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第1章 追放

4夜

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「コイツが伝説の四界剣が一か。ちょっと重い気はするが、確かに見たこともねぇ金属や装飾だな。ま、これほどの剣をこの俺が持てば、古竜の一匹や二匹、なます切りは確定だな」

 さらにデイモスは盾と鎧に近づいた。
 手で触れる。

「コイツがアルクの野郎が使っていた聖域の鎧に盾か。見ただけでわかる。とんでもねぇ代物だな。コイツらがあれば、俺がアルクに遅れを取るわけがねぇ。実力なら俺の方が上だったんだからよ! ヒャッハッハ、今日から俺様がギーの雑魚に替わって、本物の勇者様とやらになってやるぜェェ!」

「そうなるよう祈っている」

「頑張ってくださいね、デイモスさん!」

 オテとククナリが期待の声を寄せた。

「――と、まあ、それはいいとしてだ。この聖域の鎧なんだがよ、俺にはちょっと小せえんだよな。もっと大きくならねぇか?」

「そうだねえ……。一般的な鎧であれば可能なんだけど、これはアルクが手に入れた、アルクのための鎧だったからね。下手に手を加えることはできない。賢者の僕でも難しい、特殊な古代魔法が何重にもかけられているんだよ。こんな鎧に手を加えようとしたら、せっかくの守りの魔法が損なわれてしまう。とはいえ、僕が魔法の解析を終えれば、君が使えるようにはなるだろう。それまでは止めた方が賢明だね」

「魔法のことはよくわからねぇが、アンタの言う通りにするぜ。この剣と盾だけでも、あれば十分だからな」

「アルク様も、鎧に頼られることはありませんでしたからね」

「チッ、そういうことなら俺もいらねぇよッ!」

 もう、誰もギーのことを見ようともしなかった。
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