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第3章 世界編
第109話 アオ・サトラムの復活
しおりを挟む「あっ!あるかもしれないよ!」
アートが閃いた勢いで立ち上がる。
「貿易都市パメリア共和国だ!」
「貿易…都市…?」
「確かにパメリア共和国にならあるかもしれないな!」
パメリア共和国はユメツリオ王国の南側、海を渡ったその先に位置するドワーフの国だ。
海に囲まれた離島ということもあって他国との貿易が盛んなことで有名だ。
その貿易を最も強固たる関係にしているのが、彼らドワーフが造る最高級の武器。
たくさんの品が集まるパメリア共和国になら、『伝説の薬』が見つかるかもしれない!
「そうなったら次の目標は決まりだな!
いざ、パメリア共和国へ…」
「「「出発!!!」」」
「っと、その前に…」
「僕?」
俺はアオを指差す。
「アオには俺たちが攻略したダンジョンを攻略してもらうぞ」
「任せて!と言いたいところだけど、僕が戦闘に適していないの知ってるでしょ?」
「ああ、もちろん俺も一緒に行くから安心してくれ」
「それなら安心だね!」
幸い、ドラゴン以外はそんなに強くは無い。
俺1人でも余裕だろう。
【転移】でボス部屋まで一気に飛んでしまえばかなり早く攻略ができるだろうしな。
「じゃあ準備できたら向かうぞ。
その間アートとシシーはデートでも楽しんで!」
「デ___っ!?ルイス!!」
「…デート…アートとデート…」
「俺たちは邪魔しちゃいけないし、早くダンジョンに向かおうか!」
「そうだね!良かったねシシー!」
「デート…アートと…」
「いやっ、シシーこれはあの___」
俺たちは必死に誤魔化そうとしているアートと顔を真っ赤にしているシシーを置いて部屋を後にした。
「僕はもう準備万端だよ!」
「じゃあ早速出発しようか!手に掴まって」
「久しぶりに戦うけど頑張るね!」
アオが俺の手を取る。
暖かい。
確実に生きている人間の体温だ…
改めてアオを助けることが出来て良かった。
次はメリアだ…
待っててくれメリア!
「【転移】!」
光に包まれ、サルディニアダンジョンのボス部屋の前に転移した。
それから俺たちは苦戦することなくドラゴンを打ち倒し、魔力が回復したらアクトルダンジョンへ、また回復したらライクリックダンジョンへと向かい順調に攻略を進めていった。
アオの活躍は凄まじいものだった。
生き返ったばかりでまだおぼつかないところもあったが、確実に強くなっていっている。
アオも生き返りメリアも生き返れば、デスティザークを倒すことができる!
攻略が終わったあとは新しい能力を確認しながらゆっくりと帰った。
「まさか1日で終わっちゃうなんてな」
「ほんとびっくりだよ!ルイス強すぎない?」
「あはは、実はまだ全力じゃないけどね」
「うげぇ、あれで全力じゃないとか怪物だね」
「いや…まだ足りない…もっと強くならないと…!」
「デスティザークってやつだっけ…」
「ああ、あいつらは俺以上の怪物だ…今の時点じゃ全然敵わない…」
「そんなに強いんだ…」
この前倒したのは3rd…
あれが3rdだなんてバカげている。
さらにその上に2人もいることにも驚きだ。
あいつ以上のやつと戦った時、勝てる確信が持てるか分からない…
俺も強くならなければ…!
「話してたらもう家に着いたね。
アートとシシーは帰ってきてるかな?」
「もう夕方だし、帰ってきてるでしょ!」
アオが扉に手をかける。
「たっだいまー!」
「あっ、おっ、おかえり!」
「…おかえり…」
「ただい…ん?」
俺は妙な違和感に気づく。
部屋のソファに座っているアートとシシー。
しかしその距離は方がぶつかるくらいのもの…
さらに2人ともほんのり顔が赤い…
ほほーん、これはこれは邪魔しちゃったかな?
「ごめんアート!出ていこうか?」
「ルイス!からかわないでよ」
「からかってないって!
まぁ、今日1日充実して過ごせたみたいでよかったよ」
「おかげさまでね…あはは」
「?どうしたの2人とも?」
アオは何も分かっていない様子で首を傾げる。
「秘密だよ」
「ええーいいじゃんアートー!教えてよー!」
「あはは、秘密だってば」
「けちー!」
「もっと言ってやれアオ!」
「けちアート!」
「ルイスまで勘弁してよ!?」
「あはは、ごめんよアート。つい面白くて」
「…アートけちじゃない…!」
「冗談だよ冗談!」
「「あはは!あははは!」」
俺たちは疲れるほどに久しぶりに大笑いをした。
そしてその晩、アオのおかげで少し賑やかに夕食を楽しむことが出来た。
夕食の後、俺は寝る前に予言書を開くことにした。
〈無事に蘇生が成功したみたいだね。
しかし、困ったことに未来が2つにぶれてしまっている。
アオ・サトラムを助けた場合は次のページから。
メリア・フォン・ユメツリオを助けた場合は50ページから読んでくれ。〉
っ!?メリアを助けた場合の未来も書かれているのか!?
知りたい…!
でも…これを見たら…
いや、ダメだ!
俺はアオを助けて後悔してない!
俺は自分の欲に負けず、何とか耐えることが出来た。
続きから読み進めよう。
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