【完結】異世界の記憶を思い出した幼馴染で自称(大)聖女の姉が「魔王退治に行く!」と言い出しました。

野良豆らっこ

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第6話

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 神官たちから祈りを捧げられた。
 何だかよくわからないけど身体が光る。同情の光だ。

 すると、司教様がため息をついた。


「しかたありませんな。弟君の説得も失敗したようですし、ここは力尽くでも王城までご一緒していただきますぞ!」


 神官団が、僕と姉さんを囲む。
 まさか、こんなところで初戦闘!?

 思わず身構えると、司教様と並んだ神官たちが一斉にコープと上着を脱いだ。

 上半身裸になる。



「「「フンッ!」」」



「うわぁぁぁ~、ムキムキだぁぁ~っ!?」

「ど、どーいうことっ!?」


 司教様はポージングを決めながら、


「気に入らないクラスになって暴れる者たちを素手で取り押さえるため、クラスベル神の神官はみな体を鍛えているのですよっ!」


 うわああ、やっぱり理に適っているぅぅ!


「なんというボディビルダー神殿。こうなったらこっちもやるしかないわ! くらえ『白き抱擁』――っ!」


 まさか、これが覚えたばかりの聖女のスキルだとでも!?
 姉さんの詠唱と共に、神官たちが凍えるような白銀の光に包まれていく。


「な、何だこれはぁぁ!?」

「ぐはぁl」

「うわぁぁ~、聖女なのに、やっちゃった、殺っちゃったの!?」


 というか、聖女なのに攻撃魔法とかあるのっ!?
 真っ白い光が徐々に薄まっていく。
 ところが、司教様も神官たちも健在だ。見た目にも変化がない。

 それどころか、


「こ、腰の痛みが引いておりますぞ!」

「筋肉痛が!」

「矢を受けた膝の痛みが!? これでクラスチェンジしなくても!」


 一般人も巻きこんでるっぽいけど、これはまさか!


「この場にいる全員に回復魔法――ヒールをかけた……?」

「まさに聖女様だぁぁ!」

「うおおおおおおおおおお!」


 よくわかんない声援が上がる。
 よもや、こんなことで姉さんの聖女パワーが本物だと確定するなんて……。
 盛り上がりすぎて、包囲網まで崩れ始めている。


「まさか意識してこれを……?」


 と思ったら、姉さんが冷や汗をかいている。
 偶然だったに違いない。


「と……とにかく、この隙に逃げるわよ!」


 僕と姉さんは、涙を流して感動している神官たちの合間を縫って、職業神クラスベル様の神殿から全速力で逃げ出した。
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