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本編
新たな出会い
翌日、すっかり風邪が治ったミラベルが久々にラ・レーヌ学園にやって来た。
「えっと……おはようございます、ミラベル嬢。……元気になったみたいで、その……良かったです」
「おはようございます、ナゼール様。……手紙、ありがとうございました」
ほんの少しぎこちないやり取り。二人の頬はほんのり赤く染まっている。
「その……今日一緒に昼食なんてどうですか?」
ナゼールは震える拳を握り締め、ミラベルを誘う。
「っ!……お誘い、ありがとうございます。是非お願いします」
ミラベルは一瞬グレーの目を見開いた後、控え目だが嬉しそうに微笑んだ。
こうして、昼休みになるとミラベルとナゼールは食堂で共に昼食を取ることになった。
「ミラベル嬢……その……実は貴女のお陰で……その、学園に行くのが楽しみになりました」
ナゼールは頬を染め緊張しながらそう言った後、左手で器用に鯛のポワレを切って口に運ぶ。
「ナゼール様……ありがとうございます。実は私も……ナゼール様のお陰で最近楽しいと感じております」
生糸のように細い声だ。ミラベルも頬を染め微笑んでいる。
二人の間には穏やかな時間が流れている。
しかし、それをぶち壊す者達が現れる。
「あれ? ナゼールじゃないか」
「あらあら、ミラベル様も」
ダゴーベールとバスティエンヌ達がやって来たのだ。全員二人に対して馬鹿にしたような笑みを浮かべている。実際馬鹿にしているのだが。
ミラベルとナゼールは黙り込んでしまう。
「社交性のない機械オタクなのに、よく食堂で令嬢と二人で食事が出来ますね」
「地味なミラベル様が令息と二人で昼食だなんて」
ゴドフロアとマドロンが嘲笑する。
「俺なら恥ずかしくて出来ませんよ」
「私もですわ。もっと見た目と社交性を磨いてからでないと」
ジョリスとアベリアは完全に面白がっている。
「ナゼールとミラベル嬢が婚約してそのまま結婚したらどうなるんだろうか?」
「このお二人でございますわ。生まれて来るお子様もきっとパッとしませんわね」
再びダゴーベールとバスティエンヌが二人を馬鹿にしたように笑う。
ミラベルとナゼールは何も言い返せず俯いている。
ダゴーベールやバスティエンヌ達は、ミラベルとナゼールを一生自分たちの玩具にするつもりなのだ。
そこへ第三者の柔らかだが凛とした男性の声が聞こえてくる。
「食堂では食事と会話を楽しむ場所のはずだけど、随分と下品な声が聞こえるね。他人を馬鹿にすることがそんなに楽しいのかな? 僕には全く分からないよ」
ストロベリーブロンドのサラサラの髪にペリドットのような緑の目。鼻から頬周りには薄らとそばかすがあり、美形ではあるが童顔で女性と間違われそうな顔立ちである。ミラベルとナゼールにとってはあまり馴染みのない令息だ。
「ラファエル殿……」
ダゴーベールの表情が引きつる。
「まあ、ラファエル様! 私達そのようなことはしておりませんわ。ただ楽しくお話していただけでございますわよ」
うっとりと猫撫で声でラファエルと呼ばれた令息にしなだれかかろうとしたバスティエンヌ。しかしラファエルに拒否されてしまう。
「距離が近いよ、ゴビノ嬢。僕は婚約者がいる身だからそういう振る舞いはとても迷惑だ」
冷たく言い放つラファエル。
「そんなつれないこと仰らないでください、ラファエル様ぁ。それに、ゴビノ嬢だなんて他人行儀すぎますわ。バスティエンヌと呼んでください」
「あ、狡いですわ、バスティエンヌ様。それなら私のこともマドロンと呼んで欲しいですわ」
「私のことは是非アベリアと」
ミラベルやナゼールのことなど忘れ、バスティエンヌ達はラファエルに迫る。
「生憎君達のような人を馬鹿にして楽しむ令嬢達と親しくする気は更々ない」
ペリドットの目は、絶対零度よりも冷たかった。
「ラ、ラファエル殿、女性相手に冷たすぎませんか?」
ゴドフロアが少したじろぎながらそう言う。
「僕の言い分に不満があるのなら、剣術で勝負でもして決着をつけようか?」
ラファエルがそう言うと、ゴドフロアは黙り込む。ダゴーベールとジョリスもすっかり黙り込んでいる。この反応から、ラファエルは剣術がかなり強いらしい。
一方、ミラベルとナゼールはと言うと、目の前で起こっているやり取りに唖然としていた。
そこへオレリアンがやって来る。
「こらラファエル、気持ちは分かるが落ち着け。食堂で騒ぎを起こすな」
「ああ、悪いね、オレリアン」
ラファエルは申し訳なさそうに苦笑する。
「君達もこれ以上悪い意味で注目を浴びたくなければ今すぐこの場を立ち去るんだな」
オレリアンはダゴーベールやバスティエンヌ達を睨みつけた。すると、彼ら六人は素早くその場から離れるのであった。
ミラベルとナゼールはポカンとしている。
「お二人共、急に申し訳ないね」
ラファエルはミラベルとナゼールに優しく微笑む。天使のような貴公子の笑みである。
「いえ……その……」
「……こちらこそ……申し訳ないです」
ナゼールとミラベルは恐縮してしまう。
「ナゼール、あんな奴らに絡まれるなんて、災難だったね」
オレリアンはポンと軽くナゼールの肩を叩く。
「別に……慣れてるから」
ボソッと呟くナゼール。
「ナゼール、慣れたら駄目だ」
オレリアンは苦笑する。そしてミラベルに目を向ける。
「貴女がミラベル嬢だね?」
「は、はい。……ルテル伯爵家長女、ミラベル・ロクサーヌ・ド・ルテルと申します」
ミラベルは緊張気味に慌てて自己紹介をした。
「俺はナゼールの従兄で、ヌムール公爵家次男、オレリアン・ユーグ・ド・ヌムール。ナゼールと仲良くしてくれてありがとう。これからもナゼールのことをよろしく頼むよ」
「ちょっ! オレリアン!」
珍しく大きな声を出すナゼール。頬を赤く染めて焦った様子だ。
「私の方こそ……ナゼール様とはその……もっと仲良くなりたいと存じております。機械のことも……ナゼール様からもっとお聞きしたいと存じます」
ミラベルは控え目だが鈴が鳴るような声だ。頬を赤く染め恥じらうように微笑んでいる。
「ミラベル嬢……」
ナゼールの、長めの前髪から覗く眼鏡越しのヘーゼルの目が少し輝く。
「機械だって? 僕も機械とか技術関連のこと知りたいな。教えてくれるかな?」
ラファエルがペリドットの目をキラキラと輝かせながらナゼールの方へ乗り出している。ナゼールはたじろいでしまう。
「こら、ラファエル。ナゼールは少しシャイだからぐいぐい行くと引かれる」
オレリアンは苦笑する。
「ナゼール、ミラベル嬢。彼はラファエル。ガーメニー王国からの留学生だ。俺達と同じ十五歳で第三学年所属」
「改めて、ガーメニー王国のランツベルク辺境伯家次男、ラファエル・リュカ・フォン・ランツベルクです。どうぞよろしく」
ラファエルはニコリと太陽のような笑みを浮かべた。ラファエルはミラベルとナゼールの周りにはいなかったようなタイプだ。なので二人共少したじろいでしまう。
「へ、辺境伯家って……?」
ナルフェック王国では聞き慣れない爵位にナゼールは首を傾げる。
「ガーメニー王国独自の侯爵と同等の爵位だよ。ただ侯爵と違って、国境付近に領地を持って他国から攻め込まれないように警備する必要があるから、社交界にはあまり参加しないんだ。まあランツベルク辺境伯領は同盟国かつ友好国のナルフェック王国と隣接しているから警戒する必要はあまりないと思うけどね」
ラファエルハハッと笑う。
「俺達、昼食まだなんだよ。もしよかったらご一緒してもいいかな? あ、でも女性一人だとミラベル嬢も心細いかな?」
「だったら僕の婚約者も呼んでみるよ。お……話をしてたら早速いらした」
ラファエルはどうやら婚約者を見つけたようだ。
社交的でないミラベルとナゼールは、初対面の相手と上手くやれるか不安になっていた。
「えっと……おはようございます、ミラベル嬢。……元気になったみたいで、その……良かったです」
「おはようございます、ナゼール様。……手紙、ありがとうございました」
ほんの少しぎこちないやり取り。二人の頬はほんのり赤く染まっている。
「その……今日一緒に昼食なんてどうですか?」
ナゼールは震える拳を握り締め、ミラベルを誘う。
「っ!……お誘い、ありがとうございます。是非お願いします」
ミラベルは一瞬グレーの目を見開いた後、控え目だが嬉しそうに微笑んだ。
こうして、昼休みになるとミラベルとナゼールは食堂で共に昼食を取ることになった。
「ミラベル嬢……その……実は貴女のお陰で……その、学園に行くのが楽しみになりました」
ナゼールは頬を染め緊張しながらそう言った後、左手で器用に鯛のポワレを切って口に運ぶ。
「ナゼール様……ありがとうございます。実は私も……ナゼール様のお陰で最近楽しいと感じております」
生糸のように細い声だ。ミラベルも頬を染め微笑んでいる。
二人の間には穏やかな時間が流れている。
しかし、それをぶち壊す者達が現れる。
「あれ? ナゼールじゃないか」
「あらあら、ミラベル様も」
ダゴーベールとバスティエンヌ達がやって来たのだ。全員二人に対して馬鹿にしたような笑みを浮かべている。実際馬鹿にしているのだが。
ミラベルとナゼールは黙り込んでしまう。
「社交性のない機械オタクなのに、よく食堂で令嬢と二人で食事が出来ますね」
「地味なミラベル様が令息と二人で昼食だなんて」
ゴドフロアとマドロンが嘲笑する。
「俺なら恥ずかしくて出来ませんよ」
「私もですわ。もっと見た目と社交性を磨いてからでないと」
ジョリスとアベリアは完全に面白がっている。
「ナゼールとミラベル嬢が婚約してそのまま結婚したらどうなるんだろうか?」
「このお二人でございますわ。生まれて来るお子様もきっとパッとしませんわね」
再びダゴーベールとバスティエンヌが二人を馬鹿にしたように笑う。
ミラベルとナゼールは何も言い返せず俯いている。
ダゴーベールやバスティエンヌ達は、ミラベルとナゼールを一生自分たちの玩具にするつもりなのだ。
そこへ第三者の柔らかだが凛とした男性の声が聞こえてくる。
「食堂では食事と会話を楽しむ場所のはずだけど、随分と下品な声が聞こえるね。他人を馬鹿にすることがそんなに楽しいのかな? 僕には全く分からないよ」
ストロベリーブロンドのサラサラの髪にペリドットのような緑の目。鼻から頬周りには薄らとそばかすがあり、美形ではあるが童顔で女性と間違われそうな顔立ちである。ミラベルとナゼールにとってはあまり馴染みのない令息だ。
「ラファエル殿……」
ダゴーベールの表情が引きつる。
「まあ、ラファエル様! 私達そのようなことはしておりませんわ。ただ楽しくお話していただけでございますわよ」
うっとりと猫撫で声でラファエルと呼ばれた令息にしなだれかかろうとしたバスティエンヌ。しかしラファエルに拒否されてしまう。
「距離が近いよ、ゴビノ嬢。僕は婚約者がいる身だからそういう振る舞いはとても迷惑だ」
冷たく言い放つラファエル。
「そんなつれないこと仰らないでください、ラファエル様ぁ。それに、ゴビノ嬢だなんて他人行儀すぎますわ。バスティエンヌと呼んでください」
「あ、狡いですわ、バスティエンヌ様。それなら私のこともマドロンと呼んで欲しいですわ」
「私のことは是非アベリアと」
ミラベルやナゼールのことなど忘れ、バスティエンヌ達はラファエルに迫る。
「生憎君達のような人を馬鹿にして楽しむ令嬢達と親しくする気は更々ない」
ペリドットの目は、絶対零度よりも冷たかった。
「ラ、ラファエル殿、女性相手に冷たすぎませんか?」
ゴドフロアが少したじろぎながらそう言う。
「僕の言い分に不満があるのなら、剣術で勝負でもして決着をつけようか?」
ラファエルがそう言うと、ゴドフロアは黙り込む。ダゴーベールとジョリスもすっかり黙り込んでいる。この反応から、ラファエルは剣術がかなり強いらしい。
一方、ミラベルとナゼールはと言うと、目の前で起こっているやり取りに唖然としていた。
そこへオレリアンがやって来る。
「こらラファエル、気持ちは分かるが落ち着け。食堂で騒ぎを起こすな」
「ああ、悪いね、オレリアン」
ラファエルは申し訳なさそうに苦笑する。
「君達もこれ以上悪い意味で注目を浴びたくなければ今すぐこの場を立ち去るんだな」
オレリアンはダゴーベールやバスティエンヌ達を睨みつけた。すると、彼ら六人は素早くその場から離れるのであった。
ミラベルとナゼールはポカンとしている。
「お二人共、急に申し訳ないね」
ラファエルはミラベルとナゼールに優しく微笑む。天使のような貴公子の笑みである。
「いえ……その……」
「……こちらこそ……申し訳ないです」
ナゼールとミラベルは恐縮してしまう。
「ナゼール、あんな奴らに絡まれるなんて、災難だったね」
オレリアンはポンと軽くナゼールの肩を叩く。
「別に……慣れてるから」
ボソッと呟くナゼール。
「ナゼール、慣れたら駄目だ」
オレリアンは苦笑する。そしてミラベルに目を向ける。
「貴女がミラベル嬢だね?」
「は、はい。……ルテル伯爵家長女、ミラベル・ロクサーヌ・ド・ルテルと申します」
ミラベルは緊張気味に慌てて自己紹介をした。
「俺はナゼールの従兄で、ヌムール公爵家次男、オレリアン・ユーグ・ド・ヌムール。ナゼールと仲良くしてくれてありがとう。これからもナゼールのことをよろしく頼むよ」
「ちょっ! オレリアン!」
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ミラベルは控え目だが鈴が鳴るような声だ。頬を赤く染め恥じらうように微笑んでいる。
「ミラベル嬢……」
ナゼールの、長めの前髪から覗く眼鏡越しのヘーゼルの目が少し輝く。
「機械だって? 僕も機械とか技術関連のこと知りたいな。教えてくれるかな?」
ラファエルがペリドットの目をキラキラと輝かせながらナゼールの方へ乗り出している。ナゼールはたじろいでしまう。
「こら、ラファエル。ナゼールは少しシャイだからぐいぐい行くと引かれる」
オレリアンは苦笑する。
「ナゼール、ミラベル嬢。彼はラファエル。ガーメニー王国からの留学生だ。俺達と同じ十五歳で第三学年所属」
「改めて、ガーメニー王国のランツベルク辺境伯家次男、ラファエル・リュカ・フォン・ランツベルクです。どうぞよろしく」
ラファエルはニコリと太陽のような笑みを浮かべた。ラファエルはミラベルとナゼールの周りにはいなかったようなタイプだ。なので二人共少したじろいでしまう。
「へ、辺境伯家って……?」
ナルフェック王国では聞き慣れない爵位にナゼールは首を傾げる。
「ガーメニー王国独自の侯爵と同等の爵位だよ。ただ侯爵と違って、国境付近に領地を持って他国から攻め込まれないように警備する必要があるから、社交界にはあまり参加しないんだ。まあランツベルク辺境伯領は同盟国かつ友好国のナルフェック王国と隣接しているから警戒する必要はあまりないと思うけどね」
ラファエルハハッと笑う。
「俺達、昼食まだなんだよ。もしよかったらご一緒してもいいかな? あ、でも女性一人だとミラベル嬢も心細いかな?」
「だったら僕の婚約者も呼んでみるよ。お……話をしてたら早速いらした」
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