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それぞれの交流
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ユリウスから紹介されたオズヴァルトという辺境伯令息。彼はマルグリットより二つ年上の十六歳である。マルグリットはユリウスの友人というだけでオズヴァルトを警戒していたが……。
「なるほど、マルグリット嬢はそうやって妹君を守っているのか」
「左様でございますわ。可愛いティアナを守る為なら、両親と兄などちっとも怖くありませんわ」
ティアナを守る様子を聞き感心するオズヴァルトに対し、すっかり心を許していた。そしてどことなく得意気な表情である。
「君は私に対しては失礼な態度なのにオズヴァルトには礼儀正しいんだね」
呆れたように笑うユリウス。
「当たり前よ。ノルトマルク卿は貴方みたいにおかしな性格ではないもの」
マルグリットはわざとらしくため息をつく。
「ユリウスにここまで言うご令嬢がいるとはな」
オズヴァルトはハハっと面白そうに笑っている。
ティアナはそんなやり取りを見てクスクスと笑う。その可憐な笑みに、マルグリットとユリウスは表情を緩めるのである。
「そうだ、ティアナ嬢、今ランツベルク城の庭園で丁度秋薔薇が見頃なんだ。一緒に見に行かないかい? 私と二人で」
ユリウスは優しく紳士的な笑みでティアナに言い寄る。
「秋薔薇、見てみたいです。でも、お姉様達はどうなさるのです?」
ムーンストーンの目を輝かせるが、マルグリットのことも気になるティアナ。
「君の姉君はオズヴァルトと色々話してもらうから問題ないよ」
「ちょっと待ちなさい。何勝手にティアナと二人きりになろうとしているのよ」
当然のことながら止めに入るマルグリット。
「良いじゃないか。ティアナ嬢と私、君とオズヴァルト。丁度二人ずつだ」
「全然良くないわよ」
マルグリットはターコイズの目を吊り上げてユリウスに反論する。
「まあまあ、マルグリット嬢。ユリウスなら大丈夫だ。君の妹君が嫌がることは絶対にしないぞ」
オズヴァルトがユリウスの援護射撃をした。マルグリットは若干悔しそうに口籠る。確かにオズヴァルトの言っていることは正しいのだ。ユリウスはティアナに対して並々ならぬ独占欲を持っているが、決してティアナの嫌がることはしない。ティアナのことを心底大切に想っているのである。
「……ノルトマルク卿がそう仰るのなら」
ついにマルグリットは折れたのであった。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
「そんなに妹君のことが心配か?」
マルグリットはオズヴァルトからそう聞かれた。
あの後、ユリウスはすぐにティアナを連れて庭園へ行ってしまったのである。
マルグリットはオズヴァルトと共にランツベルク城内にある噴水付近のベンチに座っていた。
「当たり前でございます。あの男のティアナに対する独占欲は恐ろしいものですわ」
マルグリットは呆れ顔でため息をつく。
「俺もユリウスがあんな風になるとは思わなかった。あいつ、君の妹君に出会う前は何というか、もっと冷めた奴だったぞ」
オズヴァルトは面白そうに笑う。
「冷めた奴……何というか、想像がつきませんわ。私が知っているあの男は、いつもティアナしか見ておりませんし、ティアナのことばかり考えているので」
マルグリットは意外そうにターコイズの目を丸くする。
「マルグリット嬢、俺にもユリウスと同じような砕けた態度で構わないぞ」
「ですが、ノルトマルク卿は辺境伯家の方ですし」
「ユリウスも辺境伯家の令息だぞ」
オズヴァルトは面白そうにアメジストの目を細める。
「あの男は……私の可愛いティアナを狙うから……」
「そうか」
オズヴァルトはハハっと面白そうに笑う。
「だが、俺はあまり畏まった態度を取られるのは苦手なのかもしれない。呼び方もノルトマルク卿ではなく普通にオズヴァルトで構わないぞ」
「そう……。だったらオズヴァルト様と呼ぶわね。正直、私も堅苦しいのは苦手なのかもしれないわ」
マルグリットはクスッと笑った。肩の力が抜けているように見える。
「マルグリット嬢にはそれが似合う。で、話を戻すが、ユリウスは君の妹君に出会ってから変わったんだ。生き甲斐を見つけたような感じになった。まあ俺もまさかあいつの独占欲が強いとは思わなかったがな。君の妹君と結ばれたいが為に色々動いているみたいだし」
後半、オズヴァルトは苦笑した。
「男爵家と辺境伯家よ。あの男は身分差も何とかする術はあるって言っていたけれど、何を企んでいるつもりなのかしら? それにファルケンハウゼン家は……」
マルグリットは生家が人身売買を行なっていることを思い出し、表情を曇らせる。
「実は俺もファルケンハウゼン男爵家の人身売買についてはユリウスから聞いている。マルグリット嬢が内部から証拠を集めていることも」
オズヴァルトは真剣な表情になる。
「そう……。結局、このままだとティアナも私も処罰対象になる可能性がある。それに、ティアナはお父様やお母様やお兄様から虐げられているばかり。私じゃティアナを完全に守れない……」
マルグリットは悔しそうに表情を歪めた。
「マルグリット嬢は妹君を本当に大切に思っているんだな」
「ええ。……私のことはどうなってもいいから、ティアナだけでもファルケンハウゼン家から逃したいわ。もし私が成人を迎えていたら、ティアナを託せる相手を自分で探せたのに……」
表情は悔しそうに歪んでいるが、マルグリットのターコイズの目はどこまでも真っ直ぐであった。
そんなマルグリットを見たオズヴァルトは、アメジストの目を優しく細め、フッと口角を上げる。
「自分よりも大切に思える相手がいるのは……良いな」
その声色は、どこまでも優しかった。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
ランツベルク城の広い庭園には、色とりどりの薔薇が咲き誇っている。
「わあ……綺麗……」
ティアナは表情を綻ばせ、そっとピンクの薔薇に触れる。ムーンストーンの目はキラキラと輝いていた。
「そう言ってもらえて光栄だよ」
ユリウスは甘く優しい表情だ。
「ユリウス様は……何故こんなに私達に良くしてくださるのでございますか?」
少し申し訳なさそうな表情のティアナ。ムーンストーンの目には、憂いの色が見えた。
「私がそうしたいと思ったからだよ。ティアナ嬢、私は君のことが……」
ユリウスはそこで言い止まる。
(いや、私の気持ちを伝えるのはまだ時期尚早だ。今のティアナ嬢にそれを伝えても、困らせるだけだろう。でも……)
ユリウスはティアナの憂いを帯びた表情を見て、胸がギュッと切なくなると同時にドロドロとした独占欲も湧き上がる。
(ティアナ嬢のその表情も魅力的だ……。私のことを思ってそんな風になっているのなら、嬉しいな。君が私を愛し、私で笑い、私で泣いてくれるのなら……。でも……やっぱり私は君の笑顔が見たい)
「……ユリウス様?」
ティアナは黙ったユリウスを不安そうに見つめる。
ユリウスはハッとする。
「ティアナ嬢、君は何も気にしなくて良い。申し訳なく思う必要もないよ。ただ私がそうしたくてやっていることだから」
ユリウスのアンバーの目は、真剣で、どこまでも優しく、真っ直ぐティアナを見つめている。
「ユリウス様……」
ティアナの心臓が、ほんの少しだけ跳ねる。頬もほんのり赤く染まっている。
「ありがとうございます」
ティアナはほんのり表情を綻ばせた。ムーンストーンの目からは憂いが消えている。
「多分、ファルケンハウゼン家で何かが起こっているのですよね? お姉様はファルケンハウゼン家の屋敷で何かを探していますし、ユリウス様とも何か難しそうなお話をなさっているのは知っています」
「ティアナ嬢、それは」
「良いのです。知りたいという気持ちはございますが、私に言ってくださらないのにはきっと理由がございますのよね。だから……お姉様やユリウス様を信じようと思います」
ティアナのムーンストーンの目は、真っ直ぐ澄み渡っていた。
「マルグリットお姉様は、ファルケンハウゼン家の家族の中で唯一私に優しくしてくださります。それに、ユリウス様も……」
ティアナはムーンストーンの目を嬉しそうに細めた。控えめに微笑むティアナ。天使のようである。
「ティアナ嬢……」
ユリウスの中で、ティアナへの想いが溢れ出す。
(やはり私はこの手でティアナ嬢を幸せにしたい。彼女の憂いや不安は私が全て取り除く。私がティアナを守りたい。彼女の姉君には負けたくない)
それは優しく美しいだけではなく、ドロドロとした感情も入り混じっていた。
(私は君に一生を捧げるよ。だからティアナ嬢……君の一生を私に頂戴。……なんて言ったら、君は怖がってしまうだろうね。だけど……たとえティアナ嬢が私を恐れたとしても離す気はないさ。まあ、君を怖がらせないように頑張るよ)
ユリウスはドロドロとした欲望を隠し、優しく微笑むのであった。
「なるほど、マルグリット嬢はそうやって妹君を守っているのか」
「左様でございますわ。可愛いティアナを守る為なら、両親と兄などちっとも怖くありませんわ」
ティアナを守る様子を聞き感心するオズヴァルトに対し、すっかり心を許していた。そしてどことなく得意気な表情である。
「君は私に対しては失礼な態度なのにオズヴァルトには礼儀正しいんだね」
呆れたように笑うユリウス。
「当たり前よ。ノルトマルク卿は貴方みたいにおかしな性格ではないもの」
マルグリットはわざとらしくため息をつく。
「ユリウスにここまで言うご令嬢がいるとはな」
オズヴァルトはハハっと面白そうに笑っている。
ティアナはそんなやり取りを見てクスクスと笑う。その可憐な笑みに、マルグリットとユリウスは表情を緩めるのである。
「そうだ、ティアナ嬢、今ランツベルク城の庭園で丁度秋薔薇が見頃なんだ。一緒に見に行かないかい? 私と二人で」
ユリウスは優しく紳士的な笑みでティアナに言い寄る。
「秋薔薇、見てみたいです。でも、お姉様達はどうなさるのです?」
ムーンストーンの目を輝かせるが、マルグリットのことも気になるティアナ。
「君の姉君はオズヴァルトと色々話してもらうから問題ないよ」
「ちょっと待ちなさい。何勝手にティアナと二人きりになろうとしているのよ」
当然のことながら止めに入るマルグリット。
「良いじゃないか。ティアナ嬢と私、君とオズヴァルト。丁度二人ずつだ」
「全然良くないわよ」
マルグリットはターコイズの目を吊り上げてユリウスに反論する。
「まあまあ、マルグリット嬢。ユリウスなら大丈夫だ。君の妹君が嫌がることは絶対にしないぞ」
オズヴァルトがユリウスの援護射撃をした。マルグリットは若干悔しそうに口籠る。確かにオズヴァルトの言っていることは正しいのだ。ユリウスはティアナに対して並々ならぬ独占欲を持っているが、決してティアナの嫌がることはしない。ティアナのことを心底大切に想っているのである。
「……ノルトマルク卿がそう仰るのなら」
ついにマルグリットは折れたのであった。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
「そんなに妹君のことが心配か?」
マルグリットはオズヴァルトからそう聞かれた。
あの後、ユリウスはすぐにティアナを連れて庭園へ行ってしまったのである。
マルグリットはオズヴァルトと共にランツベルク城内にある噴水付近のベンチに座っていた。
「当たり前でございます。あの男のティアナに対する独占欲は恐ろしいものですわ」
マルグリットは呆れ顔でため息をつく。
「俺もユリウスがあんな風になるとは思わなかった。あいつ、君の妹君に出会う前は何というか、もっと冷めた奴だったぞ」
オズヴァルトは面白そうに笑う。
「冷めた奴……何というか、想像がつきませんわ。私が知っているあの男は、いつもティアナしか見ておりませんし、ティアナのことばかり考えているので」
マルグリットは意外そうにターコイズの目を丸くする。
「マルグリット嬢、俺にもユリウスと同じような砕けた態度で構わないぞ」
「ですが、ノルトマルク卿は辺境伯家の方ですし」
「ユリウスも辺境伯家の令息だぞ」
オズヴァルトは面白そうにアメジストの目を細める。
「あの男は……私の可愛いティアナを狙うから……」
「そうか」
オズヴァルトはハハっと面白そうに笑う。
「だが、俺はあまり畏まった態度を取られるのは苦手なのかもしれない。呼び方もノルトマルク卿ではなく普通にオズヴァルトで構わないぞ」
「そう……。だったらオズヴァルト様と呼ぶわね。正直、私も堅苦しいのは苦手なのかもしれないわ」
マルグリットはクスッと笑った。肩の力が抜けているように見える。
「マルグリット嬢にはそれが似合う。で、話を戻すが、ユリウスは君の妹君に出会ってから変わったんだ。生き甲斐を見つけたような感じになった。まあ俺もまさかあいつの独占欲が強いとは思わなかったがな。君の妹君と結ばれたいが為に色々動いているみたいだし」
後半、オズヴァルトは苦笑した。
「男爵家と辺境伯家よ。あの男は身分差も何とかする術はあるって言っていたけれど、何を企んでいるつもりなのかしら? それにファルケンハウゼン家は……」
マルグリットは生家が人身売買を行なっていることを思い出し、表情を曇らせる。
「実は俺もファルケンハウゼン男爵家の人身売買についてはユリウスから聞いている。マルグリット嬢が内部から証拠を集めていることも」
オズヴァルトは真剣な表情になる。
「そう……。結局、このままだとティアナも私も処罰対象になる可能性がある。それに、ティアナはお父様やお母様やお兄様から虐げられているばかり。私じゃティアナを完全に守れない……」
マルグリットは悔しそうに表情を歪めた。
「マルグリット嬢は妹君を本当に大切に思っているんだな」
「ええ。……私のことはどうなってもいいから、ティアナだけでもファルケンハウゼン家から逃したいわ。もし私が成人を迎えていたら、ティアナを託せる相手を自分で探せたのに……」
表情は悔しそうに歪んでいるが、マルグリットのターコイズの目はどこまでも真っ直ぐであった。
そんなマルグリットを見たオズヴァルトは、アメジストの目を優しく細め、フッと口角を上げる。
「自分よりも大切に思える相手がいるのは……良いな」
その声色は、どこまでも優しかった。
♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔
ランツベルク城の広い庭園には、色とりどりの薔薇が咲き誇っている。
「わあ……綺麗……」
ティアナは表情を綻ばせ、そっとピンクの薔薇に触れる。ムーンストーンの目はキラキラと輝いていた。
「そう言ってもらえて光栄だよ」
ユリウスは甘く優しい表情だ。
「ユリウス様は……何故こんなに私達に良くしてくださるのでございますか?」
少し申し訳なさそうな表情のティアナ。ムーンストーンの目には、憂いの色が見えた。
「私がそうしたいと思ったからだよ。ティアナ嬢、私は君のことが……」
ユリウスはそこで言い止まる。
(いや、私の気持ちを伝えるのはまだ時期尚早だ。今のティアナ嬢にそれを伝えても、困らせるだけだろう。でも……)
ユリウスはティアナの憂いを帯びた表情を見て、胸がギュッと切なくなると同時にドロドロとした独占欲も湧き上がる。
(ティアナ嬢のその表情も魅力的だ……。私のことを思ってそんな風になっているのなら、嬉しいな。君が私を愛し、私で笑い、私で泣いてくれるのなら……。でも……やっぱり私は君の笑顔が見たい)
「……ユリウス様?」
ティアナは黙ったユリウスを不安そうに見つめる。
ユリウスはハッとする。
「ティアナ嬢、君は何も気にしなくて良い。申し訳なく思う必要もないよ。ただ私がそうしたくてやっていることだから」
ユリウスのアンバーの目は、真剣で、どこまでも優しく、真っ直ぐティアナを見つめている。
「ユリウス様……」
ティアナの心臓が、ほんの少しだけ跳ねる。頬もほんのり赤く染まっている。
「ありがとうございます」
ティアナはほんのり表情を綻ばせた。ムーンストーンの目からは憂いが消えている。
「多分、ファルケンハウゼン家で何かが起こっているのですよね? お姉様はファルケンハウゼン家の屋敷で何かを探していますし、ユリウス様とも何か難しそうなお話をなさっているのは知っています」
「ティアナ嬢、それは」
「良いのです。知りたいという気持ちはございますが、私に言ってくださらないのにはきっと理由がございますのよね。だから……お姉様やユリウス様を信じようと思います」
ティアナのムーンストーンの目は、真っ直ぐ澄み渡っていた。
「マルグリットお姉様は、ファルケンハウゼン家の家族の中で唯一私に優しくしてくださります。それに、ユリウス様も……」
ティアナはムーンストーンの目を嬉しそうに細めた。控えめに微笑むティアナ。天使のようである。
「ティアナ嬢……」
ユリウスの中で、ティアナへの想いが溢れ出す。
(やはり私はこの手でティアナ嬢を幸せにしたい。彼女の憂いや不安は私が全て取り除く。私がティアナを守りたい。彼女の姉君には負けたくない)
それは優しく美しいだけではなく、ドロドロとした感情も入り混じっていた。
(私は君に一生を捧げるよ。だからティアナ嬢……君の一生を私に頂戴。……なんて言ったら、君は怖がってしまうだろうね。だけど……たとえティアナ嬢が私を恐れたとしても離す気はないさ。まあ、君を怖がらせないように頑張るよ)
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