ってくる!」
アオが拳を握りしめ高く振り上げる。
「さぁ、ここから俺たちの冒険の始まりだ!」
俺、メリア、アート、シシー、アオの5人で世界に向けて旅立った。
=====================
いつもこの作品を読んで頂きありがとうございます!
皆様に謝らなければならないことがあります。
作者の事情で、第3章の進行スピードを早めることになってしまいました。
世界各地を巡って旅するルイス達を細かいところまで書きたかったのですが、進行を早める為に色々とストーリーを省くことになりました。
筋はちゃんと通るように練り直したので安心してください!
しっかり完結まで持っていくつもりなのでこれからもこの作品をどうかよろしくお願いします!
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