32 / 48
第三楽章 その思いはappassionato
風雅の告白
しおりを挟む
借り人競争のお題で『好きな人』を引いた風雅。
迷わず向かった先は彩歌が所属する一年三組のテント……ではなく、二年四組のテント。
「響、来てくれ!」
風雅が指名したのは何と響。
「良いけど、風雅何引いたんだ?」
「まあ……な」
きょとんとする響に対し、風雅はフッと笑う。そして風雅はそのまま響を連れて行く。
更に風雅が向かった先は二年七組のテント。
「おお、いたいた。蓮斗、お前も来てくれ」
「……良いけど、風雅、お前のお題何だ? 響もいるが、複数人のお題とか聞いたことないぞ」
「何でも良いだろ」
怪訝そうな蓮斗に対し、風雅は何も答えない。
響、蓮斗を引き連れた風雅は、次に二年一組のテントへ向かった。
「徹、お前も来い!」
「ええ? 風雅、一体何だよ?」
徹はヘラヘラ笑いながら風雅の所へやって来る。
「小日向と晩沢だけでなく昼岡も連れて行くとか、朝比奈一体どんなお題引いたの?」
徹と同じクラスのセレナは笑いながら首を傾げている。
「それは秘密」
風雅はニッと白い歯を見せ笑い、セレナにそう言うだけだった。
風雅は響、蓮斗、徹の三人を引き連れて走る。いつもの吹奏楽部同学年男子メンバーだ。
そして、ゴールにいる体育祭実行委員の生徒にお題と連れて来た人が一致しているかを確認してもらう。
「はい、二年四組の到着です。三人連れて来ていますがお題は……出ました! 『好きな人』!」
マイクを通してグラウンド全体に体育祭実行委員の声が響く。
「おい風雅マジかよ!? そんなに俺のことを!? でも俺、恋愛対象は女子だぞ!」
徹はニヤけながら風雅の肩を小突く。
「馬鹿、徹やめろ。だれもお前を恋愛対象だなんて言ってないぞ」
風雅は笑いながら、そんな徹の肩をパンッと強く叩いた。
すると徹は「痛え!」と叫ぶ。
響と蓮斗は困惑したように半笑いしている。
風雅の連れて来た三人を見て、皆爆笑したり黄色い声を上げたりなど、会場全体の反応は様々であった。
「このお題、『好きな人』って、どこにも恋愛対象として好きな人とは書いてない。それから人数指定もない。だから俺は部活仲間の男子を連れて来ました! 本当は吹奏楽部全員を連れて行きたかったんですけど!」
マイクを渡された風雅はややおどけた様子で全体に向けて言った。
すると体育祭実行委員の生徒も「なるほど」と納得する。
他の生徒達も、その手があったかと目から鱗だったようだ。
「確かに、好きにも種類があるからな」
蓮斗は砂埃で汚れたらしい眼鏡を体操服で拭きながら、納得している様子だ。
「じゃあ来年から結構このお題、逃げ道出来そうだな。今までこのお題があるせいで借り人競争出たくないって人多かったわけだし」
響はハハっと笑う。
「あ、それと、吹奏楽部はもう一人一年に男子がいるけど、一年のテントが遠かったから連れて来なかっただけです! 律、お前のこと嫌いってわけじゃないからなー!」
風雅は一年三組のテントにいる律に向かってそう宣言した。
すると一年三組のテントから「はい! 分かってます!」と律の声が響く。
それにより、再び会場全体は笑いに包まれた。
結果、風雅は借り人競争二年生男子の部にて、三位でゴールした。
風雅はチラリと一年三組のテントにいる彩歌に目を向ける。
彩歌は風雅の視線に全く気付いた様子はなく、花音と話をしていた。
♪♪♪♪♪♪♪♪
体育祭は、十五分の休憩に入った。
「彩歌ちゃん」
食堂前の自動販売機にて、花音と一緒に飲み物を買っていた彩歌に声をかける風雅。
彩歌はうざったそうに風雅を見た。
風雅はチラリと花音に目を向ける。
「花音ちゃん、ちょっと彩歌ちゃんと話がしたいんだ。良いかな?」
「あ……はい。分かりました、朝比奈先輩。じゃあ、彩歌ちゃん、先に三組のテント戻ってるね」
花音は何かを察し、意味深に微笑んでいた。
「あ、ちょっと、花音」
彩歌は縋るように花音を引き留めようとしたが、花音は素早くその場を立ち去ってしまう。
「一体何なの?」
彩歌は不機嫌そうに風雅を睨む。
丁度今、風雅達がいる場所は運良く誰もいない。
「さっきの借り人競争、俺出てたんだけど見てくれた?」
「あんたが出てたってことは何か分かったけど、それだけ。でも、何か人選意外だった。あの後、浜須賀がクラスの男子からいじられてたけど」
ムスッとしつつも、彩歌はそう答えてくれた。風雅の方に視線は合わせてくれない。
「そっか。まさか『好きな人』を引くとは俺も思ってなかった」
風雅はハハッと笑った後、真剣な表情で彩歌を見つめる。
「本当は彩歌ちゃんを連れて行こうとした。だけど、彩歌ちゃんはあんな風に注目浴びるの絶対嫌だろうから、連れて行くのをすぐにやめた」
容姿が良い故に、異性から言い寄られたり同性から嫉妬されて彩歌が嫌な思いをしたことは、文化祭の時に知った。おまけに風雅も容姿に恵まれて異性から言い寄られることが多い。だからもし今回彩歌を連れて行っていたら、風雅ファンの嫉妬により彩歌がまた嫌な思いをするだろうと判断したのだ。おまけにこうしたイベントで目立つことは彩歌も望んでいなさそうだと感じたのである。
「もしそんなことしてたら、その場であんたをぶっ飛ばしてた」
ギロリと風雅を睨む彩歌。
彩歌に睨まれることはもう慣れた風雅である。彩歌のその睨む表情すら、風雅は可愛いと思うのであった。
「俺、彩歌ちゃんが好きだ。友達思いなところや正義感が強いところとか、何もかも、全部。どうしようもないくらいに」
真っ直ぐ、射抜くように彩歌を見つめる風雅。その声は、少し震えていたが今までにないくらい真剣だった。
目を大きく見開き、彩歌は言葉に詰まる。
「彩歌ちゃん、別に返事は今じゃなくて良い。俺、いつまでも待つから」
風雅の言葉に、彩歌は黙り込む。
「流石に百年後とかは俺もう死んでるけど」
風雅は冗談っぽくおどけてみせた。
「じゃあ、彩歌ちゃん、俺、待ってるから」
風雅はそう言い、彩歌の元から立ち去った。
「何それ。意味分かんないんだけど」
一人取り残された彩歌は戸惑いながらも、風雅の後ろ姿を睨む。
彩歌の頬は、真っ赤に染まっていた。
迷わず向かった先は彩歌が所属する一年三組のテント……ではなく、二年四組のテント。
「響、来てくれ!」
風雅が指名したのは何と響。
「良いけど、風雅何引いたんだ?」
「まあ……な」
きょとんとする響に対し、風雅はフッと笑う。そして風雅はそのまま響を連れて行く。
更に風雅が向かった先は二年七組のテント。
「おお、いたいた。蓮斗、お前も来てくれ」
「……良いけど、風雅、お前のお題何だ? 響もいるが、複数人のお題とか聞いたことないぞ」
「何でも良いだろ」
怪訝そうな蓮斗に対し、風雅は何も答えない。
響、蓮斗を引き連れた風雅は、次に二年一組のテントへ向かった。
「徹、お前も来い!」
「ええ? 風雅、一体何だよ?」
徹はヘラヘラ笑いながら風雅の所へやって来る。
「小日向と晩沢だけでなく昼岡も連れて行くとか、朝比奈一体どんなお題引いたの?」
徹と同じクラスのセレナは笑いながら首を傾げている。
「それは秘密」
風雅はニッと白い歯を見せ笑い、セレナにそう言うだけだった。
風雅は響、蓮斗、徹の三人を引き連れて走る。いつもの吹奏楽部同学年男子メンバーだ。
そして、ゴールにいる体育祭実行委員の生徒にお題と連れて来た人が一致しているかを確認してもらう。
「はい、二年四組の到着です。三人連れて来ていますがお題は……出ました! 『好きな人』!」
マイクを通してグラウンド全体に体育祭実行委員の声が響く。
「おい風雅マジかよ!? そんなに俺のことを!? でも俺、恋愛対象は女子だぞ!」
徹はニヤけながら風雅の肩を小突く。
「馬鹿、徹やめろ。だれもお前を恋愛対象だなんて言ってないぞ」
風雅は笑いながら、そんな徹の肩をパンッと強く叩いた。
すると徹は「痛え!」と叫ぶ。
響と蓮斗は困惑したように半笑いしている。
風雅の連れて来た三人を見て、皆爆笑したり黄色い声を上げたりなど、会場全体の反応は様々であった。
「このお題、『好きな人』って、どこにも恋愛対象として好きな人とは書いてない。それから人数指定もない。だから俺は部活仲間の男子を連れて来ました! 本当は吹奏楽部全員を連れて行きたかったんですけど!」
マイクを渡された風雅はややおどけた様子で全体に向けて言った。
すると体育祭実行委員の生徒も「なるほど」と納得する。
他の生徒達も、その手があったかと目から鱗だったようだ。
「確かに、好きにも種類があるからな」
蓮斗は砂埃で汚れたらしい眼鏡を体操服で拭きながら、納得している様子だ。
「じゃあ来年から結構このお題、逃げ道出来そうだな。今までこのお題があるせいで借り人競争出たくないって人多かったわけだし」
響はハハっと笑う。
「あ、それと、吹奏楽部はもう一人一年に男子がいるけど、一年のテントが遠かったから連れて来なかっただけです! 律、お前のこと嫌いってわけじゃないからなー!」
風雅は一年三組のテントにいる律に向かってそう宣言した。
すると一年三組のテントから「はい! 分かってます!」と律の声が響く。
それにより、再び会場全体は笑いに包まれた。
結果、風雅は借り人競争二年生男子の部にて、三位でゴールした。
風雅はチラリと一年三組のテントにいる彩歌に目を向ける。
彩歌は風雅の視線に全く気付いた様子はなく、花音と話をしていた。
♪♪♪♪♪♪♪♪
体育祭は、十五分の休憩に入った。
「彩歌ちゃん」
食堂前の自動販売機にて、花音と一緒に飲み物を買っていた彩歌に声をかける風雅。
彩歌はうざったそうに風雅を見た。
風雅はチラリと花音に目を向ける。
「花音ちゃん、ちょっと彩歌ちゃんと話がしたいんだ。良いかな?」
「あ……はい。分かりました、朝比奈先輩。じゃあ、彩歌ちゃん、先に三組のテント戻ってるね」
花音は何かを察し、意味深に微笑んでいた。
「あ、ちょっと、花音」
彩歌は縋るように花音を引き留めようとしたが、花音は素早くその場を立ち去ってしまう。
「一体何なの?」
彩歌は不機嫌そうに風雅を睨む。
丁度今、風雅達がいる場所は運良く誰もいない。
「さっきの借り人競争、俺出てたんだけど見てくれた?」
「あんたが出てたってことは何か分かったけど、それだけ。でも、何か人選意外だった。あの後、浜須賀がクラスの男子からいじられてたけど」
ムスッとしつつも、彩歌はそう答えてくれた。風雅の方に視線は合わせてくれない。
「そっか。まさか『好きな人』を引くとは俺も思ってなかった」
風雅はハハッと笑った後、真剣な表情で彩歌を見つめる。
「本当は彩歌ちゃんを連れて行こうとした。だけど、彩歌ちゃんはあんな風に注目浴びるの絶対嫌だろうから、連れて行くのをすぐにやめた」
容姿が良い故に、異性から言い寄られたり同性から嫉妬されて彩歌が嫌な思いをしたことは、文化祭の時に知った。おまけに風雅も容姿に恵まれて異性から言い寄られることが多い。だからもし今回彩歌を連れて行っていたら、風雅ファンの嫉妬により彩歌がまた嫌な思いをするだろうと判断したのだ。おまけにこうしたイベントで目立つことは彩歌も望んでいなさそうだと感じたのである。
「もしそんなことしてたら、その場であんたをぶっ飛ばしてた」
ギロリと風雅を睨む彩歌。
彩歌に睨まれることはもう慣れた風雅である。彩歌のその睨む表情すら、風雅は可愛いと思うのであった。
「俺、彩歌ちゃんが好きだ。友達思いなところや正義感が強いところとか、何もかも、全部。どうしようもないくらいに」
真っ直ぐ、射抜くように彩歌を見つめる風雅。その声は、少し震えていたが今までにないくらい真剣だった。
目を大きく見開き、彩歌は言葉に詰まる。
「彩歌ちゃん、別に返事は今じゃなくて良い。俺、いつまでも待つから」
風雅の言葉に、彩歌は黙り込む。
「流石に百年後とかは俺もう死んでるけど」
風雅は冗談っぽくおどけてみせた。
「じゃあ、彩歌ちゃん、俺、待ってるから」
風雅はそう言い、彩歌の元から立ち去った。
「何それ。意味分かんないんだけど」
一人取り残された彩歌は戸惑いながらも、風雅の後ろ姿を睨む。
彩歌の頬は、真っ赤に染まっていた。
23
あなたにおすすめの小説
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる