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6.ハプニングがありつつも私の青春は順調!
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「遭難だって。心配だな」
「確かにね。二年の先輩も遭難したんでしょう?」
原田陽太、春宮香恋、財前麗奈、雪野碧が遭難したことを知った一ノ瀬くんと詩穂は心配そうに話している。
私は『俺バラ』ハーレム班になったバドミントン部の田中さんに目を向けた。
バーベキューの時、いや、そもそも班が決まった時から居心地が悪そうで、今も泣きそうな表情の田中さん。
姫花が行動を変えたせいで田中さんに皺寄せが行ってしまっている。
私は自分の青春を楽しむことだけ考えていたけれど、流石に田中さんをフォローしなければいけないと思った。
「田中さん、大丈夫?」
「苺谷さん……」
「大変だったね」
私は田中さんの背中をさする。
すると色々と限界が来たようで、田中さんは声を上げて泣き始めた。
「私、この班本当に嫌! 春宮さんと財前さんは自分のことばっかだし、喧嘩ばっか。原田くんも何の役にも立たない! 全っ然楽しくない! 宿泊研修なんて来なければ良かった!」
私は黙って田中さんの話を聞く。
ハーレム系ラブコメ以外にも言えるけれど、漫画とか小説とかアニメのメインキャラってつくづくモブに対して配慮がない気がする。まあ原作者は多分ストーリーを考えたり絵を描いたりするのに必死だろうからある意味仕方がないと思うけれど……。
「本当に大変だったね。でも、田中さんが遭難しなくて良かった。私は田中さんがいてくれて嬉しいよ。それに、明日はクラスでのレクだから無理にあの班にいる必要はないからね」
「うう……苺谷さん……ありがとう」
田中さんは私に抱きついた。
私は彼女の背中をさすり続ける。
その時、田中さんと仲が良いバドミントン部班が戻って来た。
「え、たなピーどうしたの!? 何かあった!?」
田中さんのことをたなピーと呼び、駆け寄って来たのはバドミントン部の西島さん。ギャルっぽくて気が強そうな顔立ちだ。
「にっしー……」
田中さんは彼女のことをにっしーと呼んだ。
ニックネームで呼び合う仲のようだ。
「西島さん、実は田中さんの班が……」
私は何があったのか西島さんに説明をした。
「ええ! たなピー大変だったね! でもたなピーが遭難しなくて良かった! 明日はクラスレクだし、あんな奴らとじゃなくてウチらと一緒にいよ」
西島さんは全力で田中さんを抱きしめた。田中さんはコクコクと頷いていた。
「苺谷さんもたなピーのこと、色々ありがとね」
西島さんの言葉から、彼女が田中さんを大切に思っていることが分かる。
「うん」
私は頷き、後は西島さん達バドミントン部軍団に任せることにした。
「苺谷さん」
私は自分の班に戻ると、藤堂くんに話しかけられた。
「藤堂くん、どうしたの?」
「いや、苺谷さんは優しいなって思って。すぐに田中さんに声をかけに行ったからさ」
藤堂くんからそう褒められて、嬉しくなった。
だけど、田中さんの件はある意味『俺バラ』から逸脱した行動をした私も原因だから。
「そう……かな?」
嬉しさと複雑さが入り混じる。
「うん。凄いと思う」
そう言う藤堂くんの表情にドキッと心臓が跳ねる。イケメンに見つめられたら心臓が持たない。
「……ありがとう」
これからも私は『俺バラ』通りには動かないつもりだから、もしかしたら田中さんとか全く無関係の人に皺寄せが行くかもしれない。でも、そうなったらさっきみたいに私がフォローしよう。
私はそう決意した。
結局、私達は遭難した『俺バラ』ハーレムメンバーを待つことなく一旦宿泊施設に戻ることになった。
一位から五位の班発表もしばらく後になりそうだ。
私は一年二組の出席番号前半の女子部屋で荷物を整理した後、詩穂を連れてラウンジで藤堂くんと一ノ瀬くんと一緒にお菓子を食べたり他愛のない話をして楽しんだ。
だから知らなかった。
原田陽太達が今クラスでどんな評価を受けているのかを。
「なあ、原田って何かムカつくよな」
「ああ、分かる。いつも女子に囲まれてばっかでさ。何であんな何も取り柄のなさそうな奴の周りに春宮さんとか財前さんみたいな可愛い子が集まるんだよ?」
「おいおい、僻みかよ。でも、見ててイライラするのは分かる」
「原田って俺らが話しかけてもいかにも話聞いてねえようなやる気のない生返事だよな」
「何と言うか、原田って周囲に興味ないよな」
男子部屋ではそんな話になっていた。
一方、女子部屋でも春宮香恋と財前麗奈について話している子達がいた。
「春宮さんってさ、ちょっと可愛いからって調子乗ってるよね」
「分かる。何か見ててイライラする」
「財前さんもさ、お金持ちだか何だか知らないけどわがままだよね」
「鬱陶しいよね」
「それにさ、春宮さんも財前さんも二人揃って男の趣味悪くない? わざわざ地味で平凡そうな原田のところに行く? 藤堂くんとか一ノ瀬くんなら分かるけど」
「確かに。それで原田も調子に乗るじゃん。パッとしない男が調子に乗る姿って痛いわ」
「まあ春宮さんと財前さんが藤堂くんや一ノ瀬くんのところに行ったとしてもムカつくけど。苺谷さんとか桐山さんなら許せる」
「ああ、それ分かる。やっぱ藤堂くんや一ノ瀬くんの近くには苺谷さんと桐山さんだよね。何かお似合いだし」
私が知らない場所で、原田陽太達はかなり評価を下げていたらしい。
◇◇◇◇
その後、無事に原田陽太達が見つかり、班別レクリエーションの順位発表があった。
私達の班は見事に一位。景品として大量のお菓子をもらった。その際、一ノ瀬くんが大はしゃぎして先生に軽く注意されていた。
「みんな、もらったお菓子一緒に食べよう」
その日の夜、私は一年二組の出席番号前半の女子部屋で早速景品としてもらったお菓子を出す。
「お! 苺谷さんありがとう! 優しい!」
「桐山さんもありがとう!」
私と詩穂がお菓子の準備をしていると、部屋の女子達が集まって来た。
「苺谷さんって名前も顔も可愛いよね」
「苺谷さん、肌も髪も綺麗。どんなケアしてるの?」
「藤堂くんとは普段どんなこと話してるの?」
「えっと……」
一気に話しかけられて、私はたじろいてしまう。
だけど私は主に詩穂と他数人の女子としかあまり話していなかったから、あまり話したことがない女子達と話す良い機会だ。
色々と答えていくうちに、私のことを知ってもらえたり彼女達を知ることが出来て楽しい。
恋愛も楽しみたいけれど、こうして女子同士の会話を楽しむのもアリだ。
詩穂も普段話さない子達との会話を楽しんでいる。
こんな風に夜みんなで馬鹿騒ぎする青春、最高だ。
前世の私は吹奏楽部だったけれど比較的大人しめで、こういったことに余り縁はなかったのだ。だから、精一杯楽しもう!
その時、同じ出席番号前半の女子部屋にいた財前麗奈が目に入る。
財前麗奈はつまらなそうにムスッとしていた。
そしてそのまま誰にも気に留められることなく、部屋から出て行った。
流石は『俺バラ』のメインヒロイン。こんな夜に原田陽太の所にでも行くのかな?
私はぼんやりとそんなことを考えていた。
◇◇◇◇
翌日。
クラス全体でのレクリエーションはドッジボールなど、大人数で遊べるものだった。
「おお! 藤堂、ぶち当てろ!」
「行け行けー!」
男女別で隣のクラスと対決してみたりと、大盛り上がりである。
「藤堂くん、頑張ってー!」
女子のドッジボールは一足先に勝負が着いたので、私は男子の応援をしている。
「一ノ瀬くん、行け行けー!」
詩穂もボールを持った一ノ瀬くんを応援していた。
白熱した試合だった。
結果、男子も女子も一年二組が勝って大盛り上がり。だけど負けたとしても楽しい雰囲気にはなれるクラスだと思った。
何だかんだ楽しいクラスで本当に良かった。
「確かにね。二年の先輩も遭難したんでしょう?」
原田陽太、春宮香恋、財前麗奈、雪野碧が遭難したことを知った一ノ瀬くんと詩穂は心配そうに話している。
私は『俺バラ』ハーレム班になったバドミントン部の田中さんに目を向けた。
バーベキューの時、いや、そもそも班が決まった時から居心地が悪そうで、今も泣きそうな表情の田中さん。
姫花が行動を変えたせいで田中さんに皺寄せが行ってしまっている。
私は自分の青春を楽しむことだけ考えていたけれど、流石に田中さんをフォローしなければいけないと思った。
「田中さん、大丈夫?」
「苺谷さん……」
「大変だったね」
私は田中さんの背中をさする。
すると色々と限界が来たようで、田中さんは声を上げて泣き始めた。
「私、この班本当に嫌! 春宮さんと財前さんは自分のことばっかだし、喧嘩ばっか。原田くんも何の役にも立たない! 全っ然楽しくない! 宿泊研修なんて来なければ良かった!」
私は黙って田中さんの話を聞く。
ハーレム系ラブコメ以外にも言えるけれど、漫画とか小説とかアニメのメインキャラってつくづくモブに対して配慮がない気がする。まあ原作者は多分ストーリーを考えたり絵を描いたりするのに必死だろうからある意味仕方がないと思うけれど……。
「本当に大変だったね。でも、田中さんが遭難しなくて良かった。私は田中さんがいてくれて嬉しいよ。それに、明日はクラスでのレクだから無理にあの班にいる必要はないからね」
「うう……苺谷さん……ありがとう」
田中さんは私に抱きついた。
私は彼女の背中をさすり続ける。
その時、田中さんと仲が良いバドミントン部班が戻って来た。
「え、たなピーどうしたの!? 何かあった!?」
田中さんのことをたなピーと呼び、駆け寄って来たのはバドミントン部の西島さん。ギャルっぽくて気が強そうな顔立ちだ。
「にっしー……」
田中さんは彼女のことをにっしーと呼んだ。
ニックネームで呼び合う仲のようだ。
「西島さん、実は田中さんの班が……」
私は何があったのか西島さんに説明をした。
「ええ! たなピー大変だったね! でもたなピーが遭難しなくて良かった! 明日はクラスレクだし、あんな奴らとじゃなくてウチらと一緒にいよ」
西島さんは全力で田中さんを抱きしめた。田中さんはコクコクと頷いていた。
「苺谷さんもたなピーのこと、色々ありがとね」
西島さんの言葉から、彼女が田中さんを大切に思っていることが分かる。
「うん」
私は頷き、後は西島さん達バドミントン部軍団に任せることにした。
「苺谷さん」
私は自分の班に戻ると、藤堂くんに話しかけられた。
「藤堂くん、どうしたの?」
「いや、苺谷さんは優しいなって思って。すぐに田中さんに声をかけに行ったからさ」
藤堂くんからそう褒められて、嬉しくなった。
だけど、田中さんの件はある意味『俺バラ』から逸脱した行動をした私も原因だから。
「そう……かな?」
嬉しさと複雑さが入り混じる。
「うん。凄いと思う」
そう言う藤堂くんの表情にドキッと心臓が跳ねる。イケメンに見つめられたら心臓が持たない。
「……ありがとう」
これからも私は『俺バラ』通りには動かないつもりだから、もしかしたら田中さんとか全く無関係の人に皺寄せが行くかもしれない。でも、そうなったらさっきみたいに私がフォローしよう。
私はそう決意した。
結局、私達は遭難した『俺バラ』ハーレムメンバーを待つことなく一旦宿泊施設に戻ることになった。
一位から五位の班発表もしばらく後になりそうだ。
私は一年二組の出席番号前半の女子部屋で荷物を整理した後、詩穂を連れてラウンジで藤堂くんと一ノ瀬くんと一緒にお菓子を食べたり他愛のない話をして楽しんだ。
だから知らなかった。
原田陽太達が今クラスでどんな評価を受けているのかを。
「なあ、原田って何かムカつくよな」
「ああ、分かる。いつも女子に囲まれてばっかでさ。何であんな何も取り柄のなさそうな奴の周りに春宮さんとか財前さんみたいな可愛い子が集まるんだよ?」
「おいおい、僻みかよ。でも、見ててイライラするのは分かる」
「原田って俺らが話しかけてもいかにも話聞いてねえようなやる気のない生返事だよな」
「何と言うか、原田って周囲に興味ないよな」
男子部屋ではそんな話になっていた。
一方、女子部屋でも春宮香恋と財前麗奈について話している子達がいた。
「春宮さんってさ、ちょっと可愛いからって調子乗ってるよね」
「分かる。何か見ててイライラする」
「財前さんもさ、お金持ちだか何だか知らないけどわがままだよね」
「鬱陶しいよね」
「それにさ、春宮さんも財前さんも二人揃って男の趣味悪くない? わざわざ地味で平凡そうな原田のところに行く? 藤堂くんとか一ノ瀬くんなら分かるけど」
「確かに。それで原田も調子に乗るじゃん。パッとしない男が調子に乗る姿って痛いわ」
「まあ春宮さんと財前さんが藤堂くんや一ノ瀬くんのところに行ったとしてもムカつくけど。苺谷さんとか桐山さんなら許せる」
「ああ、それ分かる。やっぱ藤堂くんや一ノ瀬くんの近くには苺谷さんと桐山さんだよね。何かお似合いだし」
私が知らない場所で、原田陽太達はかなり評価を下げていたらしい。
◇◇◇◇
その後、無事に原田陽太達が見つかり、班別レクリエーションの順位発表があった。
私達の班は見事に一位。景品として大量のお菓子をもらった。その際、一ノ瀬くんが大はしゃぎして先生に軽く注意されていた。
「みんな、もらったお菓子一緒に食べよう」
その日の夜、私は一年二組の出席番号前半の女子部屋で早速景品としてもらったお菓子を出す。
「お! 苺谷さんありがとう! 優しい!」
「桐山さんもありがとう!」
私と詩穂がお菓子の準備をしていると、部屋の女子達が集まって来た。
「苺谷さんって名前も顔も可愛いよね」
「苺谷さん、肌も髪も綺麗。どんなケアしてるの?」
「藤堂くんとは普段どんなこと話してるの?」
「えっと……」
一気に話しかけられて、私はたじろいてしまう。
だけど私は主に詩穂と他数人の女子としかあまり話していなかったから、あまり話したことがない女子達と話す良い機会だ。
色々と答えていくうちに、私のことを知ってもらえたり彼女達を知ることが出来て楽しい。
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詩穂も普段話さない子達との会話を楽しんでいる。
こんな風に夜みんなで馬鹿騒ぎする青春、最高だ。
前世の私は吹奏楽部だったけれど比較的大人しめで、こういったことに余り縁はなかったのだ。だから、精一杯楽しもう!
その時、同じ出席番号前半の女子部屋にいた財前麗奈が目に入る。
財前麗奈はつまらなそうにムスッとしていた。
そしてそのまま誰にも気に留められることなく、部屋から出て行った。
流石は『俺バラ』のメインヒロイン。こんな夜に原田陽太の所にでも行くのかな?
私はぼんやりとそんなことを考えていた。
◇◇◇◇
翌日。
クラス全体でのレクリエーションはドッジボールなど、大人数で遊べるものだった。
「おお! 藤堂、ぶち当てろ!」
「行け行けー!」
男女別で隣のクラスと対決してみたりと、大盛り上がりである。
「藤堂くん、頑張ってー!」
女子のドッジボールは一足先に勝負が着いたので、私は男子の応援をしている。
「一ノ瀬くん、行け行けー!」
詩穂もボールを持った一ノ瀬くんを応援していた。
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